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紙の本
不思議な宮さま 東久邇宮稔彦王の昭和史 (文春文庫)
著者 浅見 雅男 (著)
戦後初の首相となった東久邇宮稔彦王は、明治天皇の皇女を妃とし、陸軍軍人として重きをなす一方で、臣籍降下騒動、女性問題、右翼との危険な関係を抱えていた。その仰天の人生を、新...
不思議な宮さま 東久邇宮稔彦王の昭和史 (文春文庫)
不思議な宮さま 東久邇宮稔彦王の昭和史
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商品説明
戦後初の首相となった東久邇宮稔彦王は、明治天皇の皇女を妃とし、陸軍軍人として重きをなす一方で、臣籍降下騒動、女性問題、右翼との危険な関係を抱えていた。その仰天の人生を、新史料を駆使して明らかにした評伝。【「TRC MARC」の商品解説】
皇族の「問題児」「切り札」宮さま宰相の生涯
「一億総懺悔」を唱えたことで知られる史上唯一の皇族総理大臣・東久邇宮稔彦王。破天荒で奔放なその人生を描いた傑作評伝。【商品解説】
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首相辞任までの伝記
2022/10/04 01:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本の著者が「公爵家の娘」を書く為に取材している頃の平成2年まで生きていた当該の主人公を大体、首相辞任までで一区切りしているのは、皇籍離脱してからは「私人」と扱っているのだろうか。それはそれでいい扱いだ。最近出た評伝のように1章を割いて皇籍離脱後の長い後半生を書いているのはいいが、いくら「東久邇日記」と改題しているとは言え、「一皇族の戦争日記」は存在しない事にして明治百年に合わせて出したかのようなテキトーな事や保科善四郎海軍中将を一文字飛ばして正体不明の人物みたいに書いて索引でも立項しているのだから。自分の研究を使って浅見雅男が先に評伝を書いた、と対抗心を抱くより校正をしてほしいものだ。稔彦王はフランス語が話せるウィロビーと通訳なしで話した内容を日本語の日記で書けるのだから、記憶力と共にそれなりのフランス語力があるはずなのに怪しげな語学力しかないようにも書くし。
松本清張が「昭和史発掘」で「北原二等卒の直訴」という題名にしたように、この事件が起きた時点では「二等卒」であって「二等兵」ではない。
一つ面白いのは邦訳が出ているとは言え、「周仏海日記」を使って「東條英機の私設秘書」と称した人物を描いている点だ。周仏海なら確かに「情報工作のプロ」だから、人を見る目はあるだろう。「周仏海日記」と違って、韓国や両岸では有名だが日本では知られていないような未邦訳の漢語や韓国語、モンゴル語などの史料を使えば、今までとは違う時代が見えてくるかもしれない。
フランスでの稔彦王と話したという「某元帥」とは誰だろう?第一次世界大戦直後のフランス元帥は限られるのだから、フォッシュやジョッフル、ペタンといった歴史に残る大物の誰かなのだが。王子の盛厚王が昭和21年に会った事があるジノーヴィー・ペシュコフ将軍の上官だったリヨテ元帥も時期的には合うけれど、フランス本土にいた事はあるだろうか。
余談ながら、稔彦王の孫で昭和22年の皇籍離脱までは皇族だった信彦王は二親等まで天皇と皇族だけなので「天皇より天皇の血が濃い」と宣う向きがいるが、三親等までは調べていないらしい。所謂「皇別摂家」ではない九条家出身の貞明皇后は勿論、稔彦王の生母の寺尾宇多子は「おそらく京都の漢方医の家系の家」出身とあり、曾祖母は全て臣籍出身なのだが。