紙の本
思ったよりはやかった
2021/03/13 13:18
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投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幕末に蒸気機関車の模型が持ち込まれてから実際に鉄道を引き、それらが国有化されるまでをまとめた本。
鉄道網がどのように各地に広がっていったかだとか、どのような意図で広げられたのか、それによってもたらされた経済の変化などが書かれている。
はじめの内は外国の手を借りて作られていた鉄道が、日本人だけによって作られるようになる経緯もあるし、それが政治的な理由が絡んでいたりするので、同時期の他の資料なんかと合わせて読むとより深く明治を掘り下げられそう。
紙の本
日本鉄道史 幕末・明治編
2020/04/26 23:19
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投稿者:ひこにゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
手に取り易い日本の鉄道史だと思います。
1里の換算に少しおかしいと思われる箇所がありました。初版15頁に 「マルセイユ~パリ間の距離は660里 (2,591.8キロメートル)」 とありますが、グーグルマップで775kmです。11頁、12頁に19世紀半ばの米国の汽車の記述があり、「その速度は一日に300里(1,178キロメートル)を走る」、「汽車の時速は25里(98.2キロメートル)とおどろくべき速さである」 とあるのも、同様の換算によるものかと。
また、99頁 関ケ原~四日市間鉄道 という項に、「途中の信濃と近江の境には山谷があり」 とあるのは信濃ではなく美濃、108頁 東海道線についての記述で、「国府津で鉄道を降りれば江ノ島・鎌倉まで『僅かに一里少余に過ぎず』」というのも、国府津ということはないと思います。
このように、鉄道に関する書籍には少しそぐわない誤りも含まれていますが、全体としては手軽な入門書だと思います。
紙の本
オーソドックスな本
2021/11/13 19:59
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投稿者:トリコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ペリー来航から明治の鉄道国有化までを描いた、ごくオーソドックスな本。
ただ、イギリスのモレルが、日本の鉄道開通前に、30歳で亡くなっていたことは知らなかった。
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概説書ながら中身は濃く、国有化までのおよそ50年余りの間の政治・経済・軍事、様々な側面からの鉄道敷設構想への言及もコンパクトにまとまっていて勉強になった。地方への鉄道敷設によって生じる「経済効果」については種々議論があるわけだが、それに関しても正負両側面から叙述されている。
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文字通りに「蒸気車模型から鉄道国有化まで」の状況が綴られている。非常に興味深い。
この「明治時代の話し」で少し驚くのは、“鉄道”に対して“海運”が「競争相手」的な位置に在ったことや、現在では想像し悪い程に大きかった鉄道の“存在感”だ。そして「分単位の運行」が行われる列車の故に、「日本人の時間感覚」が変わって行ったという事実である。
本書は文字通りに“温故知新”という感じがする。なかなかにお薦めだ!!
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日本鉄道発展前半満鉄以前までの通史。明治の鉄道開通から国有化までの軌跡が描かれる。1906年に鉄道国有化なんていうことがあったとはつゆも知りませんでした。
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ペリーの2度目の来航の際、蒸気機関車の模型を将軍へ献上し、横浜の応接場の裏で組み立て、運転して見せた。その数か月前、長崎にプチャーチンが来航した際にも、佐賀藩の精錬方が艦内で蒸気機関車の模型を見学しており、その2年後にはアルコールを燃料として走らせる蒸気機関車の模型を完成させた。
長州ファイブの1人である井上勝は、ロンドンで鉄道技術を体系的に学び、鉄道専門官僚として日本の鉄道ネットワークづくりと鉄道技術の自立化に生涯をささげた。
1865~70年の日本の輸出額は、生糸が52%を占めており、集散地の上田や前橋に向かう鉄道を敷設すれば、輸出が増大すると考えられた。
日本初の私鉄である日本鉄道は、岩倉具視をはじめとした華士族層を主唱発起人として特許を受けた。83年に上野~熊谷間、84年に前橋までを開業すると、生糸の輸送に大きく貢献した。85年には品川から東京西郊を迂回して板橋を通り、川口に達する品川線が開業し、上毛地方と横浜が鉄道で結ばれた。
81年に、明治14年の政変で大隈重信が失脚すると、松方正義が大蔵卿に就任した。81~85年の松方財政の時代には、貨幣制度の整備と通貨価値の安定による金利低下の結果、投資意欲が刺激された。85~89年にかけて、会社の数は3倍に増加した。中でも、日本鉄道の業績が良好なのを受けて、鉄道業の次に紡績業、さらに鉱山業と移る形で、これらの増加が著しかった。
89年に東海道線が全通し、91年に日本鉄道が青森まで開通した。92年には、中央線、北陸線、北越線、奥羽線、山陽線、九州線などを拡張する鉄道敷設法が成立した。
90年の恐慌後、94~95年の日清戦争後に鉄道熱は再燃し、北海道鉄道、日本鉄道、山陽鉄道、関西鉄道、九州鉄道をはじめとする私設鉄道が著しい発展をとげた。
1904~05年の日露戦争後、鉄道の統一、貨物運賃の低廉化、植民地鉄道と内地の鉄道の一体化の視点から鉄道の国有化が主張されるようになった。06年に鉄道国有法が公布され、五大私鉄をはじめとする17社が買収された。国鉄のシェアは、開業距離で32%から91%、輸送人キロで29%から91%に増加した。
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所々、時間が入り乱れてはいるが、全体的に時間の流れに沿っているので、鉄道と社会の変遷が対比して読むことができた。
何より、日本最初の鉄道計画が東京・京都間と、京都・敦賀間であったことに驚いた。
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ペリー来航から日露戦争後に鉄道が国有化されるまでの
鉄道史をわかりやすく描く。
井上勝の献身や、明治初期のビジョン。
鉄道開通による庶民の暮らしぶりの変化など
興味深い内容が多いが、
軍事的な記述は意図的に省略している雰囲気を感じた。
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まさに日本に鉄道がひかれつつあった
明治時代の記録。
東海道ではなく、
中山道が第一候補だった!
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近代日本の交通・流通史の第一人者である著者によって語られた鉄道を軸とした日本経済の通史。それだけに,単なる鉄道の経営・技術開発史ではなく,外交や出資,社会生活との関係性をも記している点で,鉄道ファンでなくとも親しみやすい。
従来,明治日本経済史における鉄道の役割は,新橋―横浜間の開通に始まり,殖産興業期における「開港場路線」としての限界,松方デフレを経て企業勃興期における鉄道建設ブーム,明治23年恐慌によるその終焉,日露戦後経営期の鉄道国有化と,主に明治政府による経済政策の変遷にあわせて段階的に描かれてきた。しかし,本書ではその間隙を縫うかの如く,東と西をつなぐ幹線鉄道としての「中山道鉄道の敷設」の意義や,鉄道敷設法体制下における小規模私設鉄道の濫立と広軌鉄道問題などに焦点を当てることで,明治期の鉄道史を連続的に表すことに成功している。
こうした連続的な明治鉄道史像を描写することによって,当時の人物に対する評価も変化してくる。これまで「長州ファイブ」(20-21頁)の中では「いぶし銀」的存在だった鉄道庁長官・井上勝は,井上馨や伊藤博文らを脇役へ追いやって,「鉄道のテクノクラート」(144頁)として主役の座を勝ち取っている。また,渋沢栄一は,「金本位制採用論争」に続いて,大蔵省の阪谷芳郎ら鉄道国有論賛成派に対する反対論を唱えるが,結局のところ日露戦後期には国有化を主張するように転換してしまう(193-195頁)。こうした鉄道に携わる人間模様も活発に語られているのが,本書の面白さだといえよう。
ただ1点気になったのは,97頁(初版)の記述である。高崎―横川間の官設鉄道が1885年10月に開業したことで,途中の磯部駅には湯宿が軒を並べており,「外務卿の井上馨らが別荘を建て,三菱の岩崎弥太郎もしばしばこの地を訪れるようになった」と書かれているが,弥太郎自身は同年2月7日に没している。おそらく,岩崎弥之助の間違いであろう。
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近代化していく中で鉄道が敷設される過程や、社会的経済的な影響が紹介されている。鉄道萌芽の時期は、いわゆる開明派官僚である大隈重信大蔵兼民部大輔、伊藤大蔵兼民部少輔がイギリス支援の下で推進していくことになる。
イギリス支援時に日本の鉄道路線の狭軌採用が決定した事実は恥ずかしながら初めて知った。
鉄道敷設に尽力した人物として井上勝が紹介されている。井上はいわゆる「長州ファイブ」として知られる人物であり、イギリスで鉄道技術を学んでいる。
日本の鉄道敷設でまず検討されたのが、1869年に東西両京間の鉄道敷設である。1870年からはモレルが東京~横浜間を測量開始し、二年後には新橋~横浜間の仮開業までこぎ着ける。その後、1874年には大阪~神戸間の開業、三年後には京都~大阪間の開業と徐々に敷設距離を伸ばしていく。
東西両京間鉄道も当初は中山道ルートを採用していたことも意外であった。
政府だけ敷設を進めるのは困難であったため、私設鉄道を認めていくことで鉄道敷設を促進させた。その代表例が、1881年設立の日本鉄道会社であった。その後、松方デフレからの企業勃興が起こり、私設鉄道が官営鉄道を上回っていくことになる。
しかし、一方で政府内部では鉄道国有化という意見が出始め、将来的な鉄道国有を匂わせつつも、私設鉄道を容認する鉄道敷設法が出される。私設鉄道は当時、小規模鉄道会社の分立経営状態が続いており、経営も不安定であった。尚且つ、路線も分立しているため運輸もきわめて不便であり、統一した鉄道経営が望まれ始めてきた。
こうした流れの中での鉄道国有化であるということを本書はとても明快に示してくれており、交通史門外漢の小生にも分かりやすかった。
また、鉄道による地域格差(有名な「裏日本」の問題など)も紹介されており、鉄道による社会に与えた影響も紹介されている。
また、鉄道萌芽の時期の鉄道敷設に関して、郡司的理由というよりも経済的理由が優先されていたという事実も意外であった。
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鉄道博物館で鉄道史の年表を見て、国有鉄道と私鉄の関係や成り立ちを、理解することができずこの本を手に取った。
ペリーによる蒸気機関車模型から、人の乗れる鉄道の開通、各地に広がる鉄道、そして国会での強行採決による幹線の国有化までの流れを理解することができた。
日本の鉄道の産業発展への貢献度が大きく、人々の生活リズムを分単位、秒単位へ変化させていった、現在の鉄道にも通ずる功績はこの時代から始まったのだと実感できた。