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紙の本
やわらかな遺伝子 (ハヤカワ文庫 NF)
著者 マット・リドレー (著),中村 桂子 (訳),斉藤 隆央 (訳)
【全米科学アカデミー図書賞】遺伝子は何かを制約するものではなく、可能にするものだった! 私たちを形成するのは「生まれか育ちか」という長年の論争に、最新および過去の膨大な研...
やわらかな遺伝子 (ハヤカワ文庫 NF)
やわらかな遺伝子
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商品説明
【全米科学アカデミー図書賞】遺伝子は何かを制約するものではなく、可能にするものだった! 私たちを形成するのは「生まれか育ちか」という長年の論争に、最新および過去の膨大な研究データを用いてまったく新しい考え方を示す。【「TRC MARC」の商品解説】
「生まれか育ちか」の時代は終わった。ゲノム解読で見えてきた遺伝子の驚くべき仕組み【商品解説】
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紙の本
“生まれは育ちを通して”
2022/10/02 20:27
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投稿者:Toshi - この投稿者のレビュー一覧を見る
"そこでわたしはふと考えた。この自己嫌悪という感情は、その感情を誘発する脳の機能は、どのような環境で必要とされ、進化上組み込まれたのだろうか、と。“
ー伊藤計劃『ハーモニー』ー
“時代と方法は変化するが、人間はずっと同じままだし、その人間が生み出す結果も同じだ。人はより賢くなるわけじゃない。ただ多くの事を知るだけだ。”
ーカール・パンズラム ー
原題が「生まれは育ちを通して(Nature via Nurture)とあるように、「人間や動物、社会は生まれによるのか育ちによるのか」という昔からの議論に決着をつけた本。
遺伝決定論者や環境決定論者が犯してきた過ちを紹介しながら、生物の心や体の仕組みを、心理学と生物学の知見をベースにして紹介している。
遺伝子は環境の変化を敏感に察知して、その時々でスイッチのオンとオフを切り替えるように変化する。そうして1つの遺伝子が変化すれば、それは無数の遺伝子の変化を促して、全体としても大きな変化を生む。
一方、ある遺伝子を持った個体はその自らの性質に合った環境を自主的に選択するので、その生まれつきの性質がより強くなっていく。
学習するには遺伝子が必要だけど、学習無しには遺伝子は起動しないという点で、
「Nature vs Nurture(生まれか育ちか)」も「Nature and Nurture(生まれも育ちも)」も共に誤りであり、まさしく生まれは育ちを通して変化していくとの事だ。
こうした事実は、常識ある一般の人々や子供を持つ大人は少なからず無意識に理解している。
けれども、心理学者や社会学者、活動家や臨床家は長らくこの当たり前の知見を無視し、とっくに片付いた議論を無駄に掘り返し続けた結果、社会やアカデミアやクライアントに悪影響をもたらし続けてきたエピソードも、本書では多数紹介されている。
一方、この本は「なぜそうした機能が存在するのか(WHY)」ではなく、「どのようにそうした機能は働くのか(HOW)」の説明が多く、ミクロ生物学(細胞レベルよりも小さいものを扱う生物学)に詳しい読者でないと理解するのが難しいと思う。
けれども、その点に留意して読めば、間違いなく良書だと思う。