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天皇の戦争責任!
2023/02/02 10:18
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
少女マリは母によってどうしてアメリカに留学させられたのか、母は一言も理由を話してくれない、初めは私たち読者も見当がつかない、ある日マリは担当教師から進級の条件としてディベートをすることを義務付けされる。そのテーマは「昭和天皇の戦争責任」、主人公も言っているように戦後史はあまり授業で習っていない私たちの世代、彼女も必死で天皇について考える、この「戦争責任」というテーマは私は未読だが、作者の代表作「箱の中の天皇」へと繋がっていく彼女の重要なテーマだ。最後に私は彼女の母が彼女をアメリカに送った理由がわかった気がしてくる、彼女の母は東京裁判の資料の翻訳に携わっていた、翻訳者だから個人の意見は挟めない、例え、不公平な裁判であるとわかっていても。だからこそ、その思いをマリに託したのではないかと
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戦後日本について
2019/07/30 11:40
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
夢と現実、過去と現在、母と娘、天皇と臣民などが互いに交錯してすごい不思議な小説になっている。最後のディベートの部分に引き込まれた。
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難解な小説である
2018/05/13 21:22
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
凄く分かりにくい文章である。慣れるまで大分掛かった。過去と現在、現実と夢想、日本とアメリカが入り組んでいる。テーマは「天皇の戦争責任」。この小説の難解さが分かるだろう。池澤夏樹が解説で言っていたが「小説でこんなこともできるのか」こんな感じである。
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難解すぎる
2019/08/15 20:09
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投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
難しくてついていけなかった。シーンがころころ変わり、壮大な何かを感じさせるけど自分の中でまとめきれず。わかる人にはわかるのだろうが。読み手の力量次第で、得るものは違うのだろう。でも、最後のディベートは読ませた。ここだけでも一読の価値あり。
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歴史を見る視点が面白い
2019/07/05 20:45
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
赤坂真理『東京プリズン』という小説を読みました。
「16歳の少女マリがたった一人で挑む現代の「東京裁判」」
という帯の文句にひかれて読んだのですが、正直いささかしんどかったです。
マリの回想と心の中のイメージと現実とがごっちゃになってわかりづらいし、
いやなことばかり起こるストーリー展開。
でも、ところどころ、歴史を見る視点に面白いものがあって、
読んだ甲斐はありました。
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H26.12.14読了
2014/12/27 08:12
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投稿者:竹匠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカにおける、主人公の「東京裁判」。難しい題材。自己が昇華するための物語。難解!!
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東京裁判 ディベート
2022/11/21 09:58
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投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京裁判の同時通訳の現場をディベートで再現する小説。戦勝国と敗戦国。歴史がいかに描かれて来たのかを問い直す。敗戦国の、敗れたものたちの声を代弁する。
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天皇の戦争責任のことを
日本人の少女が
アメリカで弁明する
というあらすじに惹かれて手に取ってみた。
これまで深く考えようと思ったことはなかったけど、確かに天皇って、世界に類を見ない不思議な存在だ。
生と死、男と女、戦争と平和、傀儡と主体、人民と統治。
色々な概念を総合して考えても、答えの出せない人?神?
だから、この小説は正直とてもわかりづらい。
色々なところへ飛んでいき、これはあれだと思った。
難解な演劇によくあるやつ。
ひとつの空間を色んなものにみせてくかんじ。
演劇みたいな読書体験。
でもこれはそうしないと、伝えられないからなんだ。
それくらい、私たちは複雑に屈折したものを抱えている。
それは天皇という範囲を超えて、太古の日本から、第二次世界大戦以降まで、私たち日本人が抱えているもの。
もっと広く、世界中の「国民」と呼ばれる人たちが、かかえているものなのかもしれない。
その国に生まれただけだけど、その国の国民となって、生きていく。
その国のルールの中で、考え方の中で。
これまで戦争ものって、人としての生死の尊厳を主題として感じることが多かった。
でもこの本が私に提示してくれたのは、人として生き、行動し、意思を持つことに対する尊厳の根源のようなものだ。
それを揺るがされてしまうものが、戦争ということそれ自体に内包されている。
こんなことしていいのかっていう畏怖みたいなもの。
それを抱えきれない、人は。
そんなストレスフルなこと、絶対やめようよ。
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東京裁判における天皇の責任という問題を、アメリカ留学中の高校生マリがディベートで追訴する。自分の土壌でない場所で、相手のルールで物事が進めらていく極度のストレスは経験からかなり共感するところがあった。母娘関係、第二次世界大戦の振り返り、戦後の日本人の思考方法など様々な重い問題が何層にも書かれていて、正直読んでて気が重かった。だがそれらを束ね、振り分けて小説にうまく取り込み、主人公の30年の虚無感に救いを見出して示してくれた作者には拍手を送りたい。
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面白かった、けど難しかった。「天皇の戦争責任」「東京裁判に15歳の少女が挑む」、すごく興味を惹かれるテーマだったので買ってみたんだけど、たくさんの概念的なエピソードが盛り込まれていて、そっちを追いかける、というか咀嚼して飲み込むのに必死になった。
もっとリアルな部分のお話ばかり追ってほしいと思ってしまったけど、それだと作者の書きたかったものと違ってくるのかなあ。
表現がお上手でした。引用してあるところ以外にも、描写が素敵だなあって思うところがたくさんあった。
アニミズム、やら天皇制、やらいろいろな要素を使ってはいるけれど、つまるところ日本人の本質に迫っていて、わたしはやはり日本人の本質を決して嘆きたくはないなと思う。
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半年ぐらいかけてようやく読了。
戦後70年。戦争を語る人がいなくなり、もはや地続きの記憶ではなくなった戦争、そして戦後を、自分とほぼ同世代の作者が小説という型で再定義していく。小説のなかでも触れらるが、この国で近現代史がどれほど蓋をされているかということにはたと気づかされ、今一度戦争から地続きの記憶として、再構築されなければならないと感じさせられた。読みにくいけど、読む価値はある作品。
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「東京プリズン」赤坂真理著、河出文庫、2014.07.20
534p ¥994 C0193 (2018.09.21読了)(2018.01.11購入)(2015.08.30/11刷)
【目次】
第一章 十五歳、アメリカ最果ての町にて
第二章 謎のザ・ロッジ
第三章 マッジ・ホールに潜入せよ
第四章 ピーブルの秘密
第五章 米軍の谷、贄の大君
第六章 十六歳、敗北を抱きしめて
第七章 世界曼荼羅に死の歌を
最終章 十六歳、私の東京裁判
解説 小説にはこんなこともできるのか 池澤夏樹
☆関連図書(既読)
「秘録 東京裁判」清瀬一郎著、読売新聞社、1967..
「東京裁判(上)」児島襄著、中公新書、1971.03.25
「東京裁判(下)」児島襄著、中公新書、1971.04.25
「パール判事の日本無罪論」田中正明著、小学館文庫、2001.11.01
「日本無罪論 真理の裁き」パール著・田中正明訳、太平洋出版社、1952.05.03
「パル判事」中里成章著、岩波新書、2011.02.18
「落日燃ゆ」城山三郎著、新潮文庫、1986.11.25
(「BOOK」データベースより)amazon
日本の学校になじめずアメリカの高校に留学したマリ。だが今度は文化の違いに悩まされ、落ちこぼれる。そんなマリに、進級をかけたディベートが課される。それは日本人を代表して「天皇の戦争責任」について弁明するというものだった。16歳の少女がたった一人で挑んだ現代の「東京裁判」を描き、今なお続く日本の「戦後」に迫る、毎日出版文化賞、司馬遼太郎賞、紫式部文学賞受賞作!
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小説の面白さは素材選択の時点であらかた決まるようです。
「天皇の戦争責任」という重いテーマを、戦勝国の米国で、そして理詰めだけの議論競技「ディベート」という場で、さらに日本人一人という孤立無援の状況で展開されるストーリーの着想は秀逸です。
とはいえ、付随して展開されるサブストーリーは私には意味不明で、この小説の素晴らしさを減じたように感じました。
そして私がこの小説から気づかされた点が2箇所ありましたので、紹介します。
キリスト像はなぜ磔の図であるのか、なぜ拷問の果てに死んだ救世主の図を崇め、その後に復活した彼の方に興味を持たないのか?
それは、イエスを教会が神の一人子として独占するために、子孫のない絶対唯一の存在とした方が都合がよかったからなのでは?という指摘が1つ。(P516)
もう1点は、議論相手から真珠湾攻撃というだまし討ちを非難されたときに、これはあくまでも手違いの事故であってそもそも軍事施設を攻撃したもので民間人を狙ったものではないと主張すると、では南京大虐殺や731部隊が犯した残虐行為は?と問われたときの答えです。
この時、当時の天皇が彼女に乗り移ったかのようにこう答えます。
「彼らの過ちはすべて私にある。子供たちの非道を詫びるように、私は詫びなければならない。しかし、私の子供たちに対する気持ちを吐露する人の親であることをつかの間許していただけるなら、やはり、前線の兵士の狂気やはねっかえり行動と、民間人を消し去る周到な計画とはまた別次元であると言おう。そしてこの意味において、あなた方の東京大空襲や原爆投下は、ナチスのホロコーストと同次元だと言おう。だからといって何もわが方を正当化はしない。が、前線で極限状態の者は狂気に襲われうる。彼らが狂気の方へと身をゆだねてしまったときの拠り所が、私であり、私の名であったことを、私は恥じ、悔い、私の名においてそれを止められなかったことを罪だと感じるのだ。私はその罪を負いたい。」(P521)
この小説を読んでよかったと心底思えた箇所でもありました。
解説の池澤夏樹は「小説にはこんなこともできるのか」という言葉で締めくくっていましたが、間違いなく小説の可能性を味わうことができる1冊です。
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若い娘にこういう事を聞くのはかなりむちゃだなあ…と思いました。
私も同じ年頃に聞かれたらわからなかったと思う…。
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うまく言えないが、感じる のではなく
理解する 本を好んでいるため、
赤坂さんの、感覚的、な文体(皮膚感覚的な?)になかなか馴染めずに今まではきた。
東京プリズンは、感覚的な部分がありながら
も、物語として肉厚で、最後のディベートの
カタルシスは、爽快だった。
それにしても、戦犯の等級が、罪の重さでは
なかったとは・・・
敗者には敗者の物語があって、それは天皇を
透過させなければ浮き彫りにできなかった、
ということなのか。