紙の本
「犯人は○○だよ」からはじまるミステリー
2020/05/18 15:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
この短編集に収録された短編の書き出しはいつも同じ。殺人犯が誰かを鈴木君が教えてくれるところから始まります。
警察もまだ捜査中の事件の犯人が何故わかるかって? それは鈴木君が神様だから。事件が起きた当時から、いや、犯人や被害者が生まれたときから、いやいや、宇宙が誕生した瞬間から、鈴木君には犯人はわかっているのだ・・・・・・。
しかし鈴木君は、犯人が誰か、しか教えてはくれない。そこで主人公たちは、事件の全体像を推理するのだが・・・・・・。
犯人が確定しているがゆえに推理可能となる、衝撃的な動機、犯行方法、事件の構図。推理の可能性を突き詰める著者の真骨頂です。特に「比土との対決」は本格ミステリファンに必読の一編。
電子書籍
現実感がない
2015/03/11 20:30
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とうもろこし - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学生が主人公というのが間違っている。何とも現実感のない小説だ。感情移入が全くできないし、本当にいまいちの小説。これでよく、このミスにノミネートされたものだ。
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講談社の『ミステリーランド』で刊行されていた『神様ゲーム』の続編。
『犯人は〇〇だよ』という台詞で始まり、主人公の小学生が真偽の程を確かめる……という大枠に沿ってストーリーが進むが、そこは麻耶雄嵩、一筋縄では行かない結末が用意されている。収録作の中に『ちょっと待てやww』とツッコミたくなるトリックもあるのはご愛嬌w
『神様ゲーム』も後味の悪い結末だったが、こちらも大概後味が悪い。一見、ハッピーエンドに見えるというのもまた麻耶雄嵩っぽい。
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帯に「神様探偵」って文句があるけど、やつは神様であって、神様は神様以外の何ものでもないから帯の文句考えた人は分かってないな、って思ったけど、「衝撃的な展開と後味の悪さで」っていう文句も並んでたので許します。許します(大事なことなので二度(ry
「犯人は○○だよ」
ミステリーランド「神様ゲーム」の続編。神様、鈴木太郎、再び。
「神様ゲーム」ほどのグロさ、衝撃さはない、けれども、全体的な雰囲気の悪さ(褒め言葉な)は似たり寄ったり。六本の短編集。短編集っていっても時間は繋がってるので一つの大きな長編とも読める。中心は小学五年生の子たちなので、このあたりは前作と同じ。ただし神様鈴木の外見スペックが跳ねあがっててイケメンになってたのにはふいた。
個人的には「ダムからの遠い道」「バレンタイン昔語り」が好き。前者は、ラストになるほどな、と納得したから。後者はラストにそうくるか、と驚いたから。半分くらいはちゃんと現実的に解決しているんだけど、半分くらいは犯人の名前と推定犯行過程が提示されただけで、これが正解です、っていうのが読者に(登場人物たちにも)提示されない系。唯一神様だけは全部知ってる、と。
主人公の淳ちゃんね。一人称俺の女の子ね。ほんと、何もできないのね、この子。全体的に何もできてないよね。頑張ろうとしているのは分かるんだけど、でもそこがもしかしたら周りの男の子たちからは魅力的に見えるのかも。俺が助けてやらなきゃ、的な? 先生も含めてね。男と逃げたっていうお母さんが美人だったんだから、淳ちゃんも可愛いいんだろうね。だから最後の方「悪魔」っていう悪口はある意味あってるのかもしれないなって。本人にその気があろうとなかろうと周りを狂わせる、的な意味で。
そんでさほんと、ラスト、なんだ、リア充自慢か。あの小学五年の数ヶ月間はなんだったんだって思ったわ。いや、いいんだけど。面白かったけど!
抜粋。神様のお言葉より。
「人の不幸に大した魅力などないよ。そう思っているのは、地球上では人間だけだ。(後略)」
ひとは己を特別だと思いたがるよねってさ。
追記。ちょっとふと思った。
神様鈴木、全知っていうけど、彼自身の行動すらも予測できるのかな? 自己言及。彼が見る未来って、彼が口を出した未来なのかな? その未来って一通りしかないのかな。たとえば淳ちゃんから質問を受けて、答えないと選択したとしても、それはそう決まっているだけのことなのかな。自由意志と決定論の議論を神様鈴木に聞いてみたい。
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神様の宣託によって真相が決定付けられ、そこに向かって推理を重ねて行くといった、一風変わった倒述ミステリ6篇で構成された短編集。
ただ、短編集と言ってしまうには、(とある仕掛けも相成って)個々の話の繋がりが深い気はするが…
ベストはやはり「バレンタイン昔語り」
神様設定を最大限に利用して、今まで見てきた世界を根底から覆してしまうような真相は「さすが麻耶雄嵩!」と叫びたくなるほど。
タイトルこそ「さよなら神様」となっているが表題作を読めば分かる通り、この先も神様シリーズは十分続く可能性があるので気長に待っていようと思います。
「化石少女」は今年中に発売されるのかな…
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内容的には五つ星は微妙だけど、このアイデアだけは秀逸。何といってもいきなり一行目に犯人があっさり分かるというこの構成。倒叙モノ(コロンボとか)で読者が最初から犯人が分かるという構成は確かに従来からある。その場合はいかに探偵役の人物が犯人にたどり着くかがカギになるが、この作品の場合は探偵役がいきなり神様(!!!)から犯人の名前を聞いているという荒唐無稽の設定。それを小説としてバランスよく成り立たせている作者の実力は計り知れない。
前作が長編だったのに比べこちらは短編集。とはいえ、ストーリーは有機的につながっているし、ラストのオチも上手い。
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+++
隣の小学校の先生が殺された。容疑者のひとりが担任の美旗先生と知った俺、桑町淳は、クラスメイトの鈴木太郎に真犯人は誰かと尋ねてみた。殺人犯の名前を小学生に聞くなんてと思うかもしれないが、鈴木の情報は絶対に正しい。鈴木は神様なのだから―(「少年探偵団と神様」)。衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させた神様探偵が帰ってきた。他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに。
+++
少年探偵団と神様
アリバイくずし
ダムからの遠い道
バレンタイン昔語り
比土との対決
さよなら、神様
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前作を読んでいないが、問題なく愉しめた。愉しめたと言うには、後味はあまりよくないが。小学生の探偵団遊びかと思いきや、次々に人が死に、神様=鈴木は、探偵団の一員である俺=桑町淳にだけ犯人を教える。団長の市部始の推理力や、市会議員を父に持つ丸山一平の情報、そして不思議キャラで将来の市部の恋人を自称する比土優子の協力で、事件の真相にたどり着くのである。「俺」の事情にも驚いたが、最終章で全体像が覆されるのが、珍しく気持ち好くない。もやもやする一冊である。
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『神様ゲーム』の鈴木君が再登場する連作短篇集。前半3篇の軽めの仕上がりに比べ、後半3編の捻りっぷりがハンパない。神様の託宣により冒頭の一行で犯人の名前が判明するという設定を逆手に取り意外性を演出する手腕が見事。徐々に不穏さを増し、容赦の無い黒さを見せつける展開もさすがの一言。
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ある意味本格という中で、人間を描いたのかなあ…それも恐ろしく醜悪な仮面の下を。そして、神様は答えしか言わないからこそ、人間はロジックで補強する。ある意味麻耶だあとしかいいようがない。読んでないけど、ある意味麻耶版イニシエーションラブ?
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「神様ゲーム」続編。前作のネタバレはないけれど、先に前作を読んでおいた方がいいかな。
一行目で判明する犯人。でもそんなのは全然謎の解明にもならず、さらなる謎を生むだけ。しかもあえてそういう物言いをするだなんて、あいも変わらず根性悪な神様です。その根性悪さがまたたまらなく面白いのだけれど。他人事ですからね(笑)。
お気に入りは「バレンタイン昔語り」。最後の最後になるまで事件の構図がまったく読めなかった!
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転校生の鈴木は無くした物を見つけたり未然に交通事故を防いだりして自ら自分は神様だという。
そんな鈴木に殺人事件の犯人を聞くと名前だけは教えてくれる。納得がいかない主人公は調査するが。
麻耶雄嵩らしくメタでダークな雰囲気。ミステリ的にはパズル系では無くサスペンス系か。小学校5年生にしては子供っぽくない事が多い。スリルがあって読ませるが読了感はあまり良くないが、最後の短編のオチで全てが救われるというかバカバカしくなる。
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講談社ミステリーランドの中でも、ダントツに少年少女のためにならない問題作『神様ゲーム』の続編である。どんな嫌な趣向が凝らされているのか。
今回は連作短編集だが、さすが麻耶雄嵩、全6編とも最初に「神様」が真犯人を指摘してしまうという、前代未聞の構成。小学校で探偵団に属する主人公の「俺」は、その名に戸惑いつつもメンバーに明かさざるを得ない。そして探偵団は動くのだが…。
麻耶フリークならば、小学生が殺人事件の捜査をする程度でゴタゴタ言うまい。クラスで一目置かれるどころか崇められている「神様」だが、「俺」は信じないという。それなのに、彼に頼る誘惑に抗えない。聞いてしまうと気になって気になってしかたない。
最初の「少年探偵団と神様」を読んで、同じパターンの繰り返しかなあと思いきや、以降はなかなかひねっていて、素直に唸らされる。「アリバイくずし」と「ダムからの遠い道」は、えーと、この結末だとつまり、ゴニョゴニョ…ってことだよね?
「バレンタイン昔語り」。おいおい…なんだよこのドロドロした小学校はっ! しかも結末は超ウルトラCだよっ! 5編目のタイトルは一応伏せておこう。だから何だよこのドロドロした小学校はっ! しかし、実際にあり得ないとは言い切れない辺りが…。
そして「さよなら、神様」。彼は転校間際に最後の罠を仕掛けていった。民放ドラマにでもありがちな辛い境遇に追い込まれる主人公。その末に、何だよその展開はっ! 「神様」は気まぐれだが、最後まで一言も嘘は言っていないのだった…。
『神様ゲーム』のような衝撃を期待して読むと、物足りなく感じるに違いない。あくまでオーソドックスな作りながら、「らしさ」が光る、麻耶雄嵩ならではの佳作と言える。一般読者にも受け入れられるだろうが、普通に面白いのが寂しい気もしないでもない。
ところで、ミステリーランドってもう出ないのかな。予定されていたのに出なかった作家もいるのだが…。宇山日出臣氏が亡くなられたので、無理か。あの作品をミステリーランドから出した英断(?)は、末永く語り継がれるであろう。
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小学生少年探偵団のかわいらしい内容かと思いきや、なかなか・・・。
ずいぶん大人びているな小学生ですが、最近の小学生はこんな感じなのか?
そして、神様はやっぱり神様なのか。
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やっぱり麻耶雄嵩はすごい・・・
「神様ゲーム」を読んで無ければ、というのではなく
麻耶雄嵩を知ってる人でなければこの凄さは分からないのかなとも思う。
知っていてよかった。
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「犯人は○○だよ」俺、桑町淳の前で神様は宣った。……凡ての話がこの書き出しで始まる連作短編集。前作の鈴木ってこんなに格好良かったっけ? なんか地味~なアリバイ崩しの話が多いな(2話目なんてタイトルそのまんまだし)、仮寓とか肯するとか小五で使うか?? などと野暮な感想を抱いていられたのも前半三つまで。後半三作の怒濤の展開そして驚愕(!)のラストはまさしく麻耶節。各話のタイトルに捻りが無いので、さほど派手なエピソードは無いのかな、と不安に感じていたが、そんなものは全くもって杞憂でしか無かった。またもやったか!
メルとは違った意味で無謬の存在"神様"の託宣を冒頭に据えることで、当初は倒叙の一変種みたいな読み方を読者に強いているのかなと思ったが、やがて"神様"の機能を利用する輩まで現れ始め、最終的にあのラストに収束するという凄まじいプロット。真の悪魔は作者様だよね絶対。
あと、ラス前の記号に舞城を想起した方が多かったが、自分が思い浮かべたのは流水大説。舞城は『九十九十九』書いてるし、両者とも確実にポスト麻耶世代だよね。総裁が遂に!って感じで微笑ましかったな。