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商品説明
史上初の“やまと歌の勅撰集”『古今集』を生んだ物語。『古今和歌集』成立の裏側に秘められた、俊才・紀貫之と、個性的な六歌仙との出会い―。情熱的な美丈夫・在原業平、醒めた美女・小野小町、謎の怪僧・遍照たちとの人間ドラマを鮮やかに描く長編小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
「古今和歌集」成立の裏側に秘められた、俊才・紀貫之と、個性的な六歌仙との出会い−。情熱的な美丈夫・在原業平、醒めた美女・小野小町、謎の怪僧・遍照たちとの人間ドラマを鮮やかに描く長編小説。【「TRC MARC」の商品解説】
古今和歌集の編纂者となった紀貫之と、小野小町・在原業平ら六歌仙との人間ドラマを鮮やかに描き出す。やまと歌の心と歴史の謎に迫る、書き下ろし長編小説。小説すばる新人賞受賞第一作!
【商品解説】
著者紹介
周防 柳
- 略歴
- 〈周防柳〉1964年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、編集者・ライターに。「八月の青い蝶」(「翅と虫ピン」改題)で第26回小説すばる新人賞を受賞。
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書店員レビュー
千年以上の時を越えた今でも読みつがれている
ジュンク堂書店池袋本店さん
史上初のやまと歌の勅撰集の選者となることをみかどに命じられた紀貫之。彼により『古今和歌集』が成立するまでの物語が、のちに六歌仙と称される在原業平、小野小町、大友黒主、文屋康秀、僧正遍照、喜撰法師との交流を軸に描かれます。
プレイボーイの在原業平、謎の怪僧・僧正遍照など、歴史の授業でモノクロに学んだ彼らが、生き生きと鮮やかに動き出す様子に胸が躍るようでした。文化人の中では漢詩が主流となっていた時代に、やまと言葉にこだわり、やまと歌で古来の日本人の心を残そうとした貫之の思いがつまった『古今和歌集』。それが千年以上の時を越えた今でも読みつがれていることの素晴らしさを改めて実感します。物語はもちろん、作中に登場する美しい歌も合わせて楽しむことができ、読み終えるときっと『古今和歌集』を手にとってみたくなるでしょう。
(評者:ジュンク堂書店池袋本店 文芸書担当 田村友里絵)
紙の本
六歌仙の個性あふれる小説
2019/07/13 23:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
周防が描く平安時代の歌人たち個々の逸話集である。全体の中心になるのは古今和歌集の編纂で有名な紀貫之である。中心というよりは、以降の歌人たちに関わる逸話の狂言回し役とでも言った方が適当であろう。
この紀貫之が古今和歌集の撰者の同僚である壬生忠岑、紀友則、凡河内躬恒とあれこれと意見を述べ合うところから始まる。しかし、貫之が最も若いせいか、皆貫之に任せっぱなしである。ここから貫之は大きく成長していく。
そして、在原業平、小野小町、僧正遍照、大伴黒主、文屋康秀等、後に六歌仙と呼ばれる歌人たちとの交流が描かれている。それぞれ一癖も二癖もある先達たちであるが、まだ歳若の貫之をかわいがってくれる。とくに業平は叔父として登場し、貫之とは親しい。本書では喜撰法師は貫之の別名ということにしているので、交流は当然ない。
帝も含めて個性豊かな歌人たちであるが、この付合いが名人貫之の歌詠みの術を向上させたと想像できる。僧正遍照が住職を務める山科の寺では、オカルト的なシーンにも出くわし、経験も積んでいる貫之が描かれている。
この時代、すなわち平安時代を描く小説は読みたくともなかなかない。是非続編や別の歴史上の登場人物を蘇らせてもらいたい。この時代の歌は小倉百人一首にも歌われており、一般受けすることは間違いない。日本の古典芸能が少しずつ衰退している昨今、是非とも周防には頑張ってもらいたい。