紙の本
シンプル
2021/07/17 18:25
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投稿者:ミチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
シンプルな描写で読みやすいので読んでいて、楽しいです。博物誌もおすすめです。また機会があれば読みたいです。
電子書籍
にんじん
2016/06/30 01:48
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投稿者:ヒデ - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学校の時、少年少女世界文学全集を読んだが、唯一読まなかった、というか読めなかった作品。齢60になって読了して、その理由がわかったような気がする。翻訳の言葉遣いで陰惨な感じは免れているが、これは母親による一種の児童虐待のお話である。救いは「にんじん」が成長して母親に反抗をするようになるところか。ひとつわからないのは、母親に嫌われるのが、「にんじん」の性格にあったのか、それとも虐待されることで性格が少し歪んだのかである。というのも「にんじん」の性格の悪さを示すエピソードも少なからず存在するので。
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本作は、赤毛の少年「にんじん」の生活を描いた連作掌編です。
その特徴は何と言っても、彼が母から執拗な虐待を受け続けていること。かなり重たいエピソードもあります。愛に飢えた子らしく、爆発してしまうシーンもあります。それでも「にんじん」君は成長していきます。内省的で自責的な少年として。そして、小さなことからも幸せを得られる、多感な少年として。
扱う話はエグいですが、案外読みやすいです。柔らかい文章で、ユーモラスでさえあります。いろいろ考えさせられる元祖・児童虐待文学です。
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「人には言えないこと」の話。
一度、慣れてしまったら、世の中にはひどいと感じなければいけないことなんか、ひとつもないのだ。
慣れって怖ろしい。
今度は原文で読みたい。
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すばらしかった。名作と評判だったので読んでみました。
最初あまりに主人公が家族にいじめられるので、
知的障害があるのかとか、ものすごい人格に問題があるとか理由があるのかとおもったら、何もない。
兄や姉、たまに父親とは一対一だと普通に接しているし、愛情を感じる。
主人公に悲しさを感じた時、時々現れる残忍性に裏切られたような気持ちにもなる。
そして、最後の反抗、そして父の告白。
少年の葛藤と自立がそこにあって、頭を殴られたような衝撃を受ける。
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初めてのフランス文学。
原宿ブックカフェで紹介されて気になってた。内容がまあ凄まじい。そして本の中にも挿絵があって可愛い!
赤毛のにんじんが母親に虐待されるんだけど、重苦しくなくユーモラスな話。可哀想って思うけど笑える変な感じ。
文化の違いで理解し難いとこもあるけど、テンポ良くて読みやすかったです。
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ジュール・ルナール『にんじん』新潮文庫
はじめの方は、読み進めれば進めるほどに憤りや嫌悪感、不快感が募るばかりだった。
一言で片付けるなら、かわいそうなにんじん。
しかし、話が進むにつれて、段々とお母さんの方がかわいそうに思えてくる。
なぜなら、お母さんは誰にも好かれていないからだ。
一方のにんじんは、母親からの精神的虐待はあるものの、彼を想う人は周りにいく人もいる様子だ。
特に、名付け親のおじさんは、この話のなかで唯一と言っていいほどにまともで暖かい人物である。
ルナールの自伝的小説である本書の大きなメッセージの一つであり、ルナール自身が最も求めた言葉が、次に述べる名付け親のおじさんのセリフのように感じる。
「わしには子供がおらんが、自分の子供が猿だとしたら、猿のケツでも舐めるがね。」
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赤毛の少年が、母親に意地悪くあたられる話。たくさんの掌編からなる連作のなかで、にんじんは成長し反抗するようになり、母親の所業とそれで酷く自分が傷ついていることを父親に打ち明ける。ただ、最後まで母親に心がとらわれた状態から完全に自由にはならない。
母親はにんじんに明確な悪意を持った行動を取るが、本人も情緒不安定に見える。また父親はそれを知っていながら何もしない事なかれ主義の人間である。地獄かな。
僕はカウンセラーにすすめられて読んだ。作者のルナールの自叙伝的な小説らしい。
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母親からの虐待に我慢し耐え、乗り越えていく過程の話。にんじんの母親を酷いと思う反面、こういう人は結構いるのだろうとも思う。にんじんのように乗り越えられなかった子どもたちは不幸である。本人たちの責任ではない。2018.9.8
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読んでいてこんなに胸糞悪くなる名著ないと思うくらい読んでいて辛いけれど、救いがあることを信じて読み通したい。
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#読了 2020.6.11
小学4年生以来の再読。
やっぱりなぜこれが児童文学の名作なのか考えてしまう。何かとハラスメントとうるさい昨今だけど、それ抜きにしてもこれは精神的虐待だよね?これを児童に読ませる?闇が深すぎない?(--;)でも、それを受けてるにんじん本人は悲しすぎるほど、その事象を理解しようとしていて、その影響か一部では鋭い感受性と深い価値観が身につき、一方で歪んだ思考力が養われつつある気がした。
大人になった今「これは虐待では?」と思えるのは、いろんな経験や考え方が身について、自分の中の正義と一般論を理解しているという自信があるからで、まだ世界の狭い子供には、親の行動を肯定しようとする心理があるのかもしれない。そこから人格が形成される。いわゆる幼少期の家庭環境ってやつだ。だから、これを児童文学として、児童がこれを読んでどう思うかでその子がいま置かれている家庭環境を垣間見ることができるのかもしれない。
小学4年生当時、母親が読書感想文の本にすすめてくれたんだけど、そのときの母親の心理も気になる。そして私は当時どんな感想文を書いたのだろう。
◆内容(BOOK データベースより)
にんじん―。髪の毛が赤くてそばかすだらけのルピック家の三番目の男の子はみんなからそう呼ばれている。あだなをつけたのはお母さんだ。お母さんは、にんじんに夜の暗闇のなかをにわとり小屋の扉を閉めに行かせたり、おもらししたおしっこを朝食のスープに混ぜて飲ませたりする…。だが、にんじんは母親のいじわるにも負けずに成長してゆく。生命力あふれる自伝的小説の傑作。
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レジリエンス。
母親から精神的虐待を受けている少年(にんじん)の話。反旗を翻す後半の内容は読み応えがある。終始可愛そうだなぁ…としか思えなかったが、ちょっとだけ希望を感じた。
本の表紙とは裏腹に胸糞作品。
訳者のあとがきで頭が整理できた。
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自伝的小説。
母に虐待を受けていた少年。
とはいえ、出来うる限り、軽やかに文章が綴られている。
当時の暮らしに、ビックリする箇所も。
←お酒を飲ませたりとか。
最初は、母が絶対だった。少年に同情を寄せる大人たちに、反対にくってかかる。
愛情と憎しみが、入り乱れている。
子どものときに読んだときは、ひたすらにんじん目線で読んでいた。たしか、繰りかえし、読んでた。でも細かな感想は覚えてないのです。
大人になって、母親のことやまわりの大人たちについて考えてしまった。
1番悪いのは母親なのは揺るぎない。にんじんは父親を大切に味方だと思っている。
でも、夫婦仲が円満であれば、この虐待はおきなかったのでは?とも、思った。
ただ現実、親が変わることってまず無いので、にんじん自身が成長して、ここから抜け出すことが出来ていたらよいなと。
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にんじんへの、母親からの精神的虐待はすごい。
ときどき優しさをみせる辺りがいやらしい。
にんじんは、といえば子供らしくズルをしたり、嘘をついたりしながらも、強く逞しく日々を過ごしている。
その成長する姿に痛ましさと、愛おしさを同時に感じる。短編集のようでありながら、巧みな構成に沿って描かれているところも面白い。
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訳者による解説が秀逸である。今から読むならこの高野優さん訳の新潮文庫版をおすすめしたい。
にんじんはかわいそうだけど、にんじんも小憎たらしいところがあるからそこまで感情移入できないというような書評や感想を目にしたことがあるが、なぜにんじんはそういう言動に及んでいるのかということだ(訳者の違いによって、よりどっちもどっちと受け取れるような訳になっているものもあるのかもしれない)。
誰がなんと言おうが、このにんじんという作品は母親に苦しめられている少年が母親を拒否するまでの成長を描いた物語である。
なんとなく児童文学ぽく扱われている気がするけど、大人こそ読むべき本ではないかと思う。