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川の不思議
2021/04/23 19:42
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投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒマラヤ山脈を越えて流れる川や河口の先の海の底にも川の続きの地形がある(海溝まで谷状の地形が続く)など壮大で不思議な川の世界が記されていて面白い。大昔の天竜川が信濃川そしてロシア沿海州の川と繋がっていたのでは?という仮説やアマゾン川とニジェール川が超大陸パンゲア時代は同じ川だったのでは?などの仮説も披露されていてとても興味深い
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川が山を越える。
2020/05/24 20:12
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
山とか海を得意としている著者ではあるが、この本では川をテーマにしている。
読んでみると当たり前のことではあるが、山と川は密接なかかわりがある。
その結果「川が山を越える。」ということも発生するとのこと。納得した。
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中央構造線にぶつかった川はその後すべて構造線沿いに流れることを余儀なくされる。
紀伊半島の紀ノ川、四国の吉野川はかつて陸地だった紀伊水道で合流し、南海トラフ側に流れ込んでいた…そしてこれには淀川も合流していた…
壮大やなあ…
そんな川にまつわる知識の詰まった一冊。
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奥トレで交換してもらった一冊。奥多摩から青梅まで多摩川沿いを下ってくる奥トレにはとても相性のいい本でした。川の不思議、超大陸から受け継がれた超大河、そして国内に無数にある川の中から多摩川が取り上げられて多摩川の赤ちゃんから海に下るまでが書かれていたり、とても楽しく読めた一冊でした。特に、超大河の話は夢があってワクワクしました。まさかそんなところに、大陸をつなげるヒントがあったなんて。旅が好きな人にぜひ読んでみてほしい一冊です。
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ブルーバックスによる川の入門書。
第1章で川にまつわる数々の謎を解き明かした後、第2章では多摩川を取り上げて上流から下流へと旅をし、最後の第3章には地球と川のちょっと大胆な仮説まで。
読みやすく、エキサイティングで、すこぶるおもしろい。
取り上げられている謎は、例えば標高4000mのヒマラヤを超えていく川、源流がない川、砂漠で起こる洪水とさまよえる湖、河川間の争奪合戦とさまざま。
意外に数が多い天井川(平地より高いところを流れる川)や河岸段丘の出来る経緯も興味深い。
中でも驚いたのは、海の中でも川が流れているというお話。源流から流れ出た川は、長い旅をして海へと至る。けれどもそこで終わりではなく、川に含まれる土砂はさらに海底の傾斜に沿って流れていく。行く先は海溝だ。日本海溝の最深部は水深9000mを超える。ここから例えば富士山を見上げれば、1万3000mもの高さに見える。日本に降った雨水は、最大それだけの落差を流れ下っていることになる。こうしたことがわかってきたのは海底の研究が進んだことが大きい。
海溝に流れ込んだ土砂はプレートの運動により地球の内部に運ばれ、火山活動などで再び地表へと戻る。
川は地球の物質循環の大きなサイクルを形作る1つであるわけだ。
多摩川を例にとりながら、上流・中流・下流に関するトピックを語る第2章では、分水界とは何か、日本の川は世界の川の中で本当に急流なのか、扇状地や中洲はどうしてできるか、などを解説していく。多摩川の特徴的なスポットを巡り、ちょっとした河川散歩の気分である。章の最後にはイラスト地図付き。
第3章では、著者による大胆仮説が3つ。アマゾン川とニジェール川は実はつながっていたのではないかなど、素人が聞いてもちょっと大胆過ぎて、証明のしようもなさそうなのだが、何だかわくわくさせられる話でもある。
地球の大きな動きと川のなりたちに深いつながりがあるのだとしたら、あるいは太古の超大陸パンゲアには、想像もつかないような大河があって、今の川はその名残りである、のかもしれない。
滔々たる大河がたたえるロマンである。
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「地球はどうしてできたのか」を読んだ後、この本をたまたま本屋で見かけたので、続いて読んでみたくなりました。
この本のタイトルは「どうしてできるのか」となっていますが、内容的には「川の不思議」について幅広く暑かった本といったところで、「川」を巡る実に様々な雑学的知識がたっぷりと詰まっていて楽しめます。
鍾乳洞内を流れる川や多摩川の水源、河岸段丘など、日本のいろいろおもしろそうな場所を紹介してくれているので、機会があれば実際に行って見てみたいと思いました。
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山がどうしてできるのかはなんとなく知っている(ような気がする)。でも川はどうしてできるんだろう? 山ができれば川もできる、となんとなく思っていたが、本当にそうなんだろうか? 考えてみたら知らないぞ。と思って読んでみた。消える川、大きくなる川、山を超える川、海底の川。知らないことを発見するのはいくつになっても楽しい。
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川にまつわる様々な考察。
「たかが」川にこんないろんなコトがあるのね。
Google Earthを横に置いて読んでると、ほんま面白い。
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◯山はどうしてできるのか、海はどうしてできるのか、から最後の一冊とのことだが、すっ飛ばして山の次に川を読んでしまった。しかし、内容的には特に問題ない。それでいてわかりやすく面白い。読み物としての工夫がふんだんに凝らしてあり、読者を惹きつける。
◯四万十川の下は、ブラタモリで出た話でもあったため、興味深く読んだ。しかし番組の方が詳しいのは紙面の問題もあると思われる。
◯巻末の著者による試論も面白い。超大陸の川の話はロマンがあると思う。
◯しかし、川は流れていくものだけに、物的客観的資料も流されてしまうことで研究も難しくなるという面があるが、地学も近年でも大きな進歩を遂げていることから、いつか川の歴史も判明していけば、今後の治水にも役立つ上に、何よりも面白かろうと思う。
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鬼怒川の氾濫があったからではないが、タイトルに惹かれた。たしかに、川はどうしてできるのだろうか。雨水にしろ、雪融け水にしろ、高いところの水が低いところに流れるだけだが、どこでも流れるわけではなく、川として流れるというのは、思えば不思議だ。
本書は、そんな川に関するいくつもの不思議を解説してくれる。例えば、ヒマラヤを越えて流れる川があるというだけで驚きだが、その形成メカニズムも教えてくれる。
多摩川を源流から海まで解説する章もあり、多摩川をよく知る人には、より楽しめるだろう。
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川についての雑学がたくさん楽しめる。山が先か、川が先か。昔は流れが逆だった。など普通では思いつかない川の長期的な構造を知ることができた。
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初めの二章で川の基本を学び,最終章で川にまつわる大胆な仮説を紹介。著者は地球科学者で,山や海の本もブルーバックスから出しているそう。
第一章で世界の川の豆知識13,第二章で多摩川を源流(笠取山水干)→河口→海溝(坂東深海盆)と辿る旅,というように工夫されていて,楽しく読める。
最後の大胆仮説は,著者自身「妄想に近くて検証もほとんど不可能」と断っているのだが,そのぶんスケールが大きくて面白い。天竜川の本来の源流は諏訪湖でなくロシアで,1700万年前まではウスリー川から信濃川→天竜川→大平洋と流れていたとか,超大陸パンゲアではアマゾン川とニジェール川は一つの川だったとか,標準的サイズの大陸には必然的に大河が三本できるとか。一見突拍子もない話ってつい警戒してしまうけど,およそ現世と関わりがない話だったりすると安心して楽しめるのがいい。
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パンゲア時代に繋がっていた川が分断されたり、地層の移動によって川が分かれたり。長い時間軸の中では、壮大な動的変化が起きていることがわかる。
想像力が刺激されました。
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「なぜヒマラヤを乗り越える川がある?」とか、「なぜ黄河と揚子江は流路がどんどん離れていく?」とかといった「謎」をもとにして隆起とかプレートとか断層や中央構造線とかといった重要なキーワードを教えていくつくりは、なかなか良い。「目に見えるもの」を出発点にするのは分かり易いし、「謎」をとっかかりにするのも、興味を喚起しやすいのだろう。
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内容
第一章では、実在の河川について、なぜその流れが形成されたのか、を考察する。そのなかでも印象に残ったものを記す。
アルン川、デゥブコシン川、ボーテコシ川、スンコシ川の4河川は、ヒマラヤ山脈を南北に横断する流路をもつ。これらの河川はヒマラヤ山脈が隆起する前(約4300万年前)から存在していた。(このような河川を先行河川という。) 隆起を始めたヒマラヤ山脈を流れる河川は、流路の落差を増すことで、その浸食力を高める。ヒマラヤ山脈が隆起する作用よりも、河川が浸食する作用の方が大きかったため、河川はヒマラヤ山脈を削りながら流路を維持することとなった。もちろん、ヒマラヤ山脈隆起後にできた河川がヒマラヤ山脈を横断することは、ない。
黒く見えたり、白く見えたりする川がある。たとえば、斐伊川は黒く見えることで有名である。これは、斐伊川上流に分布する花崗岩が、黒く見える「磁鉄鉱」を多く含むためである。磁鉄鉱の密度は大きく(5.2g/cm3)、水に流されずに河床に残った磁鉄鉱が、斐伊川を黒く見せている。一方、石英や長石を多く含む花崗岩が流域に分布する河川は、白く見える。また、南米のネグロ川では、腐食した植物が水に混ざることで、黒い水が流れている。従って、ネグロ川の流れは黒く見える。
川の流れは海底でも続いていることがある。川の運搬作用により海まで運ばれた土砂は、海に注いだあとも海底の傾斜にそって流れ下る。この流路を「海底谷」と呼ぶ。海底谷は、断層によってできたものや、川から流れてくる土石流によって削られてできたもの、現在よりも海面が低かった氷河期(約1.2万年前-1万年前)に川の浸食を受けてできたもの、などがある。この海底谷は海溝に沿っていて、もっとも深い場所まで進んでいる。たとえば東京湾付近では、荒川、多摩川などの河川は、東京湾にある「古東京谷」を通り、相模トラフに合流し、日本海溝に落ち込んでいく。日本海溝の深さは、約7400m-9200mである。海溝にたどりついた堆積物は長い間動くことはないが、地球内部の火山活動に取り込まれ再び地表に出てくることもある。
第二章では、多摩川を上流から下流にかけて(仮想的に)下る。多摩川の源流となるのは、笠取山である。多摩川の場合は源流が特定されているが、源流の特定は難しく、たとえばアマゾン川やナイル川の源流は未解明である。笠取山には、分水嶺と呼ばれる、流域の境界がある。源流近くでは細い支流だが、複数の支流が合流することで、次第に大きな流れとなる。上流では川の流れは急であり、下刻作用が大きい。そのため、V字谷を刻むことが多い。羽村取水堰を越えると、中流とされる場合が多い。上流に比べ傾斜が緩く、堆積作用が卓越するようになる。典型的な地形は武蔵台地などの扇状地である。さらに下流に進むと、三角州ができる。二子玉川付近には、多摩川と支流の野川によって形成された砂嘴がある。また、河川は蛇行を繰り返し、三日月湖を形成することもある。下流では、海水が逆流することもある。
感想
本書に登場する地名を画像検索すれば、実際の写真を見ることができたので、地形のイメージを豊かにすることができたと思う。
川は、絶えず大地を���り、土砂を海へ運んでいく。水が高いところから低いところへ流れるのと同時に、土砂をも高いところから低いところへ運んでいるのだ。この営みを通して、地球表面に存在する位置エネルギーは減少を続ける。これを続けていくと、最終的に地球はのっぺりとした平地になってしまうだろう。しかし、地球内部の熱エネルギーを動力源とした造山活動が、再び地球表面に位置エネルギーを供給する。果てのない繰り返し。地球全体が呼吸をしているようだ。その営みは、エネルギーを取り入れては使い、取り入れては使っている生物のそれと重なる。手塚治虫の『火の鳥』にも、地球と生物を重ねる描写がみられる。川は、人間の生活に深く関わってきた身近な存在であると同時に、人間の把握できる時間幅を大きく越えた存在でもある。地球レベルの時間につながる、身近な存在である。