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「成田」とは何か
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  • 発売日:2015/03/20
  • 出版社: 岩波書店
  • ISBN:978-4-00-430216-2
  • 国内送料無料

紙の本

「成田」とは何か (新赤版216)

著者 宇沢 弘文 (著)

「成田」とは何か (新赤版216)

864(税込)

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みんなのレビュー3件

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評価内訳

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2012/07/01 23:37

投稿元:ブクログ

成田空港建設にあたっての闘争について協議会に参加したことから述べたものである。
著者は数理経済学者としては高名であるが、公共政策についてはそれほど有名という印象はない(発言自体は多いし、参考文献としてもあげられることは多いものの、実政策に反映されているという事は聞いたことがない)。そのため、何故この協議会に参加を依頼されたのかは謎である。

読むべきは第1章の「空港の社会的費用」のみか。これも問題点を整理したにとどまる(新書という体裁では数学的な記述は困難か)
それ以外の闘争についての話は、もう少し他の文献等も参照して複眼的な検討が必要かと思う。割に記述は公平だと思うが、どうしても著者の農業大好き思考がかなり反映されている。

2011/07/18 12:50

投稿元:ブクログ

★三里塚農民は戦後の食糧難救出に国家的動員された開拓農民


2年前の2010年2月25日に、千葉地裁が成田空港内用地にある空港反対派の団結小屋の明け渡しを命じる判決を出した、というニュースが飛び込んできたことがありました。

わかっていたことですが、改めて、そうか、成田・三里塚闘争の闘いはまだ終わることなく続いているんだと思いました。

時の佐藤栄作政権の有無を言わせぬ理不尽な空港開港方針に立ち向かうため、1966年に地元の農民たちが三里塚芝山連合空港反対同盟を結成してすでに46年ですが、本書は対決開始から25年を経た時点でようやく国と反対派の会合が開かれる中、学識経験者として公開シンポジウムで発言した経済学者・宇沢弘文の見事な成田空港批判の書です。

宇沢弘文はもうすぐ84歳、1928年7月21日生まれの近代(マクロ)経済学者で東京大学名誉教授。私は一般向けに書かれた『自動車の社会的費用』『近代経済学の再検討 批判的展望』『経済学の考え方』『地球温暖化を考える』『日本の教育を考える』『代数で幾何を解く 解析幾何』『社会的共通資本』というすべて岩波新書しか読んでいませんが、例の仙人のような真っ白いあごひげの宇沢センセからは、公共経済学という、どこにも誰にも依拠しない、ともすれば空理空論あるいは一部の誰かにとって有利な客観性なのではなく、地球に住む全人類的な視点からの経済学の必要を教えていただいたつもりですが、この本は、まさにそういう観点から成田空港の欠陥性を文化的・社会的・政治的あらゆる面から分析して本質に迫るものです。

中でも今も注目すべきは、高度経済成長を生んで、日本を環境的にも人間性の本質をも壊滅状態にした張本人の工業化・開発至上主義と、ついこの間まで続いた自民党主導政治が生んだ民主主義の未成熟さの指摘ですが、たとえガラッと民主党政府に変わったとはいえ、施政者は過去の反省よりも既成事実の肯定の上に現在と未来を作りたがっているきらいがないでもありませんので、くれぐれも注意しないといけないと思います。

「私たち三里塚農民になんの相談もなく、また、私たちをとりまく農村世界を考慮することなく、強権によって農地を金に換算すればよいとする今の政府・運輸省の政治理念は、この国に脈々とながれている豊かな土地の思想ともかけはなれて、なんと貧しいことなのでしょうか」
『徳政をもって一新を発せ 三里塚芝山連合空港反対同盟』

[更新日]2012年07月20日

2017/01/24 19:05

投稿元:ブクログ

1992年刊。著者は新潟大学経済学部教授(東京大学名誉教授)。◆私有財産制下での財産権は勿論保障すべき人権の一に該当するが、公共目的による収容の場合、正当補償(財産権の意義を承認する以上、この補償は一般に完全補償とされる)の実施を前提に、財産権の収奪剥奪を許容する。本書で描くのは、空港開設目的とはいえ、完全補償とは程遠い内容で収容強制を強行した結果、関係が拗れ、結果的に問題が長期化した、その実像だ。◆農地=生活の糧、その収容は将来の得べかりし利益の収奪にもなる。これが宅地収容とは根本的に異なる点。
加え、空港建設は騒音を不可避的に生む。つまり環境問題とも密接に関わる。◇今では当然考慮されるべき問題点を可視化・顕在化させた意味で、成田空港土地収用問題が財産権保障の現代化に果たした意味は決して小さくない。◆また、かかる公共収用の必要性を肯定したとしても、私有財産制を標榜する政権ならば、その補償の完全を期す必要がある。それは自らの錦の御旗の正当性を唄うことに他ならないのだが、1960年代にはこの当然の前提を無視した実情がある。つまり二枚舌を平気で使えるのが政府でもある。
この連綿と続いてきた政治というものの当然の実態(そして、それへの準備を含めた対策を検討する必要性の理解・認識)を、本書を通じて現代に伝承する意味も小さくはないはず。

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