紙の本
日本人が向き合うべき歴史
2023/09/25 23:01
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
人類によって絶滅させられた動物や絶滅の危機に瀕することになった動物のことを考えると暗澹たる気分にさせられるが、人類の欲深さのみならず帝国主義的野心ともからむとなおこのことである。だからこそ日本人はこの歴史に関心を持つべきだ。
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アホウドリは簡単に捕獲可能
海鳥を捕獲、加工する専門職業があった
パリで服飾品、工芸品(剥製)に加工されヨーロッパへ輸出。高値
玉置半右衛門のビジネスセンス
開拓精神、商才あり
南大東は入植翌年には85俵の黒糖収穫
11年後には大量収穫
リン鉱石は肥料、爆薬、煙幕の材料になる
肥料屋も目をつけていた。→だが進出失敗
海軍も目をつけていた 秋山真之
第二次世界大戦中にリン鉱石が入ってこないときに北大東のリン鉱石が活用された
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めちゃくちゃ面白かった!一獲千金を狙う人間の行動力に感嘆するとともに暴走もしてしまう弱さの両面を感じた。
アホウドリが日本の領海を広げたんだ。
いやあ、実に面白い。
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自分的には衝撃的な歴史。
昨今の中国人赤サンゴ密漁を彷彿とさせる。
100年の差があるようだ。
当時はカメラも通信も未発達だから「やり放題」だったのでしょう。
それにしても・・・・撲殺とは。
著者はためらわず「撲殺・撲殺」と繰り返します。
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明治から戦前までに起きた、日本の南進論のきっかけがアホウドリの捕獲だったというお話。
戦前まで日本の領土はフィリピンやパラオなど、本土からはるか離れた南方にまで及んでいたが、なんとなくその理由が分かったような気がする。
そんな強引な南下政策を非難していた中国と、日本の立場がいつの間にか逆転しているのも大変興味深いと思った。
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日本が近代国家を目指していた明治時代、日本人は太平洋や東シナ海の無人島へ進出していた。その多くは、国家主導の領土拡大ではなく、民間人がアホウドリの捕獲を目的とするものだった。
無人島に生息するアホウドリは人間を知らないため、人を見ても逃げることがないし、飛び立つには長い助走を要する。そのため、人間は地表で歩いているアホウドリを棍棒で撲殺することができ、その羽毛は高値で取引された。当時の日本人は南洋の小島でアホウドリを乱獲し、その島でアホウドリが絶滅するや、次の島を探すことを繰り返した。その露骨な活動はやがて、アメリカや清国との領土問題にまで発展する。
ルール、ルールで縛られている現在社会において、こうした日本人の海賊的行為はある意味、痛快だ。その代表が、玉置半右衛門。アホウドリがカネになることにいち早く目をつけ、次々と無人島を見つけては、島の開拓を名目にして日本政府から補助金を分捕る。安い労働者を島に送り込み、ひたすらアホウドリの羽をむしらせて、莫大な財産を築いた。
ところで、鳥島のアホウドリで思い出すのが吉村昭の小説「漂流」だ。本書とセットで読むとおもしろい。
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(リリース:あぜやんさん)
ブログ(沖縄面白本棚)より
http://azeyan.blog.jp/
本書は、アホウドリに一攫千金の夢を見た日本人の物語である。
国家が栄える背景には、自然を破壊する行為、略奪する行為があるという事を
世界の歴史を見るとよくわかる。
世界に目を向けると、イギリスでこういう行為が行われていた。
16世紀から17世紀にかけて、イギリスでは海賊行為という手法で豊かさを追求し、
200年以上にわたる歳月をかけて大英帝国を築いた。
たしかに大英帝国は産業革命によって確立されたが、その元手となる資金の一部は
紛れもなく海賊がもたらした略奪品、つまり「海賊マネー」である。
一方、日本はどうだろうか。
16世紀の同時代は戦国時代である。
本能寺の変で織田信長が倒れ、豊臣秀吉が天下統一を果たした時期である。
本書はさらに3世紀も過ぎた、明治の時代の話であるが、イギリスの海賊と共通する点がある。
それは、無人島という島でアホウドリという何も抵抗もできない鳥類を一攫千金を夢見て
山師的な人々が自分の欲望の赴くままに奪っていく行為が、まさしく明治の時代の海賊である。
その点を始めにお伝えして、本書の面白いところを紹介しよう。
本書の主人公である、玉置半右衛門はwikipediaによると、八丈島出身で、19歳のころ、
横浜で大工として働き、その時に羽毛布団と出会い、アホウドリが布団に使われていることを知る。
その当時から開拓者としての素質があった。
現在は、アホウドリは絶滅危惧種に指定されているが、明治以前は、驚くべきことに、
小笠原諸島、鳥島、尖閣諸島、大東島諸島に数千万羽が生息していたという。
アホウドリの羽毛は横浜商人に売られ、肉は自給用として食用になり、糞は良質の肥料になるという
無駄なところがない鳥類であったし、捕獲が用意なため、誰でも簡単に採取できる。
そこの目を付けたのが、玉置半右衛門である。
さて、実際の数字を挙げると、
撲滅したアホウドリの数は明治20年の鳥島上陸から半年間で、10万羽。
明治35年の鳥島大噴火で全滅するまでに捕獲した数は600万羽。
すごい数である。現在のお金に換算すると、年収10億円になる。
アホウドリ豪邸が建つほど、財を残した。
その細かい手法は本書を読んでほしいが、
その財産を活かして、玉置はさらに、小笠原諸島近海の無人島にも進出したが、
他の山師も集まってくる。
しかし、当時日本では海図を作る技術はなく、ヨーロッパ製の疑わしい地図が出回っていた。
なぜ、疑わしいかというと、当時の小笠原諸島周辺は、無人島が多数あり、
ヨーロッパ、及び米国も進出している状況で、海図にとりあえず、確認していないが、
島があることにして書いてしまえという風潮があり、存在しない島「疑存島」が多数あった。
その島が万が一あったら、自分の国が確認していたと主張できるからである。
その疑存島に振り回されて、多くの山師的日本人が無駄な航海を繰り返した。
玉置はさらに南に目を向けた。
それが、南大東島である。
しかし、そこは更に過酷な環境の島で、断崖絶壁の島で、簡単に上陸ができないのである。
それでも諦めずに登っていき、上陸する。
念願かなってアホウドリを捕獲しようと思ったら、思ったより数が少なく、
大きな財が見込めないが、その島にはサトウキビ栽培という農業開拓が可能であった。
玉置はこの島に八丈島からの移住者を迎え、砂糖生産の島に変貌させたのである。
これによって、玉置は「南洋開拓の先駆者」として地位を不動のものとしたである。
本書はさらに興味深い話が満載の面白本である。
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〈目次〉
プロローグ
第1章 アホウドリを追って~「海の時代」の到来
第2章 鳥類輸出大国「帝国」日本と無人島獲得競争
第3章 糞を求めるアメリカ人・鳥を求める日本人
第4章 アホウドリからリン鉱へ~肥料・マッチ・兵器の原料を求めて
〈内容〉
明治から線前期にかけての日本人の南洋への進出(侵略の一面も)を追った本。目的はアホウドリの羽。結果アホウドリは絶滅直前まで行った。またこの事は歴史的に領土問題と直接的にリンクする。ただ明治期の小笠原や沖大東島、大正~戦前のミッドウェイや南沙諸島、南太平洋地域など、海軍の野心も見てとれる。そこに蠢く人々の野心も赤裸々で面白い(学術書なのでちゃんとは書いてはないが)。『秘島図鑑』を読んでからのインスピレーションだったが、意外とお薦め。
学校図書館
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☆『アホウドリと「帝国」日本の拡大』http://takatakos.blogspot.jp/2013/04/201211_30.htmlのダイジェスト版であるが、やはり、元本の方が迫力があるな。
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1700年代後半から1800年代にかけて、南洋進出がさかんだった。無人島に生息するアホウドリを撲殺して羽毛などを輸出するためである。数年間で何十万羽のアホウドリが姿を消し、捕殺はミズナギドリにも至り、鳥の姿が消えると鳥糞の輸出にシフトするというかなり乱暴な行為が事業化されていた。
僕は生物保護の観点で興味をもって読んだが、近現代の経済活動の一端を知ることができた。
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アホウドリが激減していることを認識しながら、鳥が減ったなら新たな島を開拓しようと考える密猟者の強欲に呆れ果てる。いまウナギやサンマについて起こっていることも何も変わっていない。まだ獲れる、まだ大丈夫だろう、いなくなれば外国産に切り替えればいい…ただ奪うだけの人間の考えを改めさせることはできないのだろう
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非常に興味深かった。今まで浅くしってはいたものの、目を背けていた”アホウドリ撲殺事業”と南洋進出について、色々と資料をまとめてくれていて、簡潔に学ぶことができた。ただ、naive(日本語のナイーブとは意味が違う)に、忌避するのではなく、時代背景や色々な要因を総合的客観的に読むというのは必要であると思う。複雑な心境ではあるが、冷静に受け止めねばならぬよ。
アホウドリ、というと小学生の頃に吉村昭の『漂流』を読んで、ものすごく衝撃を受けたのがいまだに鮮やかな記憶があるんだが、『漂流』のあとの時代とはいえ、そんなに年数の離れていない時期ということを考えると、本当に激動。
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日本近代史における南洋進出の中に潜むのは、
アホウドリで一攫千金を目論む者たち。
将来の国境問題にも絡む、歴史の一面を探る。
プロローグ 絶海の無人島に、なぜ、日本人は進出したのか
第1章 アホウドリを追って-「海の時代」の到来
第2章 鳥類輸出大国「帝国」日本と無人島獲得競争
第3章 糞を求めるアメリカ人・鳥を求める日本人
第4章 アホウドリからリン鉱へ
-肥料・マッチ・兵器の原料を求めて
エピローグ アホウドリから始まった
カラー口絵2ページ。参考文献、アホウドリ関連年表有り。
明治から大正への激動の時代。
鎖国から放たれた冒険者が持て囃された時代・・・憧れの南洋。
国民の関心が海に向かった時代・・・求むるのは、富と名声。
だが、集うのは有象無象の、政治家、軍人、山師たち。
どす黒い事実は、何時しか暴かれる。
TVのの映像か、画像だったかは忘れたけれど、
過去のアホウドリ捕獲を見た記憶は衝撃でした。
棒を空中で振り、逃げ惑うアホウドリを撲殺している。
その悲劇の源ではありますが、その時代ならではの、
需要と供給というものが絡んでくるから、問題は複雑。
フランスのファッションでの羽毛関係の流行。
ヨーロッパ内では鳥の捕獲禁止等の条約があるから、
他の国から輸入するので、日本からのアホウドリの羽毛は
バカ売れになる。必要なのは棒と袋、網だけ。
アホウドリを探した無人島は、領土拡張を図る国の需要。
羽毛だけでなく、グアノ(糞)、リン鉱石の需要と供給。
その権益に絡む人々の、権利獲得競争の凄まじいこと。
幻の島に振り回される人々の狂騒曲。そして「帝国」日本。
政治家や軍人の思惑と行動は、国同士の争いを生み、
戦争への道が導かれる。現在にも続く、国境問題への道も。
多くの死に合掌・・・アホウドリ中心の鳥類と、出稼ぎ労働者とに。
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夢と富を南洋の島々に追い、小舟に身を預け大洋を押し渡り、無人島を占拠し独立国の紛い物をでっち上げて(無許可♪)帝国政府を引きずり回して平然と、外交問題に発展し後始末を祖国に押しつけ右往左往させても本人は1ミリも動じない、そんな戦前日本人の強めなバイタリティに圧倒される本書です。
この手の厨ニ病な活動は欧米肉食系イケイケ民族の独壇場なはずが、我らが御先祖様もどうやら超イケイケで、思えば大日本帝国は正真正銘の列強だった訳で、むしろ誇大妄想スレスレの壮図を企てる特別に危険な連中こそが我々のお仲間な訳だな。
温厚な令和日本と地続きな時代とは信じ難い、ヤバめキワモノ系の行動原理はもはや異星人的なほど。
むしろ毛皮を追っかけてシベリアを制したロシア人のメンタリティに近いのか?アホウドリを追って太平洋に帝国拡大とかねぇ(-_-;)
でも、ボク的には野鳥好きなんでアホウドリの撲殺はダメ絶対♪
今の日本に比べれば遥かに脆弱だった明治日本で、ここまで無茶苦茶やっても特に問題無かったのだから、強大な現在の日本でボクらがどんな暴挙暴走したって大丈夫だなって妙な安心したの覚えてる。ヤバいよねぇ。
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明治から大正にかけて絶海の孤島に繰り出した日本人たち。彼らが狙ってたのは鳥。豪商たちの欲望が日本の領土拡大に一役買っていた事実を掘り起こす一冊。