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商品説明
あの陸前高田は、懐かしい人々と共に、地上から永遠に失われてしまった…。岩手県陸前高田市生まれの写真家が東日本大震災直後から撮り続けてきた故郷の写真をまとめる。本体の表紙・裏表紙・見返しに写真あり。【「TRC MARC」の商品解説】
家の前の土手の、コンクリートの階段に腰を下ろし、気仙川の水面や遠くの氷上山を眺めていると、子供の頃からずっとこうやってきたのだという安息に満たされるが、その気分を自分ですぐに否定しなければならないことが、いまではつらい。後ろを振り返れば、そこにあるはずの懐かしい家や樹木や町並みは消えており、ただ雑草の生える地面が遠くまで続いている。その空っぽな光景が事実なのだと、無理矢理にでも認めようとすれば、この自分が以前と同じ自分なのかどうかは、急に疑わしいものに思えてくる。
いったい時間や歴史とはなんのことだろうか? 時間や歴史とは、時計の運針や年表のようにしてあるものだろうか? いや、そんなことはあるまい。だいいち自分が大津波の直後に過ごしていた重たい時間を、普段の時間経験と同じものとして理解することが、僕には全然できない。あのときの時間は、時計やカレンダーなどが表しているものとは、まったく違う何かだった。
──畠山直哉「陸前高田 バイオグラフィカル・ランドスケイプ」(本書所収)より【商品解説】
著者紹介
畠山 直哉
- 略歴
- 〈畠山直哉〉1958年岩手県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。木村伊兵衛写真賞ほか受賞。「Natural Stories」展で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に「気仙川」など。
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