世阿弥の世界 （集英社新書）

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世阿弥は日本の伝統芸・能楽を極めた天才であり、夢幻能を発明した。欧米でもゼアミ、ユウゲンなどの言葉が知られている。その偉大さを余すところなく表現している。彼の能が、「死んだ人の視点から現世を見る」との表現は言いえて妙。宇宙飛行士・野口聡一が世阿弥の「離見の見」を「自分自身を離れた場所から客観的に眺めること」と表現しているとの紹介があるが、同じ観点だろう。時代を超越して広い範囲に影響を与えた世阿弥の大きさの所以だろうと感じた。長男元雅、次男元能、甥の音阿弥ではなく、むしろ娘婿・金春禅竹の係累に伝統が伝えられていったとの事実も初めて知った。

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＜目次＞
第１章　　序の段　スーパースター世阿弥の栄光～心より心に伝ふる花
第２章　　破の段　世阿弥の創った能
　一　　風の巻　能の本を書くことこの道の命なり
　二　　姿の巻　演劇としての能　動十分心　動七分身
　三　　花の巻　世阿弥語録抄　初心忘るるべからず
　四　　伝の巻　世阿弥流転　万一少し廃るる時分ありとも
第３章　　急の段　世阿弥の継承～時に用いるをもて花と知るべし

＜内容＞
現在の世阿弥研究の最高峰の方の本。縦横無尽の筆致で、世阿弥の生涯やその周りの歴史が描かれていく。著者の楽しそうな書きっぷりがいい。とっつきにくいのだが、気が付くと惹き込まれている。巻末に現在伝わる題目とその内容、また能の用語がまとめられている。

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シェークスピアに二世紀先立ち、能という希有な演劇を日本文化に輝かせた巨人、世阿弥。魅力の美学『風姿花伝』を出発点に、世界に冠たる芸術論の確立。時空を超えて現代に花咲く能の名作の数々。義満の寵愛と最晩年の佐渡配流。栄光と悲劇の謎をどう見るか。世阿弥の世界への新しい切り口と共に、能への誘いとして、類書とは異なるユニークな入門の書。

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初心者には向かない。年季の入った能愛好家の文章として読むと興味深い。
名人の舞台をライブで観た人はやはり違う。

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能の入門書から一気にジャンプアップした気分。。。笑
改めて「風姿花伝」を再読したいなと思わせてくれました！（茶道とも密接な関係ですからね、能は！）

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能楽研究家であり、雑誌『能』の編集にたずさわった著者が、世阿弥について多角的に論じている本です。

入門書のような体裁をとっていますが、これまでの著者の能にかんする研究の成果が踏まえられており、また世阿弥や彼の能を題材にとった小説作品への言及がなされたり、『井筒』や『砧』についてかなり立ち入った議論が展開されるなど、構成面でやや不親切なところもあります。なお、おなじ著者による『能の表現―その逆説の美学』（1971年、中公新書）では、能そのものについての著者の考えを開陳しつつ、その世界に読者をいざなっています。

世阿弥と能に、その内側と外側の双方からアプローチすることで、多面的な魅力を明らかにしており、世阿弥についてすこしくわしく知りたいという読者にとってはおもしろく読めるのではないでしょうか。