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起承転転転…な小説。
バスプールという耳慣れないタイトルだけが魅力でした。
単行本発刊当時から評価が高かったのが不思議でならない…。
全体を通して言い訳がましく御託が多い。
主人公のブレかた、ノリが苦手。
会話もリアリティにかけている。
時間軸も、ん?と疑問が生じるところ。
登場人物が全体的にただ登場しているだけ、伏線や作品における役回りが希薄で、なんとも残念な読後感に苛まれてしまった。
話の核となる部分でもみんなふざけているようにしか見えず、取り扱っている題材が題材だけに、これを書いて何を伝えたかったんだろう。
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高校生の涼太はある日の登校途中、同じ学校の制服を着た美少女にトマトを投げつけられる。一体なぜ!?この一件をきっかけに涼太は仙台から転校してきたという彼女のことが気になり始め・・・。
タイトルの「バスプール」とは「バスターミナル」のことだそうです。それぞれ別々の方向に向かうバスが入り乱れてる様子を、今は同じ場所にいても、いつかはバラバラな方向に進み始める高校生たちに重ね合わせたタイトルなのかなあと思いました。
すごい上手いなあ。
話自体は登場人物も多く、いまいちその人物の行動理由が分からないところもあり(飛ばし読みしたからかも)。でも友だちも多くて明るい主人公の涼太が、実は無意識に周りの人を傷つけていたというエピソードの積み重ね(一人ではなく、複数を傷つけていたのよね・・・)はとても印象に残りました。自分にとっては「小さなこと」でも、相手にとっては大きなことだったりもするわけで。我が身を省みなくてはと思った次第です。
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突き抜けた爽やか青春小説かと思ったら、全然そんなことなかった。ちょっと思っていたのとは違ったけど、普段読んでるのには近い感じかな。文庫の方の装丁の方がしっくりくる。
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「夏休みまで、あと5日。
トマトを投げて来たあの子は誰だ!?」
じりじりと暑くなる予感を秘めた夏の朝、
僕の右肩にトマトが飛んできた。
夏。空。プール。制服。白。トマト。赤。目の前の女の子。
何かが始まる予感と
何かが壊れる予感。
泳げない僕と
泳げるあの子。
あの子もその子もみんな一直線。一方通行。
それぞれの道が交差して。
どう頑張ってもぶつかってしまうなら
駆け抜けて可能性を捉まえたい。
感想が抽象的になってしまうけど、
細かく伏線とかその後とか言わずに
登場人物の不器用さに触れてほしい一冊です。
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数カ月前に『みんなの秘密』を読んだあと、同作がこの著者にしては珍しく印象の重たい、暗い作品だというようなレビューをどこかで読みました。もちろんAmazonか何かのレビューなのでその妥当性もほどもたしかではないだろうと考えていましたが、ならばいずれ他の作品も読んでみたいと思っていたのでした。
それというのも何しろ『秘密』は登場人物のどいつもこいつもが揃いもそろってみっともない人間たちで、なるほど「秘密」というか「やましさ」をそれぞれの方法で抱え込んでいる彼らが、親の職業や家庭環境、学級内におけるカテゴライズといった諸条件のなかで、あるいは思惑にしたがって、あるいは必要に迫られてやむなく何がしかの選択をしていく。物語の終盤に至っても登場人物たち同士の緊張関係の構図こそ変化しているものの状況は好転というようなものは感じられません。
読者によってはそれをナイーブな語感でもって「リアルだ」と評する人もいるのかもしれないのですが、もちろんこれはフィクションなので再構成された「リアル」であり、写実主義的な「リアル」です。ともかくそういう現実性を構成できている人の作品というのは深みがあって面白いものです(「暗い」ものであれ「明るい」ものであれ)。前置きがだいぶ長くなりましたが、上記のような次第で──そのときの感想を思い出して本書を手にとってみました。
本書はたしかに『秘密』とくらべれば「明るい」作品だったかもしれません。冒頭で、主人公「涼ちゃん」もその周りの登場人物も「暗さ」とは無縁で、のほほんと牧歌的といっても言いような学生生活を過ごしているふうに描かれます。主人公と友人・担任教師の冗談を言い合ったりしているのも読んでいて楽しい。けれども物語の進展とともに不穏な要素が次々と現れてきて、最終的には数年来の根の深い問題がいくつも存在していて、それがこの「夏」に表出してきたことがわかる、そして読者や主人公がそれに気がついた時にはどうしようもなく状況が絡まり合っていて・・・という感じです。
してみると本作も「重たい」話題──登場人物たちの今更悔やんでもどうにもならない過去の過ちだとか、そのことに今のいままで気がつくことができなかった鈍感さ、それに気がついた今この時も素直に行動できないみっともなさ、それらを直接・間接に規定している社会的要因といったものが、ふんだんに盛り込まれています(具体的にいうとすべてネタばらしになってしまうので控えますが)。そしてもちろん、だからこそ面白いわけです。もう少しこの著者の作品を読み漁ってみようと思います。
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出だしは良かったのですが…
いろいろ引っ張ってる割に何もまとまらずに終わった。
主人公の性格が良くないし、成長している気配もない。
表現も会話も普通で面白みがない。
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世界は今年で終わるー。終末がまことしやかに囁かれている2012年の夏を舞台に、甘くて痛い高校生の友情と恋愛を描く青春小説。
『青春のいじわる』(by菊池桃子)という歌があったが、10代の頃の人間関係は何とももどかしい。何でも出来る可能性はあるが何もうまくできない。青い空さえ自分を裏切る存在に感じる孤独感。青春時代は面倒だ。その感覚を「妄想はできても想像ができない」と表現した畑野さんの巧さに感服。
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等身大の高校一年生が、みごとに描かれていて、想像以上に面白かった。
人を見下したり、いじめに加担してたり意識化に無いところで心無い行動をしてることは確かにあり、この主人公は誰にでもどこかあてはまるんじゃないかな。
でも、最後は心を偽らない行動を涼太と久野ちゃんがとってくれたので嬉しかった。
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読みやすかったかな。
主人公涼太と親友青野、幼馴染の望月、かつての同輩西澤、自分のことを好きな河野、友達でありながいいキャラの和尚、そして本屋でバイトをしている櫻井君、なにより、仙台から来て悩み多し久野ちゃん。他先生2人と、登場人物が少ない割に、役割がはっきりしていすごく読みやすい。
ただ、結末は高校生的によかったけど、その他の人間関係があやふやなまま終わってしまい、消化不良な感じです。
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丁寧な王道作品。高校生の青春ものとして描かれる、解消できない思春期の葛藤や成長としての行動、それらを丁寧に細部まで拘った描写。ストーリーとしての斬新さは感じられないがその描写力によって読者はラスト、心揺さぶられるだろう。
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登校中にトマトを投げ付けられたことから始まる涼太の高一の夏。トマトの同級生女子が気になったり、元カノが湿っぽい視線を向けてきたり、男友達や教師達と当たり前に交流したり。夏と水の印象に包まれたっぷりとした水分に満たされたような瑞々しい登場人物達に温度と湿度がある。流れる空気に何となくのまま寄り添った。
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青春はいいな~とは思うけど。
トマトを投げつけられた出会いから、たいして時間経ってないのにいつのまにか久野ちゃんのことが好きになっちゃってたのね。それが高校生?
みんな高校生らしくてかわいいけど、やっぱりトマトをいきなり投げつける久野ちゃんは最後まであんまり好きじゃないかも。
涼ちゃんと久野ちゃん以外の人のその後が気になるけど、そういうことを細かく解決していく話でもないのね。
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どうしたらいいのか、夏の嵐のような恋。
登校中にトマトを投げつけてきたのは、高校から入学してきた久野。因縁のある野球部の西澤、ひそかに憧れている図書室の松ちゃん、親友の青野、担任の有村先生、不登校の富君、幼馴染で青野の彼女の望月、中学生時代の元カノ河村さんなど、涼太の周囲は穏やかなようで複雑に絡み合っている。久野が気になる涼太だが、彼女の抱えているものは、どうやら大きなもののようで――。
後半に向けて、こじれたりほどけたりする涼太を取り巻く人間関係が面白い。問題なのは涼太の鈍さである。彼はあまりにも健康的で、しなやかで、相手が傷ついていることに気付かない。傲慢と言えば言いすぎだが、西澤の態度など、なるほどと思ってしまうところもある。しかし、この物語で、涼太を含め、誰も大きく変わろうとはしない。久野は仙台に残る弟に会いに行こうとし、また西澤の想いを受けるというが、それもひとつの逃げである。涼太はそれを指摘して、自分を選ぶように言うが、覚悟というよりは、それまでの自分を貫いているとも思える。
けれども、だからこそ、この物語はすとんと心に入ってくる。劇的にすべての状況が改善することなんて、なかなか現実には起こりえない。あと少しで世界が終わる、と言われても、現実的には信じられないけれど、それを口にして理由にして、色々な懸案事項を進める態度は自分にも覚えがある。季節が夏なので、世界の終わりは近づいていてもまだ実感が伴わないので、ラストシーンはさらっとしている。まだまだすることはいっぱいあり、悩んだりくやんだりして、進もうとできるのだ。
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ずっと気になっていた作家、畑野智美さん。
夏に文庫化されて買ったものの積読。
夏が終わる前には……と思いつつ、もう秋になってしまった。
第一文の赤い色が印象的。
赤と言えば、「久野ちゃんの赤い傘が見つけられない。」も好きだ。
見つけられなのだから視界に赤はないはずだが、赤い傘がどこかにある映像を想像してしまう。
読みやすく、イメージの湧きやすい文章だ。
とはいえ、裏表紙の内容紹介からわかる通り、人間関係はとても複雑な話だ。
現実でここまでごちゃごちゃすることはそうないと思うが、その複雑さの中で主人公・涼太の姿はどこかリアルに映る。
どんな人間にだって仲のいい人・悪い人、好きな人・嫌いな人はいる。
そして、他人から信頼してもらえるような人でも、知らぬ間に誰かを傷つけてしまうこともある。
さらには、傷つけたことに気づいてもどうしようもないことだってある。
ましてや涼太は高校生なのだから、大人のようにうまく立ち回ることは難しい。
青臭く、ぶれることもあるけれど、それでも好きな子のためには一生懸命になってしまう涼太が微笑ましい。
屋上から動き出すラストシーンは爽やかさ抜群。
少し頼りない涼太ではあるが、この夏がきっかけで覚悟を決めて、大人になっていくのではないかと思う。
一週間に満たない話だというのには驚きだが、高校生の頃の一日は濃密だったなぁと思い返した。
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2021/01/31
高校生の青春話というと簡単すぎるかもしれないけど、だいたいそんな感じ。読んでいて気分が丸くなるようなそんな感じ。
中高一貫で内部進学により高校に進学した涼ちゃんと、クラブの野球チームで小さい時から何かと因縁のある西沢、いきなりトマトを投げつけてきた久野さんとか、幼なじみの望月、普段からつるむ仲間の青野…。それぞれの出会い方はなんじゃこりゃ…って感じだけど、それぞれがそれぞれのペースで親密になっていく様子が読んでてとっても面白かったです。
シリアスな場面でもすごいシリアスにしないかのように終わりの場面でひとボケ入れてくるあたりが話にオチがあるって感覚で楽しく読めました。