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商品説明
いま、大人にこそ知ってほしい。だれもが笑顔になる絵本の秘密。ブルーナとその関係者に取材を続けてきた森本俊司が、絵本に込められた作者の想いに迫る。【「BOOK」データベースの商品解説】
ミッフィー生みの親、ディック・ブルーナ。意外と知られていないその素顔、そして“世界一愛される絵本”誕生の秘密とは。ブルーナとその関係者に取材を続けてきた著者が、絵本に込められた作者の想いに迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
ブルーナと関係者にインタビューを続けてきた新聞記者・森本俊司が、知っているようで知らない作者の素顔に迫まる、本格評伝。幸せな少年時代、戦争中の地下生活、青年時代にあった反抗期、多忙なデザイナー時代、そして絵本が誕生したきっかけとは? 近年、絵本作家としてだけでなくアーティストとしての評価が高まるブルーナ作品の最新事情も収録。「ミッフィー誕生60周年」に相応しい、ブルーナ評伝の決定版!!【商品解説】
目次
- 序章 知られざるブルーナ
- 1章 夢のような少年時代
- コラム1 うさこちゃんとミッフィー
- 2章 戦争の影
- コラム2 ナインチェってなあに?
- 3章 破天荒な青年時代
- コラム3 もう一度読みたい、うさこちゃんの絵本
- コラム4 マティスとレジェ
- 4章 デザイナーとして
- コラム5 シュレイダー邸
著者紹介
森本 俊司
- 略歴
- 〈森本俊司〉1960年香川県生まれ。東北大学卒業。朝日新聞社入社。記者、編集委員などを経て、展覧会などを担当する企画事業部に勤務。
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紙の本
あの大規模な展覧会から10年が経過して
2016/12/25 06:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あられ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2005年に開催されたミッフィー(うさこちゃん)50周年記念展を主催した朝日新聞社で、文化部記者として、展覧会の開催にあたり、オランダのユトレヒトを訪ねてディック・ブルーナにインタビューした森本俊司記者が、展覧会から10年後の2015年に、当時のインタビューを振り返りつつ、その後の10年間に起きたことを踏まえ、ディック・ブルーナの生涯をたどった一冊。2005年のミッフィー展の図録も、内容が充実していてすばらしかったのですが、本書はそれを補完する本です。全部で8章と終章から成り、巻末にはブルーナの年譜、絵本一覧と参考文献のリストがあります。
展覧会から10年の間には、いろいろなことが起こりました。2011年3月の東日本大震災後、森本記者はブルーナに被災地で泣いている子供たちに希望を与えるために、メッセージをもらえないかと依頼。ブルーナは(ほかにも依頼が多く寄せられていたのですが)10日もしないうちに「日本のみなさんへ 心をこめて」と書き添えられたイラストを送信しました。両目から2粒の大きな涙を流すミッフィー(うさこちゃん、ナインチェ)のそのイラストは、3月27日の朝日新聞に掲載されたので、ご覧になった方も多いでしょう。そのくだりは、涙のあとには必ず微笑みがあるというブルーナの作品の数々を見ながら、本書の第7章で語られています。
1927年生まれのブルーナは2011年から創作活動を行なっていないと、2014年に共同通信の報道があったそうです(私は見逃していました)。また、2006年からはブルーナが暮らすユトレヒトでセントラルミュージアムが「ディック・ブルーナ・ハウス」を運営(後に「ナインチェミュージアム」と改称)し、2011年からオランダ最大の美術館であるアムステルダムの国立美術館が、本格的なブルーナ研究に着手することになったそうです。2015年には、ユトレヒトのセントラルミュージアムにブルーナのアトリエ(2005年の展覧会の図録で詳しく紹介されていたあのアトリエ)が移築されることが発表されているそうです。
来年(2017年)には90歳となるディック・ブルーナは、もう創作活動からは引退してしまったかもしれませんが、子供のころに第二次世界大戦(オランダはナチスに占領されました)を体験した彼のメッセージはこの先もずっと力強さを失うことなく残ることでしょう。本書の終章のタイトル、「今日よりももっといいものを。もっともっとシンプルに」は、ブルーナが自伝の最後で語っている言葉だそうです。
第5章の「ブルーナの芸術理論」は驚きでした。ピエト・モンドリアンへのブルーナの評価について、2005年の展覧会の図録にあることとは決定的なずれがあります。2005年の図録に「執筆者の地の文」としてさらっと書かれていたことは、実はインタビューで裏付けられたことではなかったようです。望むような答えがインタビューで得られず、そのときは適当にお茶を濁したものの、10年後になってその意味がわかったということかもしれません。
常に優先的に「日本にとっての~」で語りたがる新聞という媒体の記者の書くものらしく、個人的にはそのようなナショナリズムの横溢に閉口しましたが(私はもっとあっさりとした、研究書のようなスタンスのものが読みたいです)、読後感は充実しています。カラー図版も適切に使われています。ただ、1800円(+税)は少し割高に感じます。