紙の本
動かない植物の戦略
2015/12/30 12:31
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投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
「動かない=弱い」ではないということがよくわかる本です。
植物は植物で、自分の生存を最適化していることをさまざまな例を示して解説しています。
固定観念を和らげたい人にお勧めです。
紙の本
植物たちの生き残りをかけた化学戦
2015/10/28 22:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:komagataya - この投稿者のレビュー一覧を見る
植物同士の陣取り合戦から、対昆虫、対動物、対人間と、植物がいかにほかの生物に対抗しながら進化してきたかが分かる一冊。植物にちょっとでも興味があるなら読む価値はあるし、ちょっと見方が変わってくる。
章立ても、対抗する相手ごとに分かれていて、植物同士から昆虫、動物、人間となる。植物がほかの植物を排除するために、化学物質を製造して、根から出すというのは、あまり知らなかったし、昆虫に対抗するために毒物を植物が作るのだけど、一部の昆虫が毒物への耐性を備え、かつ毒物を蓄えることで、毒虫になるという当たりのバトルは興味深い。この当たりの話題を分かりやすく解説する筆者の説明力もなかなか。この方が本を出したら、ぜひ読んでみたいと思います。
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この本には、恐れ入りました。
素晴らしい。
3か所ほど、ワープロ変換ミスがあります。
驚異→脅威 トカ。
増刷時に変更、お願いします。
(2015年10月11日)
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強い植物が侵入してこないような条件の悪い場所こそが雑草の棲み処。除草されたり踏まれたりする逆境こそが雑草の生存のために必要な場となる。雑草は毟られても地面の下には無数の種を準備している。一般に植物の種子は土の中にあるので、光があると芽を出さない。ところが、雑草の種子は逆で光が当たると芽を出すようになっている。即ち除草により種子に光が当たるということは、人間が草を毟って周囲に植物がなくなったことを示す合図。雑草の種子はこれをチャンスと捉え我先に芽を出し光を独占するのである。雑草にとって逆境は耐えることでも、克服すべきものでもない。寧ろ順境。逆境を順境として活かしきっている。光を奪い合い水を奪い合いながら、植物同士、あるいは、環境や病原菌、昆虫、動物たちと戦い続けてきた植物。静かで熾烈な戦いに自然界の冷徹な弱肉強食、適者生存の理を見る。
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筆者は雑草生態学を専攻する農学博士で、「仁義なき生存戦略」という副題のとおり、我々の身近にある植物たちの生き延びるための壮絶な戦いの系譜がまとめられている。戦いは第7ラウンドまであり、第1ラウンドから順に、植物VS植物、植物VS環境、植物VS病原菌、植物VS昆虫、植物VS動物、植物VS人間という構成になっている。自ら動くことのできない植物たちが編み出した驚異的な防衛戦略の数々に感心させられる。かなりシニカルなタッチの後書きは、筆者の地球環境についての思いが色濃く込められているので、これは必読。
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無知な私には平和そうに見える植物の世界…その生存競争について記された著。
次郎でも読みやすい文章にして、その内容は大変興味深く、とてもよく出来た書籍だと思います。
植物が利己的に生存競争した一つの結果が「共生」というのも興味深い点です。
植物のあり方を通じて、人間というものが以下にあるべきなのか?ということを考えさせられます。
また後書きが秀逸
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じっと動かない植物の世界。見ていると目にも優しく癒される植物ですが、「まわりのものはすべて敵」という苛酷なバトル・フィールドを生き抜いているのです。やるかやられるか、手段を選ばず、あらゆる環境要素と戦う彼らはまさに仁義なき世界の住人。様々な生存戦略を展開しながらたくましく生き抜く植物たちの世界を、雑草生態学を専門とする著者が紹介する一冊です。
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植物自身、環境、病原菌、昆虫、動物、人間。その闘う相手を変えながら、植物は常に生き残る道を作ってきた。留保はあるが、ただし、人間を除いて。「与えよ、さらば与えられん」という一句になぞられられるのは、興味深い。
CSR戦略、日本人の雑草愛、サボテンの話しは稲垣氏の他の本にも出てきたネタだった。しかし、それ以外の圧倒的な量のネタは初見である。
・酸素が引き起こした進化。植物による酸素の発生→オゾン層の作成→紫外線の遮断→有害である酸素呼吸する生物の発生
・最強の昆虫はアリ。だから植物はアリを利用しようと進化してきた。
・恐竜絶滅の一つの原因は裸子植物から被子植物の進化。エサとなる裸子植物が減少したため。
・その被子植物を食べた恐竜が「アルカロイド中毒」を起こした可能性もある。
・タイヌエビ(稲に似ている)は擬態植物
・ヨーロッパでは、新石器時代の遺跡から雑草の種子が見つかっている。
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植物を見ると何となく安らかな気持ちになりますが、実は日々激しく戦っています。
その生き残り戦術は、会社を経営するうえで参考になりそうな気がしました。
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植物がどう戦っているのかよくわかって面白い。
雑草は草むしりされる事で、土の中にある雑草が光を浴びて、雑草が生えてくるという無限ループの仕組みに納得。
草むしり、どーするかな…
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動物と異なり動かない植物にも適者適存、過酷な生存競争がある。植物同士の戦い、対環境、対病原菌、対昆虫、対動物、対人間について分かりやすい記述で語る。
植物の生存競争に関する本。特に花と花粉に関する進化が有名だろう。花粉を運ぶ役割を昆虫に持たせる共存関係。時に蜜だけを長い口吻で奪う蝶のようなフリーライダーも存在するが。同じように種を鳥に食べさせ遠くまで運ばせる戦略やネズミやリスの習性を利用したドングリ。あまりドングリが豊富であるとネズミ、リスが増えて全て食べられてしまうため、あえて数年おきにのみ豊作となる戦略を取ったという。
対人間。苦味のあるピーマン、辛みのトウガラシ。動物に食べられないための戦略が、まさか人間が調理に活用するとは植物の誤算だろう。ただし農作物も考えようによっては品種改良の結果、人間が育ててくれるのだから成功した戦略なのがしれない。
奥の深い植物の進化の世界を堪能しました。
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これまでのどかに咲いているなぁとしか思っていなかった植物が、これほど熾烈な生存バトルを繰り広げているとは思わなかった。小学生の理科の時間のように知的好奇心がわくわくする本。以下面白かった点。
・マメ科植物と根粒菌の一見美しい共生関係の裏に隠された搾取関係(見せかけの友情)
・抜けば抜くほど生えてくる雑草のメカニズム
・蟻は昆虫界最強の種族
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植物の生存戦略には、CSR戦略というものがある。
C:競争戦略(弱肉強食の世界で勝つ)
S:ストレス耐性型(普通の植物がストレスで死んでしまうような環境をあえて選ぶ。ex:砂漠、日陰)
R:レルラント(変化が激しい環境を選んで、変化に対応して成長する)
これらの戦略に基づくと、
・サボテンが丸い形をして、棘をはやしているのにも理由があるし、バラに棘が生えている理由も物理的な防御という以外に理由がある。植物は、過酷な生存競争の中で生き残るために形を変えてきた、という話が面白かった。
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以下よんで気になったところのメモ・
- 植物は光を得る競争をしている。競争していく中で、他の植物より早く高い位置に葉を広げようとしている
- アサガオは、茎に頼らずつるを伸ばし他の植物を頼りにしながら伸びるので早く伸びることができるようになった
- 「他人に頼れば、苦労せずに早く大きくなれる」 このつる植物の考え方を、さらに進めたのが、寄生植物。
- 寄生植物は他の植物から栄養分を奪うことで生きている
- 植物の成功戦略はC・S・Rという3つの戦略がある
- C戦略は、コンペティティブ(競争型)
- S戦略は、ストレス・トレランス(ストレス耐性型)
- 水や光が不足している環境での耐性があるなど
- R戦略は、ルデラル型
- 予測不能な激しい環境に臨機応変に対応するタイプ(雑草など)
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手に汗握る新書って珍しいです。
まさに果てしなき闘いの日々。
それぞれの種が得意戦法で攻め、出し抜き、進化し、勝ち残る様子が想像を超えて凄絶。
さすがに実生活に応用…とまではいかなくとも、物事に対応するにはいろんな考え方がある、というヒントにもなる一冊。
植物VS植物の同階級戦がやっぱり面白いですね。
1刷
2021.1.24