紙の本
人物解説は浅薄かも。
2019/09/16 18:26
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投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
始皇帝の出生から没年迄を時系列で解説してあります。但し、タイトルにある始皇帝の人間面についての記述はあまりありません。始皇帝を取り巻く人々の動きについて西暦2000年以後という最近になって出土した竹簡等を元に推察する内容が中心です。そういう点からはちょっとタイトルから外れている気がします。また史記からの内容を頻繁に挙げ、他の歴史書との食い違いを紹介してありますが、史記はそもそも意図的に史実を変更して記述したり、言及しなかったりする点が散見されている事を他書『史記を語る』(岩波文庫)で読んだ事があるので、私としては何を今更と感じる側面が少しありました。
始皇帝とその周囲を取り巻く人達との歴史的解説としては良かったと思います。
紙の本
「人間」としての始皇帝像についてはほぼ書かれていない
2024/02/13 10:29
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
発掘資料を基に、史記など既知の資料との比較を通じて、等身大の始皇帝の足跡を追うような内容。タイトルに「人間」とあるが始皇帝の人間性に迫るような記述に乏しく、当時の政界に身を置く人間としての動きがわかる程度でしかない。むしろ周囲の家臣の思惑や後世の政治的意図の方が鮮明に浮かぶ始末で、内容の良し悪しはともかくタイトルとの乖離が見られる。
新書について詳しくないので思い違いかもしれないが、どうも読者の注目を集めたいがために、パワフルな単語を安易に盛り込んでしまうケースが新書には多いような気がする。本書にしても、「始皇帝の足跡」とか「始皇帝を巡る思惑」とか、もっと相応しいものがいくつか考えられるはずだ。頼むから出版社なり作者なりもっとタイトルには気を遣って欲しい。
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それほどどろどろした人間性が書かれているわけではありません。淡々とした表現で。
始皇帝が神化されていたことをあまり知らないので・・・・。
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最近の考古学の成果を活用して史記の記述を再検討している。始皇帝が東方の進んだ文明や祭祀を積極的に取り込んで行った様子、北と南の戦争で中華と蛮夷を区別したこと、統一後の皇帝という称号の選択や李斯を中心とした法家による支配などがわかる。また胡亥の二世皇帝は始皇帝の指名だった可能性、実際の年齢が12歳でしかなかったこと、趙高がいわゆる宦官ではなく法家だったことなどが意外で面白かった。また考古学の成果から当時の官吏の仕事や夢占い、28宿と四神の対応などがわかる。
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始皇帝って、日本の戦国時代に例えると織田信長か。その少し後の時代の、劉邦・項羽に比べると、今ひとつ人間的にどういう人かよくわからんのだなぁ。史記は漢の時代に書かれただけあって、漢のフィルターがかかった始皇帝像なわけだが、この本は近年の研究成果から本当の姿に迫ろうとしていてかなり興味深い。
そもそも、本来の名前は贏政でなく趙生というところからして目ウロコ。
キングダムは一応読んどいたほうが良いかなぁ。
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始皇帝の生涯については、これまでは司馬遷の「史記」に依るところが大きかったが兵馬俑の発見や周辺で発掘された竹簡や簡牘から史記の欠落や敢えて司馬遷が書かなかったこと、改変したことなどを明らかにし始皇帝の生涯に新たな光を当てたもの。
HONZ.JPでは国立博物館の「始皇帝と大兵馬俑」予習にとあったが、それよりも北方版「史記-武帝紀」を読み返したくなった。
そして北方版「史記-始皇本紀」の執筆を熱望。
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キングダムの影響で読んだ。広大な中国を30年足らずで統一するっていうのは改めて驚かされる。存在が偉大すぎて死去後3年で崩壊するとは。
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2016/01/22:読了
少し固い内容。
もう少し、読みやすいと、興味深い内容なんだけど...
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秦の始皇帝について、最近数多くの文献が出土していて100年以上あとに書かれた史記の記述を上書きしなければならない状況になってきている。
秦は内陸国家にとどまらず、海まで視野に入れた国家である。焚書坑儒というが、それは後の漢代から見た記述であり、北と南の武力行使のための内部統制として言論を封じ込めたものであり、必ずしも儒家を狙い撃ちしたわけではない。また、始皇帝が崩じたあと第二皇帝は陰謀の末と史記ではなっているが必ずしもそうではない文献がある。始皇帝廟は、まだまだ発掘の余地がある。
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ここ数年中国の枯れ井戸から発掘された竹簡から古代中国の実状が判明しつつあるらしい。
これまで司馬遷の史記などで語られてきた「歴史」は、その時々の覇者の都合で歪められていて、始皇帝像もその例外ではない。
それにしても皇帝を名乗ってからの在位わずか11年で、いかにしてこれだけの制度や国土の整備を行えたのか。
城の水攻めや刀狩りなど、秀吉の実績の前例が約二千年前の中国にあったとは。
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始皇帝の波乱に満ちた生涯を追う。
司馬遷『史記』の記述が取っ掛かりではあるが、近年出土した多数の竹簡や、陵墓の発掘や解析といった「最新資料」を基に、史実を丁寧に捉え直すことが試みられている。
例えば「焚書坑儒」については、あくまでも北の匈奴や南の百越との対外戦争を批判する知識人に対する言論弾圧(儒教弾圧というのは、後の儒者により作られた「イメージ」)であり、始皇帝自身、儒教的価値観(君臣父子等)を大切にしていたというのが史実のようである。
中国の古代史や地理の予備知識が少ないと、十分に読みこなすのは難しいが、地図、人物紹介、年表といった参考資料が豊富であり、親切な作りとなっている。
始皇帝やその周辺人物が織り成す人間ドラマはとても興味深い。
今後も、新たな出土資料等により新たな史実が発見される可能性は高く、歴史のロマンが強く感じられる。
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始皇帝の統一までの話と秦の崩壊を、司馬遷の史記ベースに、最近の発掘調査の成果も交えて話が進む。学術的な要素が強いが、始皇帝の暴君のイメージが近年中国でも見直されているというのは、この本にかかれている調査結果も関わっているのかなと思う。特に、全中原に敷いた政策や法治制度については、その後の中国の文化やひいては日本の制度にも深く関わっているようで、始皇帝が単に最初に中国を統一した人、ではないことがよくわかった。
実は、キングダムの進みがおそすぎて読み始めたが、途中さらっとキングダムネタバレ要素があって、あーもう漫画はいいかな、って気になってしまった笑
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これまで秦の始皇帝の史料は司馬遷『史記』に依拠していたものが、1974年の兵馬俑発掘と翌1975年の竹簡出土により新たな歴史考察が可能となった。学習院大の鶴間教授による始皇帝に纏わる定説を再考察する新書。
全体的には余程始皇帝に興味ある方でないとキョトンとしてしまうかもしれない。従前の学説との相違点やそれがどう凄い発見なのか、鶴間教授の熱量は伝わってくるものの推量も多く文章が冗長的で結論も要点に欠けややわかりにくい。漫画『キングダム』やほか歴史書などで多少の予備知識があったので復習の意味も含めて個人的には楽しめたが、読者を選ぶ本かもしれない。
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文章ちょっとクセがあるけど、へえ、最近の研究ではそうなってるるのか、みたいな驚きがたくさん。中国はまだまだ資料が出てくるのね。ていうかはやく始皇帝陵あれしてほしい。
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アニメ「キングダム」で始皇帝に興味を持ち読んでみる。教科書などでこれまで得た知識は、兵馬俑や万里の長城、焚書坑儒など一般的なものしかないので史実を深く知りたくなる。本書では、最新の研究結果もふまえて始皇帝の業績に触れ、さらに人物像に迫っている。
これまで始皇帝の記述は、司馬遷による「史紀」によるところが大きかったが、最近では古井戸の発掘などで竹簡などの新しい資料が明らかにされているとのこと。新たに発見された同時代の資料は、始皇帝がこれまで一般的に語られてきた暴君のイメージを少しずつ変えているらしい。