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「日本人」という、うそ 武士道精神は日本を復活させるか (ちくま文庫)
著者 山岸 俊男 (著)
耐震偽装、賞味期限の偽装、インサイダー取引…。なぜ日本人は平気でウソをつくようになったのか。その驚くべき真相を、最新の心理学が鋭く解き明かす。日本人論の常識を覆す一冊。〔...
「日本人」という、うそ 武士道精神は日本を復活させるか (ちくま文庫)
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商品説明
耐震偽装、賞味期限の偽装、インサイダー取引…。なぜ日本人は平気でウソをつくようになったのか。その驚くべき真相を、最新の心理学が鋭く解き明かす。日本人論の常識を覆す一冊。〔「日本の「安心」はなぜ、消えたのか」(集英社インターナショナル 2008年刊)の改題〕【「TRC MARC」の商品解説】
現代日本の様々な問題は、「武士道」だの「品格」だのでは、解決できないのだ。それはなぜか? 著者がとどりついた納得の結論とは・・・解説・長谷川寿一【本の内容】
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紙の本
信頼社会へのニーズは流動性によって高まる。
2015/12/31 20:35
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代では主君を変えるわけにはいかず、常日頃から忠誠を示していた方が得策でした。日本人が自己卑下傾向を示すのはそうした対応をした方が日本社会ではメリットが大きいから謙虚にしているだけのことであって、日本の社会にうまく適応していくための戦略に過ぎないので、日本人の心が謙虚ということではないです。社が存続の危機になっても「自分の給料下げてください」ってことはありません。もし就職試験の面接や異性とのデートなど積極的に自分をアピールした方がメリットも大きい状況にあると思えば、自分の長所を売り込みます。
性根じゃなく、私達はふだんの生活において自分はどう振る舞ったほうが得かということを意識的にあるいは無意識的に判断しながら暮らしています。
日本の企業が隠蔽や偽装をする本音は世間から「正直な組織」だと積極的な評価をしてもらえることが期待できないからです。痛くもない腹を探られるのではないかという不信感ベースから始まります。
私が一例をあげるとしたら、例えば流動性のかなり高い見ず知らずの人との付き合いを考えると、ネットでベビーシッターなんてのは、待機児童問題とか考えると、本当に喉から手が出るほど欲しい親御さんはいるかもしれません。もしそこでシッターさんの過失による事件が起こると、シッターさんじゃなくて、親の方が責められるってのは、人間同士の結びつきの不確実なところに預けたのが信じられないという安心社会の考えから来ます。
他人から裏切られる恐れはあっても他人と協力関係を結ぶことによって得られるメリットの方が大きいと信じるのが信頼社会の人々の発想です。安心社会だと相手がいつも同じ場合の固定した関係なら、相手の信用調査などをする必要もないので、その分の取引コストは不要になります。そういう意味で集団主義社会はとても経済的。正直者が報われるために使われるのが、評判であり、法、裁判といった保証機能となります。
ジェイコブスに「統治の倫理、商人の倫理」がありますが、社会と商人の社会は全く別のものであった時代は問題なかったけど、政治家が汚職するのは、商人のような行動があって、起業家が自社の利益を守るために消費者を平気で裏切るのも商人が統治者のように行動するためなので、人々が利益を追い求める姿は統治の倫理から見れば大いなる堕落に見えます。今の日本で倫理の復活が叫ばれるのも、今の日本で起きているのは、流動性が高まることによる安心社会から、信頼社会への移行期であり、倫理崩壊ではなく倫理の混乱となるのです。