紙の本
本が大好きな人が贈る本が大好きな人への一冊
2016/01/08 13:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっとひねくれているけれど、本を愛している気持ちそして本という文化を大切にしたいという思いがひしひしと伝わってくる良書。全面的な絶賛ではなく、時に悪態やアイロニーがそれを示唆しているのが面白い。偏屈で頑固で、だからこそ守り続けられるんだろう。芯が通っているもの。本を通して娘と出会い、妻と出会い、最期はあっけないけれど愛し愛されているものに看取られるのは、いい終焉だ。英米文学作品が散りばめられていて、未知だったそれらにこの本を介して出会うことができた。人生かけて全部読みたい。だからもう少しがんばりますかw
紙の本
本によって救われる
2016/04/25 16:56
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投稿者:桜花 - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻を亡くして以来酒浸りな偏屈な書店主・フィクリーが主人公です。
彼が小さな女の子を引き取ることになったところから彼の人生は書店を中心にして変わります。
彼の周りはいい人で彼自身も丸くなっていったからこそ後半泣きそうになるほど切なくなりました。
活字を愛していた彼が、と思えば思うほど。
でもそんな彼を周りはずーっと忘れず慈しんでいる感じがしました。
何かを失くしそれ以上のものを彼は得たんだと思います。
この本に出会えて、フィクリーに出会えてよかった。
私も愛してる、フィクリー。
紙の本
本は人生を豊かにする
2016/02/11 21:12
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投稿者:スイ - この投稿者のレビュー一覧を見る
妻が死んで以来孤独な生活を送る偏屈で島唯一の書店を営むフィクリー。ある日店内に赤ん坊が捨てられているのを発見。その子供・マヤを養女として育てることを決意する。そして新たな生活がフィクリーの周囲の人間との関係にも変化をもたらす。小扉ごとの本の紹介の意味に気づいたときはホロッときた。登場人物たちの本を愛する言葉の数々も魅力的です。
紙の本
ときどき読み返したくなる
2023/03/02 12:22
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投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんとなく、人恋しいときに読み返したくなる、ほっこりとやさしい本屋さんの物語。淡々とした文章の中にやさしさがあっていいです。
紙の本
心温まる話
2019/06/09 22:30
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投稿者:ワガヤ - この投稿者のレビュー一覧を見る
偏屈な書店主、フィクリーが主人公。幼い女の子を育てることに決め、そこから変わっていく。なんだかほっこり温かくなるような話。
紙の本
きれいな話
2016/11/15 19:36
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投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゾートがメイン産業らしい田舎の島(その割に治安悪い?)で一軒のみの書店を営むインド系やもめ男と、その書店に捨てられていた女の子のお話。以前読んだ古書泥棒の話でタマレーンの貴重さは知っていたので導入部の流れにあーららー…といった感想。一番魅力的なキャラクターは警察署長でディーヴァーファンのランビアーズ。一人暮らしの男性に女児を育てさせるのはないんじゃないかなぁと思いつつ、本のエピソードを交えながらきれいに収まっていく話は魅力的。
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すごくいい!読み終えたくなかった…。
まさかのつい最近観た「悪魔のようなあいつ」とのシンクロ。
とにかく小説がいっぱい出てくる。
まずは「サイラス・マーナー」、「善人はなかなかいない」を読むかしら…。
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妻を亡くして以来酒浸りな偏屈な書店主・フィクリーが主人公です。
彼が小さな女の子を引き取ることになったところから彼の人生は書店を中心にして変わります。
彼の周りはいい人で彼自身も丸くなっていったからこそ後半泣きそうになるほど切なくなりました。
活字を愛していた彼が、と思えば思うほど。
でもそんな彼を周りはずーっと忘れず慈しんでいる感じがしました。
何かを失くしそれ以上のものを彼は得たんだと思います。
この本に出会えて、フィクリーに出会えてよかった。
私も愛してる、フィクリー。
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「いくつかの悲劇は、暗く重いトーンをうみだすはずだが、著者はそれをユーモアでくるみ、ウイットを散りばめ、軽快な筆致で淡々と描いている」と訳者が言っているが、そのとおり。「火星の人」同様、こういう本は売れるんでしょうね。でも自分の好みではない。暗い話をユーモアで来るんだ本でお気に入りなのは、吾妻ひでおの「逃亡日記」。この本の登場人物は、良い人過ぎて居心地が悪い。
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一日のうちに再読することができた。さすがはベストセラー。読みやすさは保証する。主人公を書店主に設定した点で、ジョン・ダニングのクリフ・ジェーンウェイ物やカルロス・ルイス・サフォンのバルセロナ四部作を思い出させる。アイランド・ブックスは店主フィクリーのこだわりで文学関係が在庫の中心。犯罪小説や文学的探偵小説についても話には出るが、ミステリ色は薄い。それでも、E・A・ポーの稀覯書『タマレ-ン』が主人公の店から消え、そのかわりのように女の子が店に置き去りにされていた件などが、解かれるべき謎としてストーリーを前に引っぱってゆく役目を果たしている。
A.J.フィクリーは、大学院でE・A・ポーを研究し、学位論文まで書き上げていたが、後に妻となるニックと恋に落ち、妻の実家のあるアリス島で書店を開くため引越してきた。だが、店が軌道に乗ったころ、ニックが交通事故死する。それからは店の経営にも身が入らず、緩慢な自殺にも似た酒浸りの毎日。そんなフィクリーを変えたのは、店に残されたマヤという二歳の女の子と暮らしはじめてからだ。島で一軒の本屋を舞台に、孤独な男が本を通じて人と出会い、やがて別れてゆくまでの数奇な一生を描く。
各章の扉に、エピグラフ代わりにフィクリーが愛する短篇の表題と短いコメントが置かれている。これは娘マヤが大きくなってから読むために、フィクリーが書き遺した手紙のようなものだ。その章を象徴するというほどの強い意味合いは持たないが、そのなかにある「きみは、ある人物のすべてを知るための質問を知っているね?あなたのいちばん好きな本はなんですか?」という言葉が示すように、フィクリーという人物がどんな人間かを知るための手がかりとなる。先の引用はフラナリー・オコナーの『善人はなかなかいない』についてのコメントから抜き出したもの。フィクリーも、その恋人のアメリアもこの本が好きだ、という。未読の読者は読んでみたくなるだろう。
ほかには、ロアルド・ダールが二篇『おとなしい凶器』『古本屋』、スコット・フィッツジェラルド『リッツくらい大きなダイアモンド』、マーク・トウェイン『ジム・スマイリーの跳び蛙』、アーウィン・ショー『夏服を着た女たち』、J.D.サリンジャー『バナナフィッシュ日和』、E・A・ポー『告げ口心臓』、レイモンド・カーヴァー『愛について語るときに我々の語ること』等々。短篇好きのフィクリーが選んだ作品のいくつかをすでに読んでいた読者なら、共感すること請け合いの憎い趣向だ。個人的に、『バナナフィッシュ日和』と『夏服を着た女たち』は大好きな作品なので、それだけでうれしくなってしまった。
子育ての経験もない男やもめと二歳の少女の新生活が始まる。それを見守るためには始終書店に出入りする必要がある。それまであまり本を読まなかった島の警察署長ランビアーズは、二人と話をするために犯罪小説からはじめ、次第に文学に近づいてゆき、ついには読書会を主催するまでになる。この人情味溢れる警官とか、義姉で妻の死後何くれとなく世話を焼いてくれる高校で演劇を教える教師イズメイ、出版社の営業担当として島を訪れ、次第に惹かれあうことになるアメリアといった脇を固める人物が、よく描かれている。ただの善人というのではない、陰影のある人物として生きている。そのほかの登場人物も、それぞれプロットに深く結びつく形で、小説の中でその人生をまっとうしている。
ニックと付き合わず、ちゃんと大学院を出ていたら今頃はアメリカ文学の博士号を得ていたはずのフィクリーが周りの人と交わす小説についての話が楽しい。バイトの少女モリーが読んでいるのはアリス・マンロー。マンローの新作はどう?、とフィクリーに聞かれたモリーが「人って、なんだかわかんないけど、ときどきすごく人間的になるみたい」というと、「思うに、そこがだいたいマンローのいわんとするところじゃないかな」と店主が答える。マンローも好きな作家だが、フィクリーもよく読んでいるらしい。もっとも、プルーストの『失われた時を求めて』は第一巻で挫折している。短篇好きの彼らしいところだ。ランビアーズと話すのは、ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズで、イズメイとはアーサー・ミラーの戯曲『るつぼ』というふうに、相手が替わるととり上げるジャンルがが変わるのだが、フィクりー自身は変わらない。冒頭に出てくる嫌いな本の羅列は読みどころだ。マヤと交わす話も、成長するにつけてとり上げる作品が変化してゆく。彼がコメントを残さなくてはならなかった理由も最後になるとわかるようになっている。
マヤがこの島に来た理由も、ポーの『タマレーン』が盗まれた理由も、最後に明かされる。とってつけたようにではなく、なるほどそうであったか、というふうに落ち着くべきところに収まるのは、やはり、よく練られたプロットによるのだろう。再読してみて、そのまま読み過ごしていた箇所にそれとなしに伏線が張られていたことを知り、あらためて作家の技量に気づかされた。今後が楽しみな作家の登場である。
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愛する妻と二人で始めた島にただ一軒の本屋の主人・フィクリーは、妻を交通事故で亡くし、店で唯一の宝ポーの詩集を盗まれ、自暴自棄になっていた。
そんなフィクリーの店に二才の女の子が書き置きとともに置かれていた。フィクリーは女の子を警察に泊まらせるのはかわいそうになり、とりあえず家に預かる。
女の子の名前はマヤ。なんの抵抗もなくフィクリーになつくマヤ、フィクリーは養女にする。
マヤが心配で、町の人たちは本屋を訪れ、少しずつマヤにも本にも親しんでいく。
フィクリーお薦めの短編小説が章のタイトルになっていて、解説がついているのが面白い。
本の中にも、いろいろな小説のタイトルが出てきます。お楽しみです(^_^)
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40/1000
書店主フィクリーのものがたり
ガブリエル・セブィン
小尾芙佐訳
本好きの書店主フィクリーの物語。目次には、色んな作家の作品のタイトルがつけられ、本編ではいろんな文学作品の引用も多数つかわれている。本好きにはたまらない内容であろう。(わたしは勉強不足で全部は理解していなかった。)それらの知識を差し引いてもすきな作品でした。
孤独な書店主フィクリーをめぐり、淡々と物語はながれ、登場人物は善人ばかりではないけどどこかユーモラスで憎めない。
最後の作者のあとがき、訳者のあとがきも心にのこります。自分も本好きだったことを思い出させてくれた一冊。この本をきっかけに、ことしはたくさん本を読もうとおもいました。
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偏屈な書店主フィクリーさんが本という血と肉によって全く境遇の異なる三人で結ばれていき、まことの愛にたどりつく。
フィクリーさんを取り巻くアリス島の人間がそれぞれに愉快に書かれ、素敵なラブストーリーが展開されています。
この物語を読んでて、いろいろな短編小説が読みたくなってきました!
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世界は優しい。どんなに辛いことがあっても最後は自分を救ってくれる。…もちろん現実がそうではない事を我々は知っており、反証する枚挙に暇はない。それでも、物語の中でくらいそれを信じても良いじゃないか。とまぁ、壮大なマクラから入ってしまったが、物語の舞台は米東海岸の小さな島。本屋を営み、偏屈ながら本を愛するフィクリーの半生が描かれる本作。絶望から始まり、本を通じて人と繋がり、変化していく彼を見守ると、ほのかな世界の優しさを感じる。『人間は自分ひとりの孤島ではない』のだ。
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書店主、という言葉に魅かれて手にとる。
とはいうものの、本屋ネタか、というと、
まあそうなんだか、ちょっと違う感じでもある。
それぞれの人生の様子、といったような趣。
各章の最初に一冊の本の案内が。
それは作中の娘への読書ガイド(?)なのだろう。
本屋に捨てられる赤ちゃんは幸運だ。
結局どんな本を読むか、読まないか、はその人次第ではあるけれど、とある地点で、こーゆーのを読んでみては?という適切なアドバイスを受けることができるというのは、とても、とても幸せなことだ。
だからマヤは本当にいい父親をもった、と思う。
とある一冊が必要な時期、というのはきっとあって、
そして必要な時に、その本と出会うことができたら、
その人の人生はより、生きやすいものになる気がする。
実際、ああこの本はあの頃に読んでいればもっと楽になれたのに、とか、きっと違う何かを感じられたんだろうなあ、とう本が私にもある。
そうすればもうちょっとマシな自分になってたんじゃないかなーと思える一冊が。
妻を無くして、鬱鬱と生きていた男の人生に突然飛び込んできた赤ちゃん。
まさかそれを育てた上に、再婚にまでたどり着くとは、とびっくりしたら、その上更に、な展開にええっ、まだ展開するんだ、とびっくり。
それぞれの人生は哀しみも多くて、やるせないこともあるんだが、不思議と心が沈みこまない1冊。
それはそこに本があるから?