紙の本
芸術と科学
2016/12/03 23:08
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆう - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学と芸術という2つのものの境目は線じゃない。
実はぼやっとしていて、ここからが芸術、ここからが科学なんてなくて、ほんとは1つのカテゴリーなのかも。
そんな気持ちになる本です。
こんな新しい視点が、もっと多くの人に届いて欲しいと思います。
紙の本
美しい短編集の連続
2020/07/29 14:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kaaayooo - この投稿者のレビュー一覧を見る
福岡先生の大ファンである私は、先生の本を何冊か読んでいるけど、
この本は本当に美しい短編集なのではないかと思うくらい、
永久保存版の本です。
難解なことをわかりやすく、科学の視点から捉え、
福岡先生の美しい言葉のセンスにより、美しいセンス高い本になったという印象。
こんなにも素敵な本を出してくださって、ありがとうございます!
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著者のベストセラー『生物と無生物のあいだ』を思い起こさせるタイトルに惹かれて手に取った。
美術が好きな科学者って、意外と多いのかな?
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科学のなかに芸術をみる。相容れないと思われるふたつを面白い視点で結びつけてくれる。新しい発見。装丁も、すき。
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ほぼ1:1のアスペクト比が良い。ただ白いだけの装丁が良い。表題が活字でなくデザインされたフォントで書かれているのが良い。ちゃんとした活字だと日本語の場合、意味が目に飛び込んできてしまうので、記号化されているとデザインのひとつとして見れるから良い。こういう飾っても絵になる本は意外と好きだなぁ~。トイレの常備本として決定! 隠(ちん)思黙考のお供に。
ということで、久しぶりに買って読んだ本。日経新聞の連載をまとめたもの。約1000文字のコラムが74話。それぞれの話にひとつは役立つ話、目からウロコ的な情報が含まれていて、グイグイと読み進んでしまった。これはサラっと1度の素通りで読み終わるのはもったいない。時々手にして興味のあるところを読み返し、1話ごとに添えられたARTな画像を眺めながら思索に耽りたくなる(のでトイレ常備本に・笑)。
ミケランジェロ、フランク・ロイド・ライト、ロゼッタストーンに漢倭奴国の金印、赤外線写真から近頃日本で流行りのエアリーフォトまで、取り上げるジャンルが実に広範。
特に、自身が大ファンだというフェルメールを扱ったパートは質、量ともに重厚だ。ただフェルメールを取り上げていても、その切り口や付随情報は多様で斬新、個々の話それぞれ独立して楽しめる(新聞のコラム故、そういう作りになっているとはいえ、見事だ)。
かと思えば、1章でMOMAに飾られたイサム・ノグチの「エナジー・ヴォイド」という中空の作品を見て、自分自身がヴォイド(≒空虚)であることを思い出すという理由は、終盤の免疫システムを語るところで明かされたりする。曰く、免疫システム上、自分自身と反応する、まさに自己とも言える細胞は、将来の外的との戦いには用を為さないとして生育の途中で淘汰され、残るのは非自己な細胞というパラドックスから来るというのだ。
著者自身が、見事に芸術と科学の間に存在しているんだなぁ。いや、芸術だけでなく、森羅万象、様々な事柄に対して絶妙のバランスで立ち位置を確保している。本書で紹介される”ボロノイ分割”という幾何学の概念のように。
著者は生物学者だそうな。動的平衡という方丈記の”ゆく川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず”な理論の著作も有名だとか。本書の中にも幾度となくその理論に基づく解説があるが、理屈っぽくなく明快に簡便適切に説明してくれているので感覚的にとても分かりやすい。
この”感覚”というのが大事で、突き詰めればArtもScienceも感覚、感性、ひらめきの産物なんだな、という気がする。つまり、その間には、実は境界線はないのかもしれない(そこにもヴォイドが?!)
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日経の連載の単行本化。
題名の通り、芸術と科学が如何に強く結びついているかについて。
ピックアップされたお題に対して、福岡氏がどの様な視点で捉えているかがシンプルに述べられていて、とてもさわやかな刺激を与えてくれる本。思考マップとでもいって良いだろうか。
個人的には3章以降が良かった。
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分子生物学者にして、ベストセラー『生物と無生物のあいだ』等の多数の科学エッセイの書き手、更に芸術への造詣も深くフェルメールに関する著書も持つ福岡伸一氏が、日経新聞の日曜版に連載(2014年2月~2015年6月)した72のコラムをまとめたもの。
本書で福岡ハカセは、絵画、建築物、インテリア、歴史的な発掘品などの “芸術”(昆虫や動植物の姿のようなものも含まれているが)を取り上げ、それらと“科学”のあいだに見出した不思議な共通性・関係性について、徒然に語っている。
日系人ミノル・ヤマサキによる、尖がった高層ビルだらけのマンハッタンの突端に全く同じ形の二つの無機質な直方体を並べた、今はなき「世界貿易センタービル」ほか、フランク・ロイド・ライト、イサム・ノグチ、中世フランドルのタペストリー「ユニコーン狩り」、ロゼッタストーン、レオナルド・ダ・ビンチの手稿、金印「漢委奴國王」、レーウェンフックの顕微鏡、フェルメール、サルバドール・ダリ、ブリューゲル「バベルの塔」、アンモナイト、葛飾北斎「男波・女波」、丹下健三「国連大学」、ヴィレンドルフのヴィーナス、伊藤若冲、ランドルト環、カバのウィリアム等の古今東西の“芸術”が取り上げられている。
そして福岡ハカセは、現代では、文系と理系あるいは芸術と科学を分けることが当たり前のように考えられているが、今から3~4百年前はそれらを分離する発想などなく、フェルメールもガリレオもレーウェンフックもスピノザもニュートンもライプニッツも、世界の在り方・在り様を捉え、書き留めたいと望み、其々が其々の方法でそれを成し遂げたのであり、その根本にあるものは、現代でも通用する「この世界の繊細さとその均衡の妙に驚くこと、そしてそこにうつくしさを感じるセンスである」と語っている。
凝り固まった世界の捉え方を解きほぐし、“Sense of wonder”を刺激してくれる、福岡ハカセにして書き得るコラム集である。
(2015年12月了)
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常々感じることがある。日本の教育制度が、かなり早い段階で ー中学とか高校のレベルでー 文系向き、理系向きという区分を作って仕分けをしてしまっていることは大いなる問題だ、ということだ。中学・高校レベルの数学や物理の好き嫌いや成績の良し悪しだけで、若い知性の芽が摘み取られるのはたいへん不幸なことだ。
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[2016年4冊目]
世界の芸術作品や建築物、生物的な仕組みに対して、科学的分析や推論から新しい見方を提供するコラム本。本来芸術と化学は不可分だったという著者の主張通り、観点を分けることなく綴られている。
世の中で素晴らしいと評価を受けている作品に対して、また日常の中に潜む素晴らしい発見に対して礼讃の言葉を与える一方で、その価値の真偽を問うような推論をいろんな角度からぶっこんでいる。
作品を作品のまま見ない。
別次元の知識や見解を持ち込むことで、絵が絵ではなくなり、建築物が建築物ではなくなって、他のものとしての側面を読者に見せている。これは色んな分野に精通している作者だから書けるコラムなんだろうと感じる。
自分の仕事や作品に対して、全く別次元からインスピレーションを得たい人には素晴らしい本。(自分はWebサービスのUX・UIの知見を深めるために、ギブソンとノーマンの「アフォーダンス」の概念を勉強したいと思った。)
別次元からの知識と知識を結びつけて新しい上位概念を生み出し、それを仕組みとして伝播させることを「イノベーション」と称するなら、イノベーションの源泉となる学びがいっぱい詰まった著作だった。行き詰まったときにふと読みたくなる本。
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読書録「芸術と科学のあいだ」4
著者 福岡伸一
出版 木楽舎
p189より引用
“生命は作ることよりも、壊すことに一生懸
命なのだ。それは、たえまなく壊し・作りか
えることが唯一、系の内部に不可避的に蓄積
するエントロピー(乱雑さ)を外部に捨てて、
生き延びる方法だからである。”
目次から抜粋引用
“マンハッタンヘンジ
聖女プラクセデス
バベルの塔
ミミクリーズ
カバのウィリアム”
生物学者である著者による、科学と芸術の
関連性について記した一冊。
人の手による作品から自然物の造形まで、
カラー写真と情感あふれる文章で描かれてい
ます。
上記の引用は、中銀カプセルタワービルに
ついて書かれた話での一節。
常に少しずつ調節をし続けなければ、生物も
物も長くは存在できないということでしょう
か。自分のお気に入りの物も、自分の体も、
いつも気にかけてメンテナンスをしておくの
がいいのでしょうね。
芸術の中でも、いいなと思えるものとよく
わからないものがありますが、どのようなも
のにでも某かの値打ちを見いだせるような人
でなければ、科学者としてやっていくのは難
しいのかも知れないですね。
ーーーーー
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★知らない話ばかりで勉強になる、だけでなく「衣鉢を継ぐ」とか「持ち重りのする」とかあまり見ない表現にも出会えて語彙も広がる。(私が勉強不足なだけだが。)まさに教養が広がる一冊。
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福岡さんのコラムが好きです。
あんなにいろいろ書いていてよく研究も出来るなと思います。
研究だけに没頭していただいてもいいですよ、
と言いたいくらい。
でも本当に博識で豊かな感性にはただただ敬服いたします。
いつも新しい世界をありがとうございます。
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一編のコラムごとに、素敵な「写真」がついているのがミソですね。
改めて「科学する」というサ行変格活用の動詞を思ってしまいます。
こんなふうに、世の中にあるものを見つめていくと
ほら こんなに楽しいぞ
ほら こんなに興味深いぞ
ほら こんなに不可思議だぞ
ほら こんなにおもしろいぞ
たしかに 素敵な ものの見方を
ちょっと 教えてもらった気がします
それにしても この「… の あいだ」
の タイトル
もう少し、ひねって欲しかった
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福岡伸一先生は科学者でありながら、芸術好きで文章を書くのがお好きなので、自分にはない視点で解説されていて楽しかった!理系的センスがあると人生楽しいだろうなー。
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日経新聞でいつも愛読していたコラム。著者の代表作である「生物と無生物の間」で動的平衡という思考に感銘したが、本書ではアートを対象にすることで人間の科学の奥深さが腹に落ちる。これからも科学と芸術への興味が尽きないと本書が教えてくれる。