紙の本
面白かったです
2021/11/19 10:27
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投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次ポエニ戦争、すなわちローマ対カルタゴの第二戦のノベライズ化であり、ローマ人スキピオの成長物語でもあります。身内や部下を殺され、仇敵であるはずのハンニバルを天才と認め、その反面自分の凡庸ぶりを自覚し、ハンニバルを研究し模倣するところにスキピオの非凡さそして人間力を感じました。ハンニバルに関しては、物語がスキピオ目線で進むためにその心情が伝わらず、終盤まで恐ろしいだけの無機質な存在であり続けました。そして両雄が実際に会ったときにハンニバルもやはり情緒のある人間であることが見え、感動的ですらありました。
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大好きなスキピオとハンニバルの戦いをいつか小説で読みたい、と思っていた願いが叶った本作。しかも大好きな作家さんで!
小説でしか描かれ得ないであろうスキピオの苦悩と、自身を凡夫であると割り切る天才さに惚れ直しました。
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第二次ポエニ戦争をスキピオの視点で描いた作品。
自分やローマを過信した始まりから、ハンニバルに打ち破られ研究する中盤、包囲殲滅戦を実践しハンニバルを破る終盤へと話が進む。
スキピオ視点のため、最後になるまでハンニバルを登場させないのがいい感じ。
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第二次ポエニ戦争をスキピオの側から描く、ハンニバルとは何者なのかスキピオとは、戦争の歴史とは?
戦争などこの世界にとって無意味だ、何ひとつの善ももたらさなかった。
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第1部は,頼りないながらもおぼっちゃま然とした人の良さのスキピオの視点から語られるハンニバル.第2部は,成長したスキピオがハンニバルに倣って戦争に勝っていく様子.ハンニバルというが,ローマ側からのハンニバル戦争の様子がよくわかる.そして「凡夫が勝つ」というのに納得.
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古代ローマの第二次ポエニ戦争(別名ハンニバル戦争)の歴史小説。
大スキピオ(後のスキピオ・アフリカヌス)視点で、作者お得意のモノローグ構成となっています。
塩野さんの「ローマ人の物語」でのハンニバル戦記が印象に残っていたので、ハンニバルの人物像には違和感なく、スキピオも成長することで人物像が一致してきました。
物語としてはスキピオの成長譚という感じで、父が死ぬまではお坊ちゃま風で敗戦で生き残るのに必死だったのが、イベリア戦線、カルタゴ戦線を指揮して勝利を続ける段階ではぐんぐん成長していくところが面白いです。
できれば、物語に出てくる地名は網羅された詳細な地図がほしかったところです。
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読み始めは、その主人公の現代風のチャラい若者風情に、よくある歴史上の出来事を今風に読みやすくってやつか、失敗したかぁ、と思ったのもつかの間、主人公の挫折を経ての場面の転換はなかなかのものかと。中、後半はややあっさりな面もありつつ、全体としてはいいバランスであったのかなと。あ、あと、戦闘の考証がきちんとされてる印象で(というかそこが話のミソでもあるわけだから当然だが)、そこも好印象だった。
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久し振りの佐藤賢一だが,ハンニバルの話でなくてスキピオ~貴族の奥方との逢瀬を執政官である父親に抑えられた17才のプブリウス・スキピオは父と一緒に出征することになったが,行き先はガリアでカルタゴの騎兵と遭遇戦になったが,恐れるべきものはない。ハンニバルはアルプスを目指し,ローマ軍は本国に引き揚げ,ティキヌス河で冷たい河を渡ってカルタゴ軍を追うが,ヌミディア騎兵に後から追われ,父親の危機を自らの危険を顧みずに救った。カルタゴ軍はローマ軍の3倍いたから勝てなかったのだ。トレビア河ではカルタゴ軍の挑発に,朝食も摂らずに出撃し,歩兵は渡河の寒さに気絶しても立ち上がり,カルタゴ軍が横一列で待っているだけでなく,伏兵が河から現れて,挟み撃ちに遭い,辛くも中央突破が叶った。ローマに戻ったスキピオは,ルキウス・アエミリウス・パウルスを父から紹介され,その15才の娘パウラと婚約し,義父と共にハンニバルに立ち向かう。ローマに迫るトラスメヌズ湖では2万5千の兵団の内,死者が1万5千と捕虜が1万,ハンニバルは強いと認めざるを得ない。独裁官のファビウスは不戦作戦だが,百人隊長として臨んだカリクラ峠の封鎖線では二千頭の牛の角に松明を付けて驚かされ,逃亡を許してしまった。カンナエでは負けるはずのない会戦でカルタゴ軍を歩兵が押しに押して後退させたが,ヌミディア騎兵に後に付かれローマ軍は殲滅され,這い回って戦場を逃げ出し,妻と男児が二人待つローマに帰還した。5年後,コリナ門で初めてハンニバルの顔を見て,槍を投げつけられたスキピオは必死でハンニバルの戦い方を研究した。やがて,イベリアから父と伯父の戦死が伝えられ,なり手のないイベリア方面司令官に前例がないまま30才を前に立候補し,到着すると通常20日の行程を7日で強行し,カルタゴノウァに辿り着き,風と潮汐を利用して,干潟を渡抄し手薄な西側城壁をよじ登って陥落させた。バエグラではハンニバルの弟・ハスドバル・バルカを小高い丘に追い詰め,殲滅しようとしたが,騎兵の質の差は否めず逃がしてしまったが,ヌミディアの王子マシニッサの甥を捕らえ,無償で解放して恩を売ったが,ハスバドルはハンニバルと合流するため,アルプスを越えていった。イリパでも殲滅戦は成立せず,ハスドバル・ギスコに逃げられた。ヌミディア騎兵を手に入れなければならないスキピオは,西ヌミディアの王と盟約を結ぼうと出向いて思いがけずギスコと食卓を共にする。ローマに帰還したスキピオは,30才を前にして執政官に立候補し当選を果たすが,専制を嫌うファビウスとの妥協でシキリア方面に派遣された。数年を掛けてアフリカに陣地を構え,小競り合いを演じてカルタゴ本国にハンニバルを呼び戻させ,象も研究し,ヌミディア騎兵を手に入れてザマで決戦に挑む~ハンニバルがアルプスを越えてイタリアに侵入した理由は,第一次戦役でシキリアは仕方ないが,サルディーニャとコルシカを掠め取られたのが悔しいからだと!!
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カルタゴとローマのポエニ戦争.ローマの貴族,のちの指揮官スピキオが主人公.有名なハンニバルのアルプス越えは割とさらっと書かれている.佐藤憲一の登場人物はしょっちゅう「はん,」という「ふん」でも「へん」でもない.それさえなければ星4つなのに.
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ハンニバル戦争におけるスキピオ・アフリカヌスの成長物語。
佐藤健一は英訳したら欧米でも結構売れそうな気がするんだけどどうなんだろうか?
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前半の頭の悪そうなスキピオ像がとても気持ち悪い。
当時のローマ人の考え方、歴史的資料による研究でのスキピオ像というならば納得せざるを得ないが、このような考え方の人物では到底、現在に伝えられる歴史的偉業を成し遂げることなどできなかったのでは。
後半に、このままでは勝てない。勉強しる。と奮起するのは構わないが、書物による技術習得など当時では限られていたに違いない。
つまり、座学では得られなかったはずなのだ(何故なら、以前の斜線陣に対抗する機動力による包囲殲滅作戦が骨子だからだ)。
そんな人物像が表に出てこなくなる後半になるとやや面白味が出てくる。ただ、どうしても分量が足りない。一つ一つの戦闘が微妙に省略されているようで、折角の筆力が読者に伝わってこない。そんな気がしてならない。
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カルタゴとローマによる第二次ポエニ戦争“ハンニバル戦争”の歴史小説です。
大スキピオの視点で物語が進みます。
王政廃止後のローマは第一次ポエニ戦争勝利によって地中海での覇権を握り、強大な民主国家として君臨していました。
しかし対岸に位置するアフリカの大国カルタゴは、戦後闘志を燃やし続けていたのです。
その中で、大将軍となるハンニバル・バルカが現れます。
ハンニバルは兄弟と共に欧州へ侵攻し、ローマへ迫ります。
天才的な戦術によって、土地勘があるはずのローマ側に惨敗を重ねさせるのです。
大スキピオは実父や義父等を失いハンニバルを呪い憎みますが、同時に彼の天才的手腕を崇拝します。
伝統的なローマの戦術ではなく、ハンニバルの戦術を勉強し模倣することに決めるのです。
その後も史実の通りに、著者による筆で生き生きと戦場が描かれます。
第三次ポエニ戦争については触れられませんが、ローマの機運の盛り上がりが少しだけ感じられます。
登場こそしませんが、小スキピオの存在をそこに感じるのです。
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塩野さんのローマ人の物語で手に汗握って読んだハンニバル戦を佐藤さんの筆で読めてとても嬉しい。戦図を添えてくれたのも懐かしい。もっとたくさん添えてほしい!
ハンニバルの戦術を若スキピオが追いかけて追いかけて、ついに返して破る。二人は同じ年に死ぬ。奇なり~と思って本を閉じた。
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時は紀元前三世紀。広大な版図を誇ったローマ帝国の歴史で、史上最大の敵とされた男がいた。カルタゴの雷神・バルにあやかりつけられた名はハンニバル。戦を究めた稀代の猛将軍・ハンニバルが今、復讐の名の下にアルプスを超えた。予測不可能な強敵を前に、ローマの名家出身の主人公・スキピオは、愛する家族と祖国を守り抜けるのか?
主にスキピオ・アフリカヌスの話であり、スキピオの目から見たハンニバル戦争。
ラストはザマで、最後の決戦を迎える前日にハンニバルとスピキオが2人で対面するシーン。こちらは一読の価値がある。
ハンニバル戦争の事を俯瞰的に知りたければ、
塩野七生氏「ローマ人の物語ーハンニバル戦記ー」がおすすめである。
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読みやすく、面白かった。ハンニバルは言わずもがな天才だが、スキピオにも天才だというイメージを持っていたので、若い頃は生意気で、しかしハンニバルの脅威を幾度なく目の当たりにし、努力を重ねて勝利するスキピオというのは新鮮だった。もっとこういう口当たりのいいローマを舞台とした小説が増えてほしい。
大カトーも出てきて欲しかった気がする。彼も強烈なキャラー持っているので。