紙の本
短歌を始めたい/始めた人に!
2019/06/25 12:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あ - この投稿者のレビュー一覧を見る
穂村弘以降の歌人の魅力を平易な文章で簡潔に伝えています。コラムでは学生短歌会や歌集の手に入れ方についてなど、短歌をやっていく上で有用な知識が述べられており、ビギナーには必読とも言えるでしょう。引用歌も多めでボリュームある1冊です。
紙の本
現代短歌のベストアルバム
2016/02/14 10:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あんまんまん - この投稿者のレビュー一覧を見る
短歌が面白そうだと思いはするものの、なにから手をつけたらいいかわからずインターネットで著者のブログを見つけた。穂村弘や現代歌人の解説を書いているが、いまいち首肯できないことが多い。私が短歌に詳しくないせいだろうか。けれどやめることなく記事は投稿されていく、情熱を感じる。
本書でもブログでの印象はあまり変わらない。文字数の制約もあるのだろうが、あまり納得できない解説(わたしが依然勉強していないせいでもある)、そして情熱。情熱という点ではブログ以上であろうか。1970年代以降に生まれた歌人40人から、それぞれ52首ずつ、計2,000首以上が精選されており、著者の情熱によるものでしかない。
紹介されるのはよく話題にあがる笹井宏之や中澤系から、様々な特徴を持ったバリエーション豊かな歌人を広く取り上げている。日常の鮮やかな一瞬を切り取ったものもあれば、奇妙な連想に支えられたもの、震災が落とした影や、異性(もしくは同性)の恋愛関係、果ては全くふざけた短歌まで様々だ。5・7・5・7・7の音律の中では、ほんのささいなこと、くだらないことが一つの作品となり、不思議な感触を持ち始める。短歌となる。
ブログでは紹介されていた歌人の多くは削られ、そのぶんそれぞれの個性が際だっている。けれどその個性は理解を遠ざける距離を意味しない。同じ空気を吸う歌人による作品の中には、共感や発見、驚きをもたらすものがあるはずだ。幸福な時間や失敗の瞬間、日常の倦怠の中で、ふと思い出される短歌がある。鼻歌を口ずさむように、気持ちが軽やかになっていく自分に気づく。
本書は現代短歌のベストアルバムとでもいうべきものだ。読めば、お気に入りの歌人が見つかるだろう。著者はあとがきで「21世紀は短歌が勝ちます」と書いているが、あながち間違いではないように思われる。
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◯ 新しい町で暮らせば新しい自分になれる(はずもないのに)
松村正直(24p)
◯ 七百円の中トロを食ふ束の間もわれを忘れることができない
田村元(114p)
◯そんなわけないけどあたし自分だけはずっと16だと思ってた
加藤千恵(173p)
◯忘れずにいることだけを過去と呼ぶコットンに瓶の口を押しあて
大森静佳(237p)
◯喪、とふ字に眼のごときもの二つありわれを見てをり真夏真夜中
吉田隼人(250p)
★1970年以降生まれの歌人40人の短歌がまとめて読める。意外にも面白くて恐れをなして引き返した。いつかもう一度訪れたい。
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若い歌人たちの紹介。
鮮烈。
今は亡き、中澤系。
”3番線快速電車が通過します理解できない人は下がって”
歌集の最後の。
”ぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわれてしまったぼくたちはこわ”
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おそらく詩集というものを初めて呼んだ。よかった。歌人も歌人が作った短歌も、すごい個性がある。それでもって、短歌って感情や情景を凝縮したものだから、読むと心揺さぶられるものが多かった。この詩集をきっかけに、もっと読みたいと思える歌人も見つかった。みんなにおすすめ。
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編者の自己顕示でいやになる。
アンソロジーを編む資格があるとも思え無い。
選ばれている歌人はちゃんとしている。
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山田航(1983年~)氏は、立命館大学法学部卒の歌人。角川短歌賞、現代歌人協会賞等を受賞。短歌誌「かばん」「pool」所属。
本書は、1970年代以降に生まれた現代短歌歌人40人について、それぞれの作風や現代短歌界での位置付け等についての評論と短歌各56首を紹介したアンソロジーである。著者は、20代半ばから足掛け5年に亘って、ブログ「現代歌人ファイル」で200人以上の歌人を紹介してきたが、その中から特に気に入った40人を選び、内容については全て書下ろしている。また、姉妹本となる瀬戸夏子の『はつなつみずうみ分光器 after 2000 現代短歌クロニクル』が2021年に出版されているが、本書には、同書が取り上げている穂村弘、枡野浩一や最も若い世代は含まれていない。
私は50代の会社員で、最近短歌に興味を持ち始め、俵万智、穂村弘、東直子、木下龍也等の歌集や短歌入門書を読み、半年ほど前から新聞短歌に投稿している(最近ぽつぽつ採用もされるようになった)ものの、全くの自己流のために不安を覚えていたところで、書店で本書(と、上記の『はつなつ』)を目にして迷わず購入した。
即買いした理由は、40人の歌がまとめて読めるというお得感(合計2,000首以上!)もあるが、何より、各歌人についての評論が役に立つと思ったことによる。
そして、一通りページを繰ってみて感じたのは(全くの短歌素人ゆえだろうが)、かくも多様な型の歌を詠む歌人がいることの驚きと、かくも多数の全くわからない歌があることの不思議と、やっぱりこれは面白いと思える歌人がいることの喜び・安心感だった。
その中で最も参考になったのは、岡野大嗣と木下龍也のところに書かれた「個の詩型」と「場の詩型」という見方・分析であった。岡野について書かれたそれは、以下のようなものである。
「第一歌集『サイレンと犀』のあとがきには、「僕の短歌は、岡野大嗣という人間のモニュメントになんてならなくていい。」と綴られている。これは近代短歌の精神に真っ向から歯向かう考え方だ。近代短歌は「読み人知らず」の精神を否定し、「ここにかけがえのない僕がいる」と叫ぶことを是とする「個の詩型」だ。そして現代短歌もおおかたはそれを踏襲する。しかし岡野は、「僕の存在」を叫びたいのではなく、「ふとした瞬間に兆した何らかの感情」を共有する超時空のコミュニティを作るために短歌を提出しているようだ。「個の詩型」ではなく、「場の詩型」としての短歌を志向している。こうした姿勢は、短歌のポストモダンへの一つの回答となりうるだろう。」
また、木下についても、「その作風も、「個」よりも「場」を重視し、作者のオリジナリティとか「内面」なんてものをはなから信じない。ポストモダン的な態度としてごく自然なものだ。」と書かれている。
私にとっては、歌についても、40人の中で岡野と木下が最も面白く、共感を覚えたのだが、それには上記分析のような裏付けがあることがわかったし、自らもそのような視点・アプローチで歌が続けられればと意を強くすることができた。
様々な若手現代短歌歌人に触れて、自分に合う歌・歌人・読み方・詠み方を見つけることができる好著といえるだろう。
(2021年12月了)
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小高賢がまとめたアンソロジー以降の短歌の流れをざっと把握できたのでよかった。気になるのは、内心や社会との関係を歌う歌人が増えたせいか、ナイーブ芸や弱者芸の歌人が鼻につく点。ナイーブさとか弱さを人間が持っていることやそれを見つめる心の動きは否定しない。そうではなくて、ナイーブさを圧殺したり弱者ポジションから這い上がったりしなければいわゆる「普通」の生き方はできないわけで、そういう過程を歌わないのはリアルでなくない?逆にナイーブな弱者のままでいるなら生活保護を受給したりホームレスをしたりしないといけなくなっちゃうけどそういう歌がないのはなぜ?リアルでなくない?と思うんだわ。生活はしていけるし短歌も読めるだけのインテリジェンスはあるけどナイーブで弱い、そんな極めていい塩梅のポジシションなんて存在する?仮に存在するのであればなんでそのポジションの人ばかり短歌に参入してるの?気持ち悪い!
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1970年以降に生まれた歌人、40人のプロフィールと歌が見開き4ページずつ載っています。
短歌の本でこれだけたくさんの歌と歌人が載っていて税別2200円というのはもの凄くお買い得感のある一冊です。
短歌を読んだり、詠んだりされる方は、穂村弘さんの『はじめての短歌』が教科書とすれば、この『桜前線開架宣言』は副読本として手元に一冊あればいいかと思います。
ページ数は270ページしかないのですが、短歌はひとつひとつ気持ちを切り替えて読まないといけないせいか、読むのに足掛け4日かかりました。
コラムも
・歌集の入手方法
・歌集ってどういう出版社から出ているのか
・学生短歌会って何?
・口語と文語はどうちがう?
など充実していて、巻末にはブックガイドもついています。
現代短歌のBibleといってもいい本かと思います。
こうしてまとめて何人かの歌人の歌を読むと、それぞれの歌人のカラーがはっきりわかってきました。
短歌って、ただ単に語呂合わせしているのではなく、相当奥深いものだと思いました。
歌人はどういう独自の視点で歌を詠むかという命題を皆、持っているということがよくわかりました。
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短歌を読んでみたい、でもどれを買えばいいかわからないという方におすすめ。
沢山の歌人と歌集に出会えること間違いなしです。
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初めての歌集。短歌の知識は「国語の授業でそんな単元があったなあ」くらいのレベル。Twitterで素敵な短歌が流れてきて興味を持っていた所に図書館で見つけて、借りてみました。
正直まったく理解できない歌もたくさんあったけど、見開きにいくつかは本を脇に置いて世界に浸りたくなる歌もあって、めちゃくちゃ時間をかけて読みました。
映画や小説のワンシーン、いや、映画や小説が一本作れるような情報密度の高い歌が2000首以上。もう感情が大渋滞。しかも40人の歌人それぞれに編者の解説付き。とても贅沢な本でした。
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1970年以降に生まれた40人の歌人がピックアップされてる
初心者としてとにかく短歌を数浴びたい自分としては最高のアンソロジーでした
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脇道に字数さきすぎてない(フラワーカンパニーズとか)ってたまになるけどすごいわかりやすくて楽しい筆がのってるところはファンになってから読んだら楽しいんだろうな
色々な短歌を知れて良かった
瀬戸夏子のレディメイド的サンプリングは面白い。切り抜かれると判然としない説明的な言葉は理屈っぽさが残ってる感あるけど(正岡子規かぶれ並感)一連の作品として触れてみたい
小島なおの良さとか素直に好き
野口あや子少し啄木感じてたらかなしき玩具譚
服部真理子好き
木下龍也はバズる参考になりそう
松村正直とか花山周子とか籔内亮介とか好きかなだいたい全部面白いけど