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雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り 新版 (朝日選書)
著者 藤木 久志 (著)
飢饉と戦争が相次いだ日本の戦国時代、まともに耕しても食えない人々にとって戦場は数少ない稼ぎ場だった。雑兵たちの営みを通すと見えてくる、意外な戦国社会像。新エピソードや史料...
雑兵たちの戦場 中世の傭兵と奴隷狩り 新版 (朝日選書)
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商品説明
飢饉と戦争が相次いだ日本の戦国時代、まともに耕しても食えない人々にとって戦場は数少ない稼ぎ場だった。雑兵たちの営みを通すと見えてくる、意外な戦国社会像。新エピソードや史料の誤記を訂正した、1995年刊の新版。【「TRC MARC」の商品解説】
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傭兵と奴隷狩り。
2008/12/13 22:59
16人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
旧版は読んだ事があるが、網野善彦氏の本の中でペルーやメキシコのグアダラハラ(元フジテレビの政井マヤアナウンサーの祖母が住んでいるところだったから、ひょっとすると先祖かな、とも思ったが)に住んでいた日本人について閉ざされた社会としての日本論を批判するつもり?で嬉々として論じていたので、この本を思い出して改めて読んだ。文禄・慶長の役で奴隷商人に売られた朝鮮人をモデルにルーベンスが描いていた事を書いた本があったが、多分グアダラハラやペルーに住んでいた日本人-網野氏の本では日本人としての名前を無くした下層身分に位置していたように書かれていたので、奴隷狩りで売り飛ばされたのだろう。考えようには、奴隷として売り飛ばされた人々を「海外雄飛」と勘違いしているようでは網野史学は大した事はないね。
奴隷、といっても同時代のマムルーク朝やオスマン・トルコみたいに宰相や有力者の地位に就く社会や古代ローマ時代のように解放奴隷が高い地位に就ける社会もあるが、ここで書かれているのは生きていられるだけまし、という話だ。
文禄・慶長の役で日本に連行された朝鮮人の中には士分に取り立てられたり、それなりの地位に就いた人もいたと言うが(九州の陶工達がいい例だ)、例外なのかしら?
そう言えば弘安の役の際に江南軍に属して幕府軍の捕虜になった旧南宋の将兵だけは助命されて御家人達に分け与えられたというが、その後はどうなったのだろう。
傭兵について著者もフレデリック・フォーサイスの「戦場の犬たち」を例に挙げているように現代のプロフェッショナルとしての傭兵をイメージするものだが、よく考えてみればフランス革命での反日分子がお嫌いな国民国家形成と結果としての徴兵制が生まれるまで、ヨーロッパ社会の軍隊は傭兵隊が主流だった。今のフランスやスペインの外人部隊や英軍のグルカ兵部隊と教皇庁のスイス人衛兵は、その後裔だ。だからオランダ人やスペイン人に雇われた日本人傭兵は、当時のヨーロッパ社会の傭兵隊の延長線上だ。