紙の本
新人さんとは!
2016/06/26 16:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナウシカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これが、新人さんとはの作家さんとは、驚きです。それぞれの話の風景が、はっきりと見えてきます。この才能に脱帽です。
紙の本
この雰囲気はいいですね。
2016/06/19 20:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koji - この投稿者のレビュー一覧を見る
5編の短編をまとめたこの作品はどれもがえも言われぬ独特の雰囲気があって、作品の世界観にどっぷりと浸かることができて頭の中でその世界が広がっていきました。
ミステリーという形をとっていますが、謎解きの部分がなかったとしても物語として十分な魅力に溢れるものばかりでした。
中でも「大雨とトマト」はなんとも言えないユーモアと、いい年をした男のバカさ加減というか、愚かさがとても上手く表現されていて男としては苦笑してしまいますが一番好きな作品でした。
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内容(「BOOK」データベースより)
美しい庭園オーブランの管理人姉妹が相次いで死んだ。姉は謎の老婆に殺され、妹は首を吊ってその後を追った。妹の遺した日記に綴られていたのは、オーブランが秘める恐るべき過去だった―楽園崩壊にまつわる驚愕の真相を描いた第七回ミステリーズ!新人賞佳作入選作ほか、異なる時代、異なる場所を舞台に生きる少女を巡る五つの謎を収めた、全読書人を驚嘆させるデビュー短編集。
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表題作の語り手が、事件に関わってしまった自分の娘に対して何の感情も示さないのが、事件そのものより怖い。
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短編集。真っ向の犯人当てと言うより、物語の核に謎がある。異国の描写が読みやすい。人に対してドライな印象を持った。小川洋子を感じた。表題作と氷の皇国が好き。
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美醜を突き詰める気高い筆致、一貫した無常観に作家性の強さがあって、作者は今後すごいことになりそう。というかもうなってる?
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深緑野分さんのデビュー短編集。
面白かった。ミステリーを読み慣れている方からすれば物足りないところなどきっとあるのでしょうが、私はあまり読まないジャンルのせいか満足です。
欲を言うと、表題作はあまり現実的なところ(ネタバレになるので詳しくは書きません)は感じさせずに、ファンタジーな世界観のまま最後まで行ってほしかった…かな。
2作目の『戦場のコックたち』も面白かったので、今後がとても楽しみな作家さんです。
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図書館で。
面白くない訳では無いけれども…という感じ。
オーブランの少女は色々無理がある気がする。ユダヤの女の子のシェルター、という着眼点は面白いけどわざわざ生活苦の子供たちを集めたのもなんだかなぁ?という感じだしオネエサマの豹変ぶりもちょっとおかしい。さらにその後のエピソードまで年が立ちすぎてないか?というような。なんか…うん、無理があるんですよね…。
大正ロマンみたいな女子学生さん二人の話が一番可愛かったかな。あまり罪のない感じが。他の話はあまり印象に残らなかったかな~
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舞台となる国、時代は様々ですが、どれも見事な筆致で描かれています。キャラクタの設定も良くできています。少しブラックなところがあるストーリーも魅力的です。
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ファンになってしまった……『氷の皇国』は手がかりの配置や事件後の途切れることのない緊張感、意外な人物の推理によるクライマックスの盛り上げなど1番好み。ケーキリア皇女がな、本当に良くてな……。
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5編の作品を収録した短編集。
各短編に共通しているキーワードは”少女”
元気な少女、儚げな少女、したたかな少女、と単に少女といっても、色々なイメージが浮かんでくるのですが、この短編に出てくる少女たちは、そうしたいずれのイメージのどれかには当てはまる、そんな気がします。
表題作の「オーブランの少女」は儚げで美しい、しかし残酷な短編。
老婦人の姉妹の殺人事件。その真相は二人の子ども時代にある、という話です。
箱庭のような美しい土地”オーブラン”で共同生活を過ごす少女たち。安心、安全な生活を過ごしながらも、彼女たちを監督する先生たちの言動や、集められた少女たちの境遇など、その生活はどこか不穏で、危うげな雰囲気が漂っています。そうした美しさと危うさのバランスが絶妙!
そして、その危うさの真実が明らかになる後半も、思わぬ展開でビックリ! ミステリですが、単にミステリの枠に当てはまらない不思議な短編でした。
もう一つ印象的だった短編は、最後に収録されている「氷の皇国」
舞台となるのは、皇帝の独裁によって支配される古代の王国。そこで皇太子殺害の疑いをかけられ、死刑に処せられようとする少女が主人公の短編です。
それまでの短編が仕掛けや構成で魅せるタイプのミステリだったのですが、そこから一転してのロジックを使った本格ミステリが展開されます。
舞台設定も珍しく、また主人公たちが死刑から救われるのか、というハラハラ感も加わり、非常に楽しかった短編です。
各短編本当にバラエティー豊か! 少し先が読めるものもあったものの、手を変え品を変え、様々なタイプのミステリを仕掛けてくる、著者の深緑さんの筆力はかなりのものだと思います。
そして、それぞれの短編に共通する一種の残酷さや、したたかさも物語に、いい刺激を加えてくれているように思います。
デビュー二作目の『戦場のコックたち』でものすごく話題になった深緑さんのデビュー作だけあって、その実力の片鱗を感じさせられる短編集でした。
第7回ミステリーズ!新人賞佳作「オーブランの少女」
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日本人が日本語で書いているはずなのに、
ディケンズの翻訳ものを読んでいるような
「高貴な」感じが漂っている。
舞台設定も、どことも分からぬ異国
(後に判明しますが)だったり、
大正時代(?)の女学校の寄宿舎だったりと、
今となっては誰も「正解」を知らない世界で...
中々の「異世界」感(^ ^;
でもその設定の中で、
揺れ動く登場人物の心象が丁寧に綴られており、
また日常の何気ない生活の一コマが
ありありと眼に浮かぶリアリティがあって(^ ^
ものすごい「名作感」がにじみ出ている(^ ^;
創元推理文庫だし、一応はミステリに分類しましたが、
「謎解き成分」は主ではない感じ。
何と言うか、もっと「純文学感」が前面に出てる(^ ^;
...やたらと「感」が多いですが(^ ^;
それほど、読んでて色々と感じるところがある、
と言うことで、一つ(^ ^;
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先日読んだ「戦場のコックたち」がなかなかに面白かったので作者のデビュー作も読んでみました。
で・・・まあなんというか「創元」っぽい感じの話だな、と。割と軽めの短編集なんですが「少女」をモチーフにというテーマがあるようで。
それなりに面白く読みましたが、女性作家に多い「なんとなくイヤミスっぽい」感じが多かったように思いました。「少女」で「創元」だもんなあ。まあそうなるかなあ。
とりあえずタイトル作の「オーブランの少女」についての感想なんですが・・・まあデビュー作だから荒削りなんでしょうけどもちょっと無理やり感が。たとえば、実はユダヤ人狩りをのがれさせるために少女たちを・・・ってわざわざ重篤な病魔に侵されてる少女を無理して隔離しておく必要があるのだろうか?家族の心情として。ユダヤ人狩りをのがれても病気で普通に命を落とす可能性も相当高そうな。だったら生き残ることができる可能性の高い健常な姉妹を名前を偽って送り込んだほうがいいんじゃないのかな?そもそもなんで少女だけで少年は入れないのか?とか。。。書いてはあったけど自分が読み逃したのかな。
まあ細かいこと気にしないでこの何とも言えない雰囲気を楽しめってことなのかもしれませんけどね。
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短編集なのでいくつもの話を読んできたはずなのに、一番初めに読んだ本の題名にもなっている「オーブランの少女」が頭から離れない。始めに出てきた痩せて化け物になっていた人の正体がまさかあの人だったなんて、自分には最後の最後まで分からなかった。話の最後のシーンから、冒頭のシーンまでの間、どれだけの時間が流れたのか、あの化け物は下水の中で何を考えてきたのか等、色々と想像してしまう。読んでいて化け物の姿がありありと想像でき、頭にこびついてしまった。
綺麗だった人が醜く変貌していく様を描くのが上手なのかもしれない。この落差に惹かれてしまった。
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少女は、秘密を抱いて微笑む。
表題作だけでなく、どの作品も、何かしらの偽りや秘密を持った少女が登場する。明かされた真実は残酷だったり、やるせなかったり、切なかったり。後味は、それほど悪くない。さっぱりした文章だと思う。特に舞台が外国のものは、翻訳小説のように感じた。
「オーブランの少女」管理人の姉妹、老女の死体、それらの正体は誰なのか? 重要なのは、真相としてここで述べられている手記も、語り手の脚色を含むということ。閉ざされた庭といえば、「秘密の花園」だが、もっと怪しげである。
「片思い」これだけは舞台が日本、おそらく少し前の。女学校の生徒たちの友情と秘密。吉屋信子のような世界。女子校、女子の世界、女子の友情(優しいver.)、というものを楽しみながら読めた。