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商品説明
「珍しい生物が好き」という一念で研究の世界に身を投じた著者が、棘皮動物クモヒトデの仲間であるテヅルモヅルが世界中に分布した謎を紐解くとともに、分類学の実践部分や、リアルな研究の日常を、失敗談も織り交ぜつつ紹介。【「TRC MARC」の商品解説】
クモヒトデの仲間であるテヅルモヅルを解説するわが国唯一の本。系統分類学などから世界中に分布した謎を紐解く。【商品解説】
著者紹介
岡西 政典
- 略歴
- 〈岡西政典〉1983年生まれ。東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻博士課程修了。博士(理学)。茨城大学理学部助教。第10回日本動物分類学会奨励賞などを受賞。
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紙の本
珍しい生き物を研究するには。
2017/03/17 16:19
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
深海生物テヅルモヅル自体についての入門解説書というよりは、分類学の面白さ、研究者になるまでを語ったエッセー。本シリーズはかなりこういった「研究よりも体験史」といった部分をとりあげたものが多い気がする。「フィールドの生物学」の一冊なので深海生物、あるいはテヅルモヅルの生態などについて知りたいと思ったら少し外れ感があるかもしれない。
対象(本書の場合はテヅルモヅル)を選んだ経緯とか大学での生活、研究者となるための試練など、これから大学にでもはいろうか、大学院に行ったらなにかできるかなと考えている人は読んで参考になるだろう。著者の入った大学や分類学という分野に限っての状況かもしれないが、実際にはこんな風な道を通って研究者が現在は作られていくということが良くわかる体験談である。初めての論文を書く過程、調査のための海外旅行など、失敗談や面白い話なども交えて楽しく読み進むことができる。分類学についても、研究の進め方の細かい過程がわかるところもあって興味深かった。
テヅルモヅルについては、「同定」や「採集」の話から、特徴を見つけ出しての「分類」、そして最近は必ず通る道であるような「分子系統分類学」まで一通り書かれている。この生き物はとても複雑に曲がりくねった肢をもっているので、「これからはスキャンして3D構造を再構築することも有用」などといった話は今後の展開が待たれるところ。
「成功したひと」はこうして体験記を著すこともあるだろうが、諸般の事情(実家が、とか事故にあってとか)で断念・脱落した人も多いはず。そういう人たちもいることを忘れてはいけないだろう、ともついでに思う。