紙の本
田舎の恐ろしさ
2020/08/02 16:10
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
田舎の近所付き合いの濃密さは良い面も悪い面も併せ持っていますよね。
『許されようとは・・・』は田舎の恐ろしさ全開のお話。そして、それを利用した祖母の覚悟と絶望が深みを加えていきます。
ちょっぴり肉親の温かみを感じさせてくれます。
他にも真相が分かるとちとゾッとする結末のお話が入ってます。
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表題作も含め、真相が明かされて思わずゾッとする話が多い。「目撃者はいなかった」「姉のように」あたりは、世にも奇妙な物語あたりで映像化してはいかがでしょうか。
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あなたは絶対にこの「結末」を予測できない! 新時代到来を告げる、驚愕の暗黒ミステリ。かつて祖母が暮らしていた村を訪ねた「私」。祖母は、同居していた曾祖父を惨殺して村から追放されたのだ。彼女は何故、余命わずかだったはずの曾祖父を、あえて手にかけたのか……日本推理作家協会賞短編部門ノミネートの表題作ほか、悲劇をひき起こさざるを得なかった女たちを端整な筆致と鮮やかなレトリックで描き出す全五篇。
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表題作のほか、「目撃者はいなかった」 「ありがとう、ばあば」 「姉のように」 「絵の中の男」
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どの物語も昏く凄惨で救いがないように見える。だが、ラストの思ってもみない仕掛けによって、それまで見えていたものとは全く違う世界が立ち現われ、一点の救いの光が差してくるものもある。どれも読後感がいいとは言えないが、すっと納得できる一冊である。
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ミステリー5篇。簡単に読めるけど、ちょっと違うんじゃないとの違和感が残ります。表題作の他「目撃者はいなかった」「ありがとう、ばあば」「姉のように」「絵の中の男」やっぱりミステリーは長編が好き。
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「暗黒ミステリ」と紹介してあったので、作品の雰囲気とか心理描写に長けた短編集だと期待して読んでみたら、イヤミスどころかバカミスの出来損ないだった。
テーマや着眼点は面白いと思うが、そこを過剰に主張してくるのでご都合主義ばかりが目立つ。キャラクター心理を操って独特の雰囲気を醸し出そうとしているが、奥行きがなくペラペラなのでやればやるほど滑稽に映る。ほとんどが一人称で書かれてあり、ラストへ向かって語り手の心理は不自然に歪んでいくが、このプロセスがバカミスそのもの。思い込みの激しい人物たちによるドタバタ劇。心の闇は読者を煽ろうとしているだけだし、動機は不自然で説得力なし。ストーリーがなくただの日記になっている話が多いのも興醒めした点のひとつ。
久々に読んだ国内作家の新人さんだが、喪失感しか残らない。この作家の出来だけで評価するのはフェアではないが、それでもこういう作品を読むと新人は敬遠してしまうのよね。
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ひとから勧められて。面白いと思った作品もあった。表題作や虐待の話は興味深かった。ただ、推理小説は合わないなあと改めて感じた。特に「目撃者はいなかった」のような主人公が浅はかな行動でどんどん追い詰められていくのは、読了感が悪かった。あの時のアレが実は……という展開より、登場人物の心情描写に惹かれるのが自分なのだと、改めて好きなジャンルを再確認できた。
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しばらく積んであったが、読み始めれば面白くて一気読み。人間の闇の領域を描いた5作品、堪能いたしました。自分の事を「ばあば」と呼ぶ人間の印象が良くなかったので、『ありがとう、ばあば』はダークサイドに堕ちながら楽しんでしまった。また、小学生の頃から夏休みの宿題は七月中に終わらせるような子どもだったという『姉のように』の主人公には、愚かにも自分を重ねて哀れを感じてしまい、これまた黒々とした余韻が残った。
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不思議もの因果応報等のミステリー短編集。
久々に良い作家さんに出会えた。
畳み掛けるような展開に緻密な心理表現。
軽く書きつつ内容は深いし濃い。
ラストに救いがないものが多くこちらをゾクリとさせる。冷たいラスト怖い。
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事件を起こした姉のせいで、自分も色眼鏡で見られるのではないかと恐怖する妹。それでも、姉は素晴らしい人だったはずだ、わたしも姉のように子供をしっかり育てないと……。(『姉のように』)など他5編。
短編集。表題作は村八分の話。自分のミスを認めないためにずるずると窮地に陥っていく話やタレントの孫とステージママな祖母の話、壮絶な絵描きの人生など、小粒だけど後味悪くて内容の濃い短編集だった。『姉のために』が一番よく出来てて面白かった。ラストの絵描きの話はおどろおどろしくしようとしてる気持ちは分かるんだけど、いまいちやりきれなかった印象。
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なんという陰鬱で残酷な物語。なのに魅力的なのはどうしてだろうか。
闇を恐れるのに、夜にふとカーテンを開けたくなるような恐ろしさがある。
しかもこれが面白いというんだから、どういうことなんだろうか。驚きである。
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短編集5編
ホラー的な要素もあるミステリー.どんどん追い詰められていく忍び寄る狂気のようなものがどの作品にもあり,心理描写が巧みだ.どの作品も最後にあっと思うようなオチがあって,もやもやしながらもスッキリするというふうな読後感.
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黒い。
いろんな黒が描かれている。
闇の黒、影の黒、人間の心の奥の黒、塗り込められた黒。
ビアズレータッチのカバーイラストがぴったりの世界。
言葉が緻密に書かれているので、緻密に読まなければならない。
叙述トリックもある。
しかし、意地悪な書き方ではなく、「ここテストに出るよ」と言ってくれる先生のように、ヒントを与えてくれているので大丈夫。
それにしても、人の心のひだは深い。
何を考えているのか分からないものだなあ…と思う。
『許されようとは思いません』
祖母が暮らした、異常に排他的な村に遺骨を受け取りに行く青年。
末期癌で長くなかった祖父を、祖母は何故わざわざ手に掛けたのか。
『目撃者はいなかった』
いつも営業成績が最下位だった自分が、なぜ、好成績に?
ある間違いに気づいて、もみ消しに躍起になるが…
『ありがとう、ばあば』
ステージママならぬ、ステージばあばと、孫娘の杏・9才。
ばあばのプロデュースで杏はどう成長したのか。
『姉のように』
事件を報道する記事で始まる。
姉が犯罪者になった。
世間の目、夫の目…
段々と追い詰められていく。
『絵の中の男』
さながら地獄絵図、という画風で知られる作家の絵を主に扱っている“私”のところに、一枚の絵が持ち込まれる。
これは、“あの絵”ではないだろうか?と。
絵について語るうち、私はある考えにたどりつく。
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米澤穂信ファンの方のつぶやきを見て買ったが間違いのない買い物だった。
表題作は閉鎖的なムラ社会で起きた殺人事件の話。伏線の妙と意外な動機に唸らされラストの余韻に浸れる快作。
仕事でのミスを誤魔化すために取った一つの行動がドンドン主人公を締め付けていく「目撃者はいなかった」は決着の気持ち良さのせいで一番お気に入り。
「ありがとう、ばあば」は伏線があからさま過ぎたのでオチが読めてしまったものの、視野の狭い祖母と孫の幼い悪意が絡んで徐々に嫌な気分になるのが良い。
「姉のように」はすっかり騙された。騙しの構造が物語の大ネタと噛み合ってるのが好印象。最初のアレで気付けなかったのが悔しい。
「絵の中の男」は画家の起こした事件がラストで転換して業を見せつけられる。
どの短編も仕掛けと登場人物たちの生々しい生き様に満ちていて読みごたえのある一冊でした。
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短編小説があまり得意でない私がどっぷりハマった『満願』を思い出す短編集。「ありがとう、ばぁば」のラストの衝撃と言ったら。鳥肌が止まらない。
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ミステリ短編集。ホワイダニットの物語、という印象。どれもそれほど大きい事件が起こるわけではなく、ささやかな謎かと思いきや。ラストまで読むとぞくりとさせられます。だけど怖いばかりでもなく、そこまで追い込まれてしまった人の心境を思えば、悲しくもある物語かも。
お気に入りは「姉のように」。いったいどうなってしまうのかどきどきしながら読み進んだのですが。ラストでまさしく「えぇ?」となりました。ものすごーく単純な仕掛けかもしれないけれど、気がつかなかった!
「許されようとは思いません」と「絵の中の男」にも驚愕。この動機は到底思いつかない……そしてそれほどまでにつらいことだったのか、というのがあまりに痛切。