紙の本
ブータンは、やはり幸せの国
2021/03/14 21:49
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの「謎の独立国家・ソマリランド」の作者の作品だから、読む前から面白い本であることはわかっていた。「どうもこれは非常にまずい状況だな、でも面白そうだからこのまま突き進もう」という精神はブータンでも健在だった。生物資源調査するという名目でブータンに入国するのだが、雪男とかチュレイという謎の動物にばかり興味が向いてしまう。作者の高野氏も言っているのだが、ブータンの村人が語る謎の生き物たちの話は、まさに柳田国男の「遠野物語」で河童や座敷わらしのことを語るじっさんやばっさんそのものなのだ。こういう話というのは万国共通なのだ。謎の生き物たち(妖怪?)が本当に生存しているかどうかは私にはわからないが、いるかもしれないという雰囲気のあるブータンは、やはり幸せの国だと思う
紙の本
『未来国家ブータン』
2019/11/08 23:11
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ブータンについて、「世界で一番幸せな国」ぐらいにしか思っていなかったが、より深く知ることが出来た。個人的に面白かったのはインテリが自分の国を肯定的に評価しているという点。
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幻想と生活が密接に隣り合うブータン
2023/12/01 14:01
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
雪男の目撃談に釣られてブータンへ赴いた著者による旅行記。とある会社からの依頼で現地調査するついで、という建前を律儀に守った結果、依頼者からも空回りしていると苦笑されてしまうほど著者の交流術からキレが失せてしまっている。
それでも赤裸々に描かれるブータンの情景は実に神秘に満ちている。まことしやかに語られる未確認生物の話。それを実在と思っているからなのか、極力出会わないように気を遣っているかのような緊張感。結局、靄に包まれたようにわかったことの方が少ない探訪に見えるが、逆にブータンはこれで良いのだと思わせる調和のとれた自然体が心地よい。
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医薬品研究の会社を経営する知人の依頼で、ブータンの生物資源を調査するというのが今回の旅の目的。しかし高野氏がその任務を引き受けた背景には雪男の存在が…。旅の相棒はブータンのエリート公務員なのだが、高野氏の勘違いや暴走っぷりは普段通り相変わらずだ。
生物資源調査を口実に、現地の人々から雪男の情報を漁りまくる高野氏だったが、次第に興味がブータンの国民や民俗に移って行くのが大変面白かった。高野氏自身も表現しているが、まるで遠野物語を描いた柳田國男のようでもある。
ただ柳田作品では禁忌だった夜這いや被差別民に触れたという点では、『忘れられた日本人』の著者である宮本常一の方が近いのかもしれない、渋沢敬三のような強力なパトロンがいないのが少し残念なところだ。ちなみに高野氏の最新作である『謎のアジア納豆』は、この旅がきっかけとなっているらしい。
ブータンは今どき珍しく欧米の価値観を拒む数少ない国だが、いつまでもGNH(国民総幸福量)を追い求める未来国家であってほしいと思う。
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タイトルと写真に興味を惹かれ即購入。ブータンには、幸せな国の側面以外があることをこれまでの読書経験から理解しているが、なぜ「未来国家」なのか、地理や政治、経済は他の国との比較が難しいように思うがどう他の国に理想を提示できるのか、読み進めていきたい。
高野氏のテンポの良いリズミカルな文章から、ブータンの様子を頭の中に描く。サイズは九州ほどあるのに、人口が約70万人しかいないというところで、すでに日本とのスケールの違いにびっくり。さらには、伝統を守り、あまり外国人を入れず、半鎖国であるというのは驚きだった。
本の中盤で紹介されているニェップ。遠くに住んでいる人に家に泊まってもらい、その逆もある。高野氏も称賛しているが、このシステムが日本にもあれば、各地域への行き来が楽しいものになり、かつ都市と地方の交流も活発化するだろう。
読み終わって、もっとこの世界に浸っていたい!と思った。
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著者の高野さんがブログで、これは単行本の時結論的な文章をつけなかったら、「尻切れトンボ」「手抜き」などと批判されたと書いていた。友人知人からも異例のお叱りを受けたとか。そこで文庫化にあたって加筆したため、読後感がかなり変わっているはずだとあったのだが…。
えーと、変わってますかねえ? 私は単行本をたいそう面白く読み、特に「尻切れトンボ」とか(まして手抜きなんて)思わなかったこともあるだろうが、前と変わらず楽しく読んで(高野さんには悪い気もするけど)受ける印象は同じだったのですよ。
結局何をしに行ったの?という疑問は残るけど、そんなことなどどうでもよくなる抜群の面白さがある。ちょっとしたブームになってたわりに、ほとんど知られていなかったブータンの実情にもう興味津々。最近あまり話題にならないけれど、今ブータンはどうなってるんだろうなあ。後日談の中に、ブータンにも納豆があることがわかったというくだりがあって、やっぱり!という感じであった。
今回一つ「発見」したのは、私はどうも、高野さんがキビシイ状況に陥ると、読んでいてすごく楽しくなるようだということ。いやあ、ひどいヤツ。でもまあ、命に関わるようなこと(南部ソマリアで襲撃されたりとか)は別として、強烈な便秘になったり(これもソマリア)、雨季のジャングルでヒルだらけのなかを徒歩で行ったり、アヘン中毒になっちゃったりしているのを読むと、ハラハラしながらもやはり喜んじゃってるのだった。本書でのピンチは、高山病。いやまあ大変だっただろうと思うが、高野さんの筆にかかると、そういう所こそ面白く読めてしまうのよ。
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立派な民俗学入門書だと思う。著者の興味もUMAからそれを見たという人や彼らの意識に向かっていくのが面白い。
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タカノの幸せの国探検記。
ブータンのことは知っているようで知らない。小さな国、若い国王夫妻が来日、GNHを提唱している、環境に配慮した国。筆者のブータン旅行記は、ノスタルジックなようで、実に刺激的。ブータンにだって、ネガティブなところはある。でも、小国の利を活かして、変えていくのだ。
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「ブータンの雪男」というネタにつられて、畑違いのフィールドワークへ。
学者でも政府関係者でもない著者が、ブータン政府公認プロジェクトの一環で生物資源調査に出かける。
「雪男さがし」が本来の目的ではないが、著者的にはそっちが主目的。自らの欲望と、依頼された生物資源調査の間で時々葛藤。
そもそも、自分が何を期待されてこのプロジェクトに送り込まれているのかずーっとわからないまま旅を続けており、ほとんど自分の興味の向くままに話を聞いたり酒を飲んだりしている状態。「いつもどおり」の旅である。
というわけで、いつもどおり、「その土地に暮らすブータン人の、その土地での暮らし方・考え方」が見えるルポが出来上がっている。
(結果的には、それで良かったらしい)
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題名の通りUMAの話はちょっと控え目。鎖国状態で近代化に乗り遅れたブータンは、他のアジア諸国のように自分達の伝統や生活様式、価値観を捨て去って発展し、それを再評価する時には取り戻せないという状態にならずに発展している。周回遅れのトップランナーという言葉が言いえて妙でした。日本はこうならなかったのが残念なような気がしないでもない。今回も高野さん秘境を旅し、お酒を飲みUMA話を聞き大活躍でした。
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結局、何をしに行ったの?という著者らしい体験記だが、それが持ち味。ほぼ行き当たりばったりな行動と同様、文章も書きながらまとめていったかのような筆致だが(文中、しょっちゅう「そうだろうか?」「そうなのである」と悩んだり、気づいたりする・笑)、一緒になって右往左往させられる気分が味わえる(良し悪しだが)。
著者の名前は、読み友のリストなどでも良く見かけ、UMA好きなので著作も本屋でチラチラ立ち読みもしているが、結局UMAも見つかっていないので読み切る気がせず、通して読んだものはない。
…と思っていたが、本書のなかで「サハラ砂漠でのマラソンを走った」という表記があり、あれ?と思ったら、『世にも奇妙なマラソン大会』を読んでいた。内容的にはくだらなすぎて、準備も不十分なまま乗り込む無節操さが許容しがたく、どうせ行くならしっかりトレーニングもして準備もして、”走り“そのものを楽しんで欲しいという思いが強く、そんな中途半端な準備で乗り込めばトラブル、アクシデントは起こって当然。マッチポンプな姿勢がランナーとして許せなかった。
他の著作も似たトーンで、そうしたドタバタも楽しんでくださいというスタンスのようだ。恐らく、ポーズとして意識的にそうしている部分もあると思う。本書も基本、そんなドタバタ感は否めない。が、バランスが取れているのが、企業に依頼されてのフィールドワークの使命を帯びていることに加え、なにより未知の国ブータンの魅力が大きい。
チベット仏教を精神の拠り所に、礼節を重んじ、それでいて外国の人にも自然体で接する様子、ミゲ(雪男のこと)伝説、ラムジャム淵(ツオ)や各地に残る日本の遠野物語的な昔話や神隠し的エピソード、ルンタと呼ばれる体内に流れる「気」を大切にする姿勢。前近代的な自然と一体となった暮らしぶりに、DNAに眠る太古の記憶を呼び覚まされる気がする。
ブータンを称して「周回遅れのトップランナー」という言い方があるそうだ。世界(特に先進国)が行き過ぎた経済合理性の先にようやくたどり着いた環境保全やロハスといった最先端思想を、一周遅れでビリを走っていたブータンは鎖国で近代化が遅れたおかげで、すでに手にしている。いや、むしろ失っていないという意味だ。
「私たちがそうなったかもしれない未来」が、そこにある、と著者は言う。
GNH(国民総幸福量)を尊重する国。その礎に国際援助でその国に赴いた日本人の影響が少なからずあったという話は素晴らしい。JICAの指導員として赴きダショー(Sir)の敬称で呼ばれるダショー・ニシオカこと西岡京治(大阪府立大学)農業技術者や、増産のため化学肥料の導入を検討していた三代目国王に「外国に依存してしまうから」と思いとどまるよう助言した植物学者中尾佐助(『秘境ブータン』著者)などなど。
そんな点を学べたのもよかった。
幸せ、について考えさせられる一冊だった。
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ブータンの人たちの生活、人となり、考え方が興味深い。著者がブータンの人たちと接するなかで幸福の国と言われる所以も見えてくる。後進国のようでいて先進国のような不思議な国。人も魅力的だしこの本を読んでこれからもっと注目していきたい。
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内容紹介
ブータン政府公認プロジェクトで雪男探し!!
「あの国には雪男がいるんですよ!」。そのひと言に乗せられて高野氏はブータンヘ飛んだ。雪男を探しながらも、「世界最高の環境立国」「世界で一番幸せな国」と呼ばれる本当の理由にたどりつく。
ちょっと前にイケメン国王が来日して話題になったブータン。幸福の国という事できっといい国なんだろうなと漠然と捉えておりましたら、さすが高野氏も訪れておりました。そうかー、国が国民の事を物凄く大切に考えているのか。まるでおとぎ話ですが本当の事らしいです。今の日本にいるとフィクションみたいに感じますね。
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ブータン!興味あったのですよ。そこに高野さんが行ったというなら読みますとも。だけど、今回は何やらきちんとしたお仕事で行くみたい…ちゃんと、面白いのかな。
そこはさすがに高野さん、ちゃんと面白かったし、ブータンのこと、ほんとにいろいろ知れました。
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ブータンという国はチベットと同様に秘境であり文明とはかけ離れた印象で『未来国家』というタイトルに違和感と期待があった。友人であり実業家である二村氏の「雪男」という甘言にうまうま乗せられたような書き出しだったが、あにはからんや彼の依頼を実行しようとする真面目な著者の姿があった。それが解説で民俗学誌と言っても過言ではないと言わしめる結果に繋がったのではなかろうか。高野氏は相変わらず世界を相手にし、宮田珠己氏は日本が著作の中心になってきたようだ。そんなことを想いつつ読了。