このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
野暮ったさと地方色に彩られた庶民の街・上野。人はなぜこの街に引き寄せられるのか。横丁、路地裏、色街跡…。「東京最後の異界鶯谷」の著者が、昭和の怪しさが色濃く残る上野を訪ね歩き、その裏側と不思議な魅力を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
本橋 信宏
- 略歴
- 〈本橋信宏〉1956年所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。ノンフィクション、小説、エッセイ、評論を執筆。著書に「60年代郷愁の東京」「迷宮の花街渋谷円山町」など。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
上野によく行く人も、そうでない人も
2017/07/13 17:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hontoカスタマー - この投稿者のレビュー一覧を見る
上野は身近な繁華街であり、個人的に親しみ深いターミナルだ。反面他者からこの街がどう映っているかということに、気に掛けてこなかった。本書では第三者の視点でこの街を俯瞰すると同時にそこに生きる人に声に耳を傾けるミクロなアプローチすることにより立体的にこの街を理解することができる。また筆者自身も実はこの街を知っているつもりというだけだったということも自覚でき、おかげでより愛着を持つことができた。逆にこの特殊性は、よく知らない読者にとっては、身近に感じるというより逆に異世界のように映るのかもしれない。
本書は上野をサブカルチャー的視点から週刊誌的に読みやすくしたものくらいの軽い気持ちで読み始めた。もちろんそれは違いではないし、著者の「東京最後の異界鶯谷」(宝島SUGOI文庫)はまさにそのような書籍だった。しかし本書は、フィールドワークにくわえ、街の成り立ち、そこで発展した商売やそれを生業としている人々を昭和史と重ねあわせて、上野という街をより立体的に描写しており、より高密度な読み物になっている。
また著者の取材対象に対するさりげない配慮や正直な視点が文章から読み取れ、それも本書の印象をよくしている。本社は上野によく行く方も、言ったことがない人も本書を読むことで、きれいごとばかりではないこの街のことを一歩深く知ることができ、少し大人になった気にさせてくれる。