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商品説明
アメリカは田中角栄の何が目障りだったか。側近としてロッキード裁判に深くかかわった著者が、アメリカの真意、ロッキード事件の真相、間近で見た「角栄」という人物について明らかにする。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
石井 一
- 略歴
- 〈石井一〉1934年神戸市生まれ。米スタンフォード大学大学院修了。元自治大臣。田中角栄元内閣総理大臣の側近の一人として「田中軍団の青年将校」と呼ばれる。著書に「近づいてきた遠い国」など。
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紙の本
文句なしに面白い
2016/09/27 12:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:桜正宗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の政治家が書いた大多数の本は、選挙対策か自己陶酔が過ぎて紙のムダだが、これは文句なしに面白い。カネとパワーで政治家が躍動していた時代の「鎮魂歌」ともいえ、一読の価値がある。
紙の本
ぐいぐい読ませる異色の田中角栄本
2016/09/29 13:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kinya - この投稿者のレビュー一覧を見る
田中角栄について語る時、「ロッキード事件」を抜きにして語ることはできない。本書はロッキード事件に焦点を当て、又、田中の金権体質についても自らの経験を率直に吐露しながら「親分 田中角栄」の無念さを代弁し、論理をもって無罪を世に問うた一冊。
◎「ロッキード事件」についての著者の見解
「日本政府の対潜哨戒機(P3C)調達に絡んだ日米両国に横たわる巨大な利権スキャンダルを揉み消すために田中角栄がスケープゴートにされたのでは?」。この仮説の検証をすべく、幾度も渡米を重ね公文書の収集・関係者への取材を積み重ね、その証拠固めに奔走する。この抜かりのない調査は気鋭のノンフィクション作家顔負けである。
◎「田中角栄ははめられたのか?」
事件の背景には、日本政府とP3C購入に暗躍する13名の灰色高官が存在し、この利権スキャンダルの発覚は日米の両政権を揺るがしかねない。その揉み消し工作の陣頭指揮を取ったのが国務長官キッシンジャー。田中政権になるや否や、中国との国交正常化、積極的な資源外交を行ない、陰で「デンジャラス・ジャップ」と罵り、田中の決断と実行力が癇に障っていたキッシンジャー。この大疑獄事件は田中を蹴落とす好機と捉え、ターゲットを田中角栄ひとりに絞る。そこで、民間旅客機トライスター購入に際して現総理大臣 田中角栄は5億円の賄賂を受け取ったという汚職事件にすり替える。
◎「四面楚歌の田中角栄」
この謀略を首相の三木武夫は脆弱な政権基盤の強化につながると考え、クリーン三木を標榜し、田中をターゲットに捜査を進めさせる。今太閤ブームは一気に去り、メディアは「反角」で世論を煽り、その世論を追い風に東京地検特捜部は、首魁を上げるべく「田中有罪ストーリー」を作り上げ、最高裁判所は賄賂を送った側の罪は問わないという、所謂「免責宣明」して証言をさせる…。北朝鮮ならいざ知らず、三権分立の国家がここまでするかと戦慄が走った。
◎「この謀略が事実だったとして」
政治家として<理想と志>を持ち、数多くの議員立法を成立させ、総理大臣へ。「これから我が国は米国追従から独自の道を!」の思いを胸に進みだした矢先に、アメリカに疎まれ収賄容疑を着せられ逮捕、刑事被告人へ。自派の勢力を拡大するも、子分の反乱にあい、酒に溺れ、病に倒れ、失意のうちに亡くなる。「今、田中角栄が生きていれば~」「稀代の政治家」の称賛の声をあの世でどう聞いているんだろう。田中角栄は深い虚しさの境地で聞いているにちがいない。
※巻末には、著者が記述した「政治家として考える ロッキード裁判に関する一考察」の論文は読み応えあり。「世論の状況を考えると公開したら逆に反発を受けかねない」と考え、田中角栄とその周辺の5名だけに密かに手渡した小冊子。B4判・53頁・10章で構成された論文は、ロッキード事件と裁判の問題点・疑問点を多角的かつ論理的まとめた「無罪ペーパー」。著者の親分に対する深い愛情が書かせた論考。