紙の本
今年読んだ中でベスト3
2016/12/17 12:33
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
津村さんの作品の中で一番好きだなあ。
「うどんと亀」の終わり方が見事。
定年を迎え一人で故郷の町に暮らし始めた主人公。
主人公が新しく購入したスポーツ自転車に乗って「ビール!ビール!」と叫びながら町を走る。楽しいなあ。
「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」
仕事をしていると、打ちのめされてうどんくらいしか食べられない程落ち込んでいる時ありますよね。
私もコルネさんに優しくして上げたい。
「アイトール・ベラスコの新しい妻」はあっさり怖い。
最初の読み初めの感じと読後感の違いに、読書の喜びを感じる。
「地獄」一番読んで欲しい作品。
津村さんがこんな事を考えているんだと思うと、さらにおかしくなる。
皆さんにも読んでもらって共感したい一冊。
電子書籍
津村記久子という作家はただものでないことが確認できた
2019/03/14 22:50
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作他7作の短篇集。やたらに女性客が来ると張り切るうどん屋の店主とそれを鬱陶しがる女性客との対比がおもしろい「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」、バスの旅行で事故死した主人公の経験する楽しい?「地獄」、いつも誰かに道をきかれる「運命」、死んだ主人公がアイルランドへ行きたいばっかりに外国人になかにはいりこむ「浮遊霊ブラジル」等、いろんな趣向で楽しましてくれる主人公たち、定年になった独り身の男(給水塔と亀)もいるし、おばちゃん(地獄)もいるし、大学生(個性)もいる。津村記久子という作家はただものでないことが確認できた
紙の本
漂う7編
2018/05/02 10:03
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めての海外旅行を目の前にしてこの世を去ってしまった主人公の無念を描く、表題作が圧巻です。死をテーマにしながら、ユーモアを忘れないところが良かったです。
紙の本
心地よい距離感
2016/12/23 15:58
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投稿者:AKR1703 - この投稿者のレビュー一覧を見る
津村さんの作品で好きなのは、人との触れ合いのさりげなさ、絶妙な距離感です。家族とか恋人とかの時には重い関係ではなく、ただすれ違っていく人に対してだからこそ示せる優しさのようなもの。コルネさんに差し出されたうどんパックのように。厚かましさ、強引さのない関係が心地よい。
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2010年から2016年までの所謂文芸誌に掲載された短編集。川端康成賞受賞作の「給水塔と亀」を目当てに読んだが、正直この作品がわかるのにはもう少し年月を要する気がする。冒頭2作は読み進めるのに時間を要したが、「アイト-ル・ペラスコの新しい妻」から弾みがついた。ウルグアイのサッカー選手が再婚した女性と語り手の物語。何とうまくつながっていることかと感嘆。「運命」「地獄」の不思議な世界を堪能した後最後に表題作で大笑い。取りついた中で考えることやモノの見方が(この日と生きている時からこんなだったろうな)と思わせる。「運命」の登場人物じゃないけど三田さんが誰かにとりつくたびに(頑張れ)と思ってしまった。終わり方がまた良かった。
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相変わらず面白かった。ただ1ページの文字数も少ないし200ページくらいだしで、内容は物足りない。てか、やっぱ津村記久子みたいな才能は長編で味わいたい。サッカー選手の嫁の話と道聞かれる話、ラストの霊の話が面白かった。
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なんとも面白い短編でした。
亀と、地獄と、ブラジルと。
この3つが特に好きでした。
私もこんだけ本読んでテレビ見て音楽垂れ流してたら、同じ地獄にいくのかしら。ミステリーとラブコメとグルメの界隈をたくさん見てる私はどんな地獄になるのかしら。ちょっと楽しみ。ちょっと怖い。
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なんかこうちょうどいい。
さらさらと読めて、笑えて、共感もある。
こういうのたくさん読みたい。
「地獄」が特に好き。
うどん屋のジェンダー、今は無き「梅田はがくれ」だよね?
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好きな作家が書くものは何を読んでも面白がれる。小説を読むとき物語で読むことももちろんあるけれど、大概は文体に惹かれて読んでいるからかも知れない。津村記久子の書くものもその語り口に魅せられて読んでいる。
津村記久子ってこんな小説を書くのだったかなと少し首を傾げるような変わった短篇が並ぶ。どことなく川上弘美の書く空想のような展開の話だなとも思う。けれどもっと理屈っぽい。一小節分の旋律をたくさん用意しておいて、出鱈目に並べて繋いだようであるのに、辻褄が合うように伴奏を付け足したよう。それが津村記久子風であると言えば言えるのかも知れない。ふんふんと頷いたり、はてなと首を傾げながら、面白がって読む。
短篇集だと帯にも書いてあるのに、連作短篇集だと勘違いして、短篇毎に共通するアイコンを探したりしてしまう。例えば、一篇目と二篇目のうどん屋、とか。多分それは思った以上に川上弘美を連想させる話を津村記久子が書いているからで、特に最近読んだ川上弘美の「このあたりの人たち」が脳をかき回す感じに似た状態に無意識の内に陥っているからなのだと思う。
それでも津村記久子はどこまでも津村記久子で、そういえば、作者が意図的に書いているのかどうかはわからないけれど、何度か登場人物のジェンダーを取り違えることがあり、途中で気付いてはっとしたことも何度か。とても現代的というか、人物が中性的な感じで描かれているのは、これまでにも印象に残っている。何々「さん」とか、性別を指し示す記号はきちんと示されているのに、ぼんやりしていると取り違える。主人公であれば、そんな記号に行き当たる機会も少なく、尚更のこと。それがまた面白いと言えば面白いのだけれど。
只々、面白がって読み終わってしまうのだけれど、読後にじわじわと湧き上がる寂しさの正体は何だろう。亀を預かることにしたおじさんのその後や、コルネさんがまたうどん屋に行けたのだろうかとか、物凄く現代的な地獄で物語は書き上げられたのかとか、気になるからか。それとも表題作の主人公の最期に妙に気持ちを取られたからか。津村記久子の文体にやられた脳でぼんやりと考える。
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短編7作。
見方をちょっと変えるだけで広がる世界。面食らってもすっと入り込めるときたら、面白にきまってる。
「地獄」読んでから、「きっとわたしは○○地獄やな」とか斜めな気持ちのときにひとり思って笑ってる。
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短編集。
「給水塔と亀」
「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」
「アイトール・ベラスコの新しい妻」…同級生が大人になって地味に交錯している。内面はけっこうどろどろしているけど。
「地獄」…「物語消費しすぎ地獄」が新設された。でもおしゃべりなおばちゃんたちにはこたえてないみたい。
「運命」…どんなときでも道を尋ねられる女の運命。生まれる前から。
「個性」…奇抜な格好をしなければ、存在にすら気づいてもらえない。
「浮遊霊ブラジル」…時間がいっぱいあるからか、おじいさんだからなのか、幽霊になっても反応のゆっくりな人の話。
どれもこれも好きで、「そうきたかー」ってにやにやしながら読んだ。登場人物は、真面目なのかふざけてんのかわからない人も多くて面白い。
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給水塔と亀
うどん屋のジェンダー、またはコルネさん
アイトール・ベラスコの新しい妻
地獄
運命
個性
浮幽霊ブラジル
この何気ないのにとても面白い感じ。大好きだー。
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給水塔と亀/津村記久子 20160217読了
本になるのを待ってたら全然本に入ってなく、川端康成文学賞受賞となってるし、図書館で探してもらう…西宮は掲載されてた雑誌の保管期限3年で、もう無く、他館から借りてもらう。
8ページの短い話なので、既に2回読んだけど、この作家の読後に元気が出てくる感じは変わらず、そして、これだけの文でこの主人公がわかってくるところがやはりすごい!この人‥主人公は珍しく60を過ぎた男性。いつもの30代後半女性のつもりで読み始めてたら…
給水塔は団地っ子の私の印象は団地の中の給水塔だけれど、これはたぶん農業用水用。あまり見たことないなぁ…
青森の人をテレビで見て書いたとのことだけどうどんの製麺所、玉ねぎ畑と私鉄駅、泉州〜和歌山あたりのイメージかなぁ…
津村記久子 『浮遊霊ブラジル』20161214読了
短編集で、ハレとケのケのほうだという作品。
かなり前に雑誌に掲載されて川端康成賞を受賞した「給水塔と亀」シニアの男性が、昔住んでいた地方に戻り、新しい生活を始める話。子供の頃住んでいた所の、懐かしさとそれを感じながら新しい生活を送るという自由な感じが感じられる話でした。
なんと言っても最高に面白かったのは「地獄」事故で亡くなったシニアの女性2人が、それぞれの罰を受け、友人は喋りすぎの地獄、主人公(作家本人と思われる)は本やテレビや映画などいろんな情報を取りすぎたために罰を受ける最近できた地獄…毎日毎日刑事物ドラマを見ていたために、何度も殺されてしまうとか、ジダンとして、最後の試合であー頭突きするんだと知りながらジダンとして繰り返してしまう話、ツールドフランスで下り坂で事故してしまうなど、この作家の趣味がそのまま地獄でしなければならないこととして描かれていて、何度も笑ってしまった。
表題作の『浮遊霊ブラジル』は、旅行の計画中に急死したために、浮遊霊として計画を全うしなければ先立った妻の元に行けない…という話。
どれも滅茶滅茶なんですが、この人らしくて面白かったです♪
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2017.2/5 息子の大学受験中のお迎え待ちに。短編集?不思議なそして自然体な一人称の語りに随所で笑わされる。特に「地獄」。地獄システムとか、地獄で業への罰?をタスクのようにこなす主人公の自虐的呟きがナイス(^_-)b
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短編集7編
定年後に故郷に引っ越してきて,ぶらぶらしながら昔との差異を懐かしむ「給水塔と亀」に漂う雰囲気が良かった.そして,旅行に行きたくて成仏できなかったおじいさんが浮遊霊となってアイルランドを目指す,表題作が愉快だった.