紙の本
タイトルから想像したものと違った
2017/04/19 21:39
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
遺伝を医学的に捉えたものなのかと思ったが、遺伝によって人生が決まってしまうため、現在の教育に疑問があるという主張をしたいがための本であるように感じた。
遺伝と共有環境と非共有環境の3つのうち、遺伝と非共有環境によって才能は決まり、共有環境は年少時には意味があっても、年長になるに従い意味のないものとなっていくとのことであるが、データとしてそうであったとして、あまり実感がわかないものがある。
なんだかデータがあって、正しいと思い込まされているような、少なくとも前半の自然科学的な話と後半の社会科学・人文科学的な話が強引に結び付けられているような感触を得た。
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家庭環境が子供に与える影響、こんなに少ないのかなー。どうも納得できないな。
天才が持つビジョンっていうのもあいまいだなー。
統合失調症が淘汰されないで残っている意義。
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橘玲の「言ってはいけない、、、」が売れたおかげでこの本が出せた、と著者は卑下するが、行動遺伝学についてきちんと書かれた本。橘玲の本に比べるとはっきりしない物言いになってしまっているが、社会科学系の研究とはそういうものなのだろうとも思うし、誠実に書くとこうなるのだろう。
・「知能」とは何か。一つにはハワード・ガードナーらが唱える多重知能理論があり、言語的知能や内省的知能、博物学的知能、音楽的知能など8つの知能が別個にあり、それぞれの子供の特性に応じた教育を施そうというもの。教育現場では非情に人気がある。もう一つが一般知能理論で頭の良さのベースとなる「一般知能」が存在しており個人差も大きい、という考え方。
・性格に関しても、2013ころからGFP(General Factor of Personality)という一次元の値で評価できるという考え方がでてきた。情緒不安定性をマイナス、それ以外はプラスの値として合計したもの。
・一般知能、GFPという立場をとると知能も性格も遺伝の作用が大きく、親の子育ての仕方は子供がどう育つかにあまり影響を与えていないということになる、
・Haworth 2010(Mol Psy:1112)
知能に及ぼす遺伝の影響は年齢とともに大きくなっていく。児童には知能の大部分が環境的因子によって説明可能であるのに対し、成人期初期からは遺伝の影響の方が大きくなる。環境の中でも特に共有環境(家庭や親の影響)は児童期にはそこそこ影響力があるものの青年期以降は関係なくなっていく。
・行動遺伝学の知見からは個人の形質のほとんどは遺伝と非共有環境から成り立っており、共有環境の影響はほとんどみられないということになる。現代社会では昔のように一部の人だけが教育を受ける(非共有環境に大きな差がある)という状態ではないだけに遺伝的な差が顕在化しやすい
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勉強が出来るかどうかで、将来は決まらない。
だから、遺伝だから、勉強出来ないから、未来を悲観的に考えず、自分の得意分野を探していくのも人生の醍醐味ですよね。
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副題にあるように行動遺伝学の入門書である。ベストセラーとなった橘玲の「言ってはいけない」の追っかけ本だが、元ネタの研究を行った安藤寿康氏自身による語りである。筆者は一卵性双生児と二卵性双生児を追跡調査したデータを統計解析したものらしい。データと言ってもアンケートによるみたいで、、、また共有環境と非共有環境というものの数学的定義とその論理展開がよくわからない。
後半は日本の教育の将来構想に関しての著者の感想である。
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橘玲が「言ってはいけない」の参考書籍にした本の著者の本。ということで、書いてある事実はある程度重複している。ちょっと真面目に書いてある分だけ、ちょっと面白みが少ない。
最後の方に教育制度や社会制度についての論考が書いてあるが、この部分は、論理が上滑りしていて、説得力がない。やはり、餅は餅屋。専門知識と練りこまれた考察によって優れた論理を展開できる分野は限られているなあ。
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橘玲さんのベストセラー『言ってはいけない』へのアンサー本的に出された本。
『言ってはいけない』で引用され橘さん流に解釈された内容を本来の意図で説明されています。
『言ってはいけない』にショックを受けた人には是非読んで欲しいなぁ。書店でも隣で平積みして欲しい。
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橘玲「言ってはいけない」への便乗と著者自身が言っている本。能力や性格への遺伝の影響について詳しく掘り下げている。自分の持つリソースをフルに活用しようとすることが大事だということがわかる。教育のあり方についてちょっとページを割きすぎか。
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●→本文引用
●「得意」とは絶対優位のこと。誰よりもよくできること。(略)もしもそれが自分にとってはつまらないことでも、誰と比較しても優位な能力を持っているのであれば、それで世の中に貢献することができます。しかしそんなものを持っている人はごくごく一部です。絶対優位にある「得意」なことがないとき、あなたの中で「好き」なことを選ぶ。あなたがこれまで生きてきた経験から、あなたがしてきたこと、できること、しなければならないことのうち、あなたが一番「好き」だと感じていること、それが比較優位です。それを絶対的なもっとうまくこなす人はいるでしょう。しかしそんなことにはお構いなく、比較優位の能力としてやはり貢献することができます。あなたにとっての比較優位は「ローカルな絶対優位」になりえます。
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才能は遺伝か環境かという問題は常にあり続けこれだといった答えはまだでていない。
しかし遺伝が影響していること自体は否定のしようがない。
問題は遺伝がその人にどのくらい影響を与えているのか、だ。
専門家の話なので遺伝について勉強になりました。
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行動遺伝学の研究成果から、学力や知能は遺伝するという事実は本当であることが証明されている.音楽、美術、数学、スポーツなどはかなりの部分が遺伝するようだ.知能におよぼす遺伝と環境の影響の変化を示した図13(p117)は、人間は年齢を重ねてさまざまな環境にさらされるうちに、遺伝的な素質が引き出されて、本来の自分自身になっていく由.従って、"教育とは白紙に絵を描きこむことではなく、もともと内在する資質をあぶり出させ、適切な方向付けをすることだ.(p154)" と著者は強調している.非常に考えさせられる内容だった.
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〈本のまとめ〉
多重知能理論(Multiple Intelligence)
知能には複数の種類があるという立場です。多重知能理論では、言語的知能、内省的知能、視覚・空間的知能、博物学的知能、論理・数学的知能、対人的知能、音楽的知能、身体・運動感覚知能という8つの知能が別個に存在すると考えられます。(略)
もう1つが、一般知能理論(General Intelligence)です。頭のよさのベースとなる「「一般知能」が存在しており、この能力に大きな個人差がある。そして、一般知能を装飾するような形で、文学的な能力や数学的な能力、博物学的な能力など特殊知能がくっついているという考え方です。
私は、教育に関心を持つものとして、多重知能理論を一応尊重しますが、進化理論や行動遺伝学のエビデンスからは一般知能理論を支持する立場です。
知能をつかさそる特定の部位があるわけではなく、まさに能全体が知能にかかわっています。
人間の性格を表す5要素
・Openness to experience
(経験への開放性、または好奇心の強さ)
・Conscientiousness(勤勉さ)
・Extroversion(外交性)
・Agreeableness(協調性)
・Neuroticism(情緒不安定性)
極論すれば、人間は頭のよし悪しと、性格のよし悪しという2次元の値によって分類できる・・・(略)
科学的な表現とはほど遠いのですが、遺伝的に突出した才能がある人は、他人が外から気づくまえに自分の中で「見えている」・・・(略)
知能や性格を始めとしたさまざまな心的能力は、遺伝の影響がおおむね50%程度であることがわかっています。
収入には遺伝の影響が2~4割程度あるということがわかっています。
ほとんどの人が、科学的に不当な頑張りを強制されている
IQは70%以上、学力は50~60%くらいの遺伝率があります。(略)
つまり、学力の70%~90%は、子供自身にはどうしようもないところで決定されてしまっているのです。
かわいい子には旅をさせよ、そして自分にも
(略)
知能を含め、人間のあらゆる能力は半分程度が遺伝によって規定されています。現在の知識社会において、知能が特に重視され、それが社会階層や収入とも大きく関わっているのは確かでしょう。
しかし、それを以て「遺伝だから仕方がない」と諦めるのは早計です。私たちの社会を構成している無数の才能の、豊潤な可能性を見逃してしまいます。
あらゆる能力が遺伝することをきちんと認め、多彩な才能を評価する文化をみんなでつくりあげていく。小規模なコミュニティを維持、活性化できる社会制度をつくる。そうした取り組みによって、遺伝的な素質が発現する可能性は大きく高まります。
素質を高められる環境を探求し、適応し、生存する。そして旅をしながら私たちは、「本当の自分」になっていくのです。
「かわいい子には旅をさせよ」といいますが、それは大人も同じ。私たちはみな死ぬまで旅をし続けるのです。
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みんなが薄々感じていたことを科学的見地からズバッと教えてくれる本。結論としては、人の能力の大部分は遺伝の影響をめっちゃ受ける。環境とか努力もあるけど遺伝の影響の方がデカい。という内容。
■遺伝と環境の影響バランス
遺伝以外の影響とは環境、環境は共有環境と非共有環境があって、家族に似させるのが共有、異ならせようとするのが非共有環境。
遺伝が影響する対象と比率は色々ある。例えば青年期のIQの個人差は遺伝5割、共有2割、非共有3割。指紋だと遺伝がほぼ100%、体重だと遺伝が9割、非共有1割。
知能や性格、様々な分野の才能は遺伝があまねく、無視できないほど大きく影響している。さらに注目スべきは個人差の大部分が非共有環境によって成り立っている。
■遺伝と家系
遺伝はどの階層においてもばらつきがある。優秀な家系で劣勢の遺伝が出ることもあるしその逆もまたしかり。ただし、年々世代ごとに知能は向上していることがわかっていて、IQは30年で10ポイントも違ってくる。
人の脳は6歳位までに8、9割でき、そのあと12歳位で大人の大きさに成る。
それまでは脳の成長にエネルギーを割かれるため、第二次性徴期に入ってから身体の成長がようやく始まる。
■能力差とどう付き合っていくのか
絶対優位と比較優位がある。絶対的な能力差においても、環境や役割が違えば比較優位と捉えることができる。そしてそれがローカルであれば絶対優位になりえる。
能力はその時の時代背景によっても活かされるかどうかが変わる。
ある時代では有能な能力も、ある時代では役に立たない、その逆もまたありえるということ。
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社会をキッザニア化せよというアイデアはなかなか面白い。才能は確かにあるが、それだけが全てを決定している訳でも無いし、自分自身の向き不向きを知ってそれを活かすためにも知識は必要だろう。
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科学的な分析に基づいた内容と、理想としての教育論が混在している。理念的な教育論は、現状への批判と現実的な要素を踏まえていない持論のため、著者は科学者として記述しているのか良く分からなかった。カーネギー分類のように、高い理念を持って大学を分類した結果、商業的な大学ランキングになってしまったという批判があるように、行動遺伝学も十分に注意をしないと短絡的な優生学としの結論に偏る危険性があると考えられる。