- カテゴリ:一般
- 発売日:2016/11/21
- 出版社: 以文社
- サイズ:22cm/770,66p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-7531-0334-8
- 国内送料無料
紙の本
負債論 貨幣と暴力の5000年
著者 デヴィッド・グレーバー (著),酒井 隆史 (監訳),高祖 岩三郎 (訳),佐々木 夏子 (訳)
現代人の首をしめあげる負債の秘密を、古今東西にわたる人文知の総結集をとおして貨幣と暴力の5000年史という壮大な展望のもとに解き明かす。資本主義と文明総体の危機に警鐘を鳴...
負債論 貨幣と暴力の5000年
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商品説明
現代人の首をしめあげる負債の秘密を、古今東西にわたる人文知の総結集をとおして貨幣と暴力の5000年史という壮大な展望のもとに解き明かす。資本主義と文明総体の危機に警鐘を鳴らしつつ、21世紀の幕開けを示す書。【「TRC MARC」の商品解説】
『負債論』は21世紀の『資本論』か?
現代人の首をしめあげる負債の秘密を、貨幣と暴力の5000年史の壮大な展望のもとに解き明かす。資本主義と文明総体の危機を測定し、いまだ書かれざる未来の諸可能性に賭ける、21世紀の幕開けを告知する革命的書物。トマ・ピケティなど、欧米で絶賛!【商品解説】
目次
- 第1章 モラルの混乱の経験をめぐって
- 第2章 物々交換の神話
- 第3章 原初的負債
- 第4章 残酷さと贖い
- 第5章 経済的諸関係のモラル的基盤についての小論
- 第6章 性と死のゲーム
- 第7章 名誉と不名誉 あるいは、現代文明の基盤について
- 第8章 「信用」対「地金」―そして歴史のサイクル
- 第9章 枢軸時代(前八〇〇―後六〇〇年)
- 第10章 中世(六〇〇― 一四五〇年)
著者紹介
デヴィッド・グレーバー
- 略歴
- 〈デヴィッド・グレーバー〉1961年ニューヨーク生まれ。文化人類学者、アクティヴィスト。ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス人類学教授。著書に「アナーキスト人類学のための断章」など。
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書店員レビュー
丸善ジュンク堂書店のPR誌「書標」2017年1月号より
書標(ほんのしるべ)さん
本書が渉猟する5000年の人類誌は、我々の常識=思い込みを粉砕する。
「経済はまず物々交換から始まって、それを容易にするための『特別な商品』として貨幣が誕生した」という経済学の「常識」。鋳造貨幣がまず誕生し、それを代替するものとして仮想貨幣が生まれたとする貨幣史の「常識」。実際は、先に登場したのは、信用の証である仮想貨幣だった。
それは、人間が他者と共に、様々なものを他者に負ってのみ生きられる存在であるからだ。「社会とは、わたしたちの負債そのもの」なのだ。
その「負債」は、決して完済できるものではなく、また計算できるものではない。それが、仮想貨幣が媒介する「人間経済」であった。
戦争と略奪が「商業経済」をもたらし、鋳貨を生み出した。鋳貨は兵士に支払われる貨幣であり、略奪され、集中していく貨幣である。
仮想貨幣が一旦回帰する中世を経て、再び鋳貨が主役となる資本主義(「商業経済」―暴力―戦争―奴隷制)の時代が、アメリカ大陸の「発見」と資源の略奪によって始まる。
そして現代。IT時代を迎え、主役の座は、鋳貨から仮想貨幣に再び移ろうとしているかに見える。だが、その根底にあるのは相互信頼、相互扶助の「人間経済」ではなく、暴力・戦争と共にある「商業経済」であり、(返済を強制される)負債の連鎖である。そのミスマッチこそが資本主義の破綻を招来することを予想させながら、大著は終幕する。
紙の本
おすすめです。 長めの訳者あとがきに、要約が書かれているので、図書館などでそこだけ読んで興味を持ったらお読みいただきたい。
2021/08/12 17:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:L療法 - この投稿者のレビュー一覧を見る
幅広い視点で縦横無尽に語られる様は、イデオローグかくあるべしの、語ることの愉楽に満ちている。
信用(取引)についての記述が多い。
信用は、交換を支えるとともに、束縛と化す。
しばしば不当な(選択の余地がなかったりする)負債であっても、借りたものは返すべしとの、「道徳」についての疑義でもある。
この疑義が、アナキズム人類学たる所以だろう。
ここには権力、階層を生み出す、強化する働きがある。
債務は対等な取引にはならない。
返済の義務を負うことは、文字通り負い目となる。
それは、縛り上げ身動きを奪うのである。
債務を、貨幣の根幹に置く信用取引、資本主義の強奪は、格差を加速する。
賃労働は実の所、奴隷労働の洗練された形態に過ぎない。
全ての人が負債を負っているが、権力者、多くの債権を抱える豊かなものは、守られていて、極端な話無限に返済を先送りしたり、国家に助けられたりする。
それに対し、小学の金を消せないほど困窮したものは、それによって罰せられる。
負債の多くは、生活の必要によるものだ。
十分なお金を得てないにもかかわらず、消費が求められるし、消費をしなければ、生きていけない。
奴隷たちは、自らの他に売るものはない。
イヌイットは言う。
「この地でわれわれがよくいうのは、贈与は奴隷をつくり、鞭が犬をつくる、ということだ。」
これは資本主義のオルタネイティヴ、外(この地)からの的確な視点だ。
キリスト教の「原罪」は、返済不能な債務である、私たちは、見知らぬ債務に苦しめられ、債務の帳消しを、死後に与えられる。
これはまさに、犬の生活ではないのか?
奴隷制は、家父長制と深いところでつながる。
家父は栄誉を求める。
本来、栄誉を求めることは倒錯である。
求めて得られるものは虚偽である。
栄誉とは他者から剥奪することで増えるものである。
資本主義は自らの破壊に向けて突き進む。
信用によって立つ仕組みは、信用によって視野を狭める。
長大なるこの本は、視野を広げる助けとなるでしょう。
紙の本
現代貨幣論批判の決定版
2022/01/19 07:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
デヴィッド・グレーバーの名を世界にとどろかせたのが本書である。貨幣の歴史を負債という観点から振り返る形で、現代の貨幣論を批判し、なおかつアダム・スミスを痛烈に批判して経済理論の支柱を築いた本と言っても過言ではない。人類学的方法論を駆使し、アダム・スミスのような「物々交換から始まる始原的経済」を夢物語と喝破する。痛快な論調と知的面白さが組み合わさった名著である。
紙の本
貸し借りの新たな1ページ
2020/07/08 10:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
負債こそが貨幣の起源という、大胆な仮説から幕を開けていきます。人間経済から商業経済の移り変わりからは、これからの時代の個人と企業の関係についても見据えていました。