紙の本
ほかのひととちがうこと
2017/02/11 15:58
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみひこ: - この投稿者のレビュー一覧を見る
私がこの本を手に取ったのは、単純に「秘密」の文字に引かれたからだ。
ジョージ君が秘密好きのメリッサちゃんと冒険に行くのかな、
くらいのイメージで、すっきりした表紙にも惹かれて手に取った。
けれでも、この本の語る「秘密」は、とても、大きいものだった。
今この時にも、同じ思いを抱いている人がいるのかもしれない、
そう思うと心が震えてくる。
けれど、それは、読んだ後の、この本が書かれた意味を知ってからの
感想であって、この本の魅力を語る言葉ではない。
私は、この本を3回立て続けに読み返してしまった。
それくらい、魅力に富んでいて、ジョージと一緒に悩んだり、
喜んだりするのが、とても、楽しかったからなのだ。
ジョージだけではなく、兄のスコットになってみたり、
親友のケリーになってみたり、それから、
ママの気持ちに寄り添って、物語全体を見直したりした。
一見そうは思えない人もいるけれど、みんなジョージを愛していて、
ジョージを見守っている。
けれども、ジョージは自分の秘密に気が付いたら、
みんな背を向けて立ち去ってしまうのではないかと思っている。
けれども、それでも、このままではいられないほどジョージはつらいのだ。
だから、何とかしてわかってもらいたい。
ジョージは男の子として生まれたのだけれど、自分は、女の子だと感じていることを。
学校には、他の人と違うジョージに気づいて、
いじめてくるいやなやつもいるし、先生にもわかってもらえない。
それでも、ジョージは親友のケリーとともに、難関を乗り越えようとする。
そのきっかけになったのは、学校の行事でお芝居を演じること。
『シャーロットのおくりもの』 という素晴らしい児童文学のお芝居で、
ジョージはどうしても、シャーロットを演じたいと思う。
そして、そのことを通じて、ママにわかってもらいたいと思っているのだ。
ここから先は、読んでからのお楽しみなのだけれど、私は、
「ごきげんうるわしくていらっしゃる?」
と、言って登場するシャーロットのお芝居を、
ジョージやケリーと一緒におけいこをしながら、
シャーロットのすばらしさを再確認してしまった。
シャーロットの賢さと優しさに憧れるジョージの気持ちや、
この物語を愛しているアメリカの人々の気持ちを感じて、
私は、この『シャーロットの贈り物』を読み返さずにはいられなくなった。
そして、ジョージが舞台に立った時の気持ちの描写には、魅了された。
さらに、メリッサのおでかけ場面の楽しさも素晴らしかった。
それだけではなく、ここに描かれる心の秘密の重要性にも気が付いた。
ああ、でも、もう、これ以上は、話してはいけないだろう。
とにかく、この本についての話を、誰かとしたくてたまらないから、
他の人にも、ぜひ読んでほしいと思う作品なのだ。
紙の本
ありのままの自分で
2017/03/23 23:09
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
トランスジェンダーであることを自覚し、ありのままの自分で生きたいというジョージの物語。
理解者がいることは幸せなことだとは思うけど、真の意味での理解者というとまた違うのかもしれませんね。
よく頑張っていると思います。今後もいろいろあるでしょうけど、負けないで!
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主人公のジョージと寄り添うことができるストーリー。親友のケリーがとてもよい。お兄ちゃんも、意外にいいぞ〜。
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10歳のトランスジェンダーの男の子のお話し。
児童書でこのテーマの本があることにびっくりしました。
とてもいい本でした。ほんとは女の子なのに、と悩みながらも勇気を出して前へ進む姿は応援したくなります。
トランスジェンダーの人が、普段の生活で本当の自分を出せない辛さをどう感じているかが分かります。
私はジョージが自分はゲイじゃないと強く否定するところで、やっと心は女の子っていうのがどういうことか納得できた気がしました。
女の子なんだから男同士じゃないのか!と、おかしいけどこの場面が1番印象に残ってます。
私がいかにトランスジェンダーを理解していないかがよく分かるし。
きっとこの本に勇気をもらう人、理解をするきっかけをもらう人、いろんな人の心を動かすんじゃないでしょうか。
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4年生のジョージは体は男の子でも、自分は女の子だと感じていた。テレビやインターネットの知識から自分がトランスジェンダーであると知る。学校で「シャーロットのおくりもの」の劇をやることになり、ジョージはシャルロットの役をやりたがったが、女の子の役だとやらせてもらえないのだった。
今現在テレビなどでも多様な性の話題は出てきます。しかしそれはテレビの中の話、大人の話と子どもたちの目には映るのではないでしょうか。だから児童書でトランスジェンダーを扱い、しかも読み手とされる子どもたちと同じくらいの年齢の子の話として書かれているのは、意義が大きいのではないでしょうか。
ジョージは自分の体に違和感を持ち、誰にもそれを話せないことに悩みます。しかし親友のケリーに自分が女の子だと思っていることを話すと、ケリーは驚きつつもそのことをそのまましっかりと受け止めるのです。それだけでなく自分がやることになったシャーロットの役をこっそりと代わってくれたり、ジョージを女の子として付き合ってくれたりするようになります。ケリーの言葉のひとつひとつ、行動のひとつひとつが実に素敵です。
シャーロットを演じることが、いつも男の子を演じているジョージの心を開放させます。そんなジョージの気持ちを受け止めることに躊躇する母親に校長先生は、親は子どものあり方をコントロールできないけれど、支えることはできると伝えます。それこそ悩む子どもたちが大人に求めるものなのでしょう。これはトランスジェンダーという問題だけでなく、悩んでいる全ての子らの支えとなる物語なのでしょう。
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トランスジェンダーの小学生の物語。
体は男の子だけど、自分は女の子だと感じるジョージが、親友のケリーや兄スコット、そして母に自分の秘密を打ち明けていく。
ケリーとスコットがとてもいい。ケリーやスコットがジョージの秘密を受け入れてくれるときには涙がでそうになるくらい。トランスジェンダーってゲイとかに比べると小さいころから気づきやすいものだから、子ども向けにこういう本があると、支えられる子どもは多いんじゃないかと思う。とてもよかった。
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自分は女の子だ、と自覚している小学5年生のジョージが主人公。誰にもうちあけられないその自覚と、大好きなのに自分のことをわかってくれない人たちへのじれったさとで、毎日もんもんとしている。
その殻を打ち破るきっかけが、学校でおこなわれる『シャーロットのおくりもの』の劇だった。
ジョージの告白を初めてひきだす親友の女の子、ケリーがいい。すごく活発でおしゃべりで、人の言うことなんか聴いていないみたいだけど、ジョージの言葉にはしっかりと耳をかたむけている。
そして、ノー天気でがさつな高校男子のおにいちゃん。いいキャラ。お母さんも、そうだよなーこういうふうになるよなーというごく自然な描かれ方をしている。
学校に「LGBTの子どもたちがいやすい場所を」ってポスターが貼ってあるという場面が象徴的。そういうキャッチフレーズがあるからといって、一気にカミングアウトすることなんかとてもできない。スローガンと個人個人が結びつくのはとても大変なことなんだ。
お題目だけでなく、ストーリーやこまごまとした描写もすんなり入ってくるし、クライマックスの劇の場面ではじんと感動も。いい作品でした。
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男の子だけど心は女の子だと自覚しているジョージ。秘密を打ち明けたケリーと兄のスコットの受け止め方が温かい。母親は複雑な心境になるだろうなぁという描かれ方で、でも否定せずゆっくり進んでいこうとする様がよい。
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LGBTQの本棚から
第59回「ジョージとひみつのメリッサ」
ジョージはからだは男の子だけど、心は女の子。
四年生になり、本格的に男の子の振りをしているのがつらくなってきたところ……。
学芸会のお芝居で、女の子の役をやりたい、と先生にいったのにわかってもらえず、お母さんもおかしいという……。
苦しんでるジョージに気がついた親友のケリーが話を聞いてくれ、ジョージは、ホントはメリッサなんだ、ということを打ち明けます(毎日一緒に暮らしてると実感するんですよね。目の前にいるのは女の子だって)。
素直に納得したケリーは、当日、自分の女の子の役を変わってくれるのです。
一度、女の子としてのびのび演じてしまったメリッサはもう後戻りはできない……。
なぜそうなるんだ?
といわれても、子どもは大きくなるからだよ、としかいえません。
幼児のときには混乱するだけでもっても、10歳にもなってきたら、体の奥から突き上げてくるものがあって、それは自分でも押さえきれない、大きな力です。
とてもよくできた、完成度の高い児童文学で、読みやすくてわかりやすいのでLGBTQの本棚、に入れておいてください。
2018年08月06日
*** *** *** *** ***
こちらは、以前「今日の1冊」でも紹介しました。
その時の、紹介文はこちら↓
遂に、LGBTQの物語が出ました。
翻訳ものだけど。
(日本の話が早くでないかな)
今年からは性教育、もしくは危機管理、の棚の隣にLGBTQ(最近、Qも入りました。LGBT以外の人たちもいる、ということで)の棚を作ってください。
というわけでこれは買い!
でしょう。
もちろん、文学ではなく、LGBTQの棚に分類してください。
2017/01/23 更新
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主人公は悩み、苦しむが、理解ある友人の存在により、少しずつ自信を取り戻していく。
誰にも相談できず、一人で悩んでいる子が読んで、励まされるような1冊なのかな?
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日本でも小学高学年がメインの読者として出された本だと思うが、トランスジェンダーの子どもがどんな苦しみを抱えているかがよくわかる。こういう本を頭の柔らかいうちに読めば、下らない偏見や蔑視の言葉を口にするような人間にはならないだろう。
主人公の母ですら、女装のゲイとトランスジェンダーの違いがわからなかったのだから、頭の硬い大人も読んでみるべき。特に政治や教育に関わる大人は。
この本がいいのは、本来の女の子の格好ができたジョージ(メリッサ)がトイレに行く場面があること。デリケートな問題だけど、これを書いたことが、メリッサの抱える深い悩みと喜びに真剣に向き合えた証だと思う。
先日、『編集者ども集まれ!』を読んだので、余計に胸に迫った。
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ジョージはアメリカに住む10歳の男の子。母親と兄と一緒に仲良く暮らしている。親友はケリー。
タイトルの通り、ジョージには秘密がある。自分だけの秘密。それは、身体は男の子だけど、心は女の子のトランスジェンダーだということだ。
学校で『シャーロットのおくりもの』の劇をすることになった。児童文学の古典的名作でもあるこの作品、ジョージはの主人公のシャーロット(クモ)をやりたいと思う。でも男の子である自分が、女の子の役をやりたいと言いいだす勇気がない。それでなくともクラスのジェフやリックには女の子っぽことをよくからかわれるのだ。
親友のケリーは、ジョージの思いを知って、シャーロット役のオーディションを一緒に受ける事を応援してくれたけど、学校でも、先生は「シャーロットの役をやりたい女の子はたくさんいるから」と言う。
自分の身体が男の子であること、これから大人の男っぽくなってしまうことへの恐怖や、女の子のようにしたい思いを隠して毎日をすごしていること、
誰にも自分の気持ちを話すことができないでいて苦しむジョージ。
はじめに親友ケリーにトランスジェンダーであることを話し、受け入れられ、
そして家族にも説明して、理解してもらえた。
作者アレックス・ジーノ自身もトランスジェンダーだという。そのことに気がついたのは大人になってからだとの事。この問題が世間的に言われるようになったのは、最近のこと。これまでは、トランスジェンダーということ自体が知られず、自分の性に対して違和感を感じ、人知れず悩んでいた人も多かったのだと思うと、この物語が、悩んでいる子やその周りの人たちの助けになるといいと思います。
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自分は本当は女の子だと気がついたジョージ
彼の葛藤
気持ち
親友のケリー
母
兄のスコット
校長先生
ジョージのまわりにいる優しい人達
側にはいないけど、ジョージのお父さん
が丁寧に描かれていて、とてもよいお話でした
もっと寛容な世界になればいい
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全世界の全年代の人が読まないといけない本。
みんながケリーのような人ならほんっまに幸せなんやろなぁっと思った。
ジョージにとってケリーがいたこと、実はしっかりしたお兄ちゃんがいたこと、寄り添ってくれるお母さんがいること、全て幸運。みんながこんなに受け止めてくれる人が周りにいるとは限らない。
身近にジョージと同じ気持ちの人がまだ居た時に、ケリーのようでありたい。
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自分が、自分の思っている自分でいられるってことを当たり前のように享受していると、そう出来ないツラさに気づけない。主人公の思いに触れて、切なかった。
マッチョな感じの、ちょっとガサツなお兄ちゃんが、意外にもあっさり受け止めてくれたのは、ほっとした。やっぱりそばにいる人に、分かってもらいたいよね。
児童文学でこそ、こういうテーマを身近なことにしていって欲しい。
これも、love yourself,speak yourselfのひとつだな。