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商品説明
水木しげるの「少年戦記の会」関与の問題、つげ義春の知られざる「忍者秘帳」への言及などのテーマを取り上げながら、貸本マンガから見える戦後社会と大衆文化を論じる。『まんだらけZENBU』掲載を書籍化。〔「貸本屋とマンガの棚」(ちくま文庫 2022年刊)に改題〕【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
高野 慎三
- 略歴
- 〈高野慎三〉1940年東京都生まれ。書評紙編集者、青林堂『ガロ』編集者を経て、北冬書房代表。著書に「「ねじ式」夜話」「ガロを築いた人々」「旧街道」など。
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紙の本
こういう時代だったことを忘れてはいけない
2017/02/08 07:31
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代のマンガ文化の隆盛は突然起こったものではない。
マンガ史をたどれば、手塚治虫漫画に代表される優等生的なマンガ(それであっても酷評された歴史がある)がある一方で、暗いイメージをもったマンガも多く量産されていた時代があった。
それが「貸本マンガ」である。
著者は「貸本マンガを戦後史的な文脈のなかで捉え直そうと」、マンガ研究だけではなく歴史の側面にも光を与えようとしたのが、この本である。
そもそも「貸本マンガ」とは何だったのか。
その登場は1953年で、消滅したのは1968、9年だという。
最盛期には全国で2~3万軒の貸本屋があったそうだ。
貸本料金が「一冊10円、一日増毎5円」。
私は1955年の生まれだが、残念なことに貸本屋の記憶が全くない。生まれた土地にもよるのだろうが、近所にはなかったのだろう。
だから、そのシステムはよくわからないが、現代でいえばCDやDVDのレンタルショップ店に近いのだろうか。
そういえば、コミックのレンタルもある。
ただ一般に流通している小説やマンガではなく、貸本向けに描かれた作品が多かったようだ。初期の頃は紙芝居作家の作品も多くあったようだ。
そののち、白土三平や水木しげる、あるいはつげ義春といった、のちのビッグネームが登場してくる。
この本でもつげやその弟のつげ忠男、小島剛夕といった特異な漫画家の作品も取り上げられている。
いずれにしても、こういう時代があって、マンガは現代に続いている。
そのことを忘れてはいけない。