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紙の本
江戸の花鳥画 博物学をめぐる文化とその表象 (講談社学術文庫)
著者 今橋理子 (著)
【サントリー学芸賞(第17回)】【芸術選奨文部大臣新人賞(第46回)】花、草、魚、鳥などを、精密な写実表現で色彩豊かに描いた「博物図譜」。江戸後期に大名や学者から庶民にま...
江戸の花鳥画 博物学をめぐる文化とその表象 (講談社学術文庫)
江戸の花鳥画 博物学をめぐる文化とその表象
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商品説明
【サントリー学芸賞(第17回)】【芸術選奨文部大臣新人賞(第46回)】花、草、魚、鳥などを、精密な写実表現で色彩豊かに描いた「博物図譜」。江戸後期に大名や学者から庶民にまで及んだ動植物の生態への関心に注目し、博物図譜を科学と芸術の結節点として浮かび上がらせる。【「TRC MARC」の商品解説】
江戸後期に隆盛を迎えた「博物学」の思潮に注目し、それまで曖昧にしか捉えられてこなかった「花鳥画」に清新なまなざしをそそいだ意欲作、ついに文庫化。美術史と科学史の垣根を取り払い、個々の作品の精緻な分析から鮮やかに浮かび上がる新たな光景。サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞作。図版多数収録!
1995年度のサントリー学芸賞(芸術・文学部門)を受賞した本書は、それまで注目されることのなかった花木や草木、動物、虫魚など、あらゆる生物を対象にした「花鳥画」と呼ばれるジャンルを取り上げる。
従来の「花鳥画」という概念には、色彩豊かで精密な写実的表現の絵画も、墨一色による水墨の技法による絵画もいっしょくたに含められていた。著者はここに一つの大胆な補助線を引いてみせる。そのとき注目されたのが、江戸後期に大名や学者から庶民に至るまで広がっていった動植物の生態への関心と、それゆえになされた飼育や栽培だった。その延長線上にあるのが、江戸時代の「博物学」の隆盛である。
著者は本書の冒頭でこう宣言する。「本書を「江戸の花鳥画」と題したのは、あらゆる動植物へ向けられた江戸の画家たちの視線を、当時の博物学隆盛の文化背景の中に再発見しようとする試みのためである。そしてまた科学と芸術が密接に連関しながら育む新しい思潮の中で、古来より描き続けられてきた「花鳥」画が、科学と芸術とが特に接近した江戸時代においていかなる様相を呈していたかを明らかにするためでもある」。
こうして本書は、それまで誰も思いつきすらしなかった視線を生み出し、「花鳥画」という言葉にまったく新しい意味を与えた。
現在、日本では博物図譜のジャンルは多くの人に知られ、たくさんの展覧会が開かれている。その大きな突破口を開いた記念碑的著作が、ついに文庫化。図版多数収録!【商品解説】
目次
- はじめに
- 序 章 「花鳥画」研究への新たな光
- 1 東西博物図譜史研究の現状と江戸時代「花鳥画」
- 2 本書の構成
- 第I部 自然と写生──博物学時代の到来
- 第1章 心に会得する花──近衛家熈「花木真写」と『槐記』
- 1 日本自然誌事始
- 2 『槐記』に語られる家熈
- 3 「華道」の花・「本草」の花
- 第2章 宋紫石試論──南蘋流継承と離脱の様相
著者紹介
今橋理子
- 略歴
- 1964年、東京都生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科博士後期課程修了。現在、学習院女子大学教授。専門は、日本美術史・比較日本文化論。主な著書に、『江戸絵画と文学』、『江戸の動物画』、『秋田蘭画の近代』(和辻哲郎文化賞)、『兎とかたちの日本文化』ほか。
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紙の本
江戸時代の花鳥画へ芸術的価値を認めた興味深い一冊です!
2020/03/07 15:58
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、サントリー学芸賞を受賞した非常に興味深い一冊で、これまであまり注目されてこなかった「花鳥画」の価値を見直し、芸術品としての価値を与えた書です。江戸時代後期には、大名や学者はもちろん、一般の庶民までもが動植物の生態に興味をもったことで、花や草、虫、魚、鳥などを描いた「博物図譜」が編集されました。これは色彩豊かで、細かな描写は写実的に素晴らしいのですが、芸術という点では非常に軽視されていました。同書では、こうした状況を一変させる力をもっており、日本美術史研究の風景を変えた一冊とも言われています。