紙の本
『逆説のスタートアップ思考』
2017/04/02 19:36
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
短期間で急成長を目指す一時的な組織体であるスタートアップ
本書はスタートアップが急成長するための独特な思考法を解説する
キーワードは「逆説」
不合理なほうが合理的
難しい課題ほど簡単になる
本当によいアイデアは説明しにくい
スタートアップの成功はべき乗則に従う
スタートアップでなくても活用できる視点が見え隠れしている
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・ スタートアップとスモールビジネスは違う。スタートアップであるかどうかのポイントは急成長を目指しているかどうかである
・ スタートアップは誰も手を付けていないアイデア、つまり「他人から見れば不合理なアイデア」や「他人からは悪く見えるアイデア」あるいは「まだ世間的なコンセンサスがとれていないアイデア」を選ぶ必要があります。
・ よりよいものではなく、「異なるもの」を:コンテナを用いることで、陸上の運送から海上の運送の間で必要だった「バランスよく積み込むこと」自体をなくし、陸海の運送をシームレスにつなげることができました。その結果、既存企業の競争優位性だった、バランスよく積み込むことそのものを無効化したのです。
・ 経験価値と記憶価値はモノとコミュニティ(SNSなど)を通じていっそう強いループになる
・ 一部のイノベーションは、技術という答えが先にあって、その技術で解決できる問いに「気づく」ことでその価値を発揮することがあります。
・ ベンチャーキャピタルの「ベイブ・ルース効果」:スタートアップは、頻度よくヒットを打つことではなく、ホームランを打つことだけが大事
・ 未来に生きて、欠けているものを作れ
・ 今から10年から20年先に世界はどうなっていて、自分のビジネスはその世界にどう適応しているだろうか
・ 「私はどんな問題を解決すべきなのか」を考える代わりに、「誰かが解決してくれるなら、どんな問題を片付けてほしい?」と考えてみましたか(ポール・グレアム)
・ 歯ブラシテスト(1日に2回以上訪問する価値があるようなサービスかどうか)をクリアしますか
・ 競争に勝つには、どうやって競争から抜け出すかを考えることが重要
・ 小さな市場・ニーズを独占することで、大企業は合理的に無視し続ける
・ 今は小さくても短期間で急成長するような市場を見つけて、そこに賭ける
・ 長く独占するために必要なこと
① 専売的な技術(proprietary technology)
② ネットワーク効果
③ 規模の経済
④ ブランド
・ 一般的に多くの企業は80%のシェアをとれるはずなのに、50%のシェアで満足してしまう傾向にあるとマイケル・ポーターは指摘しています。しかし、まず小さな市場を素早く独占するところから成功しなければ、長期間にわたって独占を続けることはできません。中途半端な独占では、競合がその地位を奪いかねません。
・ 自社の戦略を作るうえで最も犯しやすい間違いは、「最高を目指す競争をしてしまうこと」。最高を目指す競争では、次第に価格競争か長時間労働に陥り、利益がどんどん目減りしていく。限られたリソースを活かすため、しないことをはっきり決める
・ スタートアップの最初期は多数の人から好かれる製品よりも、少数の顧客が愛する製品を作った方がよい
・ マジックモーメント(自分たちの製品がもたらす最も価値ある体験)を早い段階で顧客に提供する(顧客が求めているものを一番に提供するUX)
・ メトリクスを設定す��際には、メトリクスの変化を見たときに従業員がおのおのの判断で行動可能(actionable)名メトリクスにしておくとよいでしょう。また、追跡するメトリクスとしては、遅行指標よりも先行指標を設定することが重要です。
・ メトリクスが従うのは「ビジョン」
・ メトリクスの追跡において、開示した数字に対していいわけをしてはならない(今は開発に集中している、今週はイベントだ、など)
・ 満足度は最高でないと意味がない
・ セールスは聞くこと。セールスはスピードが大事。顧客の35〜50%は最初に反応したベンダーを選ぶともいわれている
・ 製品「以外」もプロダクト体験として認識することで、打てる手は大きく広がります。
・ 最も大きなリスクを抱える仮説から検証を始めてください(知りたくない事実から検証をはじめる)
・ バーベル戦略:客単に保守的な投資と、極端に投機性の高い投資を組み合わせ、中ぐらいのリスクは一切とらない
・ 予測可能なコストの範囲内で、よい方の未知が起きることに賭ける
・ 損失回避性:利得に対し、損失に伴う感情的なインパクトは1.5倍から2.5倍程度ある
・ スタートアップはゼロサムゲームではなく、新しい価値を創出し、新しい市場を生み出すもの
・ 行動して初めて情熱が生まれるのであって、情熱があるから行動するわけではない。情熱ははじめからあるわけではなく、経験から育っていくものです
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スタートアップというのは、「短期間で急速に成長する組織体」のことらしい。起業ともニュアンスが違い、短期間で結果を出さないとダメらしい。しかも、今まで誰もやっていない事であり、アイデアとして普通は否定されるようなことなので、簡単なことではない。
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ネットでは何度か見ていたけど、今回本にまとめて出版ということで早速購入&読了。既知の情報ももちろんあったけども、スライドとかではなく、本という形で読むとそれはそれでまた違う味わい。復習や手元に置いておく一冊
P59
日本でも据え置きのゲーム機はみな「ファミコン」と呼ばれていた時期がありました。カテゴリを開拓するような新しい製品は、そのカテゴリそのものの名前になります
P105
破壊的イノベーションは多くの倍位はローエンドから、あくまで「小さなニーズを満たすもの」として始まります。仮に漸進的イノベーションに追随し、大きくなってきた組織がその登場に気づいたとしても、破壊的イノベーションが狙うような市場では組織を養えるほどの利益が出せません。だから投資することもできない。この判断もまた合理的です
P112
小さな市場を独占した後に必要なのは、その独占状態を長期間維持することです
(中略)ピーターティールは、長期の独占状態を作るためには、以下の四つの要素のいずれかが必要だと指摘しています。①プロプライエタリテクノロジ(専売的な技術)②ネットワーク効果③規模の経済④ブランド
P120
それは世の中に「新しい価値を作ること」と「その価値のどれだけの割合を獲得するか」は、それぞれが独立しているということです。(中略)たとえば多くの科学者は自らの発明で、新しい価値を世界に生み出してきました。だからといって、その新しい価値を作ったことに対する経済的な見返りを十分得たかと考えると、必ずしもそうではありません
P121
とはいっても、単に独自の価値さえ作ればよいわけではありませn。多くの人のがここを勘違いしがちです。「独自の価値」を「独自のやり方」で作る、という二つの条件を同時に満たすことが重要です
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爆発的成長を遂げる組織、スタートアップ。起業を志す人、新事業立ち上げに携わる人が増えた昨今、そこで培われた方法論は高い価値を持ち始めた。一方Microsoftで多くのスタートアップを支援し、現在、東大産学協創推進本部で講義や起業サポートを行う馬田氏曰く「日本が健全な社会を維持するためにスタートアップが不可欠」と主張する。なぜスタートアップが必要なのか? なぜ逆説的で反直観的な思考法が爆発的成長をもたらすのか? そして東大生がスタートアップを学んでいる理由とは? 孫泰藏氏、推薦!
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馬田氏によるスタートアップの本。教科書的な内容も多くとてもわかりやすいとともに本質的でとても面白い。スタートアップは反直感的とのくだり、バカなとなるほどとも言われるが経営、競争戦略において非常に重要なポイントをついた言葉でよき。
unsexyこそ最もsexyとも言い表される部分。
メモ
・アイデア
不合理な方が合理的
難しい課題ほど簡単になる
本当に良いアイデアは説明しにくい
スタートアップの成功はべき乗則に従う
・今の時代の集団が間違っている信じている幻想を見抜き、それに異を唱えることが、スタートアップに必要な資質。
・あわせてwhy now?も重要。
・難しい課題の方が簡単になる理由
周囲からの支援が受けやすくなる
優秀な人材採用につながる
競合がいないマーケットに進出できる
・スタートアップのアイデアは考えだすのでなく、気付くもの。
・未来仮説。未来に生きて欠けているものを作れ。今から10-20年先に世界はどうなっていて、自分のビジネスはその世界にどう適応しているだろうか。誰も築いていない、価値ある企業とはどんな企業だろうか。
・独占のための戦略 ピーターディール
小さな市場を選ぶ
少数の特定顧客が集中していること
ライバルがほとんどいないこと
顧客に刺さり続ける仕組みがあること
スケールのために必要な限界費用が安いこと
・スタートアップの成功要因の80%は市場の選択によるという分析もある。
・長期独占に必要な要素 ピーターティール
専売的な技術
ネットワーク効果
規模の経済
ブランド
・まず独占し、徐々に広げること。
・先行者利益より、終盤を制すること。
・独自の価値を独自のやり方で作るという二つの条件を同時に満たすことが重要
・あえてスケールしないことをすることで、創業者は自分たちの会社、そのすべての業務のエキスパートになれる。
・週次成長率は5%以上を設定する
・成長率を軸に置くことで、方向性が定まってくる他、新しいアイデアにつながることも。
・バーベル戦略。極端に保守的な投資と極端に陶器製の高い投資を組み合わせ中くらいのリスクは一切取らないと言うもの。
・アンチフラジャイル。変化によってダメージを受けるんじゃなく大きな利益を得るもの。
・検証の速度と回数はコントロールできる。
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米国で「スタートアップ」と呼ばれる会社はとにかくクレイジー。出資するVCも同じ。「三振かホームランか」で一攫千金を夢見る凄まじい連中が、一日も早く市場を独占することを至上命題としてしのぎを削る世界。「儲かるかどうか」を丁寧に説明して何ヵ月後かに出資が決まる日本とは基本的に違う。「最近できた会社」をスタートアップと呼ぶのだと思っている人は本書を読んで勉強不足を反省すべし。
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まさしく今自分が書いている本の影響もあるが、スタートアップの戦略論を知れば知るほど、スタートアップと個人の生き方がアナロジーとして一致することに驚かされる。スタートアップそのものが反直観的存在であるように、人間の生き方も反直観的な方が得られるリターンも大きい。
「バーベル戦略」というリスクの取り方:この戦略は「極端に保守的な投資と、極端に投機性の高い投資を組み合わせ、中ぐらいのリスクは一切取らない」というものです。p211
タレブの言葉を借りて言えば、「現実世界のボラティリティ(変動性)によって起きる非対称的なよいブラック・スワンこそイノベーション」です。p215
カーネマンの「損失回避性」p222
<メモ>だからギャンブルにおいて、取り返そうという心理が働くのでは?
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スタートアップという言葉はアメリカのシリコンバレーからきたもので、急成長する事業を指すそうです。本書では、急成長しない(させようとしない)事業は、スモールビジネスと呼び区別しています。
「はじめに」の物語に登場するスタートアップの中で、私が知っていたのは、Facebook・Instagram・Amazonだが、いずれもITを余すことなく活用している企業であり、当然のことながら本の前半はスタートアップにはITありき、という雰囲気が漂う。
話はスタートアップに重要なアイデア・戦略・プロダクトの順で進むが、ITを利用する側にいる私にとって、前半は少々読みにくかったので、第3章のプロダクトから読み始めたところ理解が進み、俄然面白くなって駆け足で読み終えた。
大企業がイノベーションを起こせない理由の一つは、オペレーターなってしまった人たちのの嫉妬が原因で、ノベーターを守れないから…だから、大企業は、スタートアップとのオープンイノベーションに活路を見出そうとしているのかもしれませんね。
売るものが何であっても、先ず必要なのは、プロダクトの魅力です。それを高めるために必要なのは、シンプルな状態で良いから出来るだけ速くローンチ(リリース)して顧客の反応を見ながら、アップデートして行くこと。立ち上げ時は創業者が自らカスタマーサポートを行うことも必要、とのこと。普段、カスタマーサポートをサポート?している私としては、お客様の声は宝の山、という考え方が良く分かります。お客様の声を上手く活用しましょう。
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著者の馬田隆明氏は、日本マイクロソフトでスタートアップの支援を行っていた人で、現在は東京大学で学生にスタートアップのレクチャーをしている。
33歳で本書を出版していることに驚く。
内容は、スタートアップではないビジネスマンにも通じるものが多く含まれている。
イノベーションが社会を変える時代である。そして、イノベーションはスタートアップから生まれることが多い。
つまり、スタートアップに必要な思考は、イノベーションを起こすための思考である。
しかし、私たちも規模や次元の違いがあれど、仕事面で何かしらの革新を求められている。また、革新を起こしたいと思っている。
私が印象深かったのは本書冒頭の次の3点。
①不合理な方が合理的
一見不合理に見えるが実は合理的なアイデアこそ革新に通じる。しかし、一見不合理に見えるアイデアのほとんどは本当に不合理なアイデアなので注意しなければならない。
②難しい方が簡単
誰もやりたがらないほど面倒で困難なことの中に、宝がある。その面倒を引き受けて困難にチャレンジすることが革新の近道である。
③分かりにくい方が良い
全く新しいものにはカテゴリーがない。ゆえに、説明しても分かりにくいようなものである。どのカテゴリーにも属さないような未知のものこそが、革新に近い。
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新しい事業を始めるときに何が必要でどういう心構えでやっていくべきか述べられていた書だ。スタートアップにはアイディア、戦略、プロダクト、運が必要でこれからは新しい価値を生み出すような仕事でない限り生き残っていけない、他人から見れば不合理なアイディア、競争に勝つためにはどうやって競争から抜け出すのか、大勢の人がほしがる物を作る、顧客がどう製品を使い続けてくれるのか、どんな環境に身を置くのか、等ビジネスにもマーケティングにも役に立つ内容だ。再読すべき本だ。
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スタートアップに必要な考え方を「アイディア・戦略・プロダクト・運」の4つの観点からまとめた一冊。一般的に合理的とされる考え方からみると逆説的に見えるが、その逆説的な考え方が出来るかどうかが、スタートアップを成功に導くカギとなるぜ、ってな話。
本の最初の方で出てくるが、新規事業を考える際に、「スタートアップ」を目指すのか、「スーモルビジネス」を目指すのかにより考え方が全く異なるので、きちんと最初にどちらを目指すのかを決めておく必要があるんだと思います。
●アイディア
・不合理なアイディア。賛成する人がほとんどいない大切な真実を含んだアイディア。誰も信じていないけれど、自分たちだけが信じる未来についての仮説
・よりよいものではなく、異なるもの
・考え出すのではなく気付くもの
・ヒットを狙うのではなく、ホームランを狙う
・未来に生きて、欠けているものをつくれ
●戦略
・競争を避けて、独占を目指す。素早く、小さな市場に討ち入り、長く独占することを目指すべし
・競争に勝つのではなく、どうやって競争から抜け出すか。負け犬とは、競争に負けた人ではなく、競争をしている人を指す。
・破壊的イノベーションに気付けないのではなく、あくまで合理的な判断として、破壊的イノベーションを選択しない。つまり組織は破壊的イノベーションそのものに負けるのではなく、組織による合理的判断により失敗する。
・価値の大きさと、その価値で生み出した市場における割合は、必ずしもリンクしない。良い価値を生むだけでなく、その価値が生み出した世界で、どれだけのシェアを獲得出来るかまで、想いを馳せないといけない。
・最高を目指す競争はしない。何をしないかを決める。
●プロダクト
・今日はどうやってプロジェクトを殺そう?という問いかけをもつ。プロジェクトの検証はリスクの高いものからやることで、ダメなプロジェクトは早く店じまいするべし。
・製品の最も大きなリスクとは、その製品にニーズがあるか否か
・答えはユーザーも知らない。ユーザーの回答の裏に潜む真実に目を向ける。
・多数の好きより、少数の愛を探せ。
・スタート間もないころは拙速なスケールを目指さない。きっちりと時間をかけて顧客と向き合い、差別化ポイントを発見することで、次のドライブに拍車をかける。
・メトリクス(日々追いかける指標)をきちんと設定する。この設定権こそが、マネージャーの大きな役割。
・製品以外もプロダクト体験として捉えると、打ち手が広がる。
●運
・バーベル戦略。リスク分散し、投資する。
・運はコントロールできないが、挑戦する「回数」はコントロールできる
・損失回避性。人は利得よりも損失の方に意識が生きやすい。したがってチャレンジをしにくい性質を持つ。裏を返せば、チャレンジする人はそれだけで、アドバンテージがあるということ。
・人生にとってもっとも大切な資産は「時間」
・人生の繁栄は節約された「時間」で測る
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起業したい人だけでなく、スタートアップを支援する立場だったり、スタートアップと戦う立場である人にとっても非常に有益な事がまとめられた一冊。
自分が今の会社で働き続けるにしても必要な考えが幾つもあった。
筆者の思考の基底に人類発展、日本復活のような大きなテーマがあり、そこに向けてのスタートアップという考えも好感。
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本人のオリジナルというより、Yconとかピーターティールの話のまとめ。でも読みやすくまとまっていると思いました。ふろむだの話と似てる。
P117 負け犬とは競争に負けた人でなく、競争しているひとが負け犬
P206 成功している人もむやみにリスクをとっているわけではない
P218 運はコントロールできないが、回数はコントロールできる
P243 一般的には、人は必要以上に偶然性やランダム性を怖がりすぎている。この世界には悪い偶然と同じように良い偶然もあふれている
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スケールしないことをやる
リスクをポートフォリオ化する
顧客が欲しいものを作る
まずはリリースを最優先する
今、やらなければならないことをする
市場を独占する