紙の本
政府にプライバシーを握らせてはならない。
2017/04/20 22:40
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投稿者:くりくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
2013年6月、アメリカ政府が秘密裏に構築した国際的な監視プログラムの存在が暴露された。イギリス・ガーディアン紙にアメリカの最高機密情報を提供したのがたったひとりのNSA(米国国家安全保障局)職員であり、当時29歳の若者スノーデンだった。
本書は、昨年東大で行われたスノーデンも参加したシンポジウムの記録。アメリカが自国は元より他国の個人情報をすべて記録保管していたという事実、今、わたしがこうしてネットを利用していることもすべて記録している事実、携帯電話を持つことによってプライバシーはない事実が明かされる。
そして、個人を監視するこうしたシステムは、9・11テロを契機に行われるようになったことが、監視者としての仕事をしていたスノーデンから語られる。
今、テロ対策のための法律が国会で審議されているが、日本も同様の社会となってしまうのだろうか。
スノーデンは語る「プライバシーは自分が自分であるための権利」「プライバシーは力である」「言論の自由やプライバシーの権利は社会全体に利益をもたらす」「権利は弱い人を保護するために存在する」
共謀罪とも言われているらしい日本のテロ対策法案だが、政府にプライバシーを握らせてはならない。
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監視社会の実態への驚きと乱用防止取組の困難さを痛感
2017/08/02 17:41
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投稿者:セーヌ右岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
2013年のにスノーデン氏による機密情報リークは、米国の国家安全保障機関職員により行われたこと、その膨大な情報の量と監視手段・内容の異常さ、無差別・網羅的な大量監視政策の進展への恐怖等、世界に衝撃を与えた。本書は、スノーデン氏本人の発言や、監視による被害防止・被害者支援を通じて権力乱用や違法監視に立ち向かう人々の活動を通じてその実態を提示している。本書では、監視捜査を制御・監督するための一番強力な監視機関はマスメディアであるといわれているが、残念ながら日本のマスメディア、ジャーナリストに信頼を寄せられるかは大いに疑問であり、対応の難しさを感じる。
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共謀罪や監視社会をスノーデンさんが警告する。
2018/07/13 00:11
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投稿者:命"ミコト" - この投稿者のレビュー一覧を見る
共謀罪や監視社会をスノーデンさんが警告する新車です。
新書という手頃な値段でスノーデンさんが警告したい内容について述べられています。
スノーデンさんはインターネットの盗聴についても警告しており、手軽な値段なので是非、読んでほしい新書です。
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9・11以降、テロ防止の名目で広がった全世界の市民を対象にして広がった監視体制。アメリカの実態を告発したスノーデン氏が、今起きている深刻な事態(日本も的確に指摘)や権力を監視するための方向を明快に解説し、さらに監視社会の問題に詳しい日米の精鋭がシンポジウムで議論を多角的に深めるという2部構成となっている新書です。
スノーデン氏が告発した内容をよく知らなかったので、この本を通じてその一部を知ることができたと思います。プライバシーは個人の権利であるはずなのに、ネット検索履歴(グーグルで検索した言葉がそのまま残っている)やメール、位置情報にいたるまでの膨大な監視を当たり前としているという事実に大きな恐怖を感じました。便利なシステムの背景には、別の力が働いているようです。テロへの恐怖や緊急事態への対応を煽りながら人権侵害の仕組みをつくる手法は、悲しいかな今の日本の政治状況と照らし合わせると容易にイメージできました。「テロより風呂場で滑って亡くなる確率の方が高い」との指摘が本文に出てきますが、厚労省発表の数字から導き出された(人口動態統計)事実であり、具体的な立証で非常にわかりやすく説得力がありました。
スノーデン氏が指摘するように、まさに民主主義・人間の尊厳に関わる問題であり、自分のこととしてみないといけないですね。うがった見方になるかもしれませんが、戦前の隣組制度復活に近づくかのような国のいう地域包括ケアシステム・共生社会実現という方向も無関係でないように感じました。
最後に、「きちんと関心をもって多くの人と話して事実を発信していく。〈参加〉が大事。過ちを怖がらず行動すること」と日本人へのメッセージを投げかました。共謀罪が議論され、さらに憲法改正を政治日程に乗せようとする動きにある中、スノーデン氏の言葉をきちんと受けとめていきたいと思います。
第二部のシンポジウムもとても読み応えがあります。超おすすめの一冊です。
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シチズンズ・フォーのおさらいとして。本だと自分のペースで理解が進まるのでよい。ところで、GoogleやFacebookがPRISMで情報を提供していた、という件は本当だったのか?ラリー・ペイジやザッカーバーグの声明は?
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政府による大量監視社会についての問題提起。現在のテクノロジーではあらゆる情報が収集され得ることを改めて感じた。
テロ、犯罪対策などのため一定程度は必要と思うが、バランスが大切だろう。
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スノーデンの行動が、単なる暴露ではなく、あるエリートによるコンピュータネットワーク、IT技術に潜む大きな問題への警笛であることがよくわかる一冊。ウィキ・リークスやアノニマスの行動にも通じるけど、一連を単なる暴露屋に見えている方は必読かと
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2016年に東大で行われたシンポジウムを書籍化したもので、3部構成となっており、最初にスノーデンの話、次にパネルディスカッション、最後に質疑応答が収められています。
スノーデンはアメリカの元諜報部員だったが、9.11以降、疑わしき人物のみならず一般市民のプライベートな情報までも一般的な法的手続きも取らず盗聴などによって集めるようになった国家に対して不信感を抱き(もちろん愛国心から)、その実態を暴露したことで有名となりました。これによって、国家の情報収集方法の裏側が明るみにでることになり、さらには権力の濫用、個々人の自由な権利を脅かすもの、情報の隠匿などといった問題が議論されるきっかけとなった。
本書でスノーデンは特にプライバシー、民主主義、ジャーナリズムについて強調しています。
国家にプライバシーの侵害を認めるということはあなたがあなたであることを社会に決めさせるということ、私はこういう人間だと主張できないことを意味する。
多くの国では選挙で国のトップや政策を行う者を決めるが、それは選ぶ側に十分判断材料になる情報が開示されていることが前提であって、情報が操作されたり隠されたりしたままの不十分な状態では専制政治と同じである。
情報を集め公平に判断できるジャーナリストはもっと政治を監督しなければならない。国の圧力に屈してはならない。
このような主張に関連して今の日本は異常事態だと彼は述べています。その例として適用範囲を広げた盗聴法改正、特定秘密保護法、憲法の解釈改憲、政府に都合の悪いコメントをするニュースキャスターを降板させる、などが挙げられています。
解釈改憲も特定秘密保護法もアメリカの盗聴も全てはテロ対策という名の下に進められている政策ですが、ここで面白い指摘がされていました。
テロによって殺される確率はバスタブで転んで死ぬ確率よりも低いという指摘です。こういう現実に対してプライバシーを明け渡すほどのリスクを負うことが賢いのか、莫大な予算をつぎ込むほどのことなのか、よく考えるべきだと。
スノーデンという第3者の目で見た日本の現状を知るには分かりやすい内容でした。彼の言う「我々の無知と無関心が最大の脅威」には大いに賛同します。
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アメリカの情報機関による無差別監視の実態を暴露した元情報局員
エドワード・スノーデン氏が参加し、2016年に東京大学で行われた
シンポジウムの書籍化である。
2013年に問題が公になった時、アメリカの情報機関が同盟国である
ドイツ・メルケル首相の携帯電話を盗聴していたことが問題になり、
日本国内では安倍晋三首相の携帯電話はどうなのかと話題になっ
たが、本質はそこではない。
テクノロジーの進歩と共に進む、監視社会の問題であり。政府がどこ
まで個人の情報を掴んでいるかである。
公安警察が日本国内のムスリムの人たちを監視していた資料が何者
かによって流出した事件があった。警察が裁判所の令状もなく対象
車両にGPSを取り付けた違法捜査があった。野党の事務所に出入り
する人物を監視する為か、警察が秘密裏に監視カメラを取り付けた
事件もあった。
特定の人たちだけが対象だから、自分には関係ない。やましいことが
なければプライバシーをちょっとばかり覗かれても構わないではない
か。自分には関係ない。そんな無関心が監視社会を徐々に進化なら
しめていやしないかと思う。
インターネット関連会社がアメリカ政府に個人情報を提供していたの
はスノーデン・リークで既に公になっているが、ネット上だけではない。
国会前では政府の政策に反対する人たちが何かしらのデモを行って
いる。私も何度か国会前に足を運んだことがあるから分かるのだが、
そこにはカメラを手にした公安警察の警察官と思われる人物が必ず
いるのだ。
デモに集まっている人の中には左派過激派も混ざってはいるのだろう。
だが、多くは「この法案は危険だ」と危機感を覚えた一般の人々である。
その人たちの写真なり、動画なりを公安警察が保存しているのだ。
今後、成立・施行が予想される「テロ等準備罪」という名の共謀罪と、
マイナンバーの普及を促進しようとしていることを併せて考えると、
スノーデン・リーク以前のアメリカの無差別監視が日本国内でも
実現する可能性は高いと思う。
特に自民党は既にネット上の監視を強化しているのだから。
「人々が政府のことについてすべてのことを知っていること、これが
民主主義だ。政府が多くのことを知っているが人々が政府のことを
知らない、これは専制政治である」
本書でも引用されているアリストテレスの言葉だ。「テロの脅威」との
お題目の下に、政府が制限なくなんでもできて、国民には何も知らせ
ないなんて国にしたくないね。
実際、アメリカではボストンマラソンでのテロを防げなかったしね。それ
にテロで死ぬより交通事故で死ぬ確率の方が高いんだから。
監視社会に疑問を持った人の為の入門書というところかな。スノーデン氏
関連の他の作品を読んでいれば、目新しさはないかも。
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スノーデン氏の日本へのメッセージと、パネルディスカッションから成る。USのトラディショナルなディスカバリカルチャからしたら、なんとも諦観の念を抱かざるを得ないような気がしないでもなくない。
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ネットは便利で世界が広がるけど、これを読むとそれは誰でも情報を集めやすいので権力者がそれを使うとどうなるか。
これを読むと、ただただ恐怖です。
政府を信じてください何も悪いことはしませんからってそれでは戦時中に相通じるものがある。
政治的にはどうでもよい不倫とかではなく、もっと大事なことを報道してほしいし、市民もそれを知りたいと声をあげなければならない。
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2013年にスノーデンがアメリカの監視体制を暴露したことを映画で初めて知り、そのときから興味を持ち始めた。今の技術を使えば、スマホやパソコンのカメラやマイクなどあらゆるデバイスを通して情報を政府が管理することが容易に可能である。アメリカの実態から考えると、公開はされていないが日本でもすでにされていると考える方が普通であるとスノーデン氏は言っている。実際にスノーデン・リークからアメリカではそういった情報の取り扱いについてメディアなどが声をあげて監視体制を敷く政府と戦い、国民(アメリカ人)においては監視の対象外になる法律を成立させるまでに至っている。
この国民のみ監視の対象から外れることは重要で日本人やその他の国の人は未だに監視の対象であり、それはヨーロッパで成立した法律でも同じでどこの国・地域も自分の地域の住民のみを監視から外しているにすぎないと言われている。
そんななか、日本では政治などこういうことに対する無関心のためかメディアがまったくとりあげない(圧力により取り上げられない)ためか、共謀罪など様々な法案が成立し国民も含めて監視の対象になっている可能性が高いと考えられている。
この本を読んでいて、ニュースなどであまり流れていない情報がかなり多くでてきていたが、情報収集も偏らないように意識しないといけない。どういう基準で判断されているのか知らないが、実際日本の報道自由度は全世界72位で、G7中最下位であるということにも留意しておきたい。
監視社会はテロ対策という名目で成り立っているが、実際にどこまでテロを防げているのかは不明であり、むしろ無害な人への必要以上の監視をしたり、権力を持つ人が容易に悪用できる状況にあることが問題であると指摘されていた。
安全とプライバシーのどちらをとるかバランスの問題にもなってくるだろうが、その監視をどこまでなら許容してどこからは違法とするのか、政府まかせにせず、国民による政府の監視が重要なのだ。
政治に興味を持たない風習の日本ではあるが、テレビや新聞だけに偏らず情報を収集し、いろんなことに関心を持ち、みんなで話し合って行くことが大切だと感じた。
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書評では信頼のおけるブロガーさんが★5つけてたので、読んでみた。が、どうにもついていけない。内容がリベラルチックで陰謀論者でない限りはお勧めできないな。
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読了。
この業界にいると、個人の情報があらゆる場面で利用されていることを実感し、空恐ろしくなることがある。民間企業のマーケティングですらそうなのだから、益して況や国家/政府をや。この危機感を考察する際、”やましいところがなければ、なにも恐れることはない”というレトリックが用いられるのだが、「プライバシーとは悪いことを隠すということではない」というのは当にその通り。隠すべきことがないからプライバシー権は気にしないというのは、「話したいことがなければ言論の自由は必要ないというのと同じくらい危険」なのだ。
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米国の役所に勤め、アメリカ政府が許可もなく、一般市民の携帯電話やインターネット履歴の情報を集めているという事実を2013年にリークした、スノーデン氏による、日本への警告本。前半は、日本にも住んだことがあるスノーデン氏が、アメリカやヨーロッパで起こっていること、日本でも起こっていると想定されること、これから起こりうることが書いてある。後半は、弁護士やジャーナリストによるパネルディスカッション。
政府が、テロリストなどの嫌疑が全くない人や、イスラム教というだけで監視をしているという事実は憲法に違反するという趣旨なのだが、同じ内容が繰り返され、少々冗長に感じた。本書が言いたいことは1ページで十分。携帯電話の普及により、居場所やだれとコンタクトをしたかなど、過去にさかのぼってすべて知られてしまうそうだ。ただ、一般人にその知識をもつ以上にできることは少ない。スノーデン氏は、事実を書く勇気を持つジャーナリストに期待をしたいと述べている。