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商品説明
【講談社エッセイ賞(第34回)】この世のみちづれとなって−。11通の絵手紙をもらったのが最初だった。直木賞受賞、強迫神経症、お遍路、不意の死別。異色の私小説作家・車谷長吉を支えぬいた、妻であり詩人・高橋順子による回想。【「TRC MARC」の商品解説】
この世のみちづれとなって――
十一通の絵手紙をもらったのが最初だった。
直木賞受賞、強迫神経症、お遍路、不意の死別。
異色の私小説作家を支えぬいた詩人の回想。
【本文より】
長吉は二階の書斎で原稿を書き上げると、それを両手にもって階段を降りてきた。
「順子さん、原稿読んでください」とうれしそうな声をだして私の書斎をのぞく。
私は何をしていても手をやすめて、立ち上がる。食卓に新聞紙を敷き、
その上にワープロのインキの匂いのする原稿を載せて、読ませてもらう。
(中略)
それは私たちのいちばん大切な時間になった。原稿が汚れないように
新聞紙を敷くことも、二十年来変わらなかった。相手が読んでいる間中、
かしこまって側にいるのだった。緊張して、うれしく、怖いような
生の時間だった。いまは至福の時間だったといえる。 (本文より)【商品解説】
著者紹介
高橋順子
- 略歴
- 〈高橋順子〉1944年千葉県生まれ。東京大学文学部フランス文学科卒業。青土社などの出版社に勤務。書肆とい主宰を務めた。「時の雨」で読売文学賞、「海へ」で藤村記念歴程賞と三好達治賞受賞。
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まさに文学に命を賭けたような生涯であった
2017/10/04 13:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは車谷長吉の奥さんである高橋順子氏が書いた夫の評伝である。文学の鬼のような車谷長吉の凄まじい生涯が描かれている。しかし、車谷長吉の小説やエッセイなどを読んで想像していたよりも凄い生涯であった。まさに文学に命を賭けたような生涯であった。
紙の本
毒虫に魅入られた女
2017/07/19 10:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くらまま - この投稿者のレビュー一覧を見る
車谷の作品をいくつか読んで、この人はどういう人なのかと興味があった。そして、ぶっ飛んだ回答(本人はいたって真面目だったらしいが)の新聞の人生相談に時々出てくる「ヨメはん」の存在。私小説作家という性質上、敵を作るのは致し方ない所があるとしても、つくづく世渡りの下手な人だったのだと思う。後半、どんどん生きる気力を失っていく車谷は、著者が詩人であることも大きいと思うが、客観的で冷静な描写の散文が逆にせつない。どうして早く書くのをやめてしまったのか、どうして毒虫たることをやめてしまったのか。もっと読みたかった。