紙の本
つながりの中を生きる現代人たちへの一冊
2017/09/13 20:55
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投稿者:Pompon - この投稿者のレビュー一覧を見る
必ず朝は夜になる。でもそのいつかが今日なのか明日なのか20年後なのかは誰にもわからない。
世界にはたくさんの人がいて、これだけいろんな人と出会えるようになった世界でも、そのほんの一部とだけしか出会えなくて。そんな人たちと交差しながら日々を生きているけども、どんなに深い関係になった相手にも人は簡単なことで会えなくなる。
でも、それらは確実にそのときは存在していて、今も自分のなかにははっきりと存在している。
すごくドラマチックなことが起こるわけではないのだけど、移りゆく状況とそれを取りまく人の感情が、何か物足りなさを感じながら生きている大人たちの心の柔らかいように刺さってくるような一冊でした。
紙の本
人を好きになるっていうこと
2017/07/01 15:24
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投稿者:romi - この投稿者のレビュー一覧を見る
四半世紀前、希望のない童貞にソープに行けと北方謙三は言った。2017年、燃え殻の「ボクたちはみんな大人になれなかった」を読めと言いたい。好きな人に出会える、きっと出会えると信じて、このクソみたいな世界を生き抜いてほしい。
電子書籍
タイムスリップしたくなる
2018/07/02 13:17
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投稿者:Olive世代 - この投稿者のレビュー一覧を見る
学校を飛び出してあの店へ駆けていく。花束を無意識的に道端のおねえさんにあげてしまう。
彼女に出会う前からすでに、主人公の本質は変わらず人間らしくって大人である、
それが羨ましくもあり、単純にこういう人が好きだなと思います。
わたしは、じぶんに近い距離の物語に感じて、とても心を動かされました。
偶然にも人生や仕事を考え直す節目に、これを読めて良かったと思います。
全速力で高校生くらいまでタイムスリップして、わたしの文化も、もう一度真剣に取り戻したくなるほどです(泣)
その糸口がたくさん本の中にあったので、また読み返してじぶんのことを振り返る材料にしたいと思います。
匂いまで鮮明に感じとる、この本みたいな感性を持ちたい、と素直に思いました。
そしてその次に、この気持ちを人に素直に伝えられる、すてきな人間になりたいなとも思いました。
電子書籍
手触り
2017/07/27 12:07
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投稿者:tourist - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう事を書いてはいけないんだと思う。
他人なのに、違う場所で生きてきたのに、手触りが空気が温度が自分のことのようにまとわりつく。
そして自分の心がなぜだか切なくなる。
ありがとう。
紙の本
懐かしい
2018/01/12 23:21
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投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し前の自分を思い出しました。
甘酸っぱいというか、胸が苦しいというか。
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燃え殻さんとは歳が近い事もあり、時代背景というかその頃の空気感というか、作品から流れてくる匂いがとても懐かしくて、登場人物達とは全く違うけれど、その頃の自分の恋愛を思い出した。
cakesで読んだ時にとても感じたのが、まるでクリープハイプの曲みたいだなってこと。
「傷つける」や「大丈夫」とか。
そこがまたこの作品の匂いが好きな理由なのかも。
cakes連載時に比べるとかなり手が加えられてる感じで、読みやすい気はするけど、私はcakesの文章の方が好きだったな。
でも私は好きです。
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それぞれの時代の、それぞれの青春がある。とおりすぎていった風景や人たちが現在の自分を作り上げている。でも、ふりかえってもそこにはもうなくなっていて、その人は居ない。過去は地層のように積み重なり、あの日はそこに埋もれる。掘り出してももうそれは化石でしかない、あるいは亡霊のように。今日という日はそんなものを引き連れていく日だ。ありがとうとさよならの中間のようなグラデーションみたいな小説。
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時系列が行ったり戻ったりするので地に足が着いていないような感覚のまま読み終えることになった。
結局、何があったんだっけな?っていう夢を見たような気分。
90年代音楽やTVに力があったあの時代の熱気は懐かしく思うけれど、東京のギラギラして、けれど疲れた街での生活の経験がないからあまり響くものはなかったような。
今の時代を象徴するかのようなわざとらしいSNSの描写はちょっと萎えた。
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いろんなところでとても良かったということとどこの本屋に行っても売り切れというところに絶対読みたいという気持ちが日増しに強くなりようやく読むことができた。
40代の人が読めばど真ん中なんだろうなというとても詳細な時代背景は自分が小学生から中学生くらいのことで当然当時の六本木や新宿や野毛の様子は分からない。
しかしどこか懐かしい少し前の雑多な都会の感触は伝わってきた。
男性特有の過去への未練や執着のようなものは自分の中で美化されて詩的になることは誰にでもあるものだと思うがこの本はそれをそのままパッケージしたようなものだと思う。
とても私的な物語に捉えられたのではまる人ははまるのだろうが自分としてはそこまでくるものはなかったと思う。
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Cakesで連載されて評判だったというウェブ小説の書籍化。タイムラインで流れてきて知り、衝動買いして一気読み。
40代の自分の現在の空気感ととても重なる部分があり、文章がとてもオシャレ。
過去に囚われる男と、未来を志向する女が、すれ違い、別れ、SNSで再会するという経験は、多くの男は、どこか甘酸っぱい感情とともに味わったことがあるのではないかと思う。そんな、記憶の中で止まったままの過去の時間がSNSのタイムラインという現実の中で、カタルシスとして浄化されていくくだりがとても良かった。記憶の中で大人になりきれずに止まったままの自分が成仏される瞬間。そのとき、自分の歩んできた人生に意味が与えられ、ボクたちは大人になれるのかもしれない。
そう考えると、過去に囚われがちな自分の思考も悪くないのかもな、という気にさせてくれる。まあ、燃え殻さんと違って、こんなオシャレな文章は書けませんが、ね。
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読む程に、胸に蘇るきれぎれの過去。
疼くような切ない想い。
誰かの問いかけや、くれた言葉を、
こんなふうにていねいに
胸に抱いて生きてこられただろうか。
読後のこの胸苦しい気持ちを大事にして、残りの人生生きて行こう。そう思った
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こんな内容かな?と目次だけ見て予想したら、やっぱりこんなふうだった。という小説。
平中悠一さんの
『ゴー・ゴー・ガールズ スイングアウト・ボーイズ』
を『ノルウェイの森』の文体で短く書いたらこうだと。
別にそれが悪いわけじゃない。アラフォーからアラフィフの人が、青春を切り取って追体験した。
そういうお話だ。思い出小説。
Twitterで大騒ぎされていたから、もっと良いのかなって期待してしまった。こういうことをその世代の人が言ってなかったから、ぶわっと共感されたのかも。
確かに、そのことを『形に出来る』というのも才能だし『出版できた』というのもチャンスだから。
ただ、私はこれ一冊でもういいかな。
主人公はかつての恋人に「こっぴどく振られて」
終わったと書いてあるけど、実際にはどっちからも終わったのだろう。
彼女が次の恋人に心を定める前に、彼は他の女性と夜を過ごしていたのだから。
黙って距離をあけ、黙って心を休ませて、彼女は上手に去った。実際には終わる前に、終わるようなこともしてたし、双方サインは出していたはずで。
彼女は彼に必要な人だったかもしれないけど、もう用はお互い済んでいた。だから好きだった分だけ、なんとなく、でも確実に終わった。それだけの話。
ラストは確かに切ないけれど、私は女だから
「二度も別れなくたって。捨てなくたっていいじゃないのよ。」
と、まるで自分が捨てられたように思った。世代が違っても、いらなくなったら「ありがとう。さよなら。」って、都合のいい時に言うのは同じなのだ。
SNS世代の事だし、彼が一人で口にした、余計なその言葉が相手に届かないことだけが、たったひとつの救いな気がした。
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こう言うのをロマンチックと言うんだろうか。
普段あまり読まないジャンルなのもあり、良くも悪くも衝撃を受けながら深夜に読み切った。目の前で話を聞いてるような心地。体感的には30分くらい、あっという間。もっと時間を使ったと思うけど…語り手にはあんたホントきもちわる〜てきついこと言いつつ笑い飛ばしたいと思った。うげ〜。
人によっては紐づく思い出が多すぎて重いのかもしれないけど、サクッと読めると思う。
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やってしまうことある、昔好きだった人や元カレをSNSで検索すること。
その人の投稿を、ひたすら遡ること。
人は自分が一番好きだけど、それでも自分より好きになった人がいる。
スーがガンダムのララァのセリフを真似るシーン。
「あなたは、私にとって遅すぎて」
それに対してアムロは
「ボクにとってあなたは突然すぎたんだ」と答えるらしい。
ガンダム知らないけどそのシーンだけ見たい。
人生の本当に大切な選択の時、俺たちにじゆうはないんだよ。
不安のためにボクはこれからも時間を売る。関口は不安を買って旅に出ることにしたんだ。
あいみょんのアンサーソングの中の言葉。
「自分にとって小説は希望です。」
私もいつか書いてみたくなった。
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「不安のためにボクはこれからも時間を売る。関口は不安を買って旅に出ることにしたんだ。」という言葉の選び方が好み。
社会の閉塞感、人生の虚無感がお酒と音楽と本とともに描かれた、哀愁漂う一冊。夜更かししてコーヒーか洋酒を口にしながら読んだら最高だと思う。