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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちょっと大げさかなと感じましたが、歴史をさらに深く知りたいと思う人には雑学的には面白いかなと思います。
紙の本
六つの飲み物。
2019/09/04 17:35
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
水が悪いから、の理由で、ビールやワインが作られ、好まれてきた。また中国では茶の木の葉を煎じて飲まれてきた。そんな事情が語られていきます。
大航海時代を通じて通貨代わりに、安価な労働力の確保にラム酒があって、炭酸入りの鉱泉水を真似て炭酸水を作り、その販売の中でできていくコーラ。
そして肝心の水。
人類の歴史は戦争と切り離せませんが、飲み物もついて回っています。
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歴史を変えた飲み物?
2018/09/17 14:18
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラ、この6つの飲み物がなかったら、
世界の歴史は変わっていたかも?
うーむ、わかる気はします。
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投稿者:ひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴史や文化に影響を与えた、いろいろな飲み物について、世界史と一緒に書かれていて、とてもおもしろかったです。
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コップ一杯の歴史
2017/08/17 06:34
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
ありふれた日常の飲み物のなかにも、様々な物語が含まれることを感じました。先人たちの知恵が、味わい深いです。
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『歴史を変えた6つの飲物』
-ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラが語るもうひとつの世界史
トム・スタンデージ 著
新井 崇嗣 訳
楽工社
2017/06 333p 2,700円(税別)
原書:A HISTORY OF THE WORLD IN 6 GLASSES(2005)
プロローグ 生命の液体
1.メソポタミアとエジプトのビール
2.ギリシアとローマのワイン
3.植民地時代の蒸留酒(スピリッツ)
4.理性の時代のコーヒー
5.茶と大英帝国
6.コカ・コーラとアメリカの台頭
エピローグ 原点回帰
【要旨】人間は食べ物を摂取しなくてもしばらくは生きていられるが、水を
飲まなければ、たちまち生命の危険にさらされる。そのため太古の昔から人
類は水を確保するのに必死だったが、生水は細菌に汚染されがちなために、
安全な「水以外の飲物」が作られるようになった。そしてそれらは嗜好品と
なり、さまざまな意味が付与され、文明と歴史を形づくっていくこととなる。
本書では、そういった観点から、1万年前からの世界の歴史を見つめ直して
いる。とりわけ重要な役割を果たした6種類の飲物(ビール、ワイン、蒸留
酒、コーヒー、茶、コーラ)にスポットを当て、それぞれの、これまであま
り指摘されてこなかった、歴史的大事件や文化との関わりを語る。著者は英
国の作家兼ビジネス、テクノロジー、科学系エディターでエコノミスト誌の
副編集長を務める。本書の原書は17カ国語に翻訳され、世界各国で広く読ま
れている。なおダイジェストではビールとコーヒーのパートを取り上げている。
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●穀物の余剰から生まれ社会的な飲み物になったビール
人類の近代化に向けた歩みは、農耕を取り入れたことから始まった。およ
そ1万年前、近東(※ヨーロッパから近い、現在のトルコ、シリアを中心と
する地域)で穀物を栽培したのが最初で、これにともない原始的なビールが
登場した。それからおよそ5000年後、最初の文明がメソポタミアとエジプト
で誕生する。いずれも、大規模な組織的農業が生み出した穀物の余剰分の上
に成り立っていた。このような農業の確立により、ごく一部の人々が畑で働
く必要性から解放され、神官、官吏、書記、工芸家となる。さらにこの余剰
分は、用水路、神殿、ピラミッドといった、共同で行う大規模工事の資金源
でもあった。
ビールは発明されたのではなく、発見された。穀物の薄いかゆ、特に大麦
麦芽を数日間置いておくと、不可思議な変化が起きることに人々は気づく。
このかゆは軽い発泡性の液体に変化し、飲む者を軽く心地よくさせた。大気
中の酵母によって液体に含まれる糖がアルコールに変化したためである。
ビールは必ずしも人類が初めて口にしたアルコール飲料だとは限らない。
果物あるいははちみつの貯蔵を試み、結果的に少量の果汁ないしはちみつが
偶然に発酵すること(それぞれワインとはちみつ酒)は、ビールが発見され
た当時からごく普通に起きていたはずである。しかし、果物は季節もので腐
りやすく、自然のはちみつは限られた量しか採れなかった。一方、ビールの
原料となる穀物は豊富にあり、保存も簡単だったため、ビールは欲しいとき
にある程度の量を確実に作ることができたのである。
ビールは初めから社会的な飲み物として重要な機能を持っていたようだ。
紀元前3000~2000年代のシュメール人のものとされるビールの絵は、一つの
容器に入ったビールをふたりの人間がストローで飲んでいる、というのが一
般的だ。
理由はおそらく、食べ物と違って飲み物の場合は、正真正銘、同じものを
分かち合うことができることと関係があるのだろう。たとえば肉を切り分け
ると、大抵は好ましい部分とそうでない部分という差が生じる。しかし、共
通の容器に入ったビールを数人で分け合えば、だれもが同じものを飲む。そ
のため、同じ飲み物を分け合うのは、歓待と友情を示す世界共通の象徴とさ
れているのである。
今日でも、茶やコーヒーを一つのポットから注いだり、ワインや蒸留酒を
一本の瓶から皆のグラスに注いだりすることは行われている。人々が乾杯の
際にグラスとグラスを合わせるのは、たがいのグラスを一つにして、同じ容
器に入った同じ飲み物を飲むということを象徴的に示している。いずれも古
代に起源を持つ伝統である。
●17世紀ヨーロッパの“インターネット”となったコーヒーハウス
ギリシア哲学の古い常識の数々にヨーロッパの思想家たちがようやく本気
で挑み始めたのは、17世紀初めになってからのことだった。先駆者たちは古
代の文献の盲信を拒み、実際に観察、実験することに重きを置いた。この合
理的探究の精神は、その後2世紀にわたって西洋思想界の主流として広がり、
科学者が取り入れた実証的、懐疑的アプローチが哲学、政治、宗教、商業の
分野にも取り入れられ、ついには啓蒙運動と呼ばれる動きとして結実する。
この新合理主義のヨーロッパへの広まりと同時に、コーヒーという、明敏
な思考を促す新種の飲み物も普及した。コーヒーを好んだのは、科学者、有
識者、商人、聖職者など、知的労働を行う人々だった。
コーヒーは17世紀のヨーロッパ社会に非常に大きな衝撃を与える。当時最
も広く飲まれていたのは、朝食の席でさえ、弱いビールとワインだったから
だ。これらはごみごみとした都市においては特に、汚染の可能性が高い水よ
りもはるかに安全な飲み物として好まれていた。つまり、ビールと同じく水
を沸かして作るコーヒーは、アルコール飲料に代わる、安心して飲める新し
い飲み物として受け入れられたのである。しかも、コーヒーを飲むと、きり
りと冴えた頭で1日を始められたため、仕事の質も能率も格段に向上した。
コーヒーの刺激作用は、その発祥の地とされるアラブ世界でかねてから知
られていた。それ以前から、元気になるということで、人々はコーヒーの実
をかんでいたかもしれないが、実から飲み物を作る方法を編み出したのは、
イエメンの学者で、スーフィーと呼ばれるイスラム神秘主義の僧侶、ムハン
マド・アル=ザブハーニーではないかと言われている。
アラブ世界に浸透するにつれて、コーヒーは、まずは通りや市場の開かれ
る広場で、その後専門店であるコーヒーハウスで、1杯単位で売買された。
それから半世紀のあいだに、この異国情緒あふれる新種の飲み物は、西ヨー
ロッパ各地へ急速に広まる。コーヒーが西方に広まるにつれて、コーヒーハ
ウスは酒場に代わる上品かつ知的な場所であり、アルコールを出さないどん
な店よりも優れている、というアラビア人の考えも同時に普及した。
ヨーロッパのコーヒーハウスは、科学者、ビジネスマン、作家、政治家た
ちの情報交換の場だった。現代のホームページと同じく、コーヒーハウスは
最新の、そしてしばしば信用のならない情報の発信源だった。
コーヒーハウスは教養を高め、文学的、哲学的考察を行い、商売に革新を
もたらすところであり、時には政治的画策をする人々が集まる場所だった。
そして、なによりも重要なのは、コーヒーハウスが客、刊行物、店から店に
伝わる情報でつながれた、ニュースとうわさ話の情報センターだった点にあ
る。ヨーロッパのコーヒーハウスは全体で、理性の時代のインターネットの
役割をはたしたのである。
●コーヒーは産業革命、フランス革命にも関わった
ロンドンのコーヒーハウスを介する科学的知識の普及は、17世紀末に向け
て、新たな、より系統的な形を取り始める。セント・ポール大聖堂に近いマ
リン・コーヒーハウスでは、1698年から数学に関する講義が繰り返し行われ
ており、ここを皮切りにして、コーヒーハウスはさらに複雑な内容の講義の
場として人気を博していく。
こうした講義は、科学の普及だけでなく、商業的利益ももたらした。船乗
りと商人は、科学が航海術の向上に役立ち、ゆえに商業的成功にもつながる
ことに気づき、科学者たちは、見るからに難解な発見の数々に実用的な価値
があることを積極的に実証しようとした。航海、採鉱、製造に関する新たな
発明や発見を利用しようと、起業家と科学者が手を組んで会社を興し、これ
がのちの産業革命につながった。
パリのコーヒーハウスも知識人の集う場所で、啓蒙思想の中心だった。と
ころが、フランスのコーヒーハウスでは、流通する情報はすべて政府の厳し
い目にさらされていた。フランスでは、啓蒙運動という知性の進歩が起きて
いたにもかかわらず、社会・政治面での進歩は旧体制の圧力のせいで妨げら
れており、その矛盾をコーヒーハウスは浮き彫りにしていた。
フランスが独立戦争時のアメリカへの支援を主な原因とする財政危機の高
まりに必死で対処しようとするなか、コーヒーハウスは革命的動乱醸成の中
心となった。1789年7月12日の午後、カフェ・ド・フォア(※パリのパレ?ロ
ワイヤルにあったコーヒーハウス)において、カミー��・デムーランという
名の若い弁護士の発言がフランス革命の始まりを告げる。デムーランは「武
器を取れ! 民衆よ! さあ武器を取れ!」と叫んだ。フランス革命は、ま
さにカフェから起きたのである。
コーヒーは今でも、人々がアイデアや情報を論じ、発展させ、交換すると
きに飲まれている。近所でのおしゃべりから学会、ビジネス・ミーティング
まで、コーヒーはアルコール飲料のように自制心を失わせる心配のない、交
流と協力を促す飲み物であり続けている。
コメント: 本書に登場する6つの飲み物はどれも嗜好品であり、生きてい
く上では必ずしも摂取しなくてもよいものだ。最初のビールなどは「余剰」
から生まれており、6つはいずれも「精神的な余裕」のシンボルとも言える
だろう。その余裕が交流を呼び、文明を形づくってきた。本文には17世紀の
コーヒーハウスが「インターネット」と同じ役割を果たしたとあるが、現代
のインターネットとの大きな違いは、もちろんコーヒー、すなわち「余裕の
シンボル」の有無である。ネット上の議論がしばしばまとまらなかったり、
炎上したりするのは、もしかしたらこうしたシンボルがないことに原因があ
るのかもしれない。
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ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、お茶、コーラという6つの飲み物を軸に人類の歴史を検証した本です。
この順番でほぼ時系列になっているので、章が変わった際に歴史が前後するということがなく、読みやすかったです。
それぞれのドリンクの誕生や普及が、農耕の誕生や新大陸の発見、大英帝国の発展や独立戦争、その後のグローバル化と密接に関わっていることがよくわかります。
歴史上の出来事を身近な飲みものの知識とともに学べる一冊です。
個人的には後半のコーヒー、お茶、コーラの章が好きです。
特にコーラと歴史を結び付けて考えたことはなかったので、コーラがこの本に列挙されていたことにまず驚きがありましたが、読んで納得のおもしろい章でした。
食べ物や飲み物はいつの時代にもあり、その歴史を学ぶことで、過去に培われた文化や歴史に触れることができます。
歴史は苦手という人も、好きな飲みものから学び始めると楽しいのではないでしょうか。
思ったよりも写真や資料は少なめなので、特に気になる飲み物については、図説系の本などで予習しておくと読みやすいと思います。
◇おすすめポイント
・身近な飲み物から歴史を学べる
・飲み物のことをより深く知ることができる
・歴史の流れが理解しやすい構成
◇こんな方におすすめ!
・登場する飲み物が大好き
・食文化に興味がある
・歴史を学びなおしたい
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6つの飲み物を時代に分けて、その飲み物にちなんだ歴史を解説した本。
ビールは紀元前4000〜5000年にメソポタミア、エジプトで発明ではなく発見されたということにびっくり。ビールが偶然できたということは、農耕が開始されたということに納得。
ワインはその後の紀元前870年ごろの古代ギリシャで飲まれているとのこと。しかもワインを飲むのは儀式的であり水で割って飲むのが普通だったと。その後ローマ帝国に支配された後もワインは身分の高いものから奴隷までみんなが飲んでいたとは。そんなに当たり前の飲み物になってたのね。イスラム教の普及とともにワインを飲む地域が限定されていったのは納得。現在に通じてる。
ヨーロッパでの大航海時代に蒸留酒が登場するが、蒸留酒を作ることは錬金術とされていたのはびっくり。
蒸留酒は薬として使用されていたとか。さらにラム酒を作るためにサトウキビが必要でそれが奴隷制を助長させたと。
17世紀になるとコーヒーが現れる。
中東やエジプトからヨーロッパに広まるが、コーヒーハウスが議論の場となり、情報収集の場となった。
なんと、フランス革命はカフェから始まったというのはびっくり。
紅茶に関しては大体知ってた。
コカコーラが元々は薬として作られ、酒の代わりとして大々的に売られていたのは知らなかった。
この頃から宣伝による効果が出てきたんだなあ。
グローバル化を進めた飲み物がコカコーラとは。ペプシとの戦いも興味深かった。
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遥か紀元前のメソポタミアで生まれたビール
ギリシア・ローマ文化に関わるワイン
大航海時代を支えた蒸留酒
コーヒーの覚醒作用とお茶の殺菌成分が中世の英国に与えた影響
米国のグローバル資本主義の象徴であるコーラ
飲物で人類の歴史を紐解く。
面白い!
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ぼくは酒好きだしコーヒーも好きだ。愛しているとさえ言ってもいいかもしれない。だから、製法とか原料とか淹れ方とか、そういうのは興味があって勉強するんですが、歴史や文化まで知ってるか?と言われるとそうではありませんでした。とは言っても、しょせん飲み物だしねぇ、美味しかったから生き延びてきたんでしょ?ぐらいの気持ちで手に取ったのが本書でした。だけど、その予想は見事に裏切られるわけですね。ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コカ・コーラ。この6つの飲み物がその時代を作ってきたと言っても過言でないくらい、これらは歴史と文化に深く関わっていることがわかります。当時を想いながら、これらの飲み物を手に取るというのも、味わい深くないですか?
◆ビール
人類がビールを飲むようになったのはメソポタミア文明よりも前に遡ります。当時、人類は野生の小麦・大麦を集めて食べる時に、水と混ぜて”おかゆ”状にして食べることがありましたが、これを数日放置すると、発酵してアルコールが生まれます。こうしてビールは発見されます。
そののち人類は定住して農耕するようになりますが、その際に果たしたビールの役割はとても大きいものでした。狩猟採集の時は様々な栄養を摂取できましたが、大麦・小麦だけでは栄養が足りなくなってしまうため、その栄養はビールで補うようになります。また水はすぐ腐ってしまいますが、ビールはそれよりも衛生的ですので、安全な飲み物として重宝されます。したがって当時はなくてはならなかった飲み物なのですが、ビールを作るためには大量の麦がいるから農耕が必要になった、という説さえあります。
メソポタミアでは、労働の対価はパンとビールでした。シュメールの神殿の労働者は配給の一部としてビールを受け取っていたのですが、最も階級の低い人でも1日だいたい1リットルが配給されました。最高官吏に至っては1日約5リットルです。そんな飲めないよ。。。
「パンとビール」という言葉は、幸運と健康を祈るというような日常の挨拶
通貨の代わりとして使われていました。また、子どもにも健康のために、パンとビールが推奨されていました。幼少期から酒浸りです。
文化的には、ビールはみんなで分け合って飲むものとされました。大きな壺にストローをさしてみんなで飲む絵が残っています。ストローを使うのは、昔は濾過技術がないので、上部にゴミとかが浮いてたためです。濾過や取り分け用のグラスが発明されてからも、この風習は続いており、現代の乾杯文化につながったものと思われます。今の日本でも、カップルが喫茶店で1つの飲み物に2本ストローを挿して飲んでいたりしますが、あれはきっと古代メソポタミア文明に敬意を払っているのでしょう。
なお、ホップがビールの原料に使われるようになるのは、中世になってからなので、当時のビールは苦みや香りが少なく、ちょっと味気ないかもしれません。
◆ワイン
ワインもビールと同じ頃誕生しますが、ワインは作ることのできる土地が限られていたため、非常に高価であり、「��間部の絶品ビール」ともてはやされました。ワインは富の象徴で、大量のワインを振る舞えるというのは、それだけ権力を持っているということでした。
ワインはとくに古代ギリシャで愛されます。ギリシャでは気候がワイン造りに適していたということもあって、奴隷が手にできるほど広がります。彼らはシュンポシオンという正式な酒宴の場でワインを飲み、議論をしました。ワインの味にもこだわりを見せ、原産地や生産年の違いを楽しむようになります。一方でビールばかり飲んでいる、ないしワインは飲むけどマナーをろくに知らないメソポタミアや北部ヨーロッパの人のことを未開人と見下すようになります。ワインのとっつきにくさはこの頃からなんですね。。。
今と違うのは、ワインは水で薄めて飲むものだったということ。たとえ上質なワインでも、水を加えずに飲むことは野蛮な行為であるとされていました。2倍に薄める程度では「強い」ほうで、4倍程度に薄める場合もありました。ワインの味自体は、まぜものがない上質なものであれば、現代のものとさほど変わらないはずなので、ぜひみなさんも2倍以上に薄めて、シュンポシオンごっこをしてみませんか?
◆蒸留酒
まず、ワインを蒸留して作られるブランデーが作られました。蒸留技術がまだなかった頃は、アルコール度数はワインの15度が限度だったため、ブランデーは超自然的な存在として受けとめられ、寿命を延ばし、悪い体液を取り去り、心臓に元気を取り戻し、若さを保つ効果があると謳われ、薬として使われるようになります。その後「短時間で酔える酒」として飲まれるようになるのですが、大航海時代を迎えると、一気に人気が高まります。奴隷貿易において、アフリカ人はワインやブランデーなどのアルコール度数の高い酒を欲しがるようになります。一方で、ヨーロッパ側としても蒸留酒はワインやビールなどと比べて、場所も取らないし腐らない。
その後、蒸留酒の主役はブランデーからラムに変わっていきます。ラムはサトウキビを原料にするので、入植先で製造ができました。ラムは強くて安いため、すぐに広まる。その強さから「キルデビル」と呼ばれ、飲んだ人たちは酔っ払って暴れまわったといいます。船員への酒の支給も、ビールからラムにとって変わるようになったのですが、これがある問題を解決することになりました。壊血病です。壊血病はビタミンC不足で起きますが、当時はラムにライムを入れて飲んだため、これが摂取できたというわけです。
◆コーヒー
コーヒーは17世紀のヨーロッパ社会に非常に大きな衝撃を与えます。当時、最も広く飲まれていたのは、朝食の席でさえ弱いビールとワインでした。これは、都市において安全な水を手に入れるのは難しく、ビールやワインの方が汚染の可能性が低かったからです。したがって当時のヨーロッパ人は常にほろ酔い状態だったわけですが(羨ましいですね)、コーヒーは水を煮沸するから安全なだけでなく、頭も冴えるわけですね。この理性の飲み物によって、仕事の質も能率も格段に向上します。
また、17世紀のヨーロッパには、コーヒーハウスという文化がありました。当時のビジネスマンが最新のビジネス情報をチェックしたい、物価の動向��知りたい、政治の噂話を聞きたいと思ったならば、行くべきところはコーヒーハウスでした。コーヒーハウスは、科学者、ビジネスマン、作家、政治家たちの情報交換の場であり、現代のインターネットと同じく、最新の、そしてしばしば信用ならない情報の発信源となっていました。情報は、コーヒーハウスからコーヒーハウスへとあっという間に広がったそうです。
コーヒーハウスはすべての男性に開かれており(少なくともロンドンでは、女性は立ち入り禁止でした)、身分の違いは関係なく会話を楽しみました。コーヒーハウスにはいろんな人が来たので、科学者と商人がタッグを組んで新たな商業を起こしたりとか、株式の取引が行われたりと、コーヒーは経済発展の原動力になっていました。
◆茶
帝国主義の拡大と産業の拡大、その両者をつないだのが、茶という新しい飲み物でした。少なくとも紀元前には、茶は中国で飲まれており、唐の時代(619~
906)には国民的な飲み物として広まっていました。茶には強力な抗菌成分が含まれていて、たとえ湯の沸かし方が不十分だったとしても、それまでに飲まれていた米やアワのビールよりも安全な飲み物でした。この時代の中国は、世界最大の領土を誇る、最も裕福で、最も人口の多い一大帝国でしたが、その繁栄の背景には、茶を飲む風習が関係していたと考えられます。
時が経って、18世紀。イギリスで茶が大人気となります。ロンドンのコーヒーハウスの経営者トワイニングは、その隣に茶を専門に売る店を開きます(スーパーでよく見かける、あのトワイニングです)。コーヒーハウスは男性限定でしたが、こちらは、主に女性向けのお店でした。また、ティー・ガーデンが登場して、上品で優雅な公共の場として人気を博し、男女の出会いの場にもなっていました。コーヒーと比べると、茶の方がきらびやかな印象です。
また、工場主たちは労働者に対して、ティー・ブレイクを認めました。古くから農業労働者に与えられていたビールは、アルコールのせいで動きが鈍くなりますが、茶にはカフェインが入っていますから頭も冴えます。また、労働者を一箇所で働かせ、住まわせると病気の問題もありますが、茶の抗菌成分がこれを解消してくれます。逆にいうと、労働者はお茶のせいで劣悪な環境を許容せざるを得なかったのかもしれませんが、死ぬよりはマシですね。。。まさに、産業革命という時代に求められる飲み物でした。
そんな感じで、イギリスで茶が大量に消費されるようになりましたが、その茶はどこから来るかというと中国です。大量に茶を購入したため、大きな貿易不均衡が発生します。イギリスはこのままではお金が払えなくなっちゃう、、と困ってしまいました。で、何をしたかというと、麻薬貿易ですね。半ば政府主導で、インドで生産したアヘンを中国に密輸します(じつは中国の当局も賄賂をもらって、見て見ぬふり。。。)。アヘン中毒に困った中国政府は、アヘンの在庫を燃やし、関連業者を一斉摘発します。これに難癖をつけたイギリスが宣戦布告。アヘン戦争に完敗した中国は、香港をイギリスに明け渡すことになります。1つの飲み物が、大国の運命さえも変えてしまったのです。
◆コカ・コーラ
19世紀���アメリカは、大量生産・大量消費型の経済で一気に躍進し、20世紀には敵なしの超大国となっていました。この時期のアメリカ、そして世界中で愛飲されたのがコカ・コーラであり、アメリカンドリームの象徴です。もともと、コカ・コーラは薬として販売されます。名前そのままで、コカの葉とコーラの種子が主原料ですが、コカの葉にはコカインが、コーラの種子にはカフェインが含まれています。当初のコカ・コーラには、じっさいに微量のコカイン成分が含まれていました(20世紀初めに取り除かれているが、コカの葉の他の成分は今でも入っている)。コカ・コーラが一般化するにしたがって、薬ではなくただの清涼飲料水として普及し、子供にも好んで飲まれるようになります。コカ・コーラはカフェインという世界一有名な興奮剤の摂取を、コーヒーや茶には手の届かなかった領域にまで、見事普及させたのでした。
1940年代には、コカ・コーラ社は海外事業を急速に拡大します。世界各国の瓶詰め工場とフランチャイズ契約を結び、世界どこでも同じコカ・コーラを製造・販売するようになります。コカ・コーラは、世界で最も有名な商品であり、その名称は、「オーケー」に次いで世界で最も多くの人間が理解する共通言語と言われています。単一の世界市場化、つまりグローバル化を進めていった商品の先駆けとなりました。
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ビール─エジプト、メソポタミア
ワイン─ギリシア、ローマ
蒸留酒─大航海時代、アメリカ建国
コーヒー─新合理主義、英仏
お茶─大英帝国、アヘン戦争
コーラ─アメリカのグローバル化
それぞれの飲物がそれぞれ歴史と深い関わり合いを持ち、
人間を動かしてきたことがよくわかる。最後に再び飲物と
しての「水」がクローズアップされているのが印象的。
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気軽に楽しく読める内容。飲み物は歴史と深く繋がっていることがよくわかった。ビール、ワイン、コーヒー、お茶は日常的によく飲むので、これから見る目が変わりそう。ラム酒の生まれた話が興味深かった。
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たった6つの飲み物で人類史を語ってしまう。そんなことできるんでしょうか!?
◆◆◆
できるんです。おまけに歴史まで勉強できるんです。
1.エジプト時代、ビールは給料だった!
2.ギリシャ・ローマ時代、ワインは心を写す鏡だった!
3.アメリカ独立戦争のきっかけはラム酒だった!
4.産業革命時、コーヒーハウスは世界のインターネット(中心)だった!フランス革命もそこから起きた!
5.紅茶から消費者主義も始まった!
6.コーラは資本主義・グローバル化を象徴する飲み物となった!
◆◆◆
サンタクロースの服が赤いのは、コカ・コーラとコラボする以前からだったとかプチ情報満載でためになりましたが…。
読んでいて思ったのは、一万年の昔からこっち、人類は全く変わっていないということです。
健康を追い求め、利益を追い求め、争うことを止めない。
ちなみに7つ目の飲み物は「水」になるらしく、次の戦争の原因になるとも言われています。
ロシアがウクライナに侵攻して間もなく一年。タモリさんが最近「新しい戦前」と言ったことが話題になりました。
もし飲み物が世界の歴史を変えられるのなら、争いのない世界に変えることはできないものでしょうか。
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歴史を学べて面白かった。しかし実際の仕事には活用出来ない趣味の図書なので、こういう系は次回から図書館で借りると思った1冊。