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伊藤穰一とジェフ・ハウの共著を山形浩生が訳しているというのだから、読みたくなるではないか。全体的に(まあ、Joi にとってはいつもの通り)リベラルに寄り過ぎているので慎重に読まなくてはいけないが、社会全体がそちら方向に倒れてきつつあるというのもまた事実だ。我々の世界は確かにランニングシューズから超音速ジェットに乗り替えつつあり、このペースチェンジは、硬直化しやすく変化への対応が苦手な日本にとって特に深刻なダメージを与えかねない。ここ2、3年が勝負どころだろう。
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21世紀に大事な9つのルールについての解説。
印象にのこったのは以下。
教育よりも学習を重視する、という概念だ。学習は自分でやること
遺伝子シーケンシングは、ムーアの法則の六倍の速度で、価格は低下
人生で、周辺視力モードと集中した実行モードとを切り替える能力は、おそらくひらめきを活性化するための最も本質的な技能の一つだろう。
すべてのねじは、頭を平らにして、ねじ山角度は六〇度ちょうどにすべき。単純な提案──工業部品の最もつつましいものの標準化──は交換可能な部品の開発を引き起こした
子供たちは気鋭のプログラマから受け身の利用者になった。(GUIの弊害)
言われた通りにしているだけでノーベル賞を受賞できた人はいない」(適度に命令違反を)
アメリカの公民権運動は市民不服従なくしては起こらなかったことも続けて説明した。インドはガンディーやその支持者たちによる、非暴力でもしっかりした不服従がなければ独立できなかった。このニューイングランド地方で祝われているボストン茶会事件も、かなりの不服従だ。 社会の役に立つ不服従と、役に立たない不服従とのあいだの境界線はとてもむずかしいもの
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「インターネットが世界をどんどん変えていくからそれに備えよ本」飽きたなあ・・・というのが正直な感想。テンション上げて真に受ける人にはすごく良いこと書いてある。「○◯でサクッと稼ぐ」みたいな、15匹目のドジョウ的ビジネス書を読むよりは数倍有益ですが、個人的にはもうお腹いっぱいでした。
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MITメディアラボ所長の伊藤穣一が中心になってメディアラボの行動規範をまとめたものである。
その行動規範と言える9つのプリンシプルは次のようなものである。
1. 権威より創発
2. プッシュよりプル
3. 地図よりコンパス
4. 安全よりリスク
5. 従うより不服従
6. 理論より実践
7. 能力より多様性
8. 強さより回復力
9. モノよりシステム
伊藤穣一がメディアラボ所長就任のときに「独自性、インパクト、魔法」の3つを重視すると言ったときにラボの方向性は決まったのかもしれない。9つのプリンシプルズは、「独自性、インパクト、魔法」を実現するために必要な指針を示してくれるもののように思う。ここで挙げられたプリンシプルはすべて、「XXより○○」という形で表現されているが、「XX」で表現されるような思考形式はこれまでの社会において深く根を張っているもので、意識的に捨て去ることが重要であるということだ。それは現在から未来において、捨て去ってみれば、なぜ今までそうだったのだろうと思うような類のことなのかもしれない。
アカデミーでの学位を持たない伊藤穣一がニコラス・ングロポンテの後を継いでメディアラボの所長になったのは意外な選択で驚きを持って受け取られた。それでも、意外ではあったが愚かであるとはとらえらなかったようだ。メディアラボとしても彼のような人材を必要としていて、収まってみるとこれだというところにきちんと収まっているように感じるような類の選択であったようだ。
「教育ではなく学習」といった表現に出会うたびに、先日読んだ『名門校「武蔵」で教える東大合格より大事なこと』に書かれていることにとても近いような気がした。
「人々はしばしば何が「正解」か、何を要求されているのか、「合格」するために何を満たすべきかを知る必要がある状態からプログラム解除されねばならない」ー やはりいまだ自分に足りていないところだ。
「絶対に未来に関するわれわれのビジョンを信じ込ませようとなんかしていない。というのもそんなビジョンは持ち合わせていないからで、単に未来がいまの関跡はとてもとてもちがったものになるという下たい信念しかない」という。なので、ここに書かれたものは、未来を考える上では具体的なアイデアというよりも、あるべき姿勢というものを示したもになっている。その方が大事で有効なのだ。
「成功への鍵はルールや、果ては戦略ではなく文化」だという。未来はどのような形になっているのだろうか。この本を読んでもその答えは書かれていないが、何かが起こることと、それに備えておくことが大切であることはわかる。
読む前に身につけておかなければならない内容。読んだからといって身につく内容ではない。でも、読んでおいた方よい。そういう内容。
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『名門校「武蔵」で教える 東大合格より大事なこと』のレビュー
http://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4087208974
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自由な創造性やそれを巻き込み大きな力にすることがこれから大切という話だろうか。
以下は最初着地点がわからず少しまとめたもの。
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1 権威より創発
創発とは個々の集合体が組織化することで何か新しい全体の方向性が定まること。トップダウンで何かを進めるのではなくボトムアップで様々な分野の人の得意なものを生かし、化学反応のように新しいものを作っていくこと。ここでは生物学(細胞)のシステムをコンピュータに適用することでムーアの法則のブレイクスルーをはかろうとしている事例が紹介されている。
2 プッシュよりプル
しっかりしたものやコンセプトありきではなく人々を巻き込んでいくほうがよい。事例は東日本大地震の放射線量測定とビットコイン。
3 地図よりコンパス
地図のような詳細のわかるものも大事だがコンパスのような様々なものに応用できる物がより大事。抽象的な思考力の大切さ。事例は学習のためのコード財団。
以下略
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訳がおかしくて理解できず、結局、洋書で読んだ方がわかりやすかった。
MIT Media Laboのジョイイトウによる、イノベーションを起こすには、スピードが求められる現代における大事なプリンシパルとは。
マップよりコンパスを。これが最もいい言葉だ。細かく計画していったとしても、結局修正修正。それであれば、コンパス、つまりは方向性をしっかり決めて、あとは全力で進む。途中、色々困難もあろうけど、それをその場で臨機応変に対応する。MBAホルダーが計画して、そこから金を集めて、デザイナー、エンジニアに作らせるのはBIつまりインターネット以前の話。インターネットが登場したあとは、イノベーションコストは限りなくゼロに近い。その環境下では、デザイナーやエンジニアがドリブンとなったイノベーションモデルが登場する。学生であっても、何かを生み出せるし、そのあとで金を集めて、最後にビジネスプランを立てるためにMBAを雇えばいい。ジョイさんは本当に面白い。シリコンバレーではもはやイノベーションが起きない、ファンドが集まっていてお金はあるが、人はグーグルに持って行かれて誰もいない。よって、大学のそばでイノベーションの卵を見つけて、お金はシリコンバレーで集める。そんなモデルもありじゃないか。自分の子供は小学校にはいれたくない。子供は、何かを作ったりするときに成長する。覚えることに時間を費やす意味なく、Wikipediaがあれば十分じゃないか。それより、質問すること、そしてそれをメンターとしてファシリテーターとして見守り進めてやる大人の存在、そして世代の違う人たちが交わることが大事。それは全て、日本の小学校ではできないと感じている。
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MITメディアラボの伊藤穣一氏と共著者であるジェフ氏のPrinciplesを示したもの。正直この人の文章や語り口は難解。方向性として何が言いたいかは理解できるが、それまでのStoryがちょっとよくわからない。時間をおいて再読したい。
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ちょっと、自分の知識レベルが追いついていなかったかも。読んでる途中で退屈になって、読む意欲がなくなってしまいました。
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原理であって、これを読んですぐに何かが変わるのはむずかしいなと感じた。
ただこれからの時代を生きる指針(本書の表現を借りるならコンパス)として、行動していけば、未来は変わっているかもしれないと希望を感じられる本だった。
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【由来】
・
【期待したもの】
・
【要約】
・これまでと同じ考え方では立ち行かなくなる、まわせなくなる。
【ノート】
・9つの原則というのは次の9つで、自分にとっては直感的に分かりやすいもの、よく分からないもの、分かるけど首肯しかねるものが混在している。
・権威より創発
・プッシュよりプル
・地図よりコンパス
・安全よりリスク
・従うより不服従
・理論より実践
・能力より多様性
・強さより回復力
・モノよりシステム
比較するフォーマットになっているのは、かつては通用していたパラダイムが変容しているということを端的に表現されている。自分はITベンチャーなど、小回りの聞く小さな組織ばかりに所属してきたので、そうだよねとうなづける項目が多い。envisionだったり、自分が個人的な思いで動いていることとのリンクを感じられて、嬉しいような凡庸なような。ただ、このような視点と言うか潮流への感度を大きな組織で維持、反映するのは大変だろうと思う。
・総じて「うちではずっとそうですが?」と言えることが多かったような印象だが、小さな組織だと、そうでないと続けてこれなかったというのもあるだろうし、後出しのバイアスがかかっている可能性も大いにあるだろうから謙虚でないと。
【目次】
1. 権威より創発
よく分からんかったがMITの垣根とか気にしないナイトという合成生物学の人のこと
2. プッシュよりプル
巻き込むってことか。「力を中心から周縁の動かし、ひらめきによる発見を可能にして、イノベーターたちが自分の情熱を探り出す機会を提供する。これは人々が自分の必要としていたものを見つけられるようにしてくれるだけでなく、自分が必要だとも知らなかったものを見つけさせてくれる」(P97)
イノベーションはいまやエッジで起こるようになっている。資源は必要に応じてプルされる。世界は「ストック」から「フロー」に移りつつある。
「プッシュよりプル」では、完全に意識を開き、その場にいて、探求と好奇心を通じたきわめて広いネットワークを開拓できなくてはいけない。さまざまな関心事のポートフォリオを持ち、機会や脅威に対してその都度素早く対応できる能力を持つ必要がある。過去ーまたは未来ーにこだわりすぎると視野が狭まり、変化や機会や脅威への対応力が弱まる。多くの点で、これは禅や格闘技の訓練と同じで、献身とオープンな心が求められるのだ。
3. 地図よりコンパス
方向性ーコンパスーを持つことの重要性と、複雑性や変化の世界を地図に落としたり計画したりする落とし穴(中略)成功への鍵はルールや、果ては戦略ではなく文化だ。道徳的な指針の話であれ、世界観の話であれ、感性や嗜好の話であれ、ぼくたちがこうしたコンパスをセットするのは自分たちが作り出した文化と、その文化をイベントやメールや会合やブログ投稿やルール作りや、果ては流す音楽を通じてどう伝えるかを通じてのことだ。それは、ミッションステートメントやスローガンよりは、むしろ神話体系のようなものだ。
*ここの含意には若干の危うさを感じる。
4. 安全よりリスク
中国の混沌とした市場のことが例として。「リスクと実験を受け入れるどころか喜ぶこと。そして失敗してゼロからやり直してもかまわないと思うこと」「もっとその場しのぎの付け焼き刃だった時代への復帰」(P157)
5. 従うより不服従
創造的な不服従。免疫系やインターネットなどは攻撃されると強さを増す。システムは適応して強くなる。その複雑性と、かれらが存在すらしないかもしれないものを探そうとしている事実をマネジメントする唯一の方法は、自己適応的なシステムを作ることだ。「自分で考えて権威を疑問視する」
「言われた通りにしていてノーベル賞を受賞できた人はいない」「頑健な不服従」
6. 理論より実践
それっぽい論文で試す(騙す)話。(P214)まるでどこか遠くの島だけで話されている言語で議論に勝っているようなものだ。
7. 能力より多様性
8. 強さより回復力
9. モノよりシステム
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修士課程卒で博士課程を経てはおらず学術的な業績がないにも関わらずMITメディアラボの所長になったという稀有な存在である筆者の行動原則が分かる。翻訳を山形浩生さんが行うという安定の布陣。
訳について評価が低いがインターネットや最先端技術について「知っている」ことが前提になっている本だということだと思う。そういうリテラシがないと何のことやらさっぱりという感じなのだろう。
異なる価値観や専門分野の人を結びつける能力にとにかく長けている。そこに気づく柔軟な発想力はどいういう原理に基づくのかという観点で綴られている。確かにそうなのだが、超大な量の対象を相手にし、その知識・知見がたくさんあるが故にできているということは忘れてはいけない。
プリンシパルズだけでは結果はでない。
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・教育よりも学習を
・創発民主主義
アラブの春としての成功
同時にイスラム国も生んだ
トランプもサンダースも、率いたのではなく、乗った
・中心から周縁へのpushではなく、
周縁で起こるイノベーションにあわせて
資源をpullすること。(人材然り)
ストックではなくフローになる時代
個人の心の持ちようとして、オープンネス
・想像プロセスにおける標準化の重要性
ねじの形を標準化することで効率化
・MIT「デモするか死ね」「液体のようになりたい」
・子供は、学習意欲がある。
それを伸ばすのが大人の仕事
・良心的な不服従
そこから生まれる新しいアイデア
・理論体系で考えていると、理論上は正しいが直観的には間違っていることが起こる。
ex)ペストに関する解釈
・共感の輪をいかに拡大させるか
・強さより、回復力。
生物的なシステム多様性。
「予想できない」ということを予想すること
・ものよりも、システムを
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「結論」にある次の記載と:
[...]あるいは14世紀のペスト並の規模で伝染病が広まるかもしれない。人類絶滅事象は、みんなが思うほど可能性が低くはない。
「訳者あとがき」にある次の記載から:
[...]未来のことなんかわからない、と彼らは言う。[...]繰り返し主張されているのは、多様な可能性をどうやって現実のものとするか、という話だ。
この本が書かれた当時から、今はまた違った状況にあるのだろうが、この本に書かれた9つの原則は、まだ有効であるように思った。「訳者あとがき」は有用。
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メディアラボ所長・伊藤穰一氏の新著を読んだ。ブロックチェーンからバイオ技術まで、生き馬の目を抜くテクノロジーの進化。その表層面ではなく、深層に焦点を当てながら、9つの原理が導出される。それぞれに目新しさはないが、そのロジックは見事。
断続平衡
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ところどころ光る言葉が出てくるが、全体的にというか詳細を読もうとすればするほど理解がしづらくなる。詳細に目を瞑り、大まかな思想をつかもうとすることで、MITメディアラボの指向性が掴める。時代の変化についてよく記述、表現されていると思うが、他書とリンクして考えるとわりと自然なことのようにも聞こえる(ハインドサイトだが)。