紙の本
東洋の安定のためには、皇帝による徳政のほうが良いのでは・・・
2023/07/09 19:51
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投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「レビュー内容に使用できない文字が含まれています。」
このような表示が出たが、何が、問題なのかが不明。
honto は、システムを考えた方が良い。
紙の本
現代中国を理解するための最良の案内書
2017/12/12 22:51
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近の中国論の中では出色の面白さであった。軍なしには中国革命は成し遂げられなかったが、建国後も軍は党と一体であり、最近の経済発展も社会に張り巡らせた軍産複合体により齎されたものである。特に改革開放政策で軍を却って強化する結果になったとの分析は著者の卓見であり興味深かった。ソ連は圧政もあったが無料や家賃格安の国民住宅と公共料金、老人年金を国民に与えた。中国は軍と共産党の利権に預からない人には、殆ど国民福祉政策はない。共産党の正当性維持だけが国家目標の国なのだ。この不思議な体制はいつまで続くのだろうか?
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日本が重層的な互恵関係を築くにいたった中国において、空前の規模で軍拡が推し進められ、それが日本ならびにアジア・太平洋地域全体の安全保障をゆさぶっているという矛盾とどう向き合うべきか。この難題に取り組むにあたっては、そもそもなぜ中国において軍拡が展開されるに至ったのかという根本的な問題を議論する必要がある。
本書は、そうした認識に立脚し、共産党が軍拡を本格的に推進するに至った政治的背景と経緯、軍拡の諸側面、そして軍拡の日中関係への影響について論じる。政治的背景と経緯に関する議論は、主として1970年代半ばから2000年代初頭にかけtの約30年間に焦点をあてる。それは、中国における軍拡の期限をこの時期、すなわち鄧小平政権から江沢民試験にかけての時期にみいだすことができると筆者が考えているからにほかならない。
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網羅的かつバランスの取れた良書。
支配層と被支配層の分断が甚だしいかの国では、支配層である共産党の独裁体制を維持するために、清朝以来の日欧米の横暴を強調し、それに打ち勝つ「中華民族の偉大な復興」神話を刷り込もうとしており、結果的に軍備拡張す続けぜさるを得ない状況に自らを追い込んでいる。
その結果が習近平の強権的独裁だが、その体制がどこまで持つのか。
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中華人民共和国、中国共産党、そして人民解放軍のこれまでの歴史を紐解きながら、表題のテーマに迫っていく。知ってるようで知らなかった中共史の勉強にもなって、中国が抱える権力構造や政治・経済・社会に対する西洋的価値観とは異質なものの見方も分かってくる。かといって、反中をあおるための本でもなく、著者の長年にわたる研究と経験の成果が発揮されている大変有意義な一冊。中国共産党の一党支配のロジックがよくわかる。
70年代後半以降、日米欧に接近してきた中国に対し、援助・協力を与えれば次第に中産階級も育って民主化・自由化していくだろうという考え方がいかに楽観的すぎたかという著者の指摘は貴重である。
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中国が軍拡に邁進する理由を毛沢東時代に遡り、米ソとの関係、経済格差、権力闘争と様々な角度から説明しており、説得力があった。この論によれば、日本一国の対応など全くといって影響がないと思われる。
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【227冊目】とても面白かった。タイトルに「軍拡」とあるので人民解放軍について詳しく書いてあるのかと思いきや、そうではなく、むしろ解放軍を取り巻く政治力学や民間社会にその理由を求めている本。
本書タイトルの質問に答える部分を引用すると、「共産党が暴力に依存する形で中国国内から湧き出し続ける『民主化』要求を抑え、そうした『民主化』要求に共鳴して内政干渉をしかけてくる可能性のある西側諸国を牽制し、さらには軍事力を誇示することによって『中華民族の偉大な復興』を演出しようとしているから」ということのよう。
すなわち、日本や欧米に軍事的に対抗するために軍拡を続けているというのは物事の反面であって、もう反面は第二次天安門事件に代表されるように、国内統治のツールとして軍隊を強化せざるを得ないのだ、と筆者は考えている。そのため、毛沢東以降の中国の歴史及び国内情勢にまで触れているのが本書である。
なお、筆者は、中国の軍事的な力を極めて小さく評価しているようだ。これは、概して言えば、昨今の戦闘機や軍艦の大幅な増強も旧ソ連やロシアの型落ちしたものを利用して行われているものであり、米国の軍事力に対抗し得るものではないとの認識に基づく。近年出版される中国脅威論の書籍は中国の軍事力(拡大のペース)をかなり強いものと評価するものが多く、本書の認識は新鮮。
もう少し軍事力に関する考察があれば、星5つだった。
なお、筆者の阿南さんは、終戦時に陸軍大臣だった阿南惟幾の孫で、中国大使を務めた阿南惟茂さんの息子さん。その家系だけでもすごいが、本書は、筆者の語り口に接していると、その頭の良さが伝わってくる良書。
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第40回サントリー学芸賞(政治・経済部門)受賞! 、第30回アジア・太平洋賞特別賞受賞! 読み応えありました!!
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【中国で展開されている軍拡というものは、尖閣問題の処理の仕方で左右されるような性質の問題ではない。それは、現代中国の政治構造に直結した問題であり、共産党が統治を続けるうえで欠かせない営みとなっている】(文中より引用)
日本でもニュースになることが多い中国の軍拡。その現象に潜む中国・中国共産党の活動原理に切り込み、軍拡の意図について明らかにすることを試みた作品です。著者は、本書でサントリー学芸賞(政治・経済部門)を受賞した阿南友亮。
そもそも「中国の軍って何?」というところから解き起こす目からウロコの作品。人民解放軍に限らず、広く建国後の中国についてもまとめられており、間口の広さと奥行きを兼ね備えた一冊になっていると思います。
著者の体験談も興味深かったです☆5つ
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中国共産党という党派の本質とその私兵たる解放軍の行動原理を素人にも分かるように毛沢東時代から習近平の現代まで解説している。
改革解放を経て、共産党とその私兵が底抜けに国富の私物化と搾取に走り、汚職にまみれていく様と国民の不満を抑えるための軍備増強と威嚇外交をやめられない様が描かれており、全く救いがない。もちろん自浄作用もない。
中国人や中国人の国に偏見を持つ必要はない。
ただし、中国共産党という党派の本質を理解し、その私兵の行動原理を知り、弱体化させるべく行動することは、日本人がこの先生きていく上で大事なことであると感じた。
中国共産党という党派は人類の汚点であり、これが増長することで人類に資することは何一つないのだから。
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中国の軍拡は、改革開放により生じた歪みに起因するとする。すなわち、不平等と格差の拡大への不満に対する抑えの最後の砦として解放軍を共産党に繋ぎ止めておく必要性、また、対外的な理由についても、国内の不満をナショナリズムに転化させ、その結果外交が硬直的にならざるを得ず、強硬な外交の手段としての解放軍の強化の必要性が高まったとする。
ただ、著者の解放軍の軍事力評価(技術的にロシア技術に依存するか、自主開発もロシアを大きくこえないであろうとする)は、過小ではないか。
本書は、体制の歪みと、超大国化、軍隊の強力化は二律背反なのかという点について、より深い検討が必要であったと思われる。
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冷静に現代中国を見つめることは、極めて難しい。
警戒するにせよ友好を叫ぶにせよ、その前提は信頼できる書き手による本書のような冷静な分析である。経済安保はもちろん必要である。しかし、あまりにも遅すぎると苦言を呈したい。
*詳細な紹介は、ブログ「下手の本好き読書録」
(http://kr253rk.blog.fc2.com/)をご覧下さい。
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中国もとい、中国共産党の統治のあり方の欠陥とそれを補うための対外政策としての排他的ナショナリズム。もちろん「国際社会」との関係も描いているものの、国内との関係、党内のパワーバランスなどから考えるというのは新しい視点。毛沢東時代からのチェンジに見えた鄧小平の「改革・開放」における欠陥、江沢民指導部における排他的ナショナリズム・「中華民族の偉大なる夢」、胡錦濤の難しさ、また今日も続く習近平指導部に至るまで書かれる(習近平指導部に至っては1期目まで)。
「党軍」である人民解放軍のプロフェッショナリズムと党との関係性の相剋、党を支える組織としての解放軍のジレンマというものが見受けられる。国防部長の彭徳懐、林彪の二人の路線と失脚、ここから「党軍」としての難しさを感じさせる。
また、対外関係に基づく行動にも詳細に書かれ、1950年代末までのソ連からの技術援助、米中接近・正常化以降の西側からの軍事技術供与、第二次天安門事件以降の能力向上の方法、これについても書かれている。また西側諸国のEngagement 政策と中国の外交姿勢をもとにその関与政策の根本的難しさ、そこから生まれた経済的相互依存のジレンマというものを中国、西側諸国(とりわけ日米)というものを描いている。
また、人民解放軍の2017年ごろまでの装備の歴史、それに対する軍種ごとの評価(海軍、空軍、ロケット軍ー第二砲兵)、それが持つ意味などについても詳細にまとめられている。
国内における統治と対外政策を結びつけて総合的に論じられている。また、日本では報道などでは変化ばかりが強調されるものの、連続性の要素を多く論じている。
さらに「対話をしてこなかったから」「対話をすればよくなる」「経済交流をすれば日中関係は改善する」という日本で当時から多い論調に対しても、日本政府・財界の努力を評価した上で根拠をもって批判を行なっている。
専門家の書いた著書であるが7年前の本であるため、今日とは少し異なった人民解放軍ということには配慮は必要である。人民解放軍、中国共産党のこれまでの「軍拡」の理由の一側面として読む分には申し分のない一冊だと思う。
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中国はなぜ軍拡を続けるのか、中国の国内状況から説明する。
しかも孫文の中国革命から国共内戦時代を経て現在に至るまで軍事にとらわれずに辿るので、中華人民共和国の歴史を知るという意味でも大変勉強になる。
建国当初、政府組織は実体がなかったため、解放軍が行政の前面に立っており、これは軍事管制と呼ばれた。解放軍の掌握が権力の基盤となるため、国家主席や党総書記よりも中央軍事委員会主席が重要なポストだった。十元帥の1人だった彭徳懐は、解放軍の現代化、正規化を目指したが、廬山会議で毛沢東の大躍進に中止を求め、これがきっかけで毛沢東と対立し、文化大革命では迫害にさらされがん治療も許されず悲しい死を迎えた。林彪が国防部長を務めたいた時期はソ連との関係が悪化、人民戦争へ回帰し、軍人が政治的に台頭したが、林彪も反逆者のレッテルを貼られた。軍の重鎮を迫害した四人組は、毛沢東が死去してからはリベンジに遭い、一網打尽にされた。
バランサーとして鄧小平が台頭し、改革・開放路線へと舵をきったが、胡耀邦、趙紫陽といった改革派は梯子を外され失脚した。第二次天安門事件は共産党の首脳にトラウマを植え付け、西側諸国には中国が軍を使って民衆を迫害したということで国際社会でのイメージも悪化した。鄧小平の後の江沢民、胡錦涛という文民主席は、解放軍の後見を必要とし、軍拡という軍との共生関係を補強した。中国と日本の国交正常化も、中国の民衆のあずかり知らぬところで決まっていて、しかも情報が偏っているのだから中国社会の世界観が混乱したという指摘。生産手段を共産党が独占していたため、党幹部の懐が潤う一方で法治が整っていないためにその財産を海外に逃がしてしまうため、国内に富みが循環しない構造があった。国内をまとめるために排外主義を使い、それで民衆が排外主義的になることで中国の外交政策は自縄自縛状態というのがなんとも。
2017年時点で著者は中国軍の能力には懐疑的だが、現在の本当のところはどうなんであろうか。例えば海軍艦艇であれば数が増えているだけでなく近代化もしているとみているが、これが実際どうなのかは戦争が起きてみないとわからないかも。