紙の本
朝井まかての時代小説
2023/11/12 14:54
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代の左遷された侍の話。
それも側杖を食らったような左遷だ。やってられない。主人公は若く、己は他の者より頭がいいと思っている。難を言えば融通が利かず、曲がったことは正さないではおけない性分。だから、あほな上司のミスを一々正し直す。今時の若者のようなところが共感が持てる。
それが山奥に送られる。そこで腐りそうになりながら、妙な人々に振り回されながらも、隠された藩や山の秘密に興味を持ち始める。どうなる、どうなる。
紙の本
ほぼ現代人の話
2018/07/01 18:41
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
場所は尾張。
先代宗春公の絢爛な政治も終わり、
あとには借財だけが残った。
主人公は、その栄華の時代を知らず、
根拠の乏しい自信に溢れ、
虫が嫌い。
最近読んだまかて作品は、
実在の人物をモデルにした一代記みたいなものが続いていて、
示唆に富む反面、小説としてのまとまりは欠いていた。
この本は、小説としての起承転結がはっきりしていて、
その点では読みやすい作品だった。
紙の本
尾張でマツタケ
2017/09/29 12:55
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投稿者:BHUTAN - この投稿者のレビュー一覧を見る
マツタケってすっかり縁遠くなって、産地は関西方面とばかり思ってました。
無知なワタシ。
尾張の献上品だったんですね。
小四郎頑張れ。だんだん藩士になっていくぞ。
ただの浮かれ者かと思っていた大殿が民衆から尊敬されるばかりか非常に民衆思いなのに、またまた無知な自分に愕然。
とても薫り高い小説でした。
紙の本
左遷されても昇進を考える若侍
2021/03/17 17:13
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
尾張藩士榊原小四郎、江戸勤番で学問に優れ上役の間違いもただちに指摘。堅物で融通が利かず周りから煙たがれる存在。それが父親の縁戚である三人の三べえの巻き添えを喰って国元の御松茸同心に左遷。しかしいつか実績を上げ昇進し他を見返すことだけを考えて行動する。父親の遺した記録とは知らずに読んでいた書付から本当の政治はいかにあるべきかを悟り新しい行動に移る。サラリーマン物語りにも読めるが
上に立つ者、政治を行う者が本当に必要なことは。また人として必要なことは。を自然と思わせられる作品。
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面白かったです。まさに、「御松茸騒動」でした。
始めは、自分は有能だと周りを見下していた小四郎があまり好きではありませんでしたし、周りの三べえなどのキャラもちょっと…と思っていましたが、小四郎が御松茸同心に左遷されてからの奮闘に引き付けられました。
松茸のことがあまりわからない時代に、松林を再生させるところから始めることは並大抵ではないです。小四郎の成長と、最後の決断が良かったです。
ちょっと…と思いながら読んだのに、読後感は清々しいです。
大殿の一言も素敵でした。大殿のお話も読んでみたいです。
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松茸の生態と主従関係との共通点など、深い。
尾張が舞台のお話は珍しくて、方言も楽しく読んだ。
三べえの存在感が良い。
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この著者の時代劇小説はどれを読んでもおもしろくて、飽きない。
生物、特に植物に詳しく博識なので、いろんな知識が得られる。
大阪出身の人なので、一度はお目にかかりたいかたである。
昔も変わらないお役所仕事、窓際族の典型の武家さん達が松茸の偽装や産地偽装して、お上にごますり、忖度、手柄横取り、横領、していてるバブル世代と右にならえの上司たち。このままではいけないと 藩政改革をすることになったその御松茸同心に命じられた今時の次世代部下が松茸の知識も何もないまま松茸山を舞台に奮闘する、松茸をよみがえらせ里山を循環させた物語り。歳月をかけて松茸の生態を勉強してちゃんと松茸が育つ環境に戻して里山資本主義のように経済を回し始めたところがおもしろくてとてもよかった、バカにしていた上司、先輩武士たちは横領したり忖度してたりがばれて処分されたのが気持ちよかった、物語の中の出来事が今の安倍内閣を彷彿させてくれて加計学園や森友学園問題もこの小説のように罰せられたら総会なのにな。現実はそうもいかないらしい・・・・
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朝井まかて氏の時代小説は楽しい。ユーモアがあるし、庶民に生きる力をくれる。▼幼いころから才気にあふれた18歳の尾張江戸藩士の榊原小四郎は、同僚上司の事なかれ主義に反感を抱く。その結果、尾張国許の御松茸同心を命じられ、ひょうきんな3人の叔父「さんべえ」と尾張に赴く。心に不満を抱きながらも、松茸の不作の原因を探り、ついには御松茸の御林をよみがえらせる。筋も通っているし、人情もあふれている。
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こんな尾張に誰がした?
尾張の藩士 市ヶ谷の上屋敷で、用人手代の見習いとして経理と、庶務を担当している、榊原小四郎が主人公である。
頭が切れるので、他の者たちが、手抜きやぐーたらとしているのが気に食わないのだが、親戚の者の不始末で、御松茸同心に任命されて尾張へ行かされる。
そこでは、巨額の財政赤字や、松茸産地の偽装等、そして、土地の者が、山へ入れないもどかしさを痛感して今う。
子供たちが、ドングリに興味があるというので、私も、ドングリを公園や神社で、探してみた。
千草が、リスが冬越えの為にドングリを埋めているのを、生き抜くために、知恵を使うものと、、、と小四郎に話す。
木はその場から動けないから、遠くに離れた場で、芽を出せるために己の子をいきものに運ばせると、、、、
ここで、松と松茸の関わり合いに、小四郎は、研究と、知恵を絞っていく。
やはり、朝井まかて氏の上手な手法なのか、、、どんどんと、引き込まれて行った。
40年も長い間幽閉されている大殿までも、松茸狩りが、出来るように段取りしていくところは、胸を打つ。
山が駄目になって行くのを見過ごさず、子や孫の代へ受け継いでいって欲しいと願う気持ちが、伝わってきた。
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出世を願い、いつの日か采配を振るうことを夢見る若き藩士が、尾張藩国許の御松茸同心との閑職へ追いやられてからのあれこれを描く。
秀才だけど、了見が狭く、どこか人を見下すようなとこのあった彼が、松茸と向かいあい、様々な人の暮らしにふれるうちに、ゆるやかに変わっていく。彼の両親は、はじめの頃に彼が感じていたのとは違い、本当はこうであったのかも、と思わせるようになっていくとこや、いい意味で、彼のかちこちなとこが残るのが、楽しい。
影の主人公は、尾張の松平元春公。なにかと吉宗公との対比で描かれ、奢侈に流れたとされる人物だけど、この小説は、かの人の名誉回復の物語でもある。
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尾張藩の若き藩士・榊原小四郎は利発で学問にも優れ、出世をめざし職務に励んできた。
しかし、才気をひけらかした態度が災いし上司に疎まれ、国もとの御松茸同心に左遷されてしまう。
悄然として国に移る小四郎だったが、慣れない山歩き仕事に右往左往するばかり。
果たして、小四郎の出世の夢はかなうのか。
面白かったです。
現代日本にも通じるお話なので、身近に感じられました。
小四郎は生まれてこの方ずっと不況しか知らないのですが、周囲のオッサン達はかつて尾張に訪れたバブルが忘れられず、その話ばかり。
私の周りにもこういうオッサンはまだいます笑。
松茸の不作続きの要因を調べ収穫量を上げるというお仕事を拝命したわけですが、小四郎は現実に叩きのめされます。
松茸献上のノルマが毎年課されているが、山の松茸では到底足りないので御用商人から買い上げて補填しているという矛盾。
財政赤字は増える一方なのに、何もできない自分。
融通の利かないカタブツの小四郎は、山廻同心には邪険にされ、立場の違う村の平民にも松茸についてうまく聞き出せず、誰の助力も得られない。
しかも都会育ちの彼は虫も大嫌いで山仕事なんかしたこともない。
可哀想になるほど八方ふさがりの状態ですが、小四郎はかすかな出世の道をあきらめず、増産を目指しこつこつと資料を読み試行錯誤していきます。
最初は鼻持ちならない青臭い青年だった小四郎は、苦労を重ね、やがて周囲の助けを得て視野を広げていくのです。
その様子は現代の青年の成長を描いたお仕事小説を読んでいるようで、すがすがしい気持ちになれました。
納得のいかない仕事に異動になっても、腐らずに目の前の仕事に励むことって大事ですよね。
骨身に沁みる教訓だと思います。
先代宗春公や父親に対しての気持ちが変化していくのもほっとさせられました。
結構堅い話ですが、ユーモアにまぶされて読みやすいので時代物が苦手な方でも楽しめると思います。
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自分を切れ者だと自負している
19歳の尾張藩士、榊原小四郎
上司に煙たがられ、「御松茸同心」へ左遷される
わけもわからないまま、必死に奮闘する主人公の成長物語
ひょうひょうとした亡父の友人たち「三べえ」の存在感(笑)
時代小説ながら、現代とも通じるような作品
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私が読んでるものの中では、ちょっと展開が渋かった。
江戸時代中期?太平の世の、がちがちの武家社会の中。
主人公は、頭でっかちで自分が優秀と自信満々、周りのやる気のなさに憤慨している、若い江戸詰尾張藩士。
借金に苦しむ藩のために、自分がなんとかするんだ、と意気込んでいるのに、ひょんなことから左遷されて、生まれて初めて江戸を離れ、頼れる育ての母からも子離れされ、尾張の山中で松茸のために四苦八苦することになる、という話。
世間知らずとはいえ、特に悪いことしてないのに、どんどん苦境に追いやられる主人公が不憫だけど、めげずに、なんとか松茸の生産量を増やしてやろうと、がんばるところがいいかな。でも、がんばってもそう簡単に大成功!とはならないし、最終的に与えられるご褒美(?)も、静かで、渋い、密かに噛みしめるような喜び。現実ってこんなもんだよね、人生って、こういう、たくさんがんばった後に、ちょっとだけご褒美もらって、またがんばるの繰り返しだよね、って言われてるような話。
私は、どちらかというと、小説にもう少しドラマチックな展開を求めてるので、読んだ後、ちょっと疲れました。
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面白かった!
社会の理不尽や人間関係の摩擦といった、どことなく現代的な要素が盛り込まれた時代小説。
石の上にも3年とはよく言ったもの。
エリート意識が鼻に付く若造だった小四郎の成長振りが読んでいてとても快いし最後の大逆転には大変スカッとする。
ほんとうに素晴らしい読後感。
ちなみに松茸同心というのは史実なのだろうか…?実際、岐阜県は松茸の名産地らしいのでこういったこともあったのかもしれないな、なんて思ったり。
1刷
2021.1.30
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主人公の上から目線 見下した感
清く正しくが 必ずしも歓迎されない社会
コミュニケーション下手で頭脳明晰な主人公が
人間味ある成長をしてく
幸せって地位でも名誉でもなく
他人ではなくその人自身が幸せと思うことやなー
大殿 素晴らしい。
もっと大殿の考えを聞きたかった