「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
【芥川賞(157(2017上半期))】【文學界新人賞(第122回)】会社の出向で移り住んだ岩手で、ただひとり心を許した同僚の日浅。いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、「3.11」以後、触れることになるのだが…。崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描く。『文學界』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
第157回芥川賞受賞作。
大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。
北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、
ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。
ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。
いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、
「あの日」以後、触れることになるのだが……。
樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。
〈著者略歴〉
1978年北海道生まれ。西南学院大学卒業後、福岡市で塾講師を務める。
現在、岩手県盛岡市在住。本作で第122回文學界新人賞受賞しデビュー。【商品解説】
第157回芥川賞受賞作。
大きな崩壊を前に、目に映るものは何か。
北緯39度。会社の出向で移り住んだ岩手の地で、
ただひとり心を許したのが、同僚の日浅だった。
ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。
いつしか疎遠になった男のもう一つの顔に、
「あの日」以後、触れることになるのだが……。
樹々と川の彩りの中に、崩壊の予兆と人知れぬ思いを繊細に描き出す。
【本の内容】
著者紹介
沼田 真佑
- 略歴
- 1978年北海道生まれ。西南学院大学卒業後、福岡市で塾講師を務める。 現在、岩手県盛岡市在住。本作で第122回文學界新人賞受賞しデビュー。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
東北の自然が繊細に表現された釣り文学
2022/03/22 14:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
東北の自然、特に森林と河川生態系に関する描写が非常に美しい。釣り文学という分野があるが、そちらに属するものとも思える。
短文の中に、「わたし」の心情のゆらぎが繊細に表現されている。東京近郊から地方へ転勤してきたお一人様の所在のなさ、またはLGBTというマイノリティの身の置き所。多様性への社会的包摂をそれとなくしのばせてある文体が印象深い。
そして、あの東日本大震災の津波で行方不明となった友人の知らない横顔が明かされていくくだり。地縁、血縁、社縁、いろいろな縁で生きていく地方の群像劇と、個々人の集合体である都市部から、地方へ出向してきた若者のこれからが、東日本大震災後の「いま」と現在進行形の未来をよく表している。
紙の本
影裏
2022/02/09 17:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のデビュー作にして芥川賞受賞作、一つの作品のみが収録されている。
岩手県を舞台に、友人となった男とその男の失踪、そして過去の秘密をめぐって物語が進む。
ある人間を保障する公的な情報というのは、しっかりしているようでいて災害時などにあやふやになる。公的な文書だけでなく、友人や家族、同僚のことを知っているつもりがぜんぜん違ったということはありえると思った。
芥川賞の選考委員がいう、この作品における自然の役割についてはもう一度読んで考えてみようと思った。
電子書籍
影裏
2017/08/11 16:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Bond - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公と同じく盛岡に転勤で住んでいます。岩手在住の作家がデビュー戦で芥川賞を受賞したことだけを理由に、話の展開の予備知識も一切なく読みましたが、人間の内面の描写が素晴らしい作品です。ゆっくり一言一句を噛み締めながら読むと、話の舞台の生き生きとした情景が拡がります。
紙の本
『影裏』の感想ーー淡々とした描写
2017/08/09 04:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:シロップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『影裏』、読みました。
芥川賞受賞作ということで、感想を書くのもおこがましいですが、素直に書かせていただきます(なお、このレビューはかなりネタバレしています)。
さて、まず、強く印象に残ったのは、主人公とその友人との釣りの場面の描写がとても詳細で上手なことです。とりわけ、釣り場へ行く道中の自然の描かれ方がとてもリアリティを感じました。
この釣りに関わる描写や会話は、かなりこだわりをもって書いているように読めます。
また、この作品には少しばかり読むのに難しい単語がしばしば出てきます。僕は辞書を傍らに置いて読みました。
おそらく、作者は自分の気に入ったもの、印象に残ったものだけを取り上げ、自分の好きな言葉だけでもって書くというタイプだと感じます。一文一文も集中して、緊張して書いているように文章から窺えました。
作品の構成に関しては、前半が主人公が目で捉えたものや目に入ってきたものを淡々と描写しています。それを読んでいると、意図的に登場人物たちの内面には踏み込まないように、淡々と書いている感じです。一応、前半と書きましたが、全体的にその印象は強いです。一方、後半はある会話文をきっかけに、一気にエンジンをかける書き方で、そのまま最後まで読まされてしまいました。
そして文体に関しましては、興味深い箇所があります。それは、震災(『影裏』では、東日本大震災が主なテーマの一つになっています)の体験について、新聞の投書欄に掲載された小学生の文章を主人公が読み、それについて述べる感想です。それは次のようなものです。「震災の夜に自分がどのように過ごしたかという、淡々とした描写から始まり、それに続く数日間のできごとが、沿岸の津波による犠牲者の追悼と復興への祈りを織りまぜながらさっぱりした文章で綴られている。一読して、巧いなと感じた」(63)。これは、『影裏』の文体にそのまま当てはまると思われます。先程、「淡々と書いている」と僕が感じたところとここは繋がると思いました。
ただ、ここで、作者の文章に対する考え方が登場人物の言葉を通して表れているのではないか、と僕は書きましたが、それはある意味、作者の思惑に嵌まってしまったのかもしれません。というのも、そのように読まれるだろうと、おそらく作者自身も予期して作品を書いていると考えるからです。考えすぎかもしれませんが。
しかしながら、ものや出来事を「淡々と描写」しているということが、この作品を読んで僕が最も強く感じた印象です。全体的に抑制して書かれている。気をつけて書かれている。そんな感じです(釣りに関するところは詳細ですが)。
最後に、この作品はとても面白かったです。したがいまして、作者の次回作にも期待します。ただ、『影裏』を読んで未だに分からないところもいくつかありますので、一度ならず、もっと読み込んでいろいろ考えてみたいです。
かなりふわふわした感想になってしまいましたが、不思議な作品で僕自身分からないところも多いので、そこはご了承下さい。
紙の本
表裏一体
2021/06/17 14:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
「人を見る時にはその人の裏側」という、日浅のセリフにすべて込められています。目に映るものだけを信じる都会と、影の濃いところまで踏み込んでいく地方との違いが鮮明です。
紙の本
もう少し見てからの方が・・・
2017/07/29 21:47
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:玉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1作目で芥川賞おめでとうございます。審査員の評判もよく、もう1作見てからという意見もあったようではありますが、ともあれ、芥川賞をとって、単行本化されたわけですから、かなりの人がお読みになるでしょう。ネタバレ的なことは触れませんが、あらかじめ新聞の記事を読んでいたのですが、なかなか、そういう展開にならないので、半分くらい読んでから、もう一度、冒頭から読み直し、後ろ半分にのぞみました。でも・・・。やっぱり芥川賞には早いかな?過大評価かなと、私には思われます。ま、あっという間に読めるので、ぜひご自分の目で、一読されて、あれこれ考えてみてください。審査員みたいに思ってもよいし、そうでなくてもよいし・・・。
電子書籍
難しい
2019/05/13 02:26
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くず餅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞を受賞した作品であり、表紙に惹かれたので読んでみました。
正直期待していたようなストーリーとは全く違って(予想できたら出来たで駄目ですが)あまり山場がなく、楽しく読むことはできませんでした。
また、各所に難解な単語が出てくるため、語彙力のない私にはそういった点でも難しかったです。
今度綾野剛さん、松田龍平さん出演で映画化されるということなので、それを見たらまた気持ちが変わるかもしれないです。
紙の本
未熟さがある
2019/02/28 23:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:千那 - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者のやる気というか張り切りは伝わってくるのだが、いささか未熟なのか、中身が
薄いように感じる。受賞作と思って期待せずに読めば、ふつうの恋愛小説として楽し
めたかもしれない。
紙の本
はてさて。読みやすいけど掴めないのだが。
2017/12/27 17:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品で文學界新人賞を受賞してデビューしたところ、
なんと芥川賞まで取ってしまったという話題作です。
少し前までは、芥川賞といえば五回ノミネートされていまさらとか、
難解すぎてとかの評判がありました。
それを気にしたのか、最近は新人に贈る賞という趣旨に
戻ろうとする傾向があるようです。
それにしてもデビュー作で受賞というのはかなり珍しいです。
ですのでチェックしていました。
先行情報で、震災とか同性愛とかが聞こえてきて、
脇に置いていました。文章の美しさという評判は
違うのではないかという書評を読み、
ようやく手に取ろうと思いました。
これほど中身の聞こえてこない作品も珍しいなと。
読後、評判の理由が分かりました。
すみませんがわたしも降参です。
なぜこれがデビュー作で芥川賞受賞という高評価を
受けたのか分かりませんでした。
頭の整理がてら書き出してみます。
ネタバレになりますので、気になる方は読了後に読んで下さい。
>
>
<以下、ネタバレです>
-----------------
つまらないのか?
そんなことはないです。
難解だったか?
難読漢字を使っているので、著者の自己満足を感じましたが、
驚きの展開という感じはしません。
感動したか?
正直いって心は動きませんね。
どんな話か?
会社の同僚と仲良くなり、釣り友だちになります。
同僚は退職しますが、つき合いは続きます。
転職先でセールスをしていて、わたしはノルマ達成に協力します。
ノルマ達成だけでなくお金を貸したりなど、迷惑をかけられた人もいます。
震災に巻き込まれたとの噂がたち、わたしは探し回ります。
最後に父親に会いに行ったら、すでに手を切ったと言われました。
信頼できない種類の人間だと。
しかしわたしは、どこかで生きていることを信じ、
ある出来事で生存を感じて結末を迎えるというお話です。
まとめると?
するする読めるけど、描写に徹していて演出もほとんどないので、
読み手を選ぶ作品だと思います。
ひょっとしたらですが、最近の演出過剰な作品の向こうをいく
スタイルに、選考委員の票が集まったのかもしれません。
読書は読み手の受け止めかたに委ねられる部分がありますが、
この作品は結果的に最大限引き出した形なのかもしれません。
本の深読みが好きな人にむけて、芥川賞が一石を投じた
作品といえるでしょう。面白いのは、作者はそんなことを
これっぽっちも考えていないことですが。
本の売れない時代に芥川賞がもがいている姿が見えます。
じゃあこの本を薦めるのかと聞かれれば、微妙としか
答えようがないのですが。
紙の本
小説を読むのは難しい
2017/08/31 05:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第157回芥川賞受賞作。(2017年)
小説の読み方は自由だ。たとえその作品が名の通った選者たちによって選ばれた作品であったとしても、まして選者たちが全員認めた作品であるわけでもなく、それが読者にとって理解されない、理解という堅苦しい言葉でなく受容できないとすれば、それはそういう縁だったというしかない。
選考委員の選評を読むと、否定票を投じた委員たちも、この作品の書き手の「うまさ」を認めているが、それさえあまり納得がいかない。
そもそもが「わたし」として表現される人物像がよくわからない。
それはあえてゲイであることを誘導させる小細工のような気がするし、ここにその必然があるわけではない。
むしろ、主人公をそう描くことで読者に現代風という仕掛けを施したということではないか。
同じことが東日本大震災の扱いにもいえないか。
ではこの作品にまったく魅力がないかといえば、そうではない。
奥泉光委員がこの作品を「ハードボイルドふうの味わいのある作品」とし、「これは序章であって、ここから日浅と云う謎の男を追う主人公の物語がはじまるのではないか」と書いているが、確かにその通りである。
だとしたら、この作品自体直木賞での受賞の方は相当であったかもしれない。しかし、桜木紫乃ほどの巧さはない。
島田雅彦委員の選評に付けられたタイトル、「賞は結局運次第」はこの作品を指しているのか、受賞からもれた作品なのか、どちらなのだろう。
紙の本
嫌な感じ!
2017/09/29 01:19
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みな - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者インタビューを読んでいたら、「ほのめかし表現は、インターネットで自己表現したがる輩へのアンチテーゼ」とありました。思い切り引いてしまいました。震災への義憤で書いたとか、禊の意味で書いたとか、全部後付けですよね。本当はかなり軽い人なんだなとわかってしらけました。残念でした。