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投稿者:なま - この投稿者のレビュー一覧を見る
バンコクで暮らしています、それだけ聞くと、うらやましさを覚える。おいしいタイ料理、ほほえみの国とよばれる国民性、疲れた心と体を休めるために、バンコクを訪れる人は多いだろう。しかし、コールセンターで働く人たちは必ずしも、私が考える状況とは、ほど遠い人が多いようだ。
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投稿者:きりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
つい最近でも海外からの電話詐欺が相次ぎましたよね。他国に居場所を求めてさすらった人々は、こうやって落ちていくのかと身につまされる内容でした。
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名著「困窮邦人」の水谷さんの待望の新作。
前作への感想文で、僕は「次のテーマ、「現地採用」の若い日本人が何を目指すか、ってのはどーすか?」と書いた。実はその頃にはとっくに実現していたこの企画。今回はバンコクの「コルセン」で働く「ゲンサイ」の人たちがテーマ。
水谷さんの著書を際立たせているのは、圧倒的な当事者感。バブル崩壊から就職氷河期を経た世代しか持ちえない視座。僕にとって非常に貴重な書き手です。
既成の価値観(例えば有名大学→大企業)はあれから四半世紀経っても世間的には大して変わらないけど、個々の中ではずっとグラグラし続けてるわけで、価値観の境界の「こっち側」で踏ん張る適性が割とあって何とか生きている僕にとっても、本書で描かれる「あっち側」の人の姿は、パラレルワールドの僕なのである。
筆者の感覚もきっとそうで、自身を「あっち側」に置いて、取材対象者と同じ立場から発信してるから、パラレルワールドがまるでさも現実であるかのように迫ってくる。バンコクの地理に詳しければもっと面白かったんだろうなあ。
水谷さんは次の「暗がり」をどこに見出すだろう?例えば、日本の巨大企業の真ん中でスタックした40代のジレンマ、とかどうかな?「こっち側」の人を揺らがせるところを見てみたい。
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エピローグに筆者の思いが凝縮されているのだろう。
日本の生きづらさ、が問題意識の核にあるのだろうか。
海外にいてこそ、それを語れるような気もするが、それは日本に特有なものなのかどうか。
ひとつひとつのエピソードは、それなりに興味深いが、全体として訴えかけるものが、少し伝わりづらいと感じた。
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ぐっときた
タイトルでもきたけど、読むともっときた
共感するところが多々あった
自己肯定感が低い
日本にいると劣等感や疎外感を感じる
海外でなら、それが和らぐことを、私も自分の旅を通して知っている
登場する人たちと私が違ったのは、ゴーゴーバーに嫌悪感があったこと、寄り添ってくれる友達がいること
たまたま、私の居場所は日本にあった
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自分も、この登場人物の方達のように、
「はじかれる」可能性なんて、当たり前にある
60点を切った人間は、社会から必要とされない。
日本社会は、ある角度から見ると、減点主義が徹底している社会です。
多くの日本人は、満点の100点から始まりますが、
コミュニケーション能力、性格、
容姿、そして「場の空気を読む能力」等を基準にして、
日本社会の独特の価値感で、その人の価値・能力を判断されます。
周囲が「これはないな」と判断したら、容赦なく減点されます。
幼稚園、小学校、中学校、高校に進むにつれ、判断基準もシビアになります。
60点は一種の比喩ですが、そういう「基準」があることは事実だと思います。
基準以下と判断された人は、日本社会では、本当に生きにくいと思います。
この著作の登場人物は、どの方も日本社会の「基準以下」の人です。
そして、登場する多くのマイノリティーの方にとってみれば、
地獄のような社会だったのでしょう。
日本を抜け出すしか方法がないよなと思います。
著者のフィールドワークは時にはフィリピンであったり、
そしてタイだったりします。
取材対象は主に日本社会から、「はじかれた人」です。
おそらく著者も、執筆という日本社会とのつながりがなければ、
きっと「はじかれた人」に属する人なのでしょう。
そうでなければ、取材対象者へのルポタージュにかける異常な情熱は説明できません。
この著作を通して、日本社会がもう少し、様々な人間、価値観を受けいれてくれる
社会になることを願ってのことなのでしょう。
ただ、日本社会は、ますます生きにくい社会となっています。
それは、うつ病を始めとする精神疾患の増加、ひきこもり、ニート、SNEPの増加数など
を見れば一目瞭然です。以前は、日本は豊かでしたが、
今、日本はどんどん貧しくなっています。
社会の分断は、これからますます勢いをましていきます。
弱者を保護するための人的資源も、そしてお金も圧倒的に不足していきます。
読後感は、なんともいえないものです。
自分も、この登場人物の方達のように、「はじかれる」可能性なんて、当たり前にあるからです。
そうなりたくないなら、いかに減点されないように努めなくてはいけません。
それが、果たしてできるのか、、、本当に難しい。
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1967 タイ政府と米軍は レストアンドレクリエーション条約を締結 ベトナムに駐留する米軍兵士がタイで休暇を過ごすことを許可した
パッポン通り
1970 タイ住友不動産とタイ人の地主が運営する会社の合弁会社がオフィスビル、タニヤビルを完成させた とこに東京銀行、その取引先会社が入居
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以前に見た大連のコールセンターのドキュメンタリーを思い出しました。
ドキュメンタリーの切り口も同じような感じではあったけど、この本の方が個々の事情を掘り下げている分、読みながら感情移入しがちでした。
全然感情移入できなくてややもすれば嫌悪を抱くケースもありましたが、それだけ各人の生い立ちや感情が直球で飛び込んできた印象です。
「居場所」について考えたことなんてそんなにないと思っていた自分が、日常の中で知らず知らずに自分の身の置き所や置き方を考えてることに、読んでいてふと気づきました。
その鈍感さが、「居場所」を求めてわざわざタイに移住するまでに駆り立てるものはなんなのか、読んでいてわかるようでいまいちスッキリわからないもどかしさにつながっているのかもしれないです。
あと、タイはLGBTの人を受け入れていて寛容さがあると思い込んでいたけど、実態はどうもそうではないというのが驚きでした。一面的なイメージだけで勝手に思い込んでいたのを反省。
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前2作が面白かった(という言い方は適切か⁉︎)ので、今回も期待を持って読んだ。
バンコクか…
こんな日本人の世界があるのか…
知らない世界を知れて良かった、
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バックパッカーとして東南アジア諸国を旅した。
そのたび、現地でいわゆる「沈没」した日本人と遭遇した。
ドラッグや女にハマって、有り金を失い、勤労意欲も失い、日本に帰ることの出来ない人のことをそう言って揶揄した。
この作品で描かれるタイで過ごす日本人は決して恵まれた環境で生活しているわけではない。日本で暮らすには息苦しく、逃げ出すように訪れたタイでの彼らは決して「沈没」しているわけではない。しかし、生きることにもがき苦しむ彼らを、作品を通して見ると、読者たる私も苦しくなってしまうのはなぜなのか。
とても幸せに生きているように見えない。
LGBTや借金苦や恵まれない家庭で育った人々たちは、彼らを色眼鏡でみる日本から遠く離れた異国の地でも、幸せそうに見えない。
結局、彼らの苦しみの根源は心の中にあって、他の国に逃げたとしても逃げ切れるものではないのかもしれないと感じた。
そして、そんな彼らの受け皿になっているバンコクのコールセンターを知った。
私と同業者だ。
同じ仕事をしているのに、日本国内採用と現地採用での待遇の大いなる差が悲しい。
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東京から4,614km遠く離れたタイのバンコク。
その高層ビルで、
「お電話ありがとうございます。
○○社の△△です!
ご注文ありがとうございます!」
と語りかける日本人オペレーターがいる。
いうまでもなく、非正規労働者。
借金苦・LGBTの男女など、
様々な理由からタイに渡る。
総じて「日本で周りとうまくやれなかった」
という人たちが多い。
タイでは、捲土重来を期して、
きちんと働き、タイ語の習得とか、
向上心を持って勉学に励むという
タイプの人は極めて少ない。
オペレーターの仕事を選んだ理由からして、
電話は日本人との受け答えなので
言葉の障害はなく、服装は自由、
勤務時間は融通が利き、残業もない。
給料は高くはないが、物価が安く、
贅沢をしなければ十分暮らしていける…。
それでは海外勤務経験ありとは
胸を張って言えるはずもなく、
再度日本でやり直そうと帰国しても、
そこには受け入れ場所はなく、
熱気溢れるタイに舞い戻る人も少なくない。
今日の日本の閉塞感、生きづらさは
社会がもたらしたものである。
ただいずれの先進国にも「光と陰」は存在する。
タイのコールセンターで働く人たちを
著者は「陰」の側にカテゴライズするが
はたしてそうなのか。
彼らは行動を起こした。
生きていくためにタイでの就労を選んだ。
高飛びなのか、跳躍なのか、勇躍なのかは
そんなの何だっていい。
寧ろ、不正に生活保護費を受給している
4万人超の厚顔で遊民を宿す温床こそ、
高度成長を終えた日本のもう一つの現実が
あるんではないかと思うな。
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日本を飛び出し、バンコクのコールセンターで働く日本人たちのリアルに迫ったノンフィクション。
タイ語もわからない、仕事は日本語を使った電話業務…ではなぜ彼ら、彼女たちはわざわざ日本を飛び出してタイへ飛んだのか…?
インタビューを通して知る、コールセンターで働く人々の思いや事情
そして、そこから見える日本の社会とは…。
コンプレックスからタイにはまった人、
タイ人にはまった人
家庭的な事情のある人、
性別の悩みからタイに渡った人、
などなど…日本での生きづらさを抱える人々。
そんな彼らが捜したもの…
それは、「自分が自分でいることができる居場所」
日本にはもはやそれがないという。
将来に対する不安、
未来への希望と期待、
現状の自分自身の生き方、
彼らが感じるもやもやした不安と思いは
多くの人の中にあると思う。
読み終わってあらためて思う
私自身もそんな思いが心の底にあることを。
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タイのバンコクには、現地のレートの給与でコールセンターで働く邦人がいる。郵便局をリストラされて、妻の母国タイに引っ越した男性、一緒に連れてこられた子ども。タイのゴーゴーバーの男性目当ての女性たち。東南アジアでフィールドワークする著者が現地でインタビューを繰り返し、日本の実家にも訪れてエスノグラフィ的に深掘りされている。興味本位にならず、そこではたらく人に中立的に寄り添う姿勢が好感が持てた。
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日経新聞で紹介されており、読んだ本。
バンコクのコールセンターで働く日本人に取材をする中で、日本の社会の在り方が浮き彫りになっていく。
語学力は必要なく、規則も自由で責任も問われないバンコクコールセンター。さまざまな理由で日本社会に馴染めずドロップアウトした人たちの居場所、受け皿となっている。
考えさせれらる内容だった。読めてよかった。
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新聞書評に載るなど、そこそこ話題の本のようだが、何か似たようなテーマの本を読んだことがあると思ったら、以前、同じ著者の「脱出老人」を読んでいたことが分かった。たしかに、取材方法も文章の筆致も似ている。そういう意味では、老人よりは若い30代、40代で、バンコクのコールセンターという日本語ができれば誰でも勤まると言われる仕事に流れてきた人が取材対象。もっとも、著者の目は暖かく、彼らを「日本では生き辛い人」として、また、タイを包容力のある国として描いている。本書を読んで、バンコクでゆるく生きようという人が増えてしまいそうだ。
著者は、日本で主流からはずれてしまった人に寛容だったり、色々と柔軟な思想の持ち主のようであるが、バンコクでゴーゴーボーイを買う女たちに強い衝撃を受けたことを隠しておらず、意外に保守的な面もあるというギャップが面白かった。