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紙の本
宰相A (新潮文庫)
著者 田中慎弥 (著)
小説の書けない作家Tが迷い込んだのは、戦争こそ平和の基盤だと宰相Aが煽る「もう一つの日本」だった。反体制運動のリーダーに祭り上げられた作家Tは、日本軍との闘いに巻き込まれ...
宰相A (新潮文庫)
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商品説明
小説の書けない作家Tが迷い込んだのは、戦争こそ平和の基盤だと宰相Aが煽る「もう一つの日本」だった。反体制運動のリーダーに祭り上げられた作家Tは、日本軍との闘いに巻き込まれるが…。【「TRC MARC」の商品解説】
揃いの国民服に身を包む金髪碧眼の「日本人」に、武力による平和実現の大義を説く黒髪の首相A。母の墓参に帰郷したはずが、「日本国」の違法侵入者として拘束された小説家Tは、主権を奪われた「旧日本人」の居留地に送られる。そこで自分と瓜二つの伝説の救国者Jの再来とみなされたTは、国家転覆を狙うレジスタンス闘争に巻き込まれていく。もう一つの日本に近未来の悪夢を映す問題作。【商品解説】
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作家の鋭い感覚
2024/02/27 09:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:魚太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ディストピア小説のようではあるが、これは現実だ。小説という手法ならではの、創作であるが。しかも作家の世界だけではなく、現状の日本そのものを描いている。アメリカ従属で事実上その属国と化し、国際的にもひたすらアメリカに従順にふるまい、まさに傀儡政権と言われて反論できないような政府を国民が選択している。宰相Aとは当時の現実の日本首相のイニシャルである。特筆すべきは、桐野夏生の『日没』よりも5年前にこの小説が書かれていたということである。