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「働きたくないイタチと言葉がわかるロボット」の著者の最新作、おもしろそうだと思ってサンタさんにお願いして手に入れたけれど、すぐには読み始められないまま娘に先を越された。読み始めたらとまらないおもしろさであっというまに読了したらしい。
お正月読書で読了。勉強嫌いな11歳の王子の浅はかな一言がきっかけで、城中の人間が自動人形に置き換わり、優秀な教育係も動物の姿に変えられてしまう。その絶望的な状況に王子が立ち向かっていく物語のなかで、王子とともに自動人形=人工知能(AI)にできることとできないことや、意志や目的、共感、想像力をもつ人間と命令に従うだけの機械の差違を理解し、人工知能とのコミュニケーションのコツを体感することのできる寓話。そして、人工知能の勉強抜きにしても、周囲に甘えるだけだった王子が一国の王子としての自覚を得るまでのカタルシスのある成長物語でもあり、「とりかえしのつかない罪を犯してしまった自分とどう折り合いを付けて生きてゆけばいいのか」という別の主題で読ませる物語にもなっている。「働きたくないイタチ…」と違って、専門的な解説は巻末にまとまっているので、物語を一気に楽しめるのもいい。
いまの世間は人工知能の能力を過大評価しすぎているのではないかと懐疑的な自分にとっては気持ちよく読める内容だったし、人と機械のコミュニケーションの困難さ、人同士のコミュニケーションの絶妙さを体感できる作品として広く読まれてほしいと思った。
川添愛さんの、他の作品も読んでみようと思う。
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将棋や囲碁での勝利はもちろん、ペッパーの普及や少し前に流行ったスマートスピーカーなどによりAIがかなり実用的に、身近になってきたと感じられ始めたここ数年。しばらくすれば人間のいうことを聞くロボットなんてすぐできちゃうんじゃないの? というムードが漂う。
しかし!自然言語処理や意図理解はそんなに簡単じゃねーぞ、この野郎。こんなに問題山積みだ、ボケ!というのがこの本の主旨。
そこら辺は、ふーんなるほどね。くらいな感想。
物語はいつもどおり面白いです。
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高校生のビブリオバトルにて紹介されていた本です。
AIについてのブックトークの本の候補として読みました。
主人公は、勉強嫌いでわがまま放題の王子ルーディメント。口うるさい教育係パウリーノや、自分の想いを察してくれない召使たちにイライラさせられどおしです。
ある日、またもや彼らの「指示」に腹を立てていた王子に「聖者ドニエル」と名乗る道化がでてきます。
彼は王子の望みをかなえる、と言い、城の召使を「王子の言うことを聞く人形」に変えてくれました。
ところが、人形となった召使は王子の発言を「言葉の通り」に受け取り、「人間としての常識」からは大きく逸脱した行動をとるようになります。
さらに、人形と猫(教育係パウリーノは「猫」に帰られていました)だけになった城に、王位継承をたくらむ王弟(ルーディメント王子の叔父)が現れ、王子は絶体絶命のピンチにさらされます。
「聖者ドニエル」が邪神「アトゥー」を崇める悪い魔法使いであったこともわかり、人形と取り換えられてしまった城の召使たちがドニエルの元に囚われていることも明らかに。
王子は城を守り、また召使たちを無事に元の世界に戻すことはできるのか……。
王子の成長を描くファンタジーとしても十分に楽しむことができますし、人形に変えられてしまった召使たちに仕事を教える姿はAIのプログラミングにも通ずるものがあります。
どちらの側面からも十分に楽しむことができる、よい作品でした。
王子が人形(AI)との会話に苦心する姿を通して、人間が言語以外で伝えているコミュニケーション情報がいかに多岐にわたっているかということや、人間の「心情」がどれほど複雑で尊いものかということ、そして「言葉」のもつ力の強さをひしひしと感じることができました。
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『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』が面白かったので今回も期待して読んだ。今回はAIに学習させるのではなく指示の与えかたがポイント。始めのうちは通じないのが当たり前の命令ばかりだったけど、だんだん効果的な指示を出して人形を使いこなせるようになるのが面白い。AI方面だけでなく、少年の成長物語のファンタジーとしても面白かった。
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[関連リンク]
言葉の解釈をめぐる、解決困難な諸問題──『自動人形(オートマトン)の城: 人工知能の意図理解をめぐる物語』 - 基本読書: http://huyukiitoichi.hatenadiary.jp/entry/2017/12/22/080000
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悪い魔法使いによって周りの人間がことばを理解するだけの自動人形に入れ替えられてしまった王子が悪戦苦闘しながら人形への命令方法を学んでいく物語。
言語の多義性や曖昧性(焼き鳥の串を渡して「回しながら焼いて」と言えば普通は串を中心に回転させるが常識のないロボットにとっては様々な回し方があるとか)の問題を扱っているが、それにしてはちょっと冗長かなぁ、、、
巻末1割ほどが著者による解説になっており、これを先に読んでもいいかも
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人工知能(AI)技術の発達により知的な機械への期待が高まる中、我々人間がそのような機械に最も期待することは、ドラえもんとまではいかないとしても、「人間の言葉による指示を理解し、それを遂行するために適切な行動を取れること」であろう。本書は、単なる「言葉の意味の理解」を超えた課題として、「(人工知能による)意図の理解」に焦点を当て、物語形式で意図理解を巡る課題を説いている。意図理解の前提となる音声認識や意味理解、それらを巡る現在の技術的状況を取り上げた、著者の『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』の続編的な位置付けの書である。
王子を主人公としたファンタジー要素のある物語を読みながら、意味理解の先にある「意図理解の難しさ」がよく理解できる優れた本である。AI技術がいくら発達しても、そう簡単にドラえもんのような人間の意図をちゃんと理解できるロボットの実現には至らないだろうな、ということを感じた。
物語が終わった後に、言葉による意図理解等についても解説もあり、この問題についての理解がより深まるようになっている。一方で、AIによる意図理解等についての関心を度外視しても、本書(の中の物語)は、単純に少年の成長物語、仲間との信頼の物語として非常に面白く、読みだしたら止まらなくなること請け合いである。
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人工知能のフレーム問題について、ファンタジー小説の典型的なストーリーを辿るうちに自然と理解できるようになった。
いま現在(2017年)の人工知能研究の問題意識や課題、トピックなどが、巻末の解説に添えられているのも、とても興味深く読むことができた。
・・・・
人の会話で言葉に込める意図を人工知能に理解させる方法には二種類ある。単語の定義から思考していく方法と単語の使われ方の例を膨大に学習して場面場面で適宜、その意図を選択する方法。
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人工知能の意図理解の話。この本、どこあたりにニーズがあるかわからないんですけど、読み始めると面白いので人に勧めたい気持ちが出ますね…前作の『働きたくないイタチ〜』を読んでからの方が頭に入りやすいです(こちらは意図理解の前提の音声認識や意味理解の話)。ナビゲートの役目を果たす物語はこちらの方が滑らかに進みます。(イタチは自分達が何を求めているかわからなくて右往左往する)
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人工知能、AIが活躍する未来が近づく今、「意思疎通」「言葉の理解」について考える物語。
主人公はお城に一人取り残されたわがままルーデェメント王子。
城の使用人たちは悪い魔法使いにロボットに変えられてしまい、命令通りにしか動かなくなってしまいました。そんな異常事態の中で迫ってくる国の危機。王子はロボットに適切な命令を与え、自分の意思を示すことができるのでしょうか?!
(LA学群卒:湯けむり山荘)
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そうか~~~~~…
言語理解ってものの難しさ…しみじみ考えるな…
でも、それさえも乗り越えてしまったら、人間がAIに乗っ取られるのなんてマジで時間の問題なんだな…
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「精霊の箱」の川添愛氏の作品。中世ヨーロッパのような世界を舞台にしたファンタジー。この著者の著作は「謎」、「冒険」など物語のキモになる部分に「本物の学問」を持ってくるところ。
本書は「AIの限界」を物語の中で描いてくれる。ストーリーは王道で、安心して楽しめた。
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2019記。電子書籍版に投稿した内容の転載。
魔法使いの弟子が呪文を学ぶ、という形でコンピュータの概念を語るシリーズの続編的作品。
ある王国のわがままな王子。魔法使いの策略で、家臣団が「なんでも言うことを聞いてくれる」人形に置き換えられてしまう。ということで、「自然言語による命令を受け、それを実行する機械を実現しようとするならば、多かれ少なかれ、避けては通れない問題」(P268)に直面することになる。
「おなかがすいたんだけど」と言えばすべてしつらえてもらえていた勉強嫌いの王子が、「食べ物を作れ」という命令の伝わらなさにさんざん苦労する。過去にプログラミングで遊んだ人ならわかる「あるある」的失敗談が結構笑える。そして城の混乱を知った謀反の動き。衛兵たちに「敵」を定義して「守らせる」こと。こうしたプログラミング技術的な話から始まって、「勉強」とは何か、人はいかにお互いの知識や信頼関係を前提に言葉をはぶいているかなどを説明していく。
キッチンからテーブルにスープを運ばせるときに「この皿をテーブルへ」というだけでは、こぼさないようにそっと動かすことをしないのが機械。「あとでこのスープをおいしく食べるため」という目的・本質への理解なくしては、指示は狙い通りの効果を生まない。こうしたことから王子がいつしか、「共感」「感謝」、さらには「自己と他者」の関係を知っていくプロセスは感動的。
過去の著作に比べると断トツの読みやすさ。
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近頃のAIの進化は凄まじく、特に今年(2023年)に入ってからはニュースやネットでchat某の話題を見ない日はないくらいだ。でも、その評価は「ピンからキリ」まで。私は使ったことがないし、その“本当の凄さ”も分からないけれど、この技術を生かすも殺すも使うひと次第なんだな、と言うことだけはわかる。それにしても相手(AIであれ生身の人間であれ)に自分の意図するところを間違いなく伝えるのはむずかしい!ルーディメント王子のように試行錯誤しながらも学んでいくしかないのかも。
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サブタイトルに「人工知能の意図理解をめぐる物語」とあるように、「人工知能にとっての意図理解」に対する理解が深まる物語になっています。
巻末にある「解説」に、「人工知能にとっての意図理解の仕方は、発達障害の人に似ている(かも)」といった感じの補足のようなものがあります。
自分には、発達障害をもつ人が身近にいまして、「人工知能にとっての意図理解の仕方は、発達障害の人に似ている」と常々思っています。
それゆえ、(川添愛さんの他の多くの本と同様に)本書も、発達障害の人とのコミュニケーションに役に立ちそう、と思いながら読み進めることになりました。
結末は若干強引な気がしますが、あくまでも「意図理解」が主題の本ですので、許容範囲ですかね?
個人的には、「ありよりのなし」と思っていますが(笑)。