わたしの名前は「本」

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様々な〝はなし〟を乗せてきた本が、自分の〝はなし〟を語り出した。
息、粘土板、パピルス、羊皮紙、紙‥‥。
楔形文字、象形文字から、活版印刷、電子まで。
人類の様々を見てきた本。
柔らかい語り口とイラストで、読みやすい。

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まさかの「本」目線で語られる本の歴史。
始まりはパピルス…いや羊皮紙、もしや粘土板か？と思いきや、まずはこうである。
「本の前に、息があった。」
そこからか。
まだ文字すらない。
スキタイ人はカエルとネズミと鳥と矢を送り、象形文字が生まれ、フェニキア人はこれをアルファベットにした。
粘土板や岩はパピルスになり、本はロールされ(巻かれ)始めた。
聖書一冊作るのに２００頭以上の羊が必要だった貴重なる羊皮紙の本。
そして中国で生まれた「紙」。
グーテンベルクの活版印刷。
そして、電子書籍。
再び（スク）ロールされるようになった本は、今後どう変わっていくのだろう。

ちなみに、一番興味深かったのは、本のジャケットの内容紹介を「ブラーブ」という、というところ。
ジェレット・バージェスなるアメリカ人作家が、１９０７年に自分の最新作のジャケットに、ベリンダ・ブラーブという名の美女がその本をほめているというデザインをつけたところから始まるらしい。
誰なんだベリンダ・ブラーブ。なかなか愉快な由来である。

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「わたしの名前は本。これからわたしの物語をしよう。」

そして本は語りだす。自らのながい一生、否、半生。気の遠くなるような、本が辿ってきた歴史を。

「本の前に、息があった。」

しかし物語は、まだ文字が生まれていなかった時代、本が形をもたなかった時代から始まる。知識や物語は人々のあいだで口伝えで伝えられ、記の力に頼っていた。

「人々はわたしを頭のなかに置いて、口で語った。」

やがて5000年ほど前、古代メソポタミア・シュメール人によって文字が発明され――。

本書の総ページ数は140枚ほど。しかしこの小さな本のなかには、5000年以上の歳月が流れている。
なんというポエティック！！　ロマンティック！！
詩的な文章、古典からの一文、伝承、著名人の言葉からの引用とポップなイラストも盛りだくさんで、本好きな方には、ぜひ一度手に取って頂きたい出色の一冊。

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本が自分の人生（？）、つまり本の歴史を語ってくれます。
人類に言葉が生まれ、文字が出来てそれを記録するようになり、巻物から本へ、手書きから印刷へと変わっていく過程を教えてくれます。
そして、人類の悲しい歴史の中での弾圧や戦争による本の消失。電子書籍の誕生と共存。本の歴史は深く長い。

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先人の偉大さがシンプルに伝わってくる。
文字だけではなくイラストの役割も、
欠くことはできないものかと。
ゆっくりゆっくり読み進めた一冊でした。

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これは面白い！！！
「わたしの物語はそのはるか昔から始まる。本の前に、息があった」
ー
「初めて告白するのだが、わたしはページをめくられると、興奮して背筋がぞくぞくするのだ」

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本が人格を持ち語る、本の自伝のような書誌学の入門書です。
文字の無い口承の時代から始まり、電子書籍と冊子本の出会いまでの歴史を追います。
本の変遷がわかりやすく、面白く、短く綴られています。
挿絵の雰囲気も素敵で、心温まります。
図書・本に関する仕事をしている自分に対して、本から感謝される日がくるとは思いませんでした。
何度も読み返したくなる一冊。

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「本」の誕生から現在までを、「本」自身が語り手となって振り返る。
はるか彼方昔、文字が生まれる前、炉端で生活の知恵や伝承が語られていた頃から、電子書籍という形態が登場するまで、長い長い「本」の変遷の歴史を、モダンなイラストと共に旅する。
粘土板だった頃、巻き物だった頃、折り畳まれて初めて背表紙がついた時、印刷された時、本好きならば「本」自身が語る物語に興味がつきない筈。
美しく写本され丁重に扱われていた時代、より多くの人々の元へ届けらるようになった喜び、焚書弾圧された暗黒の思い出など、切り口も様々に「本」の語りは続き、読者を思索の旅路へ誘う。

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本が自分の半生を語り出す、本の物語。
当時付いていた帯の、
「親愛なる読者へ。わたしはあなたのためにここにいる。」
という言葉に惹かれて買いました。
読んでいると、家の本棚にある本がとても愛おしく思えてきます。大切に読もう。

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本という歴史がイラストとウィットの利いた言葉で面白くそして的確に書かれています。
特に最後の「わたしを作り、わたしを愛してくれた人々に背表紙の裏から感謝を捧げたい」の一文はいいなぁ。
たとえばこの本が子どものいる家庭の本棚にあったら素敵だなぁ。

本を大切にしたくなる作品でした。

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素敵な本に出会いました。
それも、図書館で。

主人公は「本」。
まだ文字がない時代に始まって、粘土板やパピルスや羊皮紙を経て、紙へ。葦の茎や鳥の羽のペンを経て、印刷へ。そして、高速化、小型化、低価格化され、私達の周りにあふれる「本」へ。そして、電子書籍へ。

「本」の歴史を、「本」が語る、「本」。

とても詩的に、簡潔な文章と、シャレた挿絵でできている、ちょっと絵本みたいな「本」の「本」。


すっかり電子書籍派になってしまっている私だけれど、この本の、紙の感じや、フォントの選び方や、デザインは、電子書籍では伝えられない絶妙な感触。帯はないほうがいい。うん。図書館で借りたけど、所有したくなる本。
本って素敵。

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自伝というべきかどうか。

「本とは何か」。
本と紙と文字と。そしてそれ以前のとこれからの形態。

そう。本をめくる音が好きだし、本の端を折ることも好きなのだ。それは電子書籍ではできない。仮にできたとしても、何か違うのだ。

電子書籍は個人的には敬遠しているところだけど、本の分類は面白い。

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独特の視点で語られる本の自伝。というか自分語り。
時々に出てくる感情が可愛くていい。
挟み込まれる引用文も素晴らしい。聖書にあんな書き込み!？とか(笑)。
手元に置きたい一冊になりました。