紙の本
『こんぴら狗』
2019/04/04 20:48
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代、讃岐の金毘羅さんに代参した犬がいた!
実在したとされる「こんぴら狗(いぬ)」に材を取り創作したあっぱれ犬の道中記
日本橋にある線香問屋の娘弥生が病を得、平癒祈願のために愛犬ムツキを金毘羅さんに代参させることに
瀬戸物問屋のご隠居に連れられて日本橋を出立、東海道を西へ西へと歩みを進める
ご隠居との別れに始まって、1300キロにおよぶ旅の途中に起きるできごと出会う人たち
ムツキの波乱万丈の3か月を描いた大作
2017年12月刊
第58回日本児童文学者協会賞
第65回産経児童出版文化賞(産経新聞社賞)
第67回小学館児童出版文化賞
2018年度の児童図書関係の主要な賞をトリプル受賞
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線香問屋の娘、弥生は、死にかけた子犬をひろってきて、懸命に看病した。ムツキと名付けられたその子犬は、弥生と深い絆で結ばれたが、その弥生が病のため命があぶないという。そこで、近所のご隠居と一緒に、弥生の代わりにムツキが金毘羅参りをすることになった。ところが、元気だったご隠居が、道中急に倒れ、帰らぬ人となってしまう。ムツキはただ一匹で取り残されるが、首につけた「こんぴら狗」の印を見た人々が、順にムツキを受け渡し、着実に金毘羅へと送っていく。
江戸時代の人情と信仰心、時には悪い人にも会いながら旅を続ける「こんぴら狗」の冒険から目がはなせない。
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小学生高学年~
読みやすくて、面白かったです!
時は江戸。飼い主の少女、弥生の病気平癒のために金毘羅さまに代参する「こんぴら狗」となったムツキ。
江戸から四国までの長旅をどんな人と、どんな風に過ごしたか。江戸時代の人は、こんぴら狗とどう接していたか。犬のムツキ目線でえがかれていて、すごく面白かったし、読みごたえがありました!
がんばったなぁ、ムツキ!と、頭をクシャクシャになでてあげたいです!
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今年の夏やすみ読書感想文の課題図書。
金比羅山詣でを、飼い主に代わって犬がするという風習に基づいたお話。
今では新幹線で1日の東海道を江戸時代の交通手段だけで四国まで辿り着くのに命がけだったこと、
ましてや犬。飼い主の病の治癒を医療でなく神仏に頼るなど、(今ではもはやファンタジーになってますが)江戸時代の風習がイキイキと書かれてるのがとても興味深い。
よくありがちな動物と人間の絆で涙を誘う再会シーンだろうなぁと思ったけど、やはり涙がとまりませんでした。
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江戸時代、文政三年(1820年)。線香問屋、郁香堂の娘の弥生(12歳)は1匹の子犬を拾った。捨てられて死にかけの子犬は、弥生の看病もあってすくすく育った。子犬は睦月と名付けられ、賢く育った。
しかし元気だった弥生は病に伏せるようになっていた。郁香堂では後継である兄が、同じく病で亡くなっていた。
弥生の両親が心配しているところ、瀬戸物問屋のご隠居が思わぬ提案をした。
睦月をこんぴら狗にして、弥生の病を治るよう金比羅参りさせてはどうか、自分も京都まで一緒に行く、そのあとは信頼できる旅人に睦月を託すからと。
江戸から金比羅まで歩いて行く。往復340里(1340キロ)にもおよぶ旅だ。
ところが、途中で滋賀の土山〜水口の間でご隠居さんが亡くなってしまい、しかも誰にも預けられることもなく、睦月はだたただ先に進むことになった。首にさげている印で、周りの人がこんぴら狗の睦月を助けてくれた。
江戸時代の歴史物語。
はたして睦月は旅を無事に終わらせて、弥生のもとに帰れるのか。
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2018課題図書高学年向け。とにかく長い。この厚さでも読める子にしか読めなさそう。でも、中身を紹介すると、読んでみたいという声がちらほら。関心は引くらしい。犬好きな人によさそう。あと社会科教育。
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香川県が誇る観光地である金毘羅さんに多くの人々が思いをかなえるため、全国各地から命がけでやってきていたと思うと、今では何気なく通っている道もとっても貴重なものに思えてきた。この本をきっかけに再評価してくれればなあと思う。
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『「よくこの小さな足で、この細い脚で、何百里もの旅にたえたと思うと、胸がいたいほどしめつけられ言葉もなかった。」』
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江戸から香川まで、金毘羅参りへ犬をやるなんてどういうこと⁈ どう考えても不可能だし、江戸時代の人たちはなんて酷いことをするんだと思いました。読み始める前までは。
読んでみると、そんな単純ではない人の想いが溢れていて、納得というかこんな事実があったのだ、と受け止めながら読めました。
あとがきや参考文献を見ても、とんでもなく時間と労力をかけた作品だということも分かります。
何より、読んでいると当時の情景や人々の暮らしぶり考え方が、とても良く伝わってきて、物語にすぐ引き込まれました。
あと、この本の主人公である犬のムツキの描写か可愛らしく生き生きとしていて、表情や動作を頭にすんなり思い描くことができました。
犬や猫を飼っている人なら、みんな胸を痛めるだろう場面がとても多くて読んでて辛い時もあったけど、その分どんどん感情移入していった気がします。
ムツキがどうなるのかハラハラしながら、当時の江戸の様子に目を丸くし、夢中になって読めました。
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これで読書感想文を書きました
途中からずっと号泣でした!
今井さん、天才!!!!!!!!
私も犬を飼っているので、夜眠る時、すごく怖かったです(TT)
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読み出してすぐにびっくり。まさかの旅の連れのご隠居が死んじゃうの?Σ(゚Д゚)別に読んだ本でも、いろんな人と連れ立って旅したろうとは書いてあったけど、ほんとに次々連れが変わった。別れを惜しむ人もいれば、あっさりもいて、なんかリアルだわ。でも犬嫌いがいなくて良かった(´;ω;`)神様にお参りする犬に優しかったりする文化は好き、日本。神様仏様、たくさんいても気にしない緩さも好き、日本。ムツキの子供、多分白い犬にも生まれたろうな〜。犬は過去のことはどこまで覚えているんだろ?
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長い道中困難の連続でハラハラしっぱなしでした。
実際行ったことのある金毘羅宮を思い出し、また、通訳案内士として地元の七里の渡しを始め、東海道の宿場町のことを学んだのですが、こんなにも道中の様子が目に浮かんだのは初めて。
そして最後、江戸に入ってからは泣きっぱなしで読み終わりました。
今で言う、盲導犬にもつながる描写も素晴らしかったです。
児童文学ですが、大人にもおすすめです。
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こんな風習があったことに、江戸時代独特の大らかな文化と人々のあり方を、興味深く素晴らしいと思った。
ご隠居の最期には、当時の旅が如何に「大事」であったのかということがよく分かる。それを圧してでも行き交った人々の思いや事情は、本当に様々で、強いものだったのだろう。ムツキの旅を通して、それらを感じることができるのが良い。
犬の視点と人の視点が入り交じるが、文章は読みやすく、冒険譚として飽きさせない展開から、最後には盲導犬へと繋がるのも上手い。江戸時代を描きつつも今を感じさせる。
そして、「今」を生きている犬にも、思い出は残っているという願い。
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こんぴら代参の犬をテーマにした児童文学。
挿絵がいぬんこだったので借りて読んだ。
爽やかな物語だった。
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以前、土橋章宏さんの「駄犬道中おかげ参り」と「駄犬道中こんぴら埋蔵金」を読んで、江戸時代、飼い主に代わって、犬がお伊勢参りや金比羅参りをする風習があったことを知り、代参犬に大変興味がありました。
さらに、小学生の姪と金比羅参りがしたくて、最近共にウォーキングに励んでいる最中に、「こんぴら狗」という小説の存在を知り、迷わず読んだ次第です。
江戸時代、飼い主さんや道中出会った人たちのみんなの願いを背負い、きっとこんな風にお伊勢さんや金比羅さんにお参りしていたのだろうな・・・と、代参犬の壮大な旅に胸が熱くなりました。凄く素敵な作品です。
代参犬のムツキは、雑に扱われる事もあり、幾多の苦難にあいますが、優しい人達の助けをかりて金比羅参りを達成し、無事に江戸に帰って来ます。最後は本当に優しい親子に出会い、江戸に帰って来た時は涙が伝う、そんな代参犬の素晴らしい旅でした。
私も早く金比羅参りをしたくなりました!
今は離れた所からコロナの終息を願い、金比羅さんの階段を登れるように、今は姪といっそうウォーキングに励もうという気にさせてもらいました。