紙の本
似非エリート
2021/01/31 09:01
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投稿者:nobita - この投稿者のレビュー一覧を見る
67歳。読み始めるまで3年かかった。目から鱗が落ちた。若い人がこの本を読んで、自分なりの考えを持ってい欲しい。
科学と技術を狡猾に利用しながら、政府側が無益なことをしている状況、つまり原子力行政、公害問題、戦争などを喝破している。
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明治から150年、日本人が見おとしてきたものは何か
2018/11/17 19:07
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投稿者:wordandheart - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年2018年は明治維新から150年で、この150年は日本の近代化の歴史でもある。明治の文明開化に始まり、太平洋戦争を挟んで高度経済成長へと科学技術の進歩に支えられ、日本はひたすら邁進してきた。
明治初期の日本は兵部省、工部省、文部省が中心となり科学技術を振興してきたが、第一次大戦を通じて総力戦体制に科学技術が重要であると分かると、科学者が率先して国力増強へと協力していく。1917年に理化学研究所が創設されるのは象徴的だ。科学者が自らの立身出世に躍起になっている姿が見える。
太平洋戦争が終結すると、一転して「科学戦の敗北」「科学の立ち遅れ」がさかんに言われ、今度は「原子力の平和利用」が唱えられる。しかしその先に待っていたのが福島原発の事故ではなかったのか。大日本帝国は戦艦大和、武蔵ととともに沈んだが、今の日本は原発とともに沈もうとしているようにみえる。
明治の科学技術は工学を中心として発達してきたが、それは日本人のモノ作り志向にマッチしている。しかし一方科学を「実学」一辺倒で捉えてきたためにヨーロッパでは科学の背景にあり、それを支えた哲学や文芸を蔑ろにしてきたのではないか。それが今の理系重視、文系軽視の現状にも直結しているし、また理系分野でも数学や物理学といった基礎分野はあまり顧みられないことにも見てとれる。
科学の背景にある価値判断、何のための科学か、何が人間を幸福にするのか、といった問いかけこそが本来必要なのではないか。
前半が明治維新以来、政府が科学をどのように振興してきたか、科学技術の各分野が産業、軍事との関わり合いの中でどのように発達してきたのかが詳述されていて、特に興味深かった。
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パヨクによるミスリード本ではあるが
2019/11/24 02:59
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投稿者:ライサ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ブラック企業の根本は福沢諭吉にあったことが指摘されている。
その一点においては読んだ価値があったと感じた
しかし。後半に進むにつれ異様に中韓やロシアを持ち上げ日本やアメリカをバカにし台湾については無視するという態度が強くなってくる
不審に思い書いた人物を確認すると……ばりばりのパヨクなのであった。
よって読む価値なし
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人、技術、思想
2019/05/22 12:42
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投稿者:ただの人間 - この投稿者のレビュー一覧を見る
さながら三谷太一郎「日本の近代とは何であったか」の理系版という印象。類似テーマを扱ってはいるが、三谷と比べると、技術的な側面や非エリート(在野)層についての記述が厚いのが特徴的だった。評価にわたる部分はかなり強めの表現が使われていて鼻白むところもあったが、技術とそれに対する人々の関わり方、関連する思想などが有機的に関連づけられていたので、思想がどのように社会に影響するのかについて示唆を得ることができた。
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知識量がすごい。本書では特に、各章のまとめ方が予備校講師だけあってうまい。
「福沢(諭吉)自身、その過大な科学技術幻想にとらわれていたのであり、その幻想は以降150年にわたって日本を呪縛することになる」
「(滝川事件や天皇機関説論争を経て、)天皇や国体を盾にとれば、どんな不条理もまかり通る時代になっていったのである」
「科学技術の急速な振興と、それによる急ピッチの生産拡大は、その背後でつねに弱者に対する犠牲をもたらしてきたのである」
「憲法改正が日本を戦争の出来る国に導くのに加えて、軍需産業の重視は、それをこえて日本を戦争を望む国へと誘うことになる」
自由世界で米国に次ぎGNP2位になったのが1968年、その後の日本丸のかじ取りを冷静に分析して、評価&反省することにも意味がある。
著者プロフィール:
1941年、大阪に生まれる。1964年東京大学理学部物理学科卒業。同大学大学院博士課程中退。現在 学校法人駿台予備学校勤務。
著書『知性の叛乱』『重力と力学的世界』『演習詳解 力学』(共著)『新・物理入門』『熱学思想の史的展開』『古典力学の形成』『解析力学』(共著)『磁力と重力の発見』(パピルス賞・毎日出版文化賞・大佛次郎賞)『一六世紀文化革命』『福島の原発事故をめぐって』『世界の見方の転換』『幾何光学の正準理論』『原子・原子核・原子力』『私の1960年代』『近代日本一五〇年』(科学ジャーナリスト賞)『小数と対数の発見』(日本数学会出版賞)。
編訳書『ニールス・ボーア論文集(1)(2)』『物理学者ランダウ』(共編訳)。
訳書 カッシーラー『アインシュタインの相対性理論』『実体概念と関数概念』『現代物理学における決定論と非決定論』『認識問題(4)ヘーゲルの死から現代まで』(共訳)ほか。
監修 デヴレーゼ/ファンデン ベルヘ『科学革命の先駆者 シモン・ステヴィン』中澤聡訳ほか。
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日本の科学技術と日本的経営が行き詰まって行く過程をよく説明していると思う.では,どうすべきかについての著者の説明は,夢があるが,実現することは容易では無い.I habe a dream.それは叶うだろうか.
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著者の名前は団塊世代には様々な事象を想起させる.p236に次のような総括がある.「明治から大正にかけての経済成長、すなわち富国化・近代化は、主要に農村の犠牲のうえに行われ、昭和前期の大国化は植民地と侵略地域の民衆の犠牲のうえに進められたのだが、戦後の高度成長もまた、漁民や農民や地方都市の市民の犠牲のうえに遂行されたのである.生産第一・成長第一とする明治150年の日本の歩みは、つねに弱者の生活と生命の軽視をともなって進めてきたと言わざるをえない.」第6章以降は小生の記憶と合致する部分もあり、さらに筆者の筆も佳境に入った感じで的確な視点で問題を暴き出しているのが、非常に面白かった.戦時中に優遇された科学者が他の分野で戦後に出てきた戦争責任の問題を無視あるいは軽視して、そのまま高度成長期に突入したことを厳しく指摘している.このような発想が公害を隠蔽してきた科学者の行動に繋がったという論考は傾聴に値するものだ.
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明治以後の150年を、科学と技術という観点から見て書かれた通史。圧巻は5章以降で、戦中の戦時即応体制を作るために社会や政治経済の仕組みが総力戦体制に編成され、それが戦後の高度経済成長をも可能とした条件になったという。社会経済について1940年体制ということはすでに言われているが、科学、技術の面でそれが明らかとなっている。
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明治以降の150年間の産業技術について、その負の側面を痛烈に気持ちいいぐらいバッサリと批判している。さすがこの人だという傑作だ。特に第6章「そして戦後社会」では、高度成長の裏にある公害問題について、産官学マスコミを強烈に批判している。御用学者の企業援護とそれに乗っかるマスコミ。それが次章の原子力発電につながる。この部分がハイライトと感じた。何度も読み返したい名著。
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小生の世代では著者の名前は有名である。
「東大全共闘議長、全国全共闘議長」。なんとカリスマ性に満ちていたことか。
本書を読むと、日本が明治以来歩んできた道を否定するか、それとも高度成長に繋がった歴史を賞賛すべきなのかの基本的立脚点を問われる思いを持つ。
著者の立ち位置は「リベラル」と言うよりも「革新」と言うべきか。
現在ではやや左に寄っているようにも見え、小生の視点とも違和感がある点もあるが一読の価値がある本であると思った。
2018年5月5日読了。
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力作。
よく書かれている。
軍事が科学・技術向上に大きく関係していたことが分かる。
弱者を犠牲にして発展してきたことも分かる。
やはり、国や大企業のいうことをうのみにしてはいけない。しっかり自分の考えを持たなければ。
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この150年、どのような背景で科学技術が発展し、いまどうなっているかがよくわかった。これからどうするべきなのかとても考えさせられる。
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明治維新から150年。日本的近代化を一貫した流れとして捉え、惹起した歪みを必然と論証する労作。戦後社会も国家総動員体制を引きずっているという指摘は重要。山本氏が問題の柱に据える科学技術なる言葉も近代特有の概念です。科学は元来、自然の真理を探究していましたが、技術という言葉が付き資本主義の道具と成り果てました。限りなき成長を神話とする近代は限界を見せています。今こそ、歪んだ富の偏在を正すポスト近代たる理念の確立が待たれます。
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さすが、元東大全共闘委員長の著者の観点は鋭い。明治以来150年の文明化の日本における特殊性、それが軍事技術への関心の高さから戦争と密接に結びつき、「兵学」であったこと、それは戦後も一貫しており、朝鮮・ベトナム戦争における兵器開発、なんと原子力発電の維持までが、岸首相以来の核兵器をいつでも持てる潜在的核保有の意味を持たせ、諸外国への牽制としていることを論破していく!驚きだが、全く肯けるところ。一方、ドイツ、イタリアは脱原発を宣言したらしい。それが2011年の原発事故において、日本の科学技術体制の破綻を迎えているという認識は私自身もしっかりと持つべきだと感じた。気象、海洋研究までもが海軍の1935年の三陸沖演習における大事故の反省から本格的に進んだとは知らなかったが、成程!明治期の欧米への劣等感は森有礼文相の留学生への訓示「欧米女性との交際による雑婚の奨め」に見える、確かに荒唐無稽。
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山本氏の著書については高校生のころ「物理学入門」で勉強して以来だ。みすずの本は、読んでみたいと思いながら、ついに手が出なかった。そして、岩波新書。広告を見てすぐ書店に向かった。しかし、どこにもない。もう売り切れたんだろうか。書店員に確認すると、それは来月発行とのこと。ややこしい広告を出さないで。と思いつつ、1ヶ月待って手にし、すぐに読み始めた。分かりやすい。おもしろい。知っていた事実も知らなかったこともいろいろとあるが、最終的にはやはり戦争はもうかるということ。そしてそれに乗っかってもうけたいという人間がいかに多いかということ。原発についても同じこと。なんだかおかしな話だ。国は借金だらけだというのに、高価な兵器を購入しては、古くなったら処分する。造る企業もしかり。もうかるからか。そして、選挙はあんな結果になる。なんだか情けなくなる。足尾銅山や、水俣病の教訓は全く生かされていない。人間の本性は変わらないということか。しかしである。本書は売れている(たぶん一部で)。そういう意味では期待はできる。(選挙のときも一瞬期待したんだけどなあ。)こういった事実を、なんとか、子どもたちにも知らしめていきたい。最終的な判断は本人次第だが。