紙の本
50歳になっても衰えず
2018/05/22 03:40
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
警察組織にも属することなく、反社会的勢力に加担することもない一匹狼としての生きざまには胸を打たれました。
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シリーズ、14年ぶりの新作!
遅筆の作家さんで知られるけど、まさか14年も間が空くなんて…
それでも、作品の時代遅れさは微塵も感じず、相変わらず、ハードボイルドな世界観は満載。
主を失った「渡辺探偵事務所」は、沢崎一人で続けていたが、直接の依頼はなく、下請けの仕事をこなす日々。そんなある日、「望月」と名乗る紳士がある料亭の調査の依頼を頼みに来る。
下請けの仕事もやりつつ、早速料亭の下見に訪れる沢崎だったが、依頼人の依頼内容が遂行出来ないことを伝えようと、「望月」に連絡をするが、どの電話も繋がらず、直接職場に向かうと、そこで強盗未遂事件に遭遇してしまう…
沢崎は50歳。シリーズ当初から因縁の相手である新宿署の錦織も健在。一体いくつなんだ…と思いつつも、スピード感溢れる展開は昔ながらの探偵ものを好む人間には堪らない。
中国の不審船事件などから2010年ぐらいの設定と思われるが、相変わらず沢崎は携帯を持っていない。そして、長年登場した「ブルーバード」もただの「車」になってしまっているのが、ちょっと残念…
そして、事件がきれいに回収されたはずのラストに衝撃が!続きが凄く気になる終わり方だけど、果たして次は何年後になるのか?
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待ちに待った新作。寡作なのはわかっていたが、14年も待つことになろうとは。刊行予告に飛び上がって喜び、届くのを楽しみにしていた。探偵沢崎に再会できただけで満足……と言えたら良かったのだけど……。
原リョウの文章が大好きで、好きな文体ベスト3に絶対入る(後の二人は迷ってしまう)。「私が殺した少女」にはしびれた。ハードボイルドはあまり好まないが(「あれは男のハーレクイン」と喝破した斎藤美奈子さんに座布団一枚)、原リョウは例外。日本を舞台として日本人が探偵で、紛れもないハードボイルドになってるというのは稀有なことだと思う。チャンドラーよりずっと身にしみる。
ということで、自分でも認めがたいのだけど、正直に言ってしまう。今回はあんまり面白くなかったのだった。思い入れと期待が大きすぎたせいもあるだろうが(うん、これは間違いなくあるな)、どうにも納得のいかないことがいろいろあって、うーんと首をかしげてしまった。
詳しいことは書かないが、なんだかメインの「事件」は尻すぼみ。あの死体はなんだったのさ。それと並行して書かれる若者の話は、どういう意図で書かれているのかよくわからない。チャンドラーの某作が意識されているのかもしれないが、説得力がないように思う。
また、このシリーズは沢崎の一人称語りなのだが、沢崎が知っている「あること」を読者に「黙っている」。これは以前にも同じことがあって、アンフェアではないかと指摘されていた。そうだったのか!とだまされる楽しさがないわけではないけれど…。
といった、ミステリとしてどうなのか、ということ以上に気になって仕方がないのが、登場人物がすごくよくしゃべること。なんだか誰かがしゃべっているのを聞いてばかりいるような気がする。このシリーズってこうだったっけ?錦織や橋爪や相良といったお馴染みの顔ぶれにも迫力がない。この人たちってこうだったっけ?疑問符が頭から離れないのだった。
あと、沢崎がもうブルーバードに乗ってないのがなんとも寂しい。部品取りのために廃車になったとのこと。沢崎は今の車の名前を知らないそうだ。著者は車に関心がないそうで、ブルーバードは名前がいいと思って使ったと何かで読んだ。このエピソードは結構好き。
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現代なのに古風のハードボイルド。
携帯電話を持っていない探偵、ハイテクなのかローテクなのか分からない金庫など時代劇のようですらある。
ただ小説としては面白い。依頼も謎があり調べていくと更に騒動に巻き込まれるというテッパンのストーリーではあるが、軽快なセリフが楽しい。
最後全ては収まるものの、あの地震が311だとすればそんなオチをつける必要があったのか疑問。
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もう刊行してくれたというだけで星5をつけざるをえない。作者もそこそこ高齢だし、みんななんとなく諦めてたんじゃないかと予想しますが、でてくれました。本屋で三度見くらいしました。
作者がインタビューで語っていましたが、前作から「ミステリとハードボイルドの比率をよりハードボイルドよりに」してみたんだとか。だからミステリ好きな人には物足りない感があるのかもしれませんが・・それでも満足です。これだけの歳月を経てしまうと登場人物の性格みたいなものがかなりぶれたりとかしそうですが、そのあたりはあんまり齟齬を感じませんでした。
しかし、これまでの刊行ペースから考えると次回作は・・・20年くらいかかりそうですね。ご年齢を考えるとこれが最後になってしまいかねない・・・どうか、どうにか新刊をよろしくお願いします・・・・いやホントに。
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待ち望んでいただけあった作品だ。
いや、待ち望んでなどいなかった。
とうに諦めていた。新作を読めることなど。
そんな去年の大晦日にとつぜん現れた、「原尞の新作発売」のFacebookでの告知。
震えるような興奮とともに、一気に旧作を復習して臨んだ今作。
「愚か者死すべし」に続いて読み始めたせいか、「ようこそ、沢崎」感はなかった。
とは言え、これまで読んだことのないシーンの中で沢崎が生きているのが嬉しかった。そして再び登場する懐かしい面々。
著者は「謎解きミステリというよりハードボイルドとして読んで欲しい」という旨のことを言っていた。
しかし、依頼人が姿を消して、その後現れないという展開はサスペンスフルで、ページをめくる手が止まらない。これまでの作品で最もページターナー色が強い作品だと感じた。
そしてドキリとさせられる海津という青年とのやりとり。
仕掛けはいくつも仕掛けられていて、もちろん純然たるミステリだ。
そして、ついに最後まで読んで、こんな気持ちにさせられたのはシリーズの中で初めてだったが、どんな気持ちになったかを書くのは物語の結末の一端を見せるようで無粋なので、ここでは書かないことにする。
先日の「沢崎と私の三十年」という出版記念講演を拝聴した。その時に作家は言っていた。
「どうしても書くべきものがある」そして、こうも言った。
「すぐに書けるかは約束できない」
次回作を読むことはできるかもしれない。しかし作家の年齢を考えると、最後の作品かも知れない。
その作品が世に出るまで、私は、旧作を繰り返しよむだろう。
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旧友と再会して、もはやいろいろ変わり果てて、正直楽しくも無かったりするんだけど、会っていた2時間の間に10分くらい、いや、3分くらい、
なんだか嬉しくてジンと来てしまうようなやりとりとか笑いがあった…そして別れた後に、「ぢゃあ、今日、友達と会ったことは、無駄だった?それとも会って良かった?」と聞かれたら、「それは、会って良かった」としか思えないような。
そんな読書でした。
前作「愚か者死すべし」から、14年ぶり。
多くのファンがそうであるように、僕ももう半分以上あきらめていました。
探偵・沢崎シリーズ第5作、最新作。
なんかもう、新作を読めるというだけで、読む前に感動しているという不思議な感覚。
更に、原さんの沢崎シリーズの場合は、それこそ本家のフィリップ・マーロウや、メグレ警視モノと同じく、
「例えこの1冊が、娯楽小説としていまいちだったとしても、この本を読めることは幸せであろう」と、これまた読む前に確信してしまいました。
そして、それは間違っていなかった(笑)。
実は読後数日してもはや物語は忘れつつあります(笑)。
よくよく思い出してみると、主人公の探偵・沢崎は料亭の女将の調査を依頼されたのだけど、
その依頼をした、「とある金融会社の重役さん」というのが、「その名前を偽った別人」だったことが判明するんでした。
つまり、依頼人が不明。
その上、過程では、「たまたま金融会社に入ったら、そこに強盗が来る」と言った、やや伊坂幸太郎チックなファンタジックな段取りも。
それで調査の過程で、たしかその料亭の昭和史のような物語があったりして、
なぜだか「あなたは僕の父親ではありませんか?」と誰彼に向かって言いまくる「父親知らず」の青年が出てきたりして、
最終的に「とある金融会社の重役さん」の軟禁事件みたいなことになって、解決して終わるみたいなことだったような。
そして、前作までを読んでない人が読んだら、普通に「なんだかちょっと文学チックだけど、面白くない犯罪探偵物語」なんだと思います。
だけど、第1作から読んできて、14年待たされた身からすると、やっぱり満足してしまった(笑)。
もう、色んな意味で限界な気はするんです。
主人公は携帯を持たない。パソコンをやらない。
そんな矜持を貫くことの妥当性?とかを含めて。
ただ、こういう「文体」とか「容れ物」としての小説、という明確な意図や思想があって書かれているものっていうのは、やっぱり希少だし、価値はあるなあ、と思いました。
正直、どういうストーリーだろうが、どういうトリックで犯人がどうだろうか、そういうことってこのシリーズにとってどうでもいいことなんですよね。
主人公の沢崎が、ずっと登場してきた、「ヤクザの相良」と会話をする場面が、この本でもっとも小説としての興奮度が高かったことがその証左ですね。
奇妙なウマのあいかたをしてきたふたりが、10年以上ぶりくらいに再会。相良は今は半分足を洗って、親の介護をしている。
それだけの場面で、お互いにウェットなことはほぼ何も言わない��ですが、身震いするほどの名場面。
正直、これが読めただけでも最高評価な一冊。間違いなく。
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それにしてもまあ、14年ぶりの新刊ですか。前作『愚か者死すべし』も9年ぶりだったし、あとがきで次回作は早期刊行すると宣言していたのだが。熱心なファンに怒られるのを承知で言うと、とっくに呆れを通り越し、このまま新刊を出さずに消えていくだろうと思っていた。
別に新刊を渇望していたわけではない自分だが、手に取ってみる。沢崎が受けるほどではないような依頼内容。しかし、彼だって食べていかなければならない。受けたからには律儀に取り組む。どうしても依頼人に会って確認する必要が生じ、依頼人の職場に行ってみると…お約束のように事件に巻き込まれ、このシリーズ恒例のノンストップの展開が始まる。
スマホなどのツールが出てくることから、時代設定は現代からそう遠くはないと察せられるが、14年前と同様に、探偵・沢崎は携帯電話を持っていない。おそらく、ネットなど見ていないのだろう。それでも探偵稼業を続けていられるのは、それなりに需要と技量があるからか。
前作でも思ったが、この方の執筆作業の大部分は、プロットの構築に時間を割かれているのだろう。何回自身でダメ出ししたのか。よく言えば緻密、悪く言えば詰め込みすぎなのは、前作と同じ。壮大な陰謀劇だった前作と比較すれば、今回は極めて個人的な事情が描かれるのだが…。
うーむ…こんなに色々巻き込んでおいて、最後はこれ? あんたが悪いと依頼人に声を大にして言いたい気分だ。沢崎さん、下手すりゃ死んでいたのに、それでいいんかい…。吹っかけようなんて考えは一切ない。あまりにも浮世離れした、化石のような天然記念物のような男。今時、こんな人間はいないからこそ、熱心な読者は14年待たされても文句を言わないのだろうけれど。
沢崎シリーズの魅力としてよく挙げられるのが「会話」だが、本作に関しては、やや無理があるプロットを、沢崎の会話で間を持たせている感はある。新宿署の錦織や、清和会の橋爪ら、腐れ縁の面々との憎まれ口の応酬は、「小気味よい」と思えなくはない。いや、沢崎は誰に対してもこんな口調なのだが。ある意味、日本で誰よりも分け隔てがない人間かもしれない。
そんな本作で、最も驚いたのは、最後の最後だった。知り合った青年が、その時いた場所は…。これってやっぱり…。この下りは必要だったのだろうか?
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11月初旬のある日、渡辺探偵事務所の沢崎のもとを望月皓一と名乗る紳士が訪れた。消費者金融で支店長を務める彼は、融資が内定している赤坂の料亭の女将の身辺調査を依頼し、内々のことなのでけっして会社や自宅へは連絡しないようにと言い残し去っていった。沢崎が調べると女将は六月に癌で亡くなっていた。顔立ちのよく似た妹が跡を継いでいるというが、調査の対象は女将なのか、それとも妹か?しかし、当の依頼人が忽然と姿を消し、いつしか沢崎は金融絡みの事件の渦中に。切れのいい文章と機知にとんだ会話。時代がどれだけ変わろうと、この男だけは変わらない。14年もの歳月を費やして遂に完成した、チャンドラーの『長いお別れ』に比肩する渾身の一作。
14年ぶりの新作。残念ながらもったいぶった表現が多く、キレのある作品ではなかった。読み手である私自身の感覚が変わってしまったからなのか。「そして・・」や「私が・・」を初めて読んだ時の感触はなかった。
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愛煙家必読の書。今どきこれだけ煙草を吸うシーンが描かれる小説は世界中どこを探してもないだろう。出てくる男も女もひっきりなしに煙草を吸っている。禁煙になっていてもだ。まあ、自分は吸わないが、最近の煙草に対する世間の冷たさには首をかしげたくなるところもある。昔の映画の喫煙シーンをカットしたり、煙草の代わりに別のものを持たせるように改変したりする動きがハリウッドであるという。それだけはいくらなんでもご容赦ください、と言いたくなる。ボギーに何を持たせるつもりだ。ぺろぺろキャンディか?
和製ハードボイルドの第一人者による14年ぶりの沢崎シリーズの新刊である。期待は大きい。書き出しを読んで胸躍らせる愛読者も多かろう。沢崎もとうに五十の坂を越えたが、事務所の看板は相変わらず<渡辺探偵事務所>のままだ。ただ愛車のブルーバードは部品取り用に修理工場に買い取られ、今はそこの代車に乗っている。携帯電話は今も持たない。この節携帯なしで仕事ができるのか、と思うだろうが、電話サービスを利用しているので、留守の時はそちらにかかる。後で確認すればいいし、嫌な相手の電話を無視できる利点もある。
今回の依頼人は当節めったにお目にかからない紳士。老舗の料亭の女将の身辺調査の依頼である。依頼人の望月は金融会社の新宿支店長で融資先の経営者を調べたいという。本当は別の依頼があって、これはそのための小手調べではないかと思った沢崎は、あまり気の乗らない仕事だが受けることにした。ところが、調査を開始してすぐ、その女将は半年前に亡くなっていることが分かる。赤坂の<業平>というその店は、今では妹が後を継いでいた。
そのことを告げようとしても電話が通じない。依頼人が勤める金融会社に出向いた沢崎を待っていたのが強盗事件だった。支店長不在で金庫が開かないことに業を煮やし、一人が逃げ、残された一人は客の海津という青年に説得されて自首。強盗は未遂に終わったが、金融会社が渋るのを警察が強引に開けさせた金庫には本来あるはずの金のほかに数億円の札束が詰まったジュラルミン・ケースが入っていた。
沢崎は海津と一緒に姿を消した支店長の望月を探し始める。海津は学生ながら人材派遣会社を経営しており、望月とは懇意で娘のアルバイト先も斡旋する間柄だという。貰った名刺から電話サービスで自宅の住所を突きとめ、部屋に入ると、そこには別人の死体があった。すわ殺人かと色めきたつ警察。そこにやくざまでがからんでくる。もしや望月は事件に巻き込まれ、やくざに監禁されているのでは、とアタリをつけた沢崎は<清和会>の相良に探りを入れる。相良は親を介護するため一時的に組を離れていた。
本家のハードボイルドのギャングだが日本ではやくざになる。これが苦手だ。どうにも絵にならない。チャンドラーの小説に出てくる大物は、ディナー・ジャケットに身を包み、身だしなみも整ったいっぱしの紳士気取りだ。交わす会話も洒落ていて、読んでいてそれが楽しい。ところが、安藤昇を除けば、やくざには学もなければ教養もない。ただ、怒鳴り散らして脅しをかけるだけだ。洒落っ気はないが相良との会話に人間味のあるのが救いだ。
チャ���ドラーの『長いお別れ』、近頃では『ロング・グッドバイ』の方が通りがいいか。あれを意識しているのだろう。男の友情というのが一つの主題だ。つけ加えるなら親子、夫婦といった家族もそうだ。探偵という稼業のせいか、渡辺を亡くしてからというもの、沢崎には心許せる友人も家族もいない。今回相棒をつとめるハンサム・ボーイの海津や、沢崎が紳士だと認めた望月と名乗る依頼人が、二人でテリー・レノックス役をつとめている。
つきあいは浅いが、好ましく思える相手のために、いろいろと世話をした挙句、結果的には裏切られてしまう、孤独な探偵の心情を哀感込めて描いたのが『長いお別れ』だ。もちろん殺人事件が起こり、その謎を解くのが本筋だが、読者の心に長く残るのは、人たらしのテリー・レノックスに手もなく魅了される、まだ若さの残るマーロウの意外にやわなハートだ。さすがに五十をこえた沢崎はそこまで甘くはない。
残念なのは、魅力的な女性が語りの中には出てくるのに、すでに死んでしまっていることだ。伝法で気っぷのいい静子という女将は映画なら山田五十鈴あたりが役どころ。銀幕の名女優の名が何人も出てきて、高峰秀子が語ったとされる女将の生前の印象が文中に引用されている。これがなかなかの出来。強盗犯の一人が俳優の河野秋武に似ていたという一節が出てくるが、若い者は誰も知らないというのも面白い。携帯は持たない、辺りかまわず煙草は吸う、懐かしの映画スター、と時代に逆らったような演出だ。
それでいいのだ。十四年も新作を待つファンなら、変わり果てた沢崎など見たくはなかろう。ミステリ調よりもハードボイルド調を優先したというのが作家の言葉。たしかに発砲事件が起こり、死者も出るが、肝心の事件が物足りない。まあ、舞台が新宿ではハリウッド大通りのあるLAとちがって街並みからして猥雑だ。ケチなやくざ絡みでは話がショボくなるのも仕方がないのかもしれない。過去に因縁のある新宿署の錦織も<清和会>の橋爪も沢崎の相手役としての魅力に乏しい。三月初旬というから東日本大震災だろう。新しい事務所は地震を持ちこたえ、沢崎も健在だ。次の事件を期待するとしよう。
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この作家の作品は初めて読んだ。謎の好青年や刑事、暴力団とのやり取りはまさにハードボイルド。でも、ストーリーそのものはインパクトのないものだった。
ラストの地震とその時東北沿岸にいる好青年、そして皮肉な言葉が読了感を悪くした。
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14年ぶりの探偵・沢崎。金融会社の支店長からある料亭の女将の身辺調査の依頼を受ける。女将はもう亡くなっていたし、支店長に連絡も取れない中、事件に巻き込まれ。事件と依頼の真相は…。春樹訳のチャンドラーに慣れてしまっているのか、読んでいてなんか変な感じ。比喩とか会話とかも嫌いではないし、作者の年齢もあるが昔を感じさせるところは、それはそれでよかったのだけれど。事件真相はスパッとしなかった…雰囲気で楽しんだかな。これからも書いて欲しいんだけれどね。シリーズでもう少し読みたい。14年は長かったよ。
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久しぶりの沢崎シリーズ。著者の原尞氏のイメージが探偵・沢崎にかぶる。物語のプロットは相変わらず立て込んでいるが、筋は通っている。でもちょっと無理かなという部分もあって少し読みにくい。ただ全体のハードボイルド感は堪能できる。後半に向けてどんどん謎解きの部分が盛り上がった。
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そして14年ぶりの沢崎シリーズ
変わらず一気読みしちゃう展開、読みやすさなんだけど、
沢崎もケーサツもヤクザも、なんか優しくなっちゃったのは年のせい?時代のせい?( ´ー`)y-~~
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失礼ながら、あまり好みではなかった。そもそも著者の文体や人物造形が自分にはあまり向いていないのかもしれない。「突き放すような話し方を好む男だった。男は、自分自身の人生さえも突き放しているのかもしれなかった。」とでも北方謙三先生に描写されそうな、斜に構えた姿勢の中年男性。関わりたくないー。そして自分のことをぺらぺらと話したがる青年。アホかー。更に、プチブルばかり出てきて現代の日本社会に対する批評的な目が全く感じられない設定。繰り返しになるけど何より主人公。後期ロスマクみたいに観察者に徹したいなら下手な軽口は慎むべきだし、チャンドラーをやりたいならもう少し粋なセリフ運びをお願いしたい。中二病みたいなことばっか言ってる中年は願い下げ。
脇役で出てくる二人の警官は好きだった、生き生きとしていた。あとは巨漢のやくざも。